山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

フトヒルムシロ (ヒルムシロ科) Potamogeton fryeri A.Benn.

2024年06月21日 | 水生植物
  主に貧栄養または腐植栄養質な池や沼の水中に生育する多年草である。地下茎は泥の中を横に這い、先端に越冬芽をつける。浮水葉の葉身基部は円形~浅心形で縁が葉柄にそって流れ、波形のしわをつくる。若い浮葉は赤銅色を帯びることがある。沈水葉は上部の1~2枚を除いて明瞭は葉柄は無い。花は 2.5 ~ 5㎝、穂状花序を直 立する。花期は 6 ~ 10 月。山梨県では分布域が限られており、個体数はさほど多くは無い。

 2018年山梨県カテゴリー :絶滅危惧Ⅱ類(VU)  2005年山梨県カテゴリー :絶滅危惧Ⅱ類(VU)   2017年環境省カテゴリー:なし

    フトヒルムシロの生育する池 2024年6月 北杜市で撮影

    限られた生育地に固まって生育している

    主な花期は6~7月ごろ

    穂状花序を水面に伸ばすフトヒルムシロ

    穂状花序に濁った紅色の花が咲いている

    同じ池の8月下旬の様子 2023年8月撮影

    葉の辺縁が波打つと言われているが葉で判別するのは難しい。

    水中葉が見える。この水中葉には柄が無いはずである。





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コオニビシ (ミソハギ科) Trapa natans L. var. pumila Nakano ex Verdc.

2022年09月26日 | 水生植物
湖沼や止水域に生育する1 年草の浮葉植物である。葉茎の中央部が膨れて浮嚢となる。浮水葉は卵状菱形で光沢があり、縁は荒い鋸歯がある。花は白色で4枚、雄しべ4本で雌しべ1本ある。石果は倒三角形で 4 個の刺があり、4 個の疣がある。山梨県では富士五湖の一角にまとまって生育していたらしいが、水鳥の食害に遭って個体数が激減し、あまり多くは生育していない。

 2018年山梨県カテゴリー:絶滅危惧ⅠB 類(EN)  2005年山梨県カテゴリー:なし  2017年環境省カテゴリー:なし

    湖の中に咲いたコオニビシの花 2022年9月 富士五湖で撮影

    コオニビシの花。陸地からの距離が遠く、撮影が難しい。

    かつてはたくさん葉を展開していたらしいが、水鳥の食害に遭って個体数は激減してしまっている。長い穂はホザキノフサモ。

    紅葉したコオニビシの葉

    陸の近くに生えたコオニビシ。葉は小さ目で荒い鋸歯がある。





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タヌキモ (タヌキモ科) Utricularia x japonica Makino

2022年09月23日 | 水生植物
古い池や沼地、水田などに生育し、水底には根を張らずに浮遊する多年生の食虫植物である。水中葉は細かく分かれ捕虫嚢をつける。花期は 7 ~ 9 月で、長さ10 ~ 25㎝の花軸先端部に小さな黄色い花を付ける。山梨県では生育地、個体数とも非常に少ない。本来のタヌキモは雑種起源の可能性が指摘されていたが、2005年のゲノム解析の結果母はイヌタヌキモ、父はオオタヌキモの交雑種であることが確認された。実際のタヌキモは個体数が少なく、山梨県に生育しているタヌキモは比較的個体数の多いイヌタヌキモの可能性が否定できない。

 2018年山梨県カテゴリー:絶滅危惧ⅠA 類(CR)   2005年山梨県カテゴリー:絶滅危惧ⅠA 類(CR)  2017年環境省カテゴリー:準絶滅危惧(NT)

    池のほとりに生育するタヌキモ 2022年8月 韮崎市で撮影

    水底には根を張らず浮遊している。

    水量が少なく一部空気にさらされているタヌキモ

    細い葉と風船状の捕虫嚢が見える。

    すくい上げて観察してみる。

    先端部。葉は細く細かく分枝する。捕虫嚢が多数付着している。

    中間部分

    捕虫嚢を拡大して観察。水のほかに中に何か入っているものがある。




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イトモ (ヒルムシロ科 )  Potamogeton pusillus L.

2022年09月23日 | 水生植物
池や沼地、流水中に生育する沈水性の多年草である。茎・葉ともに非常に細い。葉はすべて沈水葉で狭線形、葉柄は無く先端部は尖る。葉の内側に茎を抱く托葉がある。托葉は両縁が重なり合い、筒状にはならない。長さ1~2.5cmの花茎の先に、1まとまりにかたまって長さ3~5mmの花穂を付ける。花期は 6 ~ 8 月。山梨県では生育地、個体数とも限られている。

 2018年山梨県カテゴリー: 絶滅危惧ⅠB 類(EN)  2005年山梨県カテゴリー:絶滅危惧ⅠB 類(EN)  2017年環境省カテゴリー:準絶滅危惧(NT)

    池の中に生育するイトモ 2022年6月 韮崎市で撮影

    水底のイトモ

    2022年8月 同じ場所で撮影。

    水量が少なく、葉の一部が空気にさらされていた。葉・茎とも細い。

    花穂が見えているが残念ながらフォーカスが合っていない。托葉の観察までは至らず。

    空気にさらされていたイトモ。この年は条件が悪かったのか花穂はほとんど確認出来なかった。



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ミクリ(ガマ科)

2021年10月06日 | 水生植物
浅い河川域を好んで生育する多年草である。地下茎は横走して群落を作る。茎は直立し、高さ70 ~ 100㎝。花序は枝分かれし、花には雄性花と雌性花があり、上部に雄生球花、下部に雌性球花をつける。枝分かれした花序にそれぞれ数個ずつ形成し、その花序の様子が栗のイガに似るため、ミクリ(実栗)の名がある。花期は 6 ~ 8 月。山梨県で生育が確認されている場所は少ない。

    浅い河川域に生育するミクリ 令和3年8月 東部富士五湖方面で撮影

    長雨の後で葉や茎は倒れていた。

    結実したミクリ

    イガグリ状のミクリの実。ナガエミクリとの違いは茎に直接実が付いて柄を出さないこと。


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ヒシ(ミソハギ科)

2021年10月06日 | 水生植物
池や沼、滞留河川を好んで生育する1年草の水草である。前年に水底に沈んだ種子から発芽し、水中で長い茎を伸ばして水面に向かって伸び、水面に葉を叢生する。葉は互生で、茎の先端に集まってつき、一見すると輪生状に広がるように見える。葉柄の中央部はふくらみがあって、内部がスポンジ状で浮き袋の役目をする。花は両性花で、夏から秋の7 - 10月にかけて葉のわきから伸びた花柄が水面に顔を出し、花径約1cmの小さな白い花が咲く。花が終わると、胚珠は2個あるが一方だけが発育し大きな種子となる。種子はデンプンを蓄積し食用になる。果実を横から見ると、菱形で両端に逆向きの2本の鋭い刺(とげ。がくに由来)がある。山梨県で確認されている生育地は1ヶ所のみと思っていたのだが、北杜市の池にも生育していた。

 2018年山梨県カテゴリー:情報不足(DD) 2017年環境省カテゴリー:なし

    滞留河川に群生するヒシ 令和3年8月撮影

    隙間が無いほどにびっしりと群生しているヒシ

    花はあまりたくさんは咲かせない。

    ヒシの花。小さな白い花。

    一見浮き草のように見えるが、水中から長い茎を出している。



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ミズアオイ(ミズアオイ科)

2021年10月06日 | 水生植物
水田や沼地、滞留河川域を好んで生育する1年草である。葉の形が葵に似ていることからこの名がある。昔は菜惣(なぎ)と呼び、葉を食用にしたこともあるらしい。花期は8-10月。花茎は高さ30-70cmになり、葉より高く伸び、10-20個以上の青紫色の花をつける。花被片は6個あり、楕円形で長さ15-20mm、内花被片3片がやや幅が広い。雄蕊は6個あり、うち5個の葯は黄色で小型、残りの1個の葯は紫色で大型になる。山梨県で生育が確認されているのは1ヶ所のみである。

 2018年山梨県カテゴリー:情報不足(DD) 2017年環境省カテゴリー:準絶滅危惧(NT)

    ミズアオイ 令和3年9月撮影

    滞留河川域に群生しているのが確認された。

    水辺に生育するミズアオイ

    ミズアオイの葉と花。葉はアオイの葉に似た形をしている。

    青紫色の鮮やかなミズアオイの花。



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ヘラオモダカ(オモダカ科)

2020年12月10日 | 水生植物
水田の中やで泥湿地に生育する多年草である。花期は7∼9月。浅い水中に生え、白い3弁化を多数付ける。サジオモダカに似ているがヘラオモダカのほうが葉身が細く、基部はしだいに細くなって葉柄に続く。山梨県では甲府市、北杜市、富士五湖方面など広範囲に分布している。

 2018年山梨県準絶滅危惧種(NT) 2017年環境省-

    ヘラオモダカ 令和2年8月 甲府市で撮影

    同上 泥湿地のぬかるんだ草地の中に生えていた。ヘラ型の根生葉は見えにくい。

    令和1年8月 同じ場所で撮影。結実しているものが多い。

    ヘラオモダカの花。3弁の白い花を咲かせる。

    見えにくいが、ヘラ型で基部が次第に細くなっている根生葉が見えている。



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ナガエミクリ(ガマ科)

2020年12月09日 | 水生植物
池や浅い河川に生育する多年草である。花期は7~8月。花序の上部に雄性球花、下部に雌性球花を付ける。下から1~3個の雌性球花に短い柄が付いている。結実するとイガグリ状の実をつける。山梨県では東部富士五湖方面で生育が確認されており、甘利山椹池でも生育が確認された。

 2018年山梨県絶滅危惧ⅠA類(CR) 2017年環境省準絶滅危惧種(NT)

    ナガエミクリとその奥にカンガレイ 令和2年8月 椹池で撮影

    ナガエミクリ

    ナガエミクリの花(右)と実(左)

    ナガエミクリの花

    上部の白い花が雄花、下部の少し緑色がかっているのが雌花。

    ナガエミクリの実。葉の付け根の部分から短い柄を出して実が付いている。



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アギナシ(オモダカ科)

2020年12月09日 | 水生植物
泥湿地や水田に生育する多年草である。花期は8~9月。オモダカに良く似ているが葉身が細く、2つに分かれた下側の裂片は頂裂片よりやや短くて先端部はとがらず丸みを帯びている。また、アギナシの花径は葉茎よりも長く、葉よりも高い位置に花が咲くこと、オモダカは匐枝を出すがアギナシは出さないことなどが異なる。オモダカは山梨県下の水田に分布が点在していると判断されている。

 2018年山梨県絶滅危惧Ⅱ類(VU) 2017年環境省準絶滅危惧種(NT)

    アギナシと思われる個体 平成30年9月 椹池で撮影

    同上 葉身が細くアギナシと思われる。位置が遠く下部の葉の先端部は判別不能。

    葉よりも高い位置に白い花を咲かせる。

    一斉に花を咲かせるのではなく、下から少しずつ咲かせて行くようである。

    令和2年9月に撮影した葉。

    同上。細い葉身、頂裂片より短い下部裂片、アギナシで間違いないと思われるのだが下部裂片の先端部は尖っているように見えなくもない。

 ボートが無ければ近付けない位置に生育しており、もう少し経過観察が必要と考えている。



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ヒツジグサ(スイレン科)

2020年10月21日 | 水生植物
標高の高い古い池や沼に生育する多年草の水草である。花期は7~9月。ヒツジグサの名の通りに未の刻(午後2時~3時ごろ)を中心に日が高く昇った頃に花を開き陽が陰ると閉じる。かつては甘利山椹池にたくさん生育していたらしいが現在ではその姿は見当たらない。貧栄養の沼地や池を好み、コイやフナなどの魚類が生息する場所での生育は難しい。それらの魚類が根を食べることもあるが、魚類の糞から発生するリンなどの栄養素で富栄養の水質に変わるためとも言われている。

    ヒツジグサ 令和2年8月 韮崎市で撮影

    同上 トリーミング画像

    同上 木々を映す水面に浮かぶヒツジグサ

    同上

    同上

    トリーミング画像

    ギンヤンマとヒツジグサ






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