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燃えるフィジカルアセスメント

総合診療医徳田安春の最新医学情報集。問診、フィジカル、医療安全、EBM、臨床研究に強くなれます。

子供の肥満1 連載 その41

2013-06-20 | 本の紹介

 前回に続き、健康長寿は子供から、と題して考えていきましょう。

 2001年アメリカ医師会雑誌に紹介された、4~12歳の子供約8200人を対象に12年間行った研究によると、1986年以降過体重(BMI25以上)の子供の割合は徐々にふえつづけ、1998年の時点ではなんと、小学生までの五人に一人が過体重という報告がありました。 また、1999年に行われたアメリカの全国調査では、高校生の約10%が肥満(BMI30以上)でした。

 生活習慣病である虚血性心疾患・心臓病が死因の第一位であるアメリカにおいて、子供の肥満は社会問題に発展しています。 同様に、生活習慣が大きく関係するⅡ型糖尿病の若年齢化が認められます。 アメリカの小児科医によると、実際日常の診療でも小児・思春期に糖尿病を発症する患者が高頻度にみられるそうです。

 これら小児期に発症したⅡ型糖尿病患者の約10人に1人が、若くして腎不全を含めた生命を脅かす糖尿病の合併症を発症するというショッキングな報告も最近ありました。

 日本は昨今、食生活や生活スタイルが欧米化し、今後もこの傾向がますます進むとみられます。 このアメリカの小児肥満・糖尿病の事例は、将来の日本に警鐘を鳴らすこととなるでしょう。

 成長するにつれ習慣を変えることは難しくなってきますから、幼いときから食生活・運動などを含む健康的な習慣を教え込むことは非常に重要です。 ここで、アメリカ肥満学会が推奨している子供の肥満対策、さらにはアメリカ心臓病協会が推奨する心臓病予防のための子供の食事法を参考に、子供の肥満対策・予防法をご紹介します。

 ただ、注意して頂きたいのは、思春期に太りすぎだと、太ったまま大人になる確率が約75%にのぼりますが、4~5歳の幼児期に肥満であっても、太りすぎのまま大人になる人は約20%しかいません。

 活動的な環境、きちんとした食生活、家庭環境がしっかりしていればさほど心配する必要はありません。 乳幼児期に太っているからといって親が叱ったり、ダイエットを無理に押し付けたりすると、信頼している親が敵になったと感じ、かえって食事摂取障害やうつ病などの精神疾患にいたる子供もいることが指摘されています。 常に子供のこころを傷つけないように子供の健康を守るよう心がけてください。

 また、親は子供の重要なロールモデル・教師です。 肥満対策や予防を子供だけに押し付けず、親子で一緒に実践することが大事です。 親として、肥満が子供の将来に与える影響を認識して、次回からの対策を実践していただきたいと思います。

 今回はこの辺で、次回から具体的な肥満対策を考えていきましょう。

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