山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

きっとある 御坂山系○●岳  平成25年7月26日

2013年07月31日 | 山梨百名山
 御坂山塊の山々には様々な稀少植物が咲く花の宝庫であることを今年になってから改めて知った。そしてトレーニングか体調を確かめる時にもっぱら登っている○●岳にも珍しい花が咲くことを某花見隊のブログから知った。その珍しい花はもう既に終わってしまっているだろうが、もうひとつ、まだ蕾だった得体の知れない花は何なのか?そして来年のために珍しい花が咲いている場所も確認しておきたかった。


 特徴的な葉の形をしているその花は、葉を探して歩くことになる。空模様がいまひとつで薄暗い林の中は花が探しにくいが、左右の草地の中を覗き込みながらゆっくりと歩く。

    ウスユキソウは結構ある。


    シュロソウ。あまり気にしていなかったが、結構咲いていた。


    咲き始めたばかりのシュロソウ


    ママコナ。これは年々数が減っている。

 そして発見、やはり花は終わってしまっているが、クモキリソウ属の葉っぱ。クモ*キリ*ソウかジガ*バチ*ソウのいずれかだろうと思われるが、来年の花のシーズンが楽しみだ。周辺を捜したがこの2株しか見つからなかった。さらにその先を探すと、気になっていた花が咲いているのを見つけた。咲いた花を見ても何だかわからない。背丈10cmほどの白い花、キソチドリのようだが、それにしては背が低く花が緑色ではない。

    発見!クモキリソウ属の葉っぱ。どんな花が咲くのか、来年が楽しみ。


    もうひとつのお目当てがこれ。キソチドリ?八ヶ岳で見たものはもっと背が高くて緑色の花だった。


    エクステンダーで接写


    もう一株発見。


    ??

 2時間ほどかけて山頂に到着。富士山どころか向かいの黒岳山塊にも雲がかかりはじめている。夕立に見舞われそうな空模様だ。急いで下山し、40分で登山口に到着した。

    山頂に咲いていたホツツジ


 季節を変えて何度も登っている御坂山塊の山々だが、富士山の眺望だけでなく植生もたいへん豊かな山域であることを改めて知らされた。きっとまだ他にも見たことのない植物がたくさん生育していることだろう。環境の変化や鹿の食害で絶滅してしまわないことを祈る。
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

樽前山のタルマエソウ 北海道遠征6  平成25年7月19日

2013年07月30日 | 圏外編
 北海道遠征も最終日となったこの日は夕方7時半苫小牧東発のフェリーで新潟に渡る予定である。しかし、北海道に来てこの方に会わずして帰るわけには行かない。トムラウシ山に登る前日と下山後に連絡をとる。その方とは・・・平成22年10月に北海道を訪れた時に樽前山と札幌岳をご案内していただいたブログ仲間のtarumae-yamaさんだ。今回は恵庭岳あたりに行きたかったのだが、トムラウシ山下山後の私の体調が悪過ぎた。前日は札幌市街のホテルに泊まったが、登山疲れと運転疲れがどっと出て、ホテルに到着するともう出かける元気も無くグッタリ。ススキノにくり出す元気など全く出ず、風呂に入ってすぐにベッドに倒れ込むように寝てしまった。翌朝も疲れが抜けず、手足と顔がむくんでいるような感覚がある。おそらくはこうなるだろうと予想して、前日の打ち合わせできつい登りのある恵庭岳は避けてタルマエソウが見頃を迎えている樽前山を指名した。7合目まで車で行ける登り易い山だが、それでも登れるかどうか、一抹の不安があった。

 朝9時、札幌場外市場に行ってお土産を買い、11時半に樽前山7合目の駐車場でtarumae-yamaさんと待ち合わせする。平日だというのに駐車場はほぼ満車に近い。12時少し前に出発するが、案の定tarumae-yamaさんのピッチに全く付いて行けない。風不死岳(ふっぷしだけ)分岐あたりでは軽い吐き気を催し、ペースダウンしてもらってなんとか稜線の大岩のところまで登り、そこで昼食をいただく。tarumae-yamaさんの奥様が準備してくれたハスカップの漬物が入ったおにぎりをいただき、水を思い切り飲んでようやく若干体調が改善し、ピッチは上がらないものの歩けるようになった。

    樽前山7合目駐車場。平日なのに満車近い。


    支笏湖を望みながら反時計回りに樽前山周回する。


    モウセンゴケ。湿地帯に生えるものかと思っていたが、この山には普通に生育している。


    寄生植物オニノヤガラ。数本発見。


    タルマエソウ(イワブクロ)と樽前山。こちら側からは樽前ドームは見えない。


    タルマエソウ

 5時までに下山すればフェリーには十分間に合うので、時間はたっぷりある。この先は樽前ドームと見頃を迎えたタルマエソウを見ながら花三昧で歩く。標高1,000mほどしか無い山なのに、ここは森林限界を越えた八ヶ岳硫黄岳界隈を歩いているような雰囲気がある。

    満開のタルマエソウと樽前山ドーム


    イワギキョウ


    タルマエソウとドーム


    まずは西山に登る。


    西山山頂近くに咲いていたイワギキョウ


    コケモモの群落


    西山山頂。草むらの中を覗きながら歩く2人はまるで花見隊。

 西山山頂から東山(樽前山山頂)にかけての稜線は海を望むことができる。樽前山は苫小牧市に属しており、海からは近い位置にある。そのため海風が吹き海雲が発生しやすく、しばしば山は霧におおわれる。あっという間に霧に囲まれたかと思えばまたすぐに晴れる。

    海雲が湧く樽前山


    タルマエソウと樽前山とtarumae-yamaさん。


    噴煙を上げる樽前ドーム。しかし、平成22年に来た時よりはおとなしい。


    途中で寄り道。この山にコマクサがたくさん咲いているが、これは誰かが持ち込んだものらしい。増殖の勢いが凄くもはや駆除は困難と思われる。


    樽前山山頂

 午後3時45分、ゆったり歩きでなんとか山頂に到着した。この山を知り尽くしているtarumae-yamaさんのご案内だったので、花を余すことなく楽しむことができた。しかしコマクサがこれほどたくさん咲いているとは驚いた。かつては登山道から見えなかったらしいが、今では登山道から覗き見られる位置まで広がっている。今後の植生の変化が心配である。

 お世話になったtarumae-yamaさんに別れを告げ、苫小牧東港に向かう。6時前に到着し、余裕でフェリー乗車に間に合った。2週間という長期休暇はもう退職するまではとれないかもしれない休暇だった。幌尻岳を除けばほぼ予定通りの山に登ることができ、充実した2週間だったと思う。
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

花咲くトムラウシ山へ ヒサゴ沼2泊(3日目)  平成25年7月16日-18日

2013年07月27日 | 日本百名山
 前日ヒサゴ沼への雪渓で霧に巻かれ道に迷ったが、あれが無ければ南沼まで移動して夜明けとともにトムラウシ山山頂と考えていた。しかし、道に迷ってヒサゴ沼到着が予定より遅れたこと、そして空模様がいまひとつで夕立になりそうな天候だったので、ヒサゴ沼でもう1泊することとなった。おかげでゆっくり休んでぐっすり寝た。さて、3日目、トムラウシ山山頂を越えて下山だ。

 7月18日(3日目)

 トムラウシ山入山前の天気予報ではこの日は曇り、午後から雨の予報だった。しかし、前日に化雲岳で会った写真愛好家の青年がワンセグで見てくれた天気予報では晴れのち曇りの予報で、前線の北上が遅れるらしい。朝4時半に起きてテントの外に出てみると、山には雲が巻いているが頭の上には青空が広がっている。テント撤収、5時半に出発する。
 朝一は雪渓が凍っているかもしれないのでトラバースは要注意と前日助けていただいたガイドさんにアドバイスをいただいた。ちょうどそのガイドさんたちの一行が出発した後を追いかけるように歩く。しかし、ヒサゴ沼脇の雪渓トラバースでは注意された通りに硬い雪渓のところでスリップし、すぐに停止したから良かったものの、一歩間違えばヒサゴ沼にドボンというところだった。その先の雪渓登りでは植田さんに軽アイゼンを装着してもらってステップを刻んでもらい、アイゼンを持ってきていない私はそのステップをさらにキックステップで登った。


    3日目の朝。青空が見えるが山には雲が巻き、昨日ほどの好天ではない。


    雪渓登り


    さらばヒサゴ沼。次はいつ会えるか・・・

 ヒサゴ沼分岐から一旦急登りとなり、登り着くと平らになってハイマツと岩の点在する美しい景色が広がり、その向こうにトムラウシ山が開ける。朝広がっていた霧が晴れて山上は青空が広がり、前日と同様に快適な山歩きとなった。急いで歩くにはもったいない。景色を存分に楽しみながら、あちらこちらで三脚を立てて撮影しながら歩く。

    岩とハイマツの庭園


    ミヤマリンドウ。2日前は蕾だったが、帰りは満開。


    日本庭園の木道


    日本庭園。しばしこの場所で足を止める。


    日本庭園とトムラウシ山

 木道の道が終わると今度は岩ゴロゴロのモレーン帯の登りとなる。これを頑張って登ると平らになってその先に北沼があり、北沼から立ち上がるようにトムラウシ山が聳えている。ここまで来るともうトムラウシ山はすぐそこという感じだ。

    モレーン帯を行く


    北沼とトムラウシ山


    迫るトムラウシ山


    青空を映す北沼


    トムラウシ山山頂

 10時25分、トムラウシ山山頂に到着。昨日はこの時間にもう山上に雲が巻いてしまっていたのだが、今日はまだ山が待っていてくれたようで、山頂に立つと360度の雲海の景色が出迎えてくれた。こんな素晴らしい景色に出会えるとは、もうすぐ北海道遠征も終わるというところに来て、最高の恵みだ。

    記念撮影


    山頂の岩と雲海


    トムラウシ山のお鉢。お鉢めぐりができそうな道がついている。


    南沼と雲海に浮かぶ十勝連邦


    雲海広がる十勝縦走路
 
 山頂で30分ほど景色を楽しみ、南沼に下りる。続々と短縮ルートからの日帰り登山者とすれ違うが、途中は霧と雨だったと言っていた。南沼で水を補給し、昼食をとる。1時間ほど昼食休憩して、この美しい景色に別れを告げて下山する。

    南沼テント場から見上げるトムラウシ山


    南沼のお花畑


    エゾノツガザクラ


    前トム平。雲が湧く。


    前トム平のチシマギキョウ群生

 前トム平から先は急下り、さらにコマドリ沢の雪渓下りが待っている。登りは結構苦労したコマドリ沢だったが、下りは足をスリップさせながら快適に下る。しかし、沢から稜線への登り返しは疲れが出てきて結構苦労した。登ってしまえばルートは長いがさほど急な下りも無い。黙々と歩き、カムイ天上を過ぎてからペースを落とし、登りで見つけた小さな白い花を探す。10株ほど見つけたが、残念ながらまだ開花しておらず、蕾のままだった。5cmほどの背丈しか無い小さな花なので、ここで初めて新兵器エクステンダーを装着して接写を試みる。この頃には空は雲でおおわれて森の中は暗く、ちょっとした風で花が揺れ、なかなか撮影させてくれない。しかも周りには藪蚊がブンブン寄って来る。なんとか撮影し、短縮ルート駐車場には予定通りの午後4時半に到着した。

    前トム平からコマドリ沢雪渓へ


    コマドリ沢雪渓激下り


    埋もれる標柱


    開花していなかったが、これはアリドオシラン。周りの白いものは、小さなキノコ。


 素晴らしい天候と景色と花に恵まれたトムラウシ山2泊3日だった。今回の遠征で最も恵まれた3日間となった。これで星空に恵まれれば言うこと無しだったのだが、夜中に星を撮ってまた昼間に歩くなどという芸当は今の私には到底無理だろう。今回の山行で山を映す角度はおおよそわかったので、次に行く時は(とはいっても何年先になるかわからないが)星空を中心に挑戦したいと思う。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

花咲くトムラウシ山へ ヒサゴ沼2泊(2日目)  平成25年7月16日‐18日

2013年07月25日 | 日本百名山
 前日トムラウシ山短縮ルートから入山し、花と景色を楽しみながら12時間かけてヒサゴ沼に到着し、テントを張った。夕方雨が降ったものの1時間ほどで上がり、夜は空に星が輝いた。さて、この日はいかにして、どこまで歩くか?予定はほぼ未定、全ては天候にかかっている。

 7月17日(2日目)

 朝4時半に目を覚まし食事をとる。そして外に出てみると、雲ひとつない快晴の青空が広がる。さっそくカメラと三脚を取り出してヒサゴ沼と沼に映る山と雪渓を撮る。なんと美しい朝なのだろうか。今日は遠くまで歩くのを止めてお花畑周辺をぶらぶらして撮影に没頭することに決めた。歩かないので植田さんとは別行動にしてもらうことにした。

    朝のヒサゴ沼


    ヒサゴ沼南東側


    雪渓と山を映すヒサゴ沼

 一通りヒサゴ沼周辺の景色を撮り、5時40分、他のグループに一足遅れて出発する。まずは化雲岳に向けての雪渓登りだ。大きな雪渓が1時間ほど続くが、こちらは撮影モードで三脚を手に持ちながら、あちらこちらで撮影しながら登る。

    ヒサゴ沼雪渓と朝日


    彼方に浮かぶニペソツ山


    遥かに続く雪渓


    雪渓上部から望むトムラウシ山

 雪渓が終わると今度は両側にお花畑が広がる木道の道となる。一足遅く出発したのが良かったようで、あまり人に出会うこと無く存分に撮影が楽しめた。

    化雲岳に至る木道とお花畑


    木道脇に咲いたエゾノハクサンイチゲ


    エゾノハクサンイチゲのお花畑


    エゾコザクラ。後ろの白い花はキバナシャクナゲ。


    エゾノツガザクラとトムラウシ山


    自然に出来たチングルマの花壇


    チングルマとトムラウシ山


    化雲岳山頂付近のヨツバシオガマ


    化雲岳山頂

 7時半、化雲岳山頂に到着。この頃にはもう既にトムラウシ山には雲が巻き始めていた。陽が昇り気温が上がり、どうやら朝の天気はそう長い時間持ってくれそうに無い。山頂でブラブラしていると三脚を担いだ青年が登って来た。雲が湧きあがって来たので撮影を急いでいるようだったが声をかけると、地元の写真愛好家で私と似て夜中に星空を撮ったり景色や花、さらにヒグマやナキウサギ、野鳥なども撮影されているかなりハイレベルな方だった。持っているカメラもEos5D markⅢ、かつティルトレンズというほとんどマニアしか使わないレンズを使用していた。撮影場所や花情報、さらには明日の天気予報まで携帯電話のワンセグで調べてもらって教えていただき、すっかりお世話になってしまった。なんとなく私と同じような匂いがして楽しかった。化雲岳先にある広大なチングルマのお花畑を案内してもらい、そこで別れて私は先に進んだ。

    広大なチングルマのお花畑とトムラウシ山


    こちらは大雪山側。(旭岳はギリギリで写っていない)


    エゾノツガザクラのお花畑

 化雲岳の先を下って行くと下に沼地が見え出し、木道が通っていた。その湿原の周辺は凄いお花畑になっており、そこには今回の北海道遠征で是非見たかったホソバウルップソウの群落があった。もう時期が遅いと聞いていたのだが、場所によってはちょうど見頃のところもあって、この場所で完全に足が止まった。

    沼地周辺に広がるエゾノハクサンイチゲとホソバウルップソウのお花畑


    ホソバウルップソウとエゾノハクサンイチゲ


    ホソバウルップソウ群落。黄色い花はチシマノキンバイソウ。


    ホソバウルップソウ。八ヶ岳のウルップソウとは全く別物に見える。咲いている環境も八ヶ岳は乾燥した砂礫帯の中に咲くのに、こちらは湿原の周辺を好んで咲いている。


    クモマユキノシタの群落


    ヨツバシオガマともう終焉のホソバウルップソウ


    リシリリンドウ


    こちらはミヤマリンドウ。上との違いわかりますか?こちらは大きな花びら(裂片)の間にある小さな花びら(副片)が外に開くのに対して、上のリシリリンドウは開かずに花の中心部を塞ぐように付きます。


    またもや黄色いスミレ発見。この葉っぱはジンヨウキスミレ。後に出会ったプロガイドさんに聞いたところ、大雪山では普通に咲いているらしい。

 ここまでで既にあたりには霧が巻いてしまい写真撮影には不向きな状況となってしまった。植田さんはどこまで行ったやら??とりあえずはその先の五色岳まで行ってみることにする。五色岳周辺はハイマツにおおわれていて花は咲いていなかった。11時過ぎ、五色岳到着するが、当然の如く植田さんはいない。さて、どうしましょうか?ひとまずは山頂で休憩する。

    ハイマツの切れ目から見る五色岳


    五色岳山頂

 ガスが巻いて視界が悪く、五色ヶ原に行くのは止めてヒサゴ沼に戻ることにした。下山し始めようとした時に、何故か歩いて来た化雲岳側のルートから植田さんが現れた。どうしたことかと思ったら、ルートを間違って天人峡側ルートに入ってしまい、途中で会ったプロガイドさんと話をしていて間違えたことに気付いたらしい。ということで無事に合流し、ヒサゴ沼に戻ることになる。

    化雲岳に至る木道の道


    化雲岳山頂付近に咲いていたエゾルリソウ。先ほどのカメラマンに教えていただいた。


    エゾコザクラのお花畑

 化雲岳を過ぎてヒサゴ沼雪渓にさしかかったところで2人組の登山者が霧の中を雪渓から戻って来た。視界が利かず雪渓の上の足跡も不明瞭で戻って来たそうだ。私は朝登って来ているので行けるだろうと思い、2人を先導して歩くことにした。目印の岩を過ぎて足跡らしきものをたどって真直ぐに雪渓の斜面を下る。視界はほとんど10mほどしか利かず、途中で右に曲がるはずだったのでそれらしきところを右に曲がって進んだところ、その先の雪渓は籔で寸断されていた。どうやら間違えたようだ。少し戻ると、私たちの足跡をたどって後ろから3人組のパーティーが付いて来ていた。7人で地図とコンパスを広げてルートを探るが、まとまらず、ひとまずは引き返そうということになった。そして少し戻ったところで今度は5人組のパーティーが我らの足跡をたどって下りてきた。そのうちの一人は救世主、地元のプロガイドさんだった。我々の足跡をたどりながら、これは間違っているのではないかと思っていたようだ。ガイドさんたちのグループの後ろについて藪を左側にひとつ回り込むと、その先に露出した登山道の階段があった。その先の雪渓を下り、無事にヒサゴ沼避難小屋にたどり着くことができた。プロガイドさんの凄さを改めて知った。そしてルートの情報や花の情報もいただいた。

    霧が晴れた時にヒサゴ沼から見上げる雪渓。下りるはずだった一番下の雪渓のすぐ上にある雪渓に迷い込んだらしい。

 時間はまだ午後2時を少し回ったところだったが、この日はもう歩くことを止めてテントの中でおとなしく過ごした。霧が晴れた時に道に迷った雪渓を見上げてみると、下りるはずだった雪渓の上にもう1本大きな雪渓の帯があった。曲がるところの高度を間違えたようだ。自分の感などあてにならないものだと思った。


 さて、翌日はテント撤収して下山だ。あまり悪くはならないとの天気予報だが、山の天気はわからない。もし悪天候ならばトムラウシ山山頂は登らずに迂回して下山するつもりである。

コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

花咲くトムラウシ山へ ヒサゴ沼2泊(1日目) 北海道遠征5  平成25年7月16日-18日

2013年07月24日 | 日本百名山
 日帰りでの登頂が難しかったトムラウシ山も,短縮ルートが出来て以来山頂ピストンの日帰り登山が主流を占めるようになってきた.しかし,周辺にお花畑が広がるこの山,それらを見ないで帰って来るにはあまりにももったいない山である.今回はトムラウシ山界隈のお花畑と景色を存分に楽しむために,ヒサゴ沼テント2泊で楽しんでくることにした.縦走するか,ピストンするかかなり迷ったが,車の回収等の手間と時間を考えて,短縮ルートから往復することにした.前日の7月15日,夕張のホテルを遅めに出発し,十勝清水で昼食をとり,トムラウシ温泉のキャンプ場にテントを張って1泊した.そして朝6時,短縮ルート駐車場に移動し,出発する.

 7月16日(1日目)

 短縮ルートの駐車場は7~8割の駐車率で,ほとんどの人がもう出発した後だった.おそらくは日帰りの登山者が圧倒的に多いのだろう.15分ほど歩いてトムラウシ温泉からの道に合流する.そのあたりは笹が混じるツガの樹林帯で,登山道脇を探すとキソチドリらしき花が咲いていた.これがあるところには他にも変わったものがあるのでは?と探しながら歩くと,出会ったことのない小さな白い花を発見した.まだ蕾で咲いていない.

    トムラウシ山短縮ルートの駐車場


    キソチドリと思われる花


    この小さな白い花は?帰りに咲いていることを期待する.

 緩急のある登りを進むとカムイ天上というところに出るが,眺望は無い.その少し先に旧道との分岐があるが,旧道は閉鎖されている.その先は単調な笹原の道が続くが,途中から雲海の上に抜け,一面に広がる雲海の景色を見ることができた.

    カムイ天上.展望は無い.


    笹原から見下ろす雲海.右の山は十勝連峰か?

 1時間ほど笹原の道が続き,今度は沢に下りる急下りとなる.下ったところがコマドリ沢で,まだ雪渓が残っていた.踏み跡に従って進んで行くと雪渓の上に右に曲がる赤ペンキのサインが施してあり,ここからは雪渓の登りとなる.かなり長い雪渓が続き,雪渓が終わると今度は岩ゴロゴロのモレーンの道,さらにハイマツの急登と続き,登りついたところで前トム平という平坦地に到着する.ここに着いてようやくトムラウシ山の全容が見えるようになる.

    コマドリ沢雪渓に書かれたペンキサイン


    霧の立つコマドリ沢雪渓を登る.どこまで続く,この雪渓?


    今度は岩ゴロゴロの道,さらにハイマツの急登.


    前トム平直前のお花畑.イワブクロとチシマキンレイカ.


    チシマキンレイカ


    前トム平

 前トム平から見るトムラウシ山はもうすぐそこに見えるのだが,登山道はこの先一旦トムラウシ公園という湿地に一旦下がり,さらに左側(南側)に大きく巻いて南沼から登るように着いている.見た目よりも山頂はかなり遠い.まずは南沼を目指す.

    トムラウシ公園に下りる手前から見るトムラウシ山.雲が巻いている.


    トムラウシ公園.公園の中を綺麗な水が流れ,チングルマやエゾノコザクラ,エゾノツガザクラなどがたくさん咲く.


    トムラウシ公園から見るトムラウシ山.

 トムラウシ公園の雪渓を過ぎてその先の南沼までの斜面は,様々な花が一面に咲くお花畑になっていた.すっかり足が止まってしまう.

    ベニバナミネズオウとエゾノハクサンイチゲ.


    チングルマのお花畑


    コマクサ


    真っ赤な色のコマクサが一株.


    マルバシモツケ


    一面にイワヒゲの咲く斜面


    チングルマとエゾノツガザクラ


    チングルマのお花畑と南沼のテント場.


    南沼の分岐点とトムラウシ山.

 南沼のテント場に到着したのは午後2時になってしまう.トムラウシ山を越えてヒサゴ沼まで行くことも可能なのだが,ここからヒサゴ沼まではまだ6kmもある.そしておそらくはこの先も花がいっぱい,ということを考えると,山頂を後回しにして山裾を北沼に行くルートをとることにした.思った通り,この先の北沼に至る山裾ルートは美しい雪渓と花の咲く素晴らしい景色が待っていた.

    お花畑と雪渓.おそらく雪渓の下は小さな沼になっているのだろう.


    キバナシャクナゲの群落


    ミヤマオグルマ


    北沼

 北沼を過ぎると一旦岩ゴロゴロの急下りとなる。その先は木道の整備された道が現れ、ハイマツとお花畑の中に岩が混じる美しい場所や、日本庭園と呼ばれる自然に出来た庭園のようなところが続々と現れた。(天候いまひとつだったので、このあたりの画像は3日目の帰路でお楽しみください。)

    エゾオヤマノエンドウ


    ウスユキトウヒレン


    雪渓と池と岩と高山植物が織り成す日本庭園

 木道を過ぎてまた急下りとなって、ヒサゴ沼への分岐点に到着する。ヒサゴ沼へはモレーン帯を過ぎた後に雪渓の下りとなり、最後のところは急傾斜となっているため、真直ぐは下りずの大きくくの字を描いて池まで下りた。さらに雪渓の残る斜面をトラバースして横切り、午後6時ヒサゴ沼避難小屋とテント場に到着した。花や景色は存分に楽しめたがやや長い行程だった。

    ヒサゴ沼分岐点。


    先行する5人組のあとを追いかけるように歩く。この先が急下りとなり、そこで追い抜く。


    ヒサゴ沼避難小屋(左)とトイレ。トイレは旧型の貯留タンク式ポッチャントイレ。


 ヒサゴ避難小屋はツアーの団体客や数組のグループが宿泊しているらしくかなり混雑していた。空いていれば小屋泊りも考えたが、混んでいるので予定通りテントに泊まることにする。テント設営し、夕食を食べている頃にまたしても夕立となり、雷こそ鳴らないものの雨となった。テントの防水が不十分なことは先日のピパイロ岳で承知していたので、テント内の荷物はビニール袋に仕舞い込み、シュラフにはシュラフカバーをかけた。

 雨は1時間ほどで上がり、その夜は星が輝いた。眠る前に三脚とカメラをセットし、対岸の山の上を天の川が立ち上がる様子を連続撮影するようにタイマーをセットしてから眠りに着く。しかし、下山後にパソコンで映像を開いて見ると、20分ほど撮影した後はレンズが結露してしまっていて、天の川が立ち上がるところまでは写っていなかった。

    夕立が去った空に星が輝く。雲が光っているのはその向こうに沈み行く月があるため。


    天の川。あと1時間撮影できていれば真直ぐに立ち上がる天の川が写ったであろうが、この後はレンズが結露して写っていなかった。


 明日は化雲岳、五色岳を越えて五色ヶ原あたりまで往復したいが、全ては明日の天気次第だ。朝起きてから考えることにする。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

特産種とユウバリソウを求めて 夕張岳(後編)  平成25年7月13日‐14日

2013年07月23日 | 圏外編
 朝4時過ぎに夕張岳ヒュッテを出発し、樹林帯の中をみちほさんとともに探しまわって見つけたのはノビネチドリ、ミヤマチドリ、コイチヤクソウなどだが、これらは夕張岳の特産種では無い。前岳湿原入り口に到着したのは午前8時半、ここまで4時間以上もかかっている。そして、この湿原から山頂に至るまでのルートが夕張岳の特産種が咲くハイライトコースだ。


    前原湿原入り口

 いきなり特産種が見つかるわけではないが、この湿原のどこかにユウパリコザクラが咲いているらしい。白いウサギギクがあるという話も聞いた。探しながら木道の道を進む。

    ウサギギクとガマ岩。白花は見つからず。


    ムカゴトラノオ


    何これ??帰って来てから調べてみると、これはハクセンナズナ。


    イワイチョウの大群落。しかし花は咲いておらず、鹿に食べられたような跡があった。


    笹原の向こうに夕張岳。


    シロウマアサツキ。蕾のものが多く、やっと咲いているのを見つけたと思ったら、その先にはどっさり。


    トウゲブキ

 短い草の生える湿地帯の中で、ピンク色の花がポツポツと咲いているのを発見した。これこそが夕張岳の特産種、ユウパリコザクラだ。しかし、咲いている場所が遠く、持って行ったレンズでは焦点距離が短く追い切れない。かつ、手持ちで撮るのでブレが生じて鮮明な画像を得るのは難しい。三脚を忘れたのがやはり痛かった。

    ユウパリコザクラが咲く湿原。この視野で4株咲いているが見えますか?


    撮影して来た画像をトリーミングしたもの。さすがに葉っぱまでは見えない。

 その先の湿原にはウサギギクがたくさん、そしてさらに圧巻だったのは見渡す限り湿原をおおうシロウマアサツキの大群落。今まで撮って来たのは何だったのかと笑ってしまうほどの大群落が広がっていた。

    ウサギギクの群落


    シロウマアサツキがたくさん。


    見渡す限りシロウマアサツキ。笑っちゃうほどたくさんあります。

 さらに進むと、やや急傾斜を登ってこの山の核心部、蛇紋岩の砂礫帯に出る。ここにはこの山の代名詞ともいうべき花、ユウバリソウが咲いている。しかし、残念ながら時期が既に遅く、穂は残っているものの白い花は散って茶色くなってしまっていた。

    ユウバリソウ。もう時期が遅く終わってしまっている。


    ユウバリソウとユキバヒゴタイ。このユキバヒゴタイも簡単に見られる代物では無い。

 ユウバリソウとともにこの場所で是非見たいと思っていたもの、いや、今回この山でいちばん見たかった花がシソバキスミレという夕張岳の特産種だった。葉っぱだけでも残っていないかと探したのだがとうとう見つけることは出来なかった。撮影して来た画像を拡大して調べたがやはりシソバキスミレは見つからなかったが、クモマユキノシタに紛れて、もう1種類、まだ見たことの無いスミレの葉を発見した。

    クモマユキノシタ


    上記画像の左端をトリーミング。タカネスミレのような円い葉っぱ、これは北海道に特産するエゾタカネスミレの葉。

 蛇紋岩の砂礫帯を過ぎて最後の急登をさらに登ると、その先には神社があり周辺はミヤマアズマギクやミヤマリンドウが咲く小さなお花畑になっていた。そこから山頂まではわずかだ。

    夕張岳神社と夕張岳山頂


    ミヤマアズマギクのお花畑


    ミヤマオグルマ。これも北海道の限られた山でしか見られない。茎や葉に白いクモ毛が多く、全体が白っぽく見えるのが特徴。


    夕張岳山頂。後ろに見えるのは芦別岳。


    山頂で記念撮影。三脚忘れたので、ザックの上にカメラを置いて撮影。

 10時40分、夕張岳山頂に到着。花を見ながら登り7時間と見ていたので、予定よりも若干早く到着した。山頂で昼食をとる。夕張岳ヒュッテで出会った人たちとは別の調査隊の人たちがやって来て、情報を得ることができた。この山もやはり鹿の食害でだいぶ痛めつけられているようだ。
 
 昼食後下山開始する。湿原の中はやはり名残惜しく、帰りもいろいろと撮影しながら戻ったが、樹林帯に入るとあとは下るだけ。ただ黙々と下ったという感じだった。樹林帯の中にまだ見たことの無い稀少なランがあるという情報をいただいたが、とうとう見つけることはできなかった。午後3時、夕張岳ヒュッテに到着する。

    山頂からの下りで歩いてきた方向を望む。ずいぶん遠くまで来たもんだ。右手の白い砂礫地がユウバリソウやシソバキスミレが咲く場所。


    トウゲブキとシロウマアサツキのお花畑


    ムシトリスミレは湿地帯にたくさん咲いていた。


    やっぱり気になるこの黄色いスミレ。

 
 さて、テント撤収し、また長い林道を歩いてゲートまで戻る。調査隊の車が乗せて行ってくれないかという甘い期待もあったが、満席で林道を歩いていた私たちをあっさり追い抜いて行った。しかし、最後の最後で、林道を歩いたご褒美が待っていた。キソチドリらしき花が咲いていたその向こう側を覗いていたみちほさんが突然「あーっ」という大声を上げた。何事かと思ったらその先には・・・クモキリソウが固まって10株ほど咲いているではないか。感激!!林道歩きの疲れも吹き飛んだ。そしてここで初めて、三脚を使うことになる。

    クモキリソウの群生


    クモキリソウ


    この不思議な花の形。感激だ。

 午後6時、ゲートに到着する。車はもう数台しか止まっていない。やはり疲れた。林道を車で走っていると、道の真ん中で犬が座り込んでいる。クラクションを鳴らしても逃げる気配が無い。良く見れば、犬では無くてキツネではないか。ずいぶん人慣れしている。足に怪我を負っているようで、通る車の人に餌をねだっているようだ。可哀そうだが餌付けするわけには行かず、追っ払って道を進む。

    道の真ん中に座り込んでいたキツネ


    人なつこくて可愛いが、餌はやれないよ。

 夕張で日帰り温泉につかり、そこで夕食をとる。時間は夜の8時半になってしまった。みちほさんはこれから層雲峡まで移動して車内泊、明日黒岳とお鉢めぐりをした後にフェリーに乗って帰宅するそうだ。我々はどうするか、連休中日だけに宿がとれるのかどうか?夕張市内のホテルに電話してみると、1件目であっさりと宿をとれた。夕張温泉シューパロ、夕張駅の近くのホテルだった。なかなか良いホテルだったが、洗濯と乾燥器にかけるだけで精一杯。速攻で眠りに着いてしまった。


 夕張岳ヒュッテへの道はいずれ修理して再開するという話だった。それなりの花は見ることができたのだが、シソバキスミレが見られなかったのはかなり心残りだ。そして三脚を忘れて、きっちり撮影出来ていないこと。機会があったらもう一度この山を訪れてみたい。

(翌日はトムラウシ温泉に移動してテント泊、そして翌々日からヒサゴ沼2泊でトムラウシ山界隈に登る)
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

特産種とユウバリソウを求めて 夕張岳(前編)  北海道遠征4  平成25年7月13日‐14日

2013年07月23日 | 圏外編
 昨年までは夕張ヒュッテまで車で入ることが出来たのだが、今年は林道が崩落の危機にあり(まだ崩落しているわけではない)、年内いっぱいは林道閉鎖の予定だという情報をみちほさんの旦那様からいただいた。ゲートから夕張ヒュッテまでは距離7km、歩いて約2時間、往復で4時間もかかる。1日で夕張岳山頂まで往復するのはとてつもなく大変な山歩きとなってしまい、私の足ではとても歩けるようなものではない。しかし、この夕張岳は山頂周辺が蛇紋岩という塩基性の岩でできており、ユウバリソウをはじめとするこの山でしか見られない特産種がたくさん咲く魅惑の山である。今回の北海道遠征では絶対に外せない山のひとつに入っている。日帰りでは厳しいので前日に夕張ヒュッテ泊まりで行くことにして、みちほさんをお誘いしたところ一緒に登ることとなった。

 午前中、層雲峡から黒岳に登り、お昼ごろから夕張に移動し始めるが、思ったよりも距離が遠く集合場所の夕張道の駅(紅葉山なんとか??)に到着したのは3時近くになってしまう。それから昼食、そして夕張ヒュッテに至る林道ゲートに到着したのはもう午後4時となる。まだ駐車場には満車近い車が止まっており、準備していると続々と下山者がやって来た。ほとんどが日帰り登山者、しかも若者が大半だが、皆ヘトヘトの様子だった。中には林道が通行不能になっているのを知らず、山頂まで行けずに帰って来た女性2人組もいた。私は最初からテント泊と決めていたので、テントと1日分の食料プラス非常食をザックに詰め込んで出発する。もちろん守り刀のカーボン三脚を持って行く。林道は緩い登りになっており7kmはかなり長く感じた。午後6時40分、ようやく夕張ヒュッテに到着し、さっそく夕食をとる。

    ゲート前の駐車場はほぼ満車。我々が到着後、続々と下山者がやって来る。皆一様に「大変だった」と言う。


    ゲートからヒュッテまで7km。


    途中で見つけた寄生植物オニノヤガラ。


    夕張ヒュッテ。見えるのは現在建築中の新しい建物でまだ使用されていない。現在使われているのはあの裏側に隠れている。

 小屋番さんとお話しする機会があり、いろいろと教えていただいた。現在使用中の古いほうの建物は取り壊しが決まっており、新たな立て直しはしない予定だったという。しかし、それでは困るということで有志で集まったユウパリコザクラの会が中心となって募金活動や夕張市への働きかけを行い、なんとか新築するというところまでたどり着いたのだという。この日はユウパリコザクラ友の会の方たちと植生調査の方たちがヒュッテに宿泊されており、明日植生の調査と鹿の保護柵設置のための調査を行うと言っていた。

 さて、夕食後、私と植田さんは枯れた沢を渡った向こう側、馬の背登山口沿いのテント場にテントを設置して寝る。みちほさんは山仲間の知人が宿泊しているヒュッテで寝ることになった。足の遅い我々は(いや、遅いのは私だけだが)早朝4時に出発することにした。その夜、ヒュッテの空には北斗七星が輝いていた。

    夕張ヒュッテに昇った北斗七星


    北斗七星。睡眠薬が効き始めてフラフラの頃に撮影したので、写りがいまいち。


 翌朝はほぼ予定通りまだ薄暗い午前4時10分に出発する。冷水コースから入山し、いつものように藪の中を覗きながら歩くが目ぼしいものは何も見つからない。1時間ほど歩いた水場の脇でテガタチドリらしき花を発見。薄暗くてなかなかうまく撮れない。三脚は・・・とザックを見れば、夕張ヒュッテまで折角持って来たのにテントの中に置き忘れてきてしまった。カメラを忘れたことは何度かあるが、三脚を置き忘れてきたのは初めてだ。止む無し、今日は手持ちで撮ることに。そして帰って来てからその花を良く見れば、葉脈が目立ち縁が波打っている。これは・・・! 

    朝の夕張ヒュッテ


    冷水コースの入り口


    冷水の沢。水場がある。


    水場の脇に咲いていた花。葉の脈が目立ち、縁が波打っており、これはノビネチドリ。

 いつもはキソチドリだろうと思って見ている花が、この山では開花していた。よく見れば、キソチドリとはちょっと様子が違う。トンボソウやキソチドリの仲間は判別が難しく、図鑑で調べるだけでは良くわからない。

    キソチドリよりも背が低く葉っぱが厚くて丈夫そう。図鑑で見る限りでは、これはミヤマチドリ。


    雌阿寒岳に続いて発見!コイチヤクソウ。


    ギョウジャニンニク。若葉を少しちぎって食べたが・・・口の中が強烈なニンニク臭!

 馬の背ルートとの合流点を過ぎて進むと、シラネアオイが咲き残っていた。その先に石原平というシラネアオイ群生地があったが、既に花は終わっていた。かなり大きな群生地なので一面に咲けばきっと見事なことだろう。その先には崖のような急登り、登り着くと望岳台という展望地に到着する。目指す夕張岳はどこやら??そしてその先の雪渓が残る笹原の切れ間からようやく夕張岳山頂が見えてきた。標高差こそあまり無さそうだが、まだかなり遠い。

    咲き残っていたシラネアオイ。


    シラネアオイ群生地。花はもう終わっている。


    雪渓を横切る。ようやく向こうに夕張岳が姿を現す。

 ところどころ木道の道となり、雪渓の溶けた水が流れるところには黄色い花が咲いていた。ひとつはエゾノリュウキンカ、もうひとつは・・・良くわからない黄色いスミレ。

    雪解け水の流れる木道脇に咲いていたエゾノリュウキンカ。


    良く分からないスミレ。先日ピパイロ岳手前で見たトカチキスミレにそっくりだが、夕張岳なのでこれはフギレキスミレか?


    葉の縁の切れ込みが不規則なのがフギレキスミレの特徴だが、あまり不規則ではないように見える。


    こちらはイワイチョウ。この先に大群落があったが、花は咲いていなかった。

 笹藪を進んでポンと広場に出たところが前岳湿原の入り口だった。ここからは整備された木道の道が湿原の中を延びている。そして特産種が咲くのもこれから先の道だ。湿原の花を存分に楽しみながら、夕張岳山頂を目指す。

    前岳湿原入り口


 (後編に続く)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

再度大雪山黒岳へ 北海道遠征3  平成25年7月13日

2013年07月22日 | 日本百名山
 前日の雷雨は2時間ほどで上がり、翌朝は青空とは言えないまでもまずまずの天候となった。朝6時からロープウェイが動き出すが、1本遅れて6時20分のロープウェイに乗り、前日登れなかった黒岳を再び目指す。朝から観光バスが何台かやって来ており、連休初日の今日は混雑しそうだ。

    ロープウェイ頂上駅あたりは人がいっぱい。霧がかかっていたが・・・


    リフトに乗ると上は抜けるような青空が広がる。


    リフト頂上駅から見る雲海とニセイカウシュッペ山山塊

 リフト頂上駅まで行くと、ニセイカウシュッペ山山塊からその右手の屏風岳にかけて、綺麗な雲海が広がっていた。雲海の景色と花を楽しみながら黒岳山頂を目指す。

    雪渓と雲海


    ミヤマキンポウゲ。北海道にも普通に咲いている。


    大雪山にもにもキバナノコマノツメが咲く。


    こんなところにクモマナズナ?と思ったが、これはエゾイヌナズナ。


    エゾノハクサンイチゲ


    カラマツソウ


    チシマノキンバイソウ


    同上


    チシマノキンバイソウとカラマツソウのお花畑


    北海道にはこれがあると聞いていたが、発見!ウズラバハクサンチドリ。


    ピンク色鮮やかなヨツバシオガマ


    ピパイロ岳でも見たホソバイワベンケイ


    一株だけエゾノコザクラ

 なにせ見たことの無い花がたくさん咲くもので、興味深々に見ながら、写真を撮りつつ2時間かけて黒岳山頂に到着した。時間は9時、山頂はたくさんの登山者が休憩しており、軽装の人もいれば縦走する重装備の人もいる。それにしても良い天気だ。黒岳山頂からの眺めを一通り撮影し、速攻で下山する。

    青空が広がった黒岳山頂。


    白雲岳から北鎮岳への山並


    北鎮岳の白鳥の雪渓。白鳥に見えますか?


    エゾツツジ


    山頂の標柱

 この日は下山後にみちほさんと合流し、夕張ヒュッテまで移動、翌日夕張岳に登ろうということになっていた。夕張ヒュッテまで行く林道が崩落の危機にあり、今年は通行止めとなっていて、ゲートからヒュッテまで7km、約2時間歩かなければならない。そのため、本日は黒岳山頂までで、昼の12時までには下山と決めていた。予定通り、11時半に駐車場に到着。その後夕張道の駅に向かう。

 
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

雷鳴轟き下山、大雪山黒岳  平成25年7月12日

2013年07月20日 | 日本百名山
 九州から山仲間のHさんが北海道に来ており、本日は銀泉台から赤岳を経て黒岳石室の避難小屋に宿泊するそうだ。途中までの山行にはみちほさんご夫妻も同行するそうだ。Hさんは私が星空の写真を撮り始めるきっかけをつくってくれた恩人だ。我々は釧路宿泊なので大雪山層雲峡到着はどうしても午後になってしまうので、黒岳石室でテント泊して合流することで話がついた。釧路から層雲峡までは280kmほどの距離があり、しかも高速道路は全く使えずに一般道を行くことになる。朝7時半に釧路を出発し、なんとか午後1時過ぎには層雲峡に到着し、ここで昼食となる。テント泊装備と1日分の食事を詰め込んでロープウエイとリフトを乗り継いで7合目から歩き始めたのは午後3時近くになってしまう。まあ、6時までには到着できるだろうということで出発する。

    層雲峡ロープウェイ駅


    黒岳リフトとお花畑


    眼前に近付く大雪山黒岳


    7合目休憩所

 残雪の雪渓を登り、登山道脇に咲く花を楽しみながらゆっくりと登り、8合目を過ぎさらに9合目を過ぎた頃から雲行きが怪しくなってきた。そしてポツリポツリと雨が降り出す。ザックカバーをかけようかと思っていた途端に雨足が強くなり、そして頭の真上でドドーン・ゴロゴローという雷鳴が轟き出す。急いでザックカバーとカッパを上着だけ来て下山し始め、高度を下げる。あられ混じりの土砂降り状態となり、8合目あたりの木の下でひとまず雨宿りする。やがて雨足は弱まり雷鳴も遠退いたがもう登り返す気にはならず、そのまま下山した。

    雪がまだかなり残っている。


    雪渓を足跡に沿ってジグザグに登る。


    道脇に咲くチシマノキンバイソウ


    白いチシマフウロ


    9合目を過ぎて山頂まで標高差であと50mほどのところまで行ったが・・・そこで雷に遭い、下山。

 リフトとロープウェイを乗り継いで麓の駅に到着したのはもう6時過ぎ。さて、宿をどうするか?甲府を出発する前にテントやザックカバーに防水をかけ直してきたものの、これが十分では無く、特にザックカバーはきわめて防水性に欠けており、雨に降られると中のものが全て水浸しになってしまうことがピパイロ岳の帰りでわかった。おそらくはシュラフも濡れてしまっているだろう。テント泊は厳しい。層雲峡駐車場手前のペンションに空室ありの看板が出ていたのでそこに寄って交渉すると、素泊まりで一人6000円で泊めてくれるとのことで、本日はそこに泊めてもらうことにした。濡れ物の事情を話すと、部屋の中に干すための洗濯紐を準備してくれて助かった。このペンションは源泉かけ流しの温泉で、何時間もかけてお湯を溜めているそうだ。乳白色の温泉はたいへん良かった。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

メアカンフスマとメアカンキンバイ 雌阿寒岳  北海道遠征2  平成25年7月11日

2013年07月20日 | 日本百名山

 前日は帯広から釧路までの移動と1日静養したので、ピパイロ岳の疲れと筋肉痛はほぼ改善した。この日は曇り空だったが、大きな崩れは無さそうだ。釧路市内の宿泊したホテルで朝食をとって、朝7時にホテルを出発する。カーナビをセットすると、雌阿寒岳の登山口オンネトーまでは予想外に距離があり、かなり飛ばして9時半に雌阿寒温泉に到着した。本日のコースは雌阿寒温泉から山頂を経てオンネトーのほとり青年の家に下山し、エゾアカマツの森の中を通って雌阿寒温泉に戻る周回コースだ。

    雌阿寒岳温泉からの登山道入り口


    エゾアカマツの森。エゾアカマツをシラビソとツガに置き換えれば八ヶ岳の森の雰囲気に良く似ている。

 雌阿寒温泉の登山口から入山すると、エゾアカマツの森は八ヶ岳樹林帯の森に良く似ている。足元に苔の生したややじめじめした森の感じと匂い、エゾアカマツをツガとシラビソに帰れば八ヶ岳そっくりだ。こんな森にはきっとあのランが・・・しかし、北海道にもあるのだろうか?例のごとく森の中をきょろきょろしながら登って行くと、あっさりと見つけることができた。そしてキソチドリと思わしき花を撮影していると、その脇になんじゃこりゃ!というような双葉のランを発見!コフタバランに良く似ているが葉の形と茎の色が違う。まだ花は咲いていないが、おそらくこれは・・・初めて見るミヤマフタバラン。

    苔の生した雌阿寒岳エゾアカマツの森。


    やっぱりあった、イチヨウラン。


    たぶんキソチドリ。まだ開花していない。


    何だこれは?コフタバランに似ているが葉の形と茎の色が違う。


    これはミヤマフタバラン。もうすぐ花が咲きそうだ。

 他にもあるのではないかと注意深く森を歩いたが、見つけたのはこの2種類だけで、やがて森を抜けてハイマツ帯に入る。5合目あたりのガレた沢で休憩しながらその周辺を探ってみると、黄色いキンバイを発見した。ひょっとしてこれが噂のメアカンキンバイか?見たことが無いような葉の形をしている。そしてメアカンフスマらしきものも発見した。

    樹林帯を抜けてハイマツの森に変わる。


    ガレた沢で見つけたメアカンキンバイ。この先にはたくさん咲いていた。


    同じ場所でメアカンフスマ

 さらに高度を上げて行くと、6合目あたりからはこの2種類の花とマルバシモツケがたくさん咲いており、こんなにたくさん咲くものなのかとちょっと拍子抜けする。ハイマツ帯を過ぎてザレ地になった上部にもこの3種類の花はたくさん咲いていた。

    コマクサ


    マルバシモツケ


    メアカンフスマ


    見下ろすオンネトーの沼


    7合目付近のメアカンフスマ群生

 細い踏み跡をたどって真っ直ぐ登って行ったところ、正規のルートから外れて短縮してしまったらしく、私たちの先を歩いていた女性グループよりも先に8合目あたりに到着してしまった。しかし、またあっさりと追い抜かれる。9合目まで登って反対側の展望が見えるようになると、噴煙を上げる雌阿寒岳の噴火口、赤い池が見えるようになる。間もなく山頂に到着する。12時45分山頂到着、10数人の登山者が休憩して昼食をとっていた。反対側から登ってきた登山者に情報を聞き、混雑する山頂での昼食を避けて青年の家側の登山道を8合目付近まで下って昼食にした。

    赤い池と噴煙を上げる雌阿寒岳火口


    雌阿寒岳山頂


    阿寒湖と雄阿寒岳方面を望む


    青い池と阿寒富士


    青い池と噴煙

 眼前に阿寒富士が聳えるが登っている人の姿は見かけられなかった。メアカンフスマやメアカンキンバイの数はこちら側のほうが多く、コマクサもちらほらと咲いていた。ハイマツの中を覗いてみると、もうすぐ咲きそうなイチヤクソウの群落があった。

    青年の家側ルートのメアカンフスマ


    メアカンキンバイの群生


    蕾のイチヤクソウ(おそらく真直ぐな茎、たくさん付ける花から見て、カラフトイチヤクソウ)


    8合目から見る阿寒富士


    イワブクロと阿寒富士

 ハイマツ帯を過ぎて樹林帯に突入するが、こちら側の森は登って来た雌阿寒温泉側の道とは若干異なり、森がやや乾燥しているように見受けられた。ミヤマフタバランを探すがどうしても見つからず、その代わりにイチヨウランは5本ほど見つけることができた。森の中の探索でかなり時間を費やしてしまい、青年の家に到着したのは午後3時半になってしまった。

    樹林帯の中で見つけたキソチドリ(だと思う)。これがあるところにはきっとあれも・・・。


    発見!イチヨウラン。


    イチヨウラン。こちら側で4~5本見つけた。


    開花したイチヤクソウ。先ほどのイチヤクソウほど花が付いておらず、葉脈に白い筋があり、おそらくジンヨウイチヤクソウ。


    コイチヤクソウ。花が片側に偏って咲くイチヤクソウの仲間。半寄生植物。


    森で花探しに時間を取り過ぎ、青年の家に到着したのは午後3時半。

 青年の家の脇からオンネトーの縁を回ってエゾアカマツの森に入り雌阿寒温泉までは緩い登りが続く単調な森だ。何か良いものは生えていないかと思ったのだが、何も見つからず、ただひたすらに歩いて午後4時半、雌阿寒温泉に到着した。

    オンネトーの青白い水。青空ならばもっと美しいブルーになったのだろうが。


    オンネトー周辺はハクサンシャクナゲの名所。


    アカエゾマツの森を黙々と歩き、4時半に雌阿寒岳温泉に到着。

 夕方6時半には釧路に戻りたい。駐車場でさっさと着替えを済ませてまたもや車を飛ばして釧路に戻ると、午後6時には釧路に到着できた。本日は夕方7時からのお楽しみの会が待っており、余裕で間に合った。会の後に釧路ラーメンのお店で食事していると、超偶然にもその会のメンバーとばったり遭遇した。短時間ながら話をすることもできて、良い1日となった。(機会があったら報告します。)
コメント (7)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ピパイロ岳、1967m峰を越えて1856m峰へ ケエゾスミレ咲く尾根  北海道遠征1-③  平成25年7月7日‐9日

2013年07月20日 | 番外編

 7月8日(後編)

 ピパイロ岳と1967m峰の間のコルからかなり下って雪渓から滴る水を約3リットルなんとか採ってコルに戻り、そこで食事にする。水を採るのに1時間ほどかかってしまい、出発する頃には時間はもう午後2時近くになってしまった。できれば北鳥蔦別岳まで行きたいが、このペースでは難しそうだ。その手前の1856m峰まではなんとか行きたい。その前に立ちはだかる1967m峰は見上げるような急登、しかも大きな雪渓が残っている。

    エゾノハクサンイチゲ。目指す幌尻岳はいずこ?まだ遥か彼方。


    チングルマのお花畑

 コルから少し歩き始めると、またしても黄色いスミレが出現した。近付いて良く見ると・・・今度のスミレには葉っぱの周辺に毛が生えているのが見える。葉っぱを裏返して見れば、裏に毛が生えている。これこそ、今回いちばん見たかった花、このあたりの特産種ケエゾキスミレだ。時期もちょうど良かった。

    黄色いスミレ発見。今度のスミレは葉っぱの縁に毛が出ているのが見える。


    これこそ見たかった花、ケエゾキスミレ


    葉の裏側に毛が生えているのが特徴。

 その先の1967m峰の登りにもこのスミレは結構咲いていた。そして急登を登りつくと、「1967峰」の看板が立つピークに到着した。ここはピパイロ岳同様に、あるいはそれ以上に眺望の良いピークで、名前が付いていないのが不思議なくらいだ。一休みして眺望を楽しむが、この位置から翌日に幌尻岳まで往復するのはかなり厳しい。先に進む。

    1967峰の雪渓。登山道は雪渓の中に埋もれており、左側の草むらを登る。


    1967峰までもう少し。お花畑が広がる。


    見下ろすカールとお花畑


    1967峰。高さそのままの名の看板が立っている。


    1967峰から見る尾根。幌尻岳は霞んで見えないが、左手の霞んだ三角錐が鳥蔦別岳。

 岩とハイマツの細尾根を越えて隣のピークまで行くと、その先にまた岩のピークが立ちはだかる。これを越えるとようやく1856m峰のなだらかなピークが下に見えてくるが、その先は崖のような急下りが待っていた。それを慎重に下るとまたしてもハイマツの藪だ。途中には初めてお目にかかるベニバナミネズオウ(おそらく山梨の山ではお目にかかれない)やホソバイワベンケイが咲いていた。

    ベニバナミネズオウ。山梨ではお目にかかれない。


    ホソバイワベンケイ。北海道には結構たくさんある。


    ホソバイワベンケイ


    イワヒゲ


    もうすぐ咲きそうなウスユキトウヒレン


    細尾根を越えて登り返すと、その向こうにもうひとつピークがある。これを越えるとようやく進む尾根が見えるようになる。


    無名の小ピークから見る幌尻岳に続く尾根。いちばん左が鳥蔦別岳、その右に遠く見えるのが幌尻岳、小ピークを挟んでその右が北鳥蔦別岳、そしていちばん右の低くて平たいピークが1856m峰。

 午後5時20分、なんとか1856m峰に到着した。もう隣の北鳥蔦岳まで行く元気は無く、ここでテント設営することにする。このピークは平らで、4~5張は軽くテント設営できるなかなかの場所だった。あたりには開花直前のウスユキトウヒレンやチシマキンレイカ、ミヤマシオガマなどがたくさん咲いていた。夕陽が沈む頃には一時空が晴れて幌尻岳まで望むことができたのだが、陽が沈んだ直後からあっという間に霧に巻かれてあたりは何も見えなくなってしまった。入山前の天気予報では明日までなんとか天気が持ちそうな予報だったのだが、どうなのだろうか?この場所では携帯電話は県外で、iモードの天気予報を見ることはできない。ラジオを自宅に置いてきてしまったのは失敗だった。

    1856m峰。平らでテントを張るには適する。その先の雪渓を融かして水を採ることができた。


    北鳥蔦別岳から幌尻岳に至る尾根。


    右が北鳥蔦別岳、左が鳥蔦別岳、真ん中が幌尻岳。

 7月9日(3日目)
 深夜から雨が降り出し、朝になっても止まず風が強くなってきた。前線が早く北上し、予定より1日早く雨になってしまったようだ。おそらく明日も雨。停滞を予想して20食分(約6日分)の食料は持ってきているが、2日間の停滞は厳しい。撤退して下山することにする。テント撤収して朝6時から下山開始する。腰に巻いていた交換レンズ入りのポーチは無理矢理ザックに押し込んだが、カメラはザックの中に収まらない。タオルを巻いてその上からコンビニの袋をかぶせて首からぶら下げるが、タオルはあっという間に水浸しになってしまう。休憩するたびにタオルを絞ってかけなおすが、すぐにまた水浸しになり、ほとんど写真など撮っていられる状態では無い。前機のEos40Dは白馬岳で同じような状況になり、故障して修理に出さざるを得ない状態になってしまったが、現在使っているEos7Dはボディの防水が良いようで、モニターもシャッターも正常に作動してくれた。時間記録のために各ピークでレンズをハンカチで拭いて記録撮影だけ行ってきたが、ピパイロ岳近辺で見つけたリンネソウだけは三脚を出して撮影した。

    雨と風が吹く3日目の朝。何も見えない。苦労してここまで来たが下山することにする。


    霧と雨に霞むエゾツツジ


    ピパイロ岳山頂


    相変わらず霞の中だが、雨は小降りになり風も止んだ。


    ハイマツの下に咲き始めたリンネソウを発見。


    リンネソウ

 1966峰、ピパイロ岳、伏見岳、その他名前の付いていないピークとも登り返しがきつく、足元の見えないハイマツの藪でスリップしやすい。午後4時20分、ようやく伏見岳に到着したが、この頃には雨は上がっていた。伏見岳の下りで何度かスリップして尻餅をつきつつも、なんとかヘッドライト点灯寸前の午後7時、伏見岳登山口駐車場に到着した。登り以上に大変な下山だった。

 幌尻岳まで行けなかったことは残念ではあるが、お目当てだった特産種ヒダカミヤマノエンドウ、ケエゾキスミレ、そしておそらくはピパイロキンバイソウに出会えることが出来たので、目的の7割は達成できたと言って良い。日本百名山には固執していないので、機会があれば別ルートから幌尻岳に再挑戦したいと思っている。七つ沼カールには是非立ち寄ってみたいと思う。


 下山後はあまりにも靴がドロドロ、かつ水浸しになってしまったので、伏見岳避難小屋の前に出ている水で靴とスパッツを洗ってから出発する。時間が遅いので宿がとれるかどうか心配だったが、帯広郊外の温泉ホテルに電話したところ、朝食付きで一人9000円ほどで泊めてくれるとのこと。テントで野宿を覚悟していただけにこれはありがたい。なかなか立派なホテルで温泉も非常に良かった。温泉にゆっくりつかって足を良くマッサージしたが、かなりの筋肉痛に襲われた。

    宿泊したホテル。ここは良かったです。

そして翌日、200数十キロ離れた釧路に移動して2泊した。目的のひとつは雌阿寒岳だが、もうひとつは・・・またいつか報告することにする。(某グループの追っかけではありません。)
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

伏見岳からピパイロ岳へ ヒダカミヤマノエンドウが咲く尾根  北海道遠征1‐②  平成25年7月7日‐9日

2013年07月15日 | 番外編
 前日伏見岳とピパイロ岳コルでテント泊したが、水を取るのに苦労し、とうとう水場が見つけられず雪渓の雪を溶かして使うということになる。その日の夜は素晴らしい星空が広がったらしいが、重い荷物の背負い疲れと運転疲れで撮影する余裕など無く爆睡する。目が覚めたのは未明3時過ぎ。テントの外に出るともう空が白々と明るくなり始めており、森の空高く昇っていた夏の大三角形の輝きがもう消えそうになっていた。山梨と違って夜明けが早く、北にあるために白夜のように空が明るくなるのが早いようだ。

    未明3時半、薄明の空

 テント撤収し、5時にテント場を出発する。できれば北鳥蔦別岳か鳥蔦別岳あたりまで行きたいが、本日の行程もまたかなり長い。どこまで行けるのか?ピパイロ岳への登りには大きな雪渓が残っており、キックステップでつま先を蹴り込んで登る。雪渓脇の斜面は小さなお花畑のようになっており、黄色いスミレやシラネアオイなどが咲いていた。

    登り始めてすぐにコバイケイソウ


    黄色いスミレだが葉に毛は生えていない。トカチキスミレ。


    チシマノキンバイソウ?このあたりにはピパイロキンバイソウという特産種が咲くはずだが、鑑別ができない。


    ウコンウツギ


    大きな雪渓を登る。


    振り返って見る伏見岳


    雪渓の脇に咲いていたショウジョウバカマ。北海道のものは綺麗な薄紫色。


    雪渓脇の斜面にトカチキスミレとシラネアオイが咲く。

 その先は場所によっては背丈ほどもあるハイマツの藪。足元に道があるのだがハイマツをかき分けないと道が見えず、しかもちょうど花粉の飛ぶ季節で、服もカメラも花粉で黄色く色付くほどだ。ハイマツの切れ目にお花畑が広がり、その中にオヤマノエンドウのような紫色の花が咲いていた。近付いて良く見るとこれは・・・!

    紫色の花が混じるお花畑。


    近付いて良く見ると、葉っぱに毛が生えている。


    ヒダカミヤマノエンドウ。このあたりの特産種で、今回会いたかった花のひとつ。


    チシマフウロ


    ピパイロ岳への登り。ハイマツが道を覆う。


    ハイマツをかき分けて登る。ピパイロ岳から先もこのようなハイマツの藪だらけで、体力を消耗し時間もかかる。


    ピパイロ岳山頂。いちばん左が目指す幌尻岳。まだ行程の半分にも至っていない遥か彼方だ。

 8時20分、ピパイロ岳山頂に到着。テント場で一緒だった2人組は私たちより少し遅れて出発したが、追い抜かれ既に姿は見えない。今日は七つ池カールまで行くと言っていた。ピパイロ岳山頂は360度の展望が得られる岩の山頂で、素晴らしい眺望の場所だ。大きなお花畑こそ無いものの、山頂付近にも様々な花が咲き乱れる。

    ヒダカミヤマノエンドウと咲き残っていたミヤマダイコンソウ。向こうのいちばん高い山が幌尻岳。


    エゾツツジ


    ミヤマシオガマ

 次に目指すピークの1967m峰とのコルにはテント場があり、地図には水場も記されている。再びハイマツの藪をかき分けてグッと下るが、ハイマツの途切れたところに現れるお花畑は心洗われる美しさがある。

    次に目指す1967m峰。再びハイマツの藪をかき分けて下る。


    イソツツジと1967m峰


    途中に広がるお花畑


    ヒメエゾクワガタ(だったかな??)


    ミヤマアズマギク


    エゾツツジと幌尻岳に至る山並み

 11時半にピパイロ岳と1967m峰のコルにあるテント場に到着した。ここで水を補給しなければならないのだが、これがまた大変なことになる。北側に下る細い道とテープがあるのだが、急斜面をどこまで下るのかという激下りで、15分ほど下ったところで雪渓にでたものの、水場が見当たらない。どうやら雪渓の下に埋もれているようだ。反対側に雪渓の切れ目が見えるので、雪渓を横切ってそこまで行ってみると・・・確かに水の流れる音がする。しかし、その音がする場所はスノーブリッジが大きくせり出したずっと奥で、ヘッドライトで照らさないと見えないほど奥にある。勇気を出してスノーブリッジの下にもぐり込むが、水の流れる場所まで手が届かずに水が汲めない。止む無く、スノーブリッジから滴り落ちる水を辛抱してボトルに貯めて使うことにした。水汲みだけで1時間近くも時間を費やしてしまう。
 しかし、その水場に下りる道沿いにはシラネアオイと黄色いキンバイが咲いていた。これが特産種ピパイロキンバイソウなのだろうか?良くわからないが、撮ってきた写真を見ると2種類(ミヤマキンポウゲを入れると黄色い花3種類)が咲いていたように見える。

    15分ほど下ってようやく雪渓に出たが、水場は見当たらず。反対側のスノーブリッジの下に潜り込んでブリッジから滴り落ちる水を集める。


    ミヤマキンポウゲ(だと思う。)ガクがついていた。


    チシマノキンバイソウ?途中で見たものと同じ。


    上拡大


    もう1種類がこれ。葉の切れ込みがやや浅く、おしべが短いように見える。


    こんなところにフタバアオイ


    葉に毛の無いスミレ、トカチキスミレ。

 この水汲みでかなりの体力を消耗してしまう。先はまだまだ長い。どこまで行けるのか(続く)


(登山‐下山‐宿探し‐夕食‐入浴と洗濯の繰り返しでブログ更新の時間がありません。更新遅くてすみません。)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

伏見岳からピパイロ岳へ 北海道遠征その1‐①  平成25年7月6日-9日

2013年07月10日 | 番外編
 平成20年秋の槍ヶ岳以来となる長期休暇(なんと、数年分まとめて2週間の休み!)をいただき、植田さんと2人で北海道遠征に出かける。5日の新潟港発のフェリーに乗り、6日朝、小樽に到着、そのまま最初の目的地、伏見岳の登山口(帯広から車で1時間弱のところ)に向かう。到着したのは朝8時半、既に10数台の車が駐車しており、いずれも道内のナンバーばかり。おそらくは伏見岳ピストンの登山客が多いのだろう。登山口や周辺の様子をみながら準備していると、隣に湘南ナンバーの車が到着し、準備を始める。見れば我らと同じくデカザックの大荷物だ。予想通り、目的地は我らと同じく幌尻岳だ。ルートについてもかなり詳しく、ネット等でかなり詳細に調べ尽くしている。頼もしい同行者が現れたが、私の足が遅いのでおそらくは付いて行けないだろう。予定では3泊、ないし4泊のテント山行だが、悪天候で停滞する可能性もあるので20食分の食料をザックに詰め込み、守り刀の三脚はとても担げそうに無いので軽いほうの三脚を積んで行くことにした。それでも、ザックだけで20kgは軽く超える重量、さらに腹のポーチに交換レンズをいれ、肩からはカメラをぶら下げるという重装備にならざるを得ない。おそらくは足が攣って動けなくなった笊ヶ岳以来(あるいはそれ以上)の重量となる。果たしてどこまで行けるのか??朝9時に伏見岳登山口から出発する。

 最初は幅の広い緩やかな登山道だが、少し行くと急登が始まる。5合目近くまで登ったところでデカザックを持った若者の集団が休憩しており、アイゼンは不要ということだったのでその先の倒木の下に軽アイゼンをデポして行くことにした。さらに、テント場の脇で水は十分に取れるという話だったのでこれを当てにして水を飲みまくる。湘南ナンバーの2人組はこの話を聞いて水を2リットルほどここで捨てたと言っていた。後にわかったことだが、この若者グループが行ったのはピパイロ岳までで、幌尻岳では無いことを2人組から聞いて知った。

    伏見岳登山口の駐車場。道内ナンバーの車ばかり。


    咲き残っていたミヤマスミレ


    咲き始めたハクサンシャクナゲ


    登山道脇に咲くシラネアオイに元気をもらうが、いかんせん荷物が重過ぎる。腹ばいになって撮影すると起き上がるのが容易ではない。


    白花のシラネアオイ

 5合目で一旦道は平らになるのだが、その先はまた見上げるような急登が延々と続く。足の速い植田さんには先に行ってもらい、伏見岳とピパイロ岳のコルにあるテント場で先に水を汲んでおいてもらうことにした。足が遅いうえにザックの重みと中年腹の重みで100kgを超える重量のある私は、明日以降の体力温存のために30分おきに休憩を交えつつ、5時間以上もかかって午後2時過ぎ、ようやく伏見岳に到着した。

    まだまだ続く伏見岳の急登


    チシマヒョウタンボク


    9合目。ようやく傾斜が緩くなる。


    イソツツジ。この先の稜線にたくさん咲く。


    伏見岳山頂。看板の向こうに見えるのがピパイロ岳。幌尻岳はいちばん左、まだ遥か彼方。


    山頂に咲いていたイワブクロ


    伏見岳からピパイロ岳コルへの急下り。

 伏見岳で軽食をとって休憩後、ピパイロ岳のコルにあるテント場に向かう。伏見岳から2時間ほどの行程だが、これが想定外に長く苦労した。急下りに続いてコブがいくつかあり、しかも行く手を阻むハイマツの藪が随所に出現する。途中に雪渓が残り、その周辺に黄色い花が咲いていた。近付いてみれば、それは黄色いスミレ。葉の裏側に毛が生えていないので、これは今回お目当てのケエゾキスミレでは無いことはわかるが、名前がわからない。下山後に調べてみると、これはケエゾスミレの毛の生えていないタイプの、トカチキスミレだということがわかる。

    ゴゼンタチバナ群生


    大きな雪渓が残る


    黄色いスミレ発見。


    葉に毛が生えていない。これはトカチキスミレ。


    ヒメイチゲ


    向こうに見えるのがピパイロ岳


    この山域にはダケカンバの巨木がたくさん立ち並ぶ。

 午後4時ごろようやくテント場に到着すると、駐車場で一緒だった2人組と植田さんが既にテントを張っていた。水場を聞くとどこにも見当たらないと言う。下山者の情報ではテント場のすぐ脇にたくさん流れ出ているとのことだったが、実際に行ってみるとそんな場所はどこにも見当たらず、止む無く雪渓を掘って雪を融かして使うことにする。そして、この先の行程も水取りに再三苦労することになる。林の中で眺望はいまひとつ、かつ、かなりヘバッて明日の行程がまた思いやられるので、星空の撮影はあきらめて午後8時に眠りに就く。


    午前3時半、未明のテント場と星空

(2日目・3日目に続く)
  
コメント (8)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

稀少な花咲く八ヶ岳三ツ頭  平成25年6月30日

2013年07月01日 | 山梨無名山
 この季節の八ヶ岳の花というと、横岳から硫黄岳にかけての圧巻のお花畑とそこに咲くウルップソウやツクモグサ、コマクサを想像する人が多いと思うが、天女山から権現岳に至るルートにもお花畑こそ無いものの、地味に珍しい花が咲いている。2年前に山岳レインジャーの花調査で歩いた時に見つけた稀少植物がその後どうなっているか、ずっと気になっていた。

 花探し歩きなのでピッチがかなり遅くなるので、4時起床し天女山を6時に出発、の予定だったのだが、目を覚ませばもう時計の針はもうすぐ7時を指そうとしている。すっかり寝過して、結局天女山到着は8時半になってしまう。空はどんよりと曇り空で時折小雨が混じる天候だった。天女山駐車場で行くかどうか迷ったが、天気予報と雲画像を携帯でチェックするとそれほど悪い天気にはならなそうだ。9時少し前に出発する。花探しともう一つの目的は新兵器の試し撮りがある。


    天女山駐車場。霧雨が舞い、カッパを着て出発。


    道の真ん中に咲いていた花。ジュウニヒトエ??


    咲き始めたイブキジャコウソウ


    ノギラン


    標高2,000m看板。霧雨は止んだがまだ霧の中。

 ツガの樹林帯を抜けてダケカンバが混じり出し、ところどころ展望が開け出す標高2,200m地点までは順調に登り、11時に到着した。しかし、ここでぴたりと足が止まる。急登、ではなくて、標柱の向こうに紫色の花を発見した。それは、今回はまだ時期的に早くて見られないだろうと思っていたムシトリスミレだった。この花は山梨県では絶滅危惧種に指定されており、毎年山岳レインジャーの調査が入っている。権現岳山頂近くと県界尾根の上部に咲くのは知っていたが、この場所に咲くのは初めて知った。さっそく三脚を出して撮影と、新兵器の威力を試してみる。

    標高2,200m標柱。その後ろの土手に紫色の花を発見。


    絶滅危惧種ムシトリスミレ。全部で8株ほど咲いていた。


    今回持って行った新兵器で接写したムシトリスミレ。マクロレンズではありません。


    その近くに咲き始めていたヨツバシオガマ


    色鮮やかなハクサンチドリ

 ここから先は三脚を担いで登り、ますますピッチが遅くなる。草むらの中を注意しながら登って行くと、緑色なのでなかなか見つけられないランの仲間を発見。そしてその先の樹林帯の中で、お目当てだったヒメムヨウランを発見。さらにカモメランも咲いていた。

    アオチドリ(だと思う)。緑色で発見しにくい。


    こちらのほうが花数が多いが、アオチドリにしては背が低い。


    新兵器装着して接写する。唇弁が3裂しており、チドリだが、タカネアオチドリか?しかし、図鑑ではタカネアオチドリは南アルプス南部の特産と記されている。良く似たのにタカネサギソウというのがあるが、これは唇弁が裂けない。


    出始めたばかりのヒメムヨウラン


    前回見つけたのと同じ場所に咲いていたヒメムヨウラン


    すらりと足の伸びたヒメムヨウラン


    接写。精巧な造りをした花。


    カモメラン。咲いているのはこの1か所だけだった。


    全部で8株ほど咲いていた。少し数が増えた。


    カモメラン接写

 三ツ頭山頂付近はコイワカガミが満開だった。そしてもうすぐ咲きそうなチシマギキョウの蕾がたくさんあった。空は相変わらずの曇り空、権現岳は雲に覆われて時折雲の切れ間から尖った山頂が見える程度だった。時間は午後2時、権現岳山頂付近のミヤマクロユリにも会いたかったのだが、時間が遅過ぎた。本日はここで昼食をとり、下山することにした。

    満開のコイワカガミ


    コイワカガミ


    コイワカガミ接写


    蕾のチシマギキョウ


    三ツ頭山頂


    時折姿を現す尖峰権現岳

 
 今回持って行った新兵器とは、クローズアップレンズ、ではなくてエクステンダーというレンズの後方に装着してレンズの距離を長くし、接写を可能にするというもの。現在使っている17-55mmレンズでは約5cmの距離まで近付くことができるが、手持ちだとブレやすいこと、被写界深度が浅くなるため周辺の風景は全く写らないという欠点がある。かつ、三脚で固定しても被写体が風で揺れていると使えないという点もあるが、マクロレンズに似た独特の周辺をぼかした映像を撮ることができる。今後の花の撮影には不可欠となりそうだが、ますます歩くのが遅くなってしまう。
コメント (8)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする