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カトマンズを思い出しながら『王とサーカス』

2015年12月03日 | 読書

海外旅行の特集取材で訪れたネパールで王族殺害事件が発生する。取材対象をこの事件に替えた最中に殺人事件が起き、巻き込まれる彼女。元新聞記者とは言え何とも行動的で、現地の警察顔負けの推理力。予想外の結末を迎えるまでの展開に引きずり込まれる。と同時に描かれるカトマンズの情景も懐かしい。数年前のヒマラヤ・トレッキングの際の3泊だけだったが、埃っぽい街の雑踏、通りに並ぶ極彩色の出店、日干し煉瓦の家々、人々の暮らしぶりなどがよみがえってきた。国王ら多数の犠牲者が出ながら真相が不明な実際の事件を題材にし、ジャーナリストのあり方をも提起する深みのある作品。今朝の新聞で週刊文春のミステリーベスト10の国内部門一位となったと知り、少し得をした気分となった。

              

 

(2010年秋のカトマンズ)