山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

色付き始めた湯村山尾根の夕暮れ  令和1年10月27日

2019年10月31日 | 番外編
 この日は大弛峠から国師ヶ岳か金峰山を予定していたのだが帯那山のところでクリスタル林道が通行止めとなっており予定変更して帯那山を散策して下山し、千代田湖まで移動してきた。コンビニに立ち寄るのを忘れパン1個とチョコレート1枚を半分ずつ食べてお昼を凌いできたが午後3時になるとだいぶ空腹になってきた。折角富士山が姿を現したので千代田湖の上の白山展望台に立ち寄りたいところだが、市街地まで下りてコンビニに立ち寄ってからだと微妙に時間が足りなそうである。どうするか考えながら湖畔の岩壁を覗き込んでみるとまだ決着が着いていないシダが生えていた。これを見ながら展望台まで行くとなるとコンビニに行ってくる時間は無さそうである。残ったパンとチョコレートで辛抱して八王子神社と白山展望台に行ってみることにする。


    紅葉が始まっている千代田湖。


    湖畔の岩壁に着いていたシダ。これは羅漢寺山で見たものと同じである。


    今度はきっちりと根元の鱗片を確認する。思った通り黒い鱗片が付着している。これはウサギシダでは無い。


    大きいほうのシダ図鑑で調べてみると、これはミサキカグマ(オシダ科オシダ属)というシダであることが分かった。


    もうひとつ、あちらこちらで見かけてはいるが何だか分かっていないシダ。ほとんどがソーラスを付けていない。


    こちらの大き目の株にはソーラスが付いていた。


    紅色のソーラスが葉先端寄り、小羽片に沿って根元寄りに付着している。おそらくベニシダで間違いないと思う。春先に紅色の若葉が確認出来れば確実である。


    階段を登ってまずは東屋が立つ展望台に行く。


    白砂の道。岩の間に変わったシダがあるのではないかと思ったが何も見つからず。


    茅ヶ岳から黒富士の山塊。右下の岩が露出した山が先日散策した羅漢寺山。いずれもまだ十分には見歩いていない山塊である。


    八王子神社下にある展望地からの眺望。


    別の場所。甲府駅北口のタワーマンションと富士山がほぼ一直線に並ぶ場所。


    八王子神社


    その向こうの展望台から見る湯村山の尾根と甲府盆地。色付き始めてはいるがまだ早い。11月下旬ごろから見ごろになると思われる。


    千代田湖に戻る。もうひとつ確認しておきたいものがあった。


    ヒツジグサではないかという話を聞いたがこれはスイレンのほうだろう。


    夕暮れの千代田湖とスイレン

 本日はこの夕陽を見て撤退である。なかなか美しい夕陽を見ることが出来た。

 八王子山展望台で写真を撮っていると大型のカメラと望遠レンズを抱えた女性が撮影にやって来た。夕景狙いかと思っていたら本日は山梨県庁でハロウィンイベントの一環で花火の打ち上げがあるそうで、それを撮りに来たと言っていた。スマホで調べてみると午後6時半、7時半、8時半の3回花火が打ち上がるらしい。甲府の夜景と花火と富士山を撮影する絶好の機会、これを逃す手は無い。市街まで下りてコンビニに寄り、ラーメンを食べておやつを買い込み千代田湖に戻るが・・・途中の峠道から見る富士山は雲に巻かれて姿を消してしまっていた。日没と同時に雲が増えるよくあるパターンである。残念ながら富士山と花火の撮影は困難、諦めて今度こそ本当の撤退である。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『ダイヤモンドとパールな富士』写真展および「山と花と星の奏でる上映会」開催します

2019年10月30日 | 番外編
 本年4月にも会場をお借りして上映会をやらせていただいたアウトドアショップエルクですが、今回は展示場をお借りして写真展を開催させていただくこととなりました。合わせて、写真展最終日の前日に「山と花と星の奏でる上映会」もやらせていただくこととなりました。いずれも只今急ピッチで準備中です。



 写真展のテーマはしばしば撮影に出かけているダイヤモンド富士とパール富士です。もちろん割れるダイヤモンド富士やキャッツアイ、ティアラの写真も展示します。ご都合よろしければご来場ください。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

伐採された帯那山を散策  令和1年10月27日

2019年10月29日 | 山梨百名山
 予定では大弛峠から国師ヶ岳ないしは金峰山を予定していて、ついでに乙女高原のリンドウを見てから行こうと帯那山の裾を巻いて走っているクリスタル林道を進んだ。ところが、台風と大雨の影響で道が崩落しているのか、帯那山の先でゲートが閉鎖されていて通行不能になっていた。道を戻って山梨市に抜けるルートがあるのだが、途中で笠雲をかぶった富士山が見えたので予定を変更し、一番近い帯名山に行くことにした。ところが、富士山が見えたのは一瞬だけでその後はまた雲に隠れてしまった。まあそれでも良し。伐採が進んでいる帯那山斜面はどうなっているのか興味があるし、どんなシダが生えているのかも見ておきたい。春にはスミレを観察に毎年のように訪れている帯那山だが秋から冬にかけては星や夜景を見に来る以外はあまり訪れた記憶が無い。地元の山なので秋の景色を見ておくのも良いだろう。


    帯那町に至る林道の途中にある登山口から入山する。看板が新しく取り付けられていた。


    途中にある石仏。ここに登山道の分岐点がある。


    ヤマトリカブト。花枝の毛はもちろん開出毛(直毛)。


    電波塔下の林は何も生えておらず殺伐とした感じがする。あまり目ぼしいシダも無し。


    クモキリソウの大きな葉。この季節になるとかなり葉が大きくなっている。


    遅咲きのタチツボスミレ。


    伐採地の上に到着した。かなり広範囲に伐採されており道も新しく作られていた。古いほうの道も綺麗になっていてゲートは解放されていた。


    残念ながら富士山は隠れてしまったが、晴れていれば山頂以上に良い展望が得られるだろう。カノープスがバッチリ見えるはずだ。


    山頂に行ってみるが・・・


    途中まで道があったが途中から道が消失しススキをかき分けて登ることになる。


    荒れたススキ野原でも花は少し咲いていた。リンドウ。


    ヤマラッキョウ


    帯那山山頂


    山頂の休憩所は一応使えそうではあるが、倒壊の危険がありそうにも見える。

 かつてはアヤメの名所でアツモリソウもあったと聞く帯那山山頂の草原であるがシカの食害で花はほとんど無くなり今は荒れ果てたススキ野原と化してしまっている。山頂にあった桜の木は病気で花が咲かなくなり伐採されてしまっている。あまり見るものが無くなってしまった帯那山であるが、一人だけ登山者がやって来たのにはちょっと驚いた。


    さらに先に進んで三角点のある奥帯那山に行ってみる。


    少しだけ紅葉した森。台風の影響かだいぶ葉が落ちてしまっているように見える。


    奥帯那山山頂。林の中で眺望のないピーク。

 奥帯那山山頂で時刻は11時になった。ここで昼食、と言いたいところだがコンビニに寄るのを忘れて持っているのは前日の残りのパンが1個とチョコレート1枚だけだ。いずれも半分だけ食べて下山する。


    電波塔と新しく出来た道。この道を降りてみる。


    予定していたルートに抜け出た。春にはシハイスミレが咲くこの辺りもだいぶ伐採されていた。


    遅咲きのシハイスミレを発見。


    足元に白い花があるのに気付く。センブリが生えていた。


    天候が悪いこともあるのか皆蕾だった。


    ユウガギク

 山の上で見かけたシダはイヌワラビとクマワラビらしきもの、ワラビくらいだったが、側溝や岩壁がある林道脇にはそれなりにシダが生育していた。ところどころで車を止めてシダを見ながら帯那町に移動する。


    クマワラビ。先端の白くなったところに胞子嚢が付いているはず。


    クマワラビの胞子嚢。やがてこの部分は脱落する。


    よく似ているがこれは?


    胞子嚢が付着している葉をあまり見たことがなかったが、これにはオレンジ色の胞子嚢が付着していた。おそらくこれがベニシダだろう。


    水路脇に生えていたコバノヒノキシダ。このシダは苔の生えたこんな壁を好んで生えている。


    午後2時を過ぎたころに富士山が姿を現した。さて、どうしましょうか?

 今日は富士山は見えないだろうと思っていたのだが帯那町に到着する途中で富士山が見えてきた。日没までにはまだ時間はあるが、食料を持っていないのはちょっとまずいかも知れない。千代田湖の湖畔まで行って作戦を考えよう。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

春日山界隈のシダ植物  令和1年10月26日

2019年10月29日 | シダの仲間
 鳥坂トンネルから山の稜線を歩く今回の春日山界隈のルートはシダが好むような岩場や水気の多い場所が少なく、それほどシダ植物は無いだろうと思っていたのだが以外にもそれなりにいろいろと生育していた。見たことがあるシダばかりではあるがまだ名前が同定できないものが多く、おそらく今回も間違っているものが多いと思う。


    あちらこちらの山の斜面で普通に見かけるこのシダ。これは大きなものだが15cmくらいの小さなものもしばしば見かける。


    根元の薄茶色の鱗片。


    楕円形のソーラスがびっしりと付着


    これも同じもの。


    同じくソーラスがびっしり。ポケット図鑑と大図鑑を駆使して調べてみるとこれはイヌワラビ(イワデンダ科メシダ属)であることがようやく判明した。


    オウレンシダ(コバノイシカグマ科)であるが、こんなにたくさん群生しているのは初めて見た。


    葉の先端にコップ型ソーラスが付着する。


    このシダもこんなに大型で青々として群生しているのは初めて見た。


    船型のソーラスが付着。ホソバシケシダ(イワデンダ科シケシダ属)。


    このシダも大型で青々としていた。葉の根元の中軸のところに三角形の小さな羽片がある。


    小羽片辺縁寄りに小さなソーラスが配列。ゲジゲジシダ(ヒメシダ科)。


    紅葉しているやや大型のシダ。裏側にソーラス無し。


    根元の部分を見てみると既に枯れた胞子葉が残っていた。これは春に胞子葉を出すヤマドリゼンマイだろう。


    傷んでしまっているがほとんど同じような葉の形をしていてこの季節に胞子葉を出しているシダがあった。クサソテツ(イワデンダ科クサソテツ属)。


    大型のゴツくて目立つシダ、オシダ(オシダ科オシダ属)。


   ソーラスは葉の先端部を中心に付く。ソーラスは小羽片の外寄り、かつ根元寄りに配列する。


    オシダに似ているがやや小型。


    ソーラスはオシダと同じく葉の先端寄りに付着する。


    違いはこの根元に付着している鱗片が真っ黒なこと。これはミヤマクマワラビ(オシダ科オシダ属)だろう。


    大型のものだとオシダにそっくりなように見えるが、これもミヤマクマワラビと思われる。根元が真っ黒。


    びっしりとソーラスが付着しているが、オシダよりも小羽片の先端近くまでソーラスが付着しているところが若干違う。


    これもまた同じようなシダに見えるが・・・


    裏側を見ると湾曲した舟形ソーラスが付着しており全く別物である。


    根元の部分を見ると白い毛が生えている。おそらくハクモウイノデ(イワデンダ科シケシダ属)と思われる。羅漢寺山で見たものと同じ。


    あちらこちらで見かけてはいるが未だに正体が不明なのがこのシダである。


    楕円形が主体だが中には半サークル状のソーラスもある。変形が多いと聞いているヘビノネゴザ(イワデンダ科メシダ属)ではないかと思うが?不明。

 イノデの仲間とオシダの仲間は形が似ていて勉強してもすぐに違いを忘れてしまうし、調べてみても確信を持って見分けるほどのレベルにはまだ程遠い。花が終わる冬の間は常緑性のシダを中心に山や谷を歩いて修行を積みたいと思う。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

秋の花を探して春日山へ  令和1年10月26日

2019年10月28日 | 山に咲く花
 花のシーズンもそろそろ終わりであるが、まだ咲き残っているかも知れない花がある。昨年花仲間が見つけて見に来ないかと誘いを受けたのだがとうとう日程がとれずに行けなかった花である。もう終わってしまっているかも知れないが花が無くても最近見回っているシダは必ずある。まだ御坂山系のシダは全く見歩いていないのでそちらの楽しみもある。シダ植物を見歩くようになってから山や里や渓谷を歩く楽しみの幅がずいぶん広がったように思う。


    鳥坂トンネルの脇にある駐車スペースに車を止めて出発する。


    春日沢の頭への登り。ルートはしっかりしているが倒木が多く、あまり管理されている様子は無い。


    40分ほどで春日沢の頭に到着。木が伸びて眺望は得られなくなってしまった。

 積翠寺から見下ろす甲府盆地には、朝は雲海が広がっていたのでこの春日沢の頭から見る雲海の甲府盆地を期待していたのだが残念ながら伐採地の木が伸びて眺望が得られなくなってしまっていた。もっとも到着した時間が既に遅く、雲海はほぼ消えてしまっていた。この先は標高差150mほどの急下りになっておりそこから登り返した先に春日山がある。春日山を越えてさらにその先の名所山を目指して進む。


    春日山山頂の山梨百名山標柱は新しくなっていた。こんな地味な山に何組か登山者が居たのにはちょっと驚いた。


    林道を横切る。この林道は通年閉鎖だとばかり思っていたらゲートが開いており一般車が通れるらしい。山頂で出会った1組はここまで車で乗り付けていた。


    林道脇に咲いていたどっさりのリュウノウギク


    これまたどっさりのヤクシソウ


    ノコンギク


    リンドウは薄色だった。


    林道沿いにある展望台からの景色。左に南アルプス、右に八ヶ岳と茅ヶ岳の山塊が見える。夜景がきっと綺麗だろう。


    雪を纏った白根三山


    八ヶ岳はまだ雪化粧していない。


    名所山への防火帯尾根の登り。結構きつい。


    咲き残っていたトリカブト。


    名所山山頂。ここが春日山山塊の最高峰だが、林の中のピークで眺望無し。地味な山である。


    探していたのはこれ。


    ホソバツルリンドウ。白花ではあるが若干青色がついている。


    下からのぞき込むが、花の中の雄しべと雌しべはうまく撮れなかった。


    普通の色の付いた花でもそう簡単に見られるものでは無く、白花に出会うのはさらに難しい。2株しか見つからなかったが見られただけでも上出来である。

 自力で探せず花仲間に電話して場所を聞き、ようやく出会うことが出来た。御坂山系でこの花が生育していること自体が珍しく貴重である。シダ類もたくさん見て回ってきたがまだ同定できておらず(自信を持って同定できないものが多過ぎる!)ある程度の調べがついてから後日報告したいと思う。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

青木ヶ原樹海のシダ  令和1年10月23日

2019年10月25日 | シダの仲間
 冷たい雨が止み、前日の夕方に姿を現した富士山は初冠雪して北側から東側の斜面が真っ白になっていた。面白いことに西側の朝霧高原から見る富士山はさほど白く無い。青空が広がった本日の朝は富士山ライブカメラで見ると雪化粧した綺麗な富士山が姿を見せていた。

 先日羅漢寺山で見たウサギシダは本物なのだろうか?確認するには他の場所のウサギシダを見てくることが必要だろう。以前に青木ヶ原樹海の中に生えているアオキガハラウサギシダというものを見せてもらったことがあったが、その時はそのシダの価値が分からず写真も撮らなかった。今になってそのシダの貴重さが分かるようになってきた。夏緑生のシダなのでもう枯れてしまっているかも知れないが見に行ってみることにする。


    今になってこんなシダの貴重さが分かるようになってきた。オオクボシダ。西沢渓谷では岩に付着していたが樹海の中では木に着生している。


    トウゲシバ(ヒカゲノカズラ科)。苔の仲間のようにも見えるが、普通に見かけるシダの仲間。


    半月型の胞子嚢が葉の間に付いている。その上には鳥のクチバシのような無性芽が付いている。北岳で見てきたヒメスギランと同じ構造である。


    コケの上に生えているハリガネワラビは林の中に生えているものとはまた違った印象を受ける。


    ソーラス


    これも普通に見られるシダ、ホソバシケシダ(イワデンダ科シケシダ属)と思われる。


    細長いソーラスがいっぱい付着している。


    ヤマイタチシダ(オシダ科オシダ属)と思われる。


    鱗片が袋状かどうかは確認できず。


    岩の上に生えていた光沢のある緑色鮮やかな格好良いシダ。


    ソーラスがたくさん付着しており、今が花盛りといったところだろう。中軸に黒い鱗片が生えておりシノブカグマ(オシダ科カナワラビ属)と思われる。


    そしてこれが本日のお目当てのシダ、アオキガハラウサギシダ(ナヨシダ科ウサギシダ属)。やはりもう枯れかけている。


    ウサギシダとの違いは根元から2番目の葉に葉柄があることで、そういう目で見ると右上の個体は2番目の葉に柄が付いている。


    しかしソーラスを付けていない幼弱なものには柄が付いていない。山梨県レッドデータブックでは同じものの扱いになっている。


    ソーラスは小羽片の辺縁に沿って配列している。


    これらの全体的な形やソーラスを見比べる限りでは羅漢寺山で見たものはウサギシダと見て間違い無さそうである。違いといえば葉柄が短いことと小羽片先端の一部が鋸歯状なところだろう。


    ついでに見てきた植物。森の主のようなこの巨木の上には変わった植物が宿っている。


    このゴソゴソっと生えている植物、ホザキヤドリギ。これでも山梨県絶滅危惧ⅠA類の稀少な植物である。


    1,140㎜望遠で捉える。黄色い実が成っているだろうと思ったのだが・・・


    トリーミング。まだ黄緑色だ。ちょっと早かったようである。

 シダを見るようになってからずっと気になっていた青木ヶ原樹海の中にある貴重なアオキガハラウサギシダであるが、想定はしていたもののやはり少し遅かった。いちばん確認しておきたかったソーラス配列は確認することが出来て、羅漢寺山で見てきたものとほぼ同じ配列をしていることが分かった。羅漢寺山で見てきたものもきっとウサギシダだろう・・・と思ったのだがシダを観察するうえで重要な部分の観察を忘れていた。それは根元の鱗片の構造である。さて、どうなのだろうか?いずれの場所も見忘れてきたのでまた来年への課題を残すことになってしまった。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

羅漢寺山のシダ植物  令和1年10月20日

2019年10月24日 | シダの仲間
 前日は台風20号から温帯低気圧に変わった雨雲が通過しかなりの雨が降った。低気圧が過ぎてスッキリ晴れるだろうと思っていたのだが朝の空を見るとどんよりと曇っておりいつ降り出してもおかしくないような空である。低い山の上にも雲がかかっており、おそらく少し高度を上げると霧の中に入ってしまうのだろう。さて、どうしましょうか?本日は低山の散策にしたいと思うが沢筋は増水していて歩き難そうである。ロープウェイを使って羅漢寺山周辺を散策することにする。目的はシダの仲間であるがどんなものが生育しているのかは全く情報が無い。2018山梨県レッドデータブックの情報を見るとかつてエビラシダというものがこの山域にあったらしいが最近は確認されていないようだ。おそらく見つからないであろうが山の上のシダがどんな様子なのか見ておくことは必要だろう。


    ロープウェイ山頂。まだハイシーズンではないがロープウェイは満車だった。


    まずは白砂山に向かう。道はしっかりしているがあまり歩かれている様子は無い。


    白砂山分岐は倒木がある。


    白砂山の展望地。左の岩が鎧岩、羅漢寺山山頂には雲がかかっている。


    さらにその先の展望地。ここが山頂だろう。道の分岐部が分かりにくい。

 誰も来ないだろうと思っていたら手前の展望地で若者3人組と出会った。何度か来ているらしいが山頂への分岐が分からずどこにあるか聞かれたので、木の枝に覆われた分岐場所を教えてあげた。分岐部に戻ってさらに先に進む。


    時期的なものもあるのか、草はほとんど生えていない。オシダくらい茂っていそうなものだがシダ類も少ない。


    白山展望台。向こうには甲斐駒ケ岳が雲の中に浮かんでいる。ここで昼食をとり、来た道を戻る。


    羅漢寺山展望台の直登ルートを登る。途中の展望岩からの眺め。向こうに見える岩山が先ほど登った白砂山。


    羅漢寺山展望台。空模様悪く眺望いまいち。

 羅漢寺山山頂はここからすぐであるが、そちらに向かう人の姿がたくさん見かけられかなり混雑しているようなので止めてロープウェイ山頂駅に戻ることにする。しかしそこも来た時以上に混雑しており団体客の姿も何組かあった。これはロープウェイを使って下りるのも激混みである。

 さて、目的のシダ類はあまり無かったがちょっと珍しいシダ(だと思う)も見かけることが出来た。


    まだ若いクジャクシダ。夏緑生のシダだと思っていたのだがそうでは無いのかも知れない。


    これは?


    胞子嚢群配列を見るとどうやらオウレンシダのようだ。


    岩に付着していたミツデウラボシ


    成熟した胞子嚢が付着していた。


    ちょっと珍しいシダというのがこれ。


    やや大き目の最下下向き羽片、一番下の葉には葉軸がある。


    胞子嚢群は羽片の中央、ないしは小羽片の辺縁に沿って配列している。おそらくこれはウサギシダだろう。

 ウサギシダは山梨県絶滅危惧ⅠB類のシダである。北岳の中腹にもあるらしいので探しながら歩いたが発見できなかった。もしこれが本物だとすれば、レッドデータブックのメッシュの外で発見されたことになる。もう少し調べてみないとはっきりしないが、ウサギシダである確率70%と見ている。

 さて、時刻は午後2時、ロープウェイ山頂駅から歩いて下山するにも十分な時間がある。ならばまだ歩いたことが無い林道を歩こうと思って道を進むとその先に下山道の看板が立っていた。こんな道があるとは知らなかった。下りてみることにする。


    山頂駅の向こう側に下山する道があった。


    薄暗い植林帯の中に良い道が通っていた。


    沢にかかる橋は朽ちており通行不能。小沢を渡る。


    中腹はかつての畑と思われる石積が斜面の上のほうまで築かれていた。


    稜線とは打って変わって沢筋はシダがたくさん。石積の周辺にはイワトラノオがたくさん生育していた。


    イノデのような大き目のシダ。暗くてカメラ手持ちではきっちり撮れていなかったのが残念。


    細長いソーラス。イノデでは無い。


    根元の部分を見てみると白い毛が生えている。おそらくはハクモウイノデ(イワデンダ科オオシケシダ属)と思われるが、それにしては中軸の毛が少ない。


    これも何だか良く分からないが普通にある。


    葉の先端寄りに、小羽片中央に沿って円形のソーラスが配列。おそらくはベニシダと思われる。


    同じもの。七面山で多く見かけたオオベニシダと思われるものに良く似ているがこちらは根元に近付くにつれて葉が小さくなっている点が違う。おそらくはあちらがオオベニシダ、こちらがベニシダではないかと思う。

 下山途中でどこかに三脚を置き忘れてきたのに気付き戻って探すがなかなか見つからず、疑わしき場所を2周ほど廻り歩いてやっと回収した。下山は4時半になった。

 想定していた通りにエビラシダは見つからず、そもそもが石灰岩地を好むシダなのでそう簡単には見つからないだろうと思っている。見てきたシダのうち、本物のウサギシダだとすれば新産地の発見ということになるのだろう。花ならばそれなりに嬉しいのだがシダだとそれほど嬉しく無いのはシダに失礼かも知れない。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

相変わらずシダは分からないものばかり 七面山  令和1年10月13日

2019年10月18日 | シダの仲間
 数ヶ所の渓谷めぐりと数ヶ所の山を巡ってシダの仲間は少しは分かるようになってきたと思っていたのだが・・・今回の七面山は分からないもののオンパレード。しかも図鑑を見ても分からない。今まで訪れた西沢渓谷や北岳はネット上にある現地のシダ類レポートを参考にさせていただいたので分かったような気がしていただけのようだ。


    コバノヒノキシダ


    ハコネシダ


    たぶん普通にあるが見るのは初めて。


    ゲジゲジシダ


    七面山表参道で圧倒的に多く見かけたのはこのイヌシダだった。茎に毛が生えている。


    もうひとつがこれ。


    ホソバナライシダ。この辺までは今まであちらこちらで見てきたので分かったが・・・


    これは?ソーラスが付いておらず最初は生育前のクマワラビだろうと思っていたが・・・。


    こちらがクマワラビ。何となく違う感じがする。クマワラビは根元に近いほうの葉が少し小さくなる傾向がある。


    クマワラビのソーラス。ソーラスを付ける葉は極端に小さい。


    これがおそらく先ほど見たものの成長したものだと思う。根元に近いほうの葉は小さくならずむしろ大きい。


    ソーラスはクマワラビと同じように葉の先端方向に付いているが葉は小さくならない。やはり別物のようである。図鑑で見る限りではオオベニシダに近いが先端部にだけソーラスが付いているのはおかしい。何だか不明。


    ちょっと変わったシダに見えたが・・・


    たぶんトラノオシダ。他の場所で見てきたものよりも一回り大きくて別物のように見えてしまう。


    これは尾白川渓谷でも同じように群生しているのを見てきたのですぐに分かった。


    円形ソーラスがびっしり。ハリガネシダ。


    たぶんシノブだと思う。ソーラスは付いていなかった。


    オシダの真ん中に生えているシダ。茎が黒くイヌワラビと思っていたが・・・


    裏側のソーラス


    これも同じもの。イヌワラビに比べて小羽片の先端部が丸っこい。


    図鑑を良く見て調べてみると、これはシケチシダ(イワデンダ科シケチシダ属)のようだ。


    これもしばらく正体が分からなかったシダ。最下羽片が大きくイタチシダの仲間かと思っていたが、葉の形はミドリカナワラビに良く似ている。


    ソーラス配列もミドリカナワラビに似ているが決め手となったのは中軸に黒い鱗片があること。これはシノブカグマ(オシダ科カナワラビ属)と判定した。やや高山性のシダである。


    少ないながらノコギリシダがあった。


    これは?


    ソーラスは少ししか付いておらず正体不明。


    葉の形が少し丸っこいが同じものか?


    同じような感じのソーラスが付着している。ヘビノネゴザが近いように思えるが不明。


    こちらも似ているが葉に光沢がありやや尖っている。


    ソーラス無し。何だか分からない。

 相変わらずの分からないものばかり。小さな図鑑である程度の目ぼしをつけてから大きな図鑑で調べるのだが、ほとんど答えが出せないものが多い。まだまだ勉強不足である。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

パール富士ならず 七面山  令和1年10月13日

2019年10月16日 | 月富士
 台風19号が去ったこの日は朝から青空が広がった。甲府市は雨が長時間降り続いたもののさほどの水害も無く、風は台風が去った後の未明のほうが強く吹いた。しかし立っていられないというほどのものでは無かった。県南部では今までに無い雨が降ったようで土砂崩れが心配である。道路が通れないならばその時点で諦めることにして、とりあえずは七面山の登山口がある早川町に行ってみることにする。案の定中央道は土砂崩れのため大月で通行止め、中部横断道は六郷インターから先が通行止めになっていた。早川町の道路も身延側からの道は土砂崩れで通行止めだったが飯富側から早川橋を通るルートはなんとか通行出来た。しかしその先は規制がかかっており、角瀬までならば行けるがその先は通行不能になっているとのことだった。角瀬までなんとかたどり着いた。その先の羽衣までは無理だろうと思っていたのだが私の前を軽トラックが走って行き、さらに後ろをプロパンガスを積んだ軽トラックが走ってきた。道を譲って追い抜いてもらうと普通に羽衣に向かって走って行く。後ろを付いて行くと途中の道路に側面の小沢から流れ込む水があふれているものの難無く七面山表参道のある羽衣まで行くことが出来た。さすがにこの日は登山者らしき姿は見かけず、信者さんの行列も無い。11時に羽衣を出発して敬慎院を目指す。


    春木川に架かる橋と白糸の滝


    橋から見下ろす春木川上流部。濁った水が流れてはいるが脇の道路まで浸水した様子は無い。


    同じく下流を見下ろす。思ったほどの被害は無かったようだ。


    倒木を心配していたが表参道は全くいつもの通りだった。


    甲府盆地を見下ろす。朝よりも雲が増えてはきたが青空が広がっている。


    四十六丁目 和光門


    驚くほどに綺麗に清掃されている参道。

 5時間半くらいかけて敬慎院に到着した。表参道は倒木は無く木の枝や葉もあまり散らかっていなかった。それもそのはず、何人か出会ったお坊さんや信者さんはそれぞれに熊手や箒を持って参道を綺麗に掃除されていた。この日に敬慎院に登って来た人はほとんど居なかったはずだが、それでも今後やって来られるであろう参拝者のために綺麗に掃除して参道を守ってくれているのである。七面山凄し!


    台風が去ったばかりのこの日はさすがにカメラマンは誰も居なかった。


    まずはテスト撮影。毎度同じような構図だがこんな感じか?


    残照の毛無山と富士山


    日没迫る富士山


    2台持って行ったカメラのうち1台のレンズの長さを調整する。雲が無ければ570㎜で良かったが雲が邪魔する可能性があるのでレンズ長を変える。


    テレコンバーターをフラットナーに交換して400㎜望遠に調整する。

 この日の敬慎院御耒迎場は私一人しか居なかった。完全に独占状態である。富士山に雲が巻いてはいるものの日没までは山頂が見えており、このまま本日のパール富士はいただき・・・と思ったのだが、残照が消えた頃から雲が増え始め、パールまであと10分を切った頃には完全に山頂は見えなくなってしまった。まあ、良くあるパターンである。


    残照が消えた頃から急激に雲が増え始める。


    アースシャドウが広がった。パール富士まであと10分を切ったが・・・


    うっすらと光が見える。


    雲が光っているらしい。もう月が出ているはずである。


    雲を抜け出て月が現れた。


    雲を抜けて現れた14夜の月。


    これを撮りに来たわけでは無いのだが・・・空気が澄んで綺麗な月だった。


    残念ながら富士山は雲に隠れてしまった。


    昨年に続いてパール富士ならず。残念。


    駿河湾の夜景


    甲府盆地の夜景

 なかなか思うようには行かないものである。しかし月の出のタイミングが10数分早ければ残照の赤富士と雲に挟まれた抜群のパール富士が見られたかも知れず、素晴らしい景色になっていただろう。良い写真と失敗した写真は紙一重である。またの機会を狙って訪れてみたいと思う。早川町の道路は奈良田までは行けないが角瀬までの道はお昼頃に通行規制が解除されていた。中部横断道の六郷から身延間は土砂崩れのため当分通行出来ないようである。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

北岳に生育するシダ植物 ~標高2,800m付近から山頂まで~  令和1年10月5日-6日

2019年10月09日 | シダの仲間
 大樺沢左又上部のハシゴを登りかけたあたりで手と足が攣ってしまったがなんとか午後1時半に八本歯のコルに登り着いた。ここから本日宿泊予定の北岳山荘までは普通に歩けば1時間半くらいであろうが、この先がこの日の本番の高山性シダの生育地である。探すのが難しい小さなシダが多いので目を凝らして歩かないと見逃してしまう。3時間かけて北岳山荘まで行きたいと思うがそれでも時間が足りないだろう。


    八本歯のコル付近で見つけたシダ。コスギラン発見、と思ったが紐状に伸びているこのシダはそうでは無い。


    ヒカゲノカズラの系統であるが葉が細くまばらについていることからエゾヒカゲノカズラではないかと思う。胞子穂を見ないと確定できない。来年以降への課題である。


    3度目の探索なのでだいぶ目が慣れてきた。タカネシダ(オシダ科)は裏を見なくても判別出来るまで進歩した。山梨県絶滅危惧ⅠB類のシダ。


    もう枯れかけているが、羽片中央に円形のソーラスを付ける。


    アオチャセンシダ(チャセンシダ科)も山梨県絶滅危惧ⅠB類。


    このシダは常緑性なのでこの季節でも青々とした株が残っており、石灰岩地を好むという特徴がある。


    羽片の中央付近に線上のソーラスを付ける。時としてソーラスが熟すと山盛りになっていることがある。


    軸の関節は確認していないが、おそらくトガクシデンダ(ナヨシダ科)と思われる個体。山梨県絶滅危惧ⅠB類。


    紛らわしいのがこのナヨシダ。トガクシデンダよりもやや大型で葉が細かい。山梨県絶滅危惧Ⅱ類。


    枯れかけている葉の裏にはソーラスがたくさん付いている。


    トガクシデンダとの決定的な違いはこの軸の根元付近に関節と呼ばれるつなぎ目が無いことである。


    目を凝らして探していたのがこのシダである。ナヨシダともう1種類・・・。


    ヤツガタケシノブ(イノモトソウ科)。見つかったのはこの場所だけだった。山梨県絶滅危惧ⅠA類。ソーラスは確認したが場所が悪く撮影は出来なかった。


    同じ場所のその奥にもうひとつ変な葉のシダが隠れていた。


    ソーラス無し。

 ヤツガタケシノブの奥に隠れていたシダは今回探していたもののひとつ、イチョウシダではないかと思ったのだが、ソーラスが付いておらず確定は出来なかった。そもそも同じ場所にナヨシダとヤツガタケシノブとイチョウシダの3種類が並んで生育しているのは変である。良く画像を見直してみると、イチョウシダらしき葉の右隣りにあるヤツガタケシノブの葉の1枚がこのイチョウシダらしきものの葉とそっくりである。そういう目で見ると、イチョウシダらしき葉の一番先端の葉はヤツガタケシノブに似ている。これはまだソーラスを付けない幼弱なヤツガタケシノブの可能性がある。いずれにせよソーラスを確認しないことには確定できず、来年以降への課題ということになる。


    標高3,000m付近にあったこのシダ。


    ソーラスを見るとどうやらミヤマヘビノネゴザのようである。こんなところでも生育するのか、と感心してしまう。


    こちらは標高2,900m付近で見たもの。


    ミヤマワラビ。林の中を好むのかと思っていたら森林限界を超えたところでも生育していた。たくましい。


    これもきっちりと撮影しておきたかったシダ、キタダケデンダ(イワデンダ科)。8月に訪問した際に青々とした株があったがカメラの電池切れでスマホ写真しか撮れなかった。


    山梨県絶滅危惧ⅠA類の貴重なシダである。


    葉と葉軸には毛が生えているが、8月に見た時より薄くなっている気がする。


    ソーラスは羽片の辺縁寄りに配列する。中軸には薄茶色の鱗片あり。


    ソーラスにも毛が生えている。


    そして今回の一番の課題だったのがこのシダ。一見コケの仲間のように見えるがシダである。


    白い花のように見えるのは無性芽である。


    マクロ撮影しトリーミングした無性芽。変形した小さな花のように見える。胞子嚢は葉の間に付いている白い楕円形のツブツブ。胞子を飛ばす時は2枚貝が口を開けるように割れる。


    ではこれはヒメスギラン(山梨県絶滅危惧ⅠA類)なのか、それともコスギラン(同ⅠB類)なのか?


    図鑑によるとコスギランの葉は根元部分が幅広で先端部が急速に細くなり(いわばタケノコ型)、ヒメスギランは直線的に細くなる(いわば針型)と書かれている。この株はヒメスギランと見て良さそうである。


    おそらくこれもヒメスギラン。


    ではこれはどうなのか?葉の形を見ると幅は広いものの直線的に先端が狭くなっているように見えるが、ネット画像ではこれはコスギランと分類されているようである。どっち?分からない。


    それとも同じ場所に2種類生えているのか?

 マクロ撮影してきた画像を拡大して再三見てもどちらだか分からないものがあるが、半分はヒメスギランであることは間違いないと思う。いずれにせよ、まだこの場所でしか見ていないので他の場所に生育しているものを探し出して良く見比べることが必用不可欠である。まだシダを見始めたばかりのレベルでどちらか見分けるのは時期尚早であろう。これもまた来年以降への課題である。それにしてもシダ植物は胞子で増殖したり無性芽で株を増やしたり、さらには木の上に逃げていった着生シダもある。どれも同じに見える目立たない植物ではあるが、ラン科植物と同様に多様に分化して発達を遂げてきた凄い植物だと見れば見るほど感心させられる。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

北岳に生育するシダ植物 ~2700m付近まで~  令和1年10月5日ー6日

2019年10月09日 | シダの仲間
 標高3,194mの日本第2の高峰北岳は様々な高山植物が生育している貴重な山であるが、また同時に様々なシダ植物も生育している。高山性のシダだけでなく山頂付近からトラバース道周辺には石灰岩を含む岩があり、石灰岩地を好む特有な植物とシダが生育している。キタダケデンダが見つかったことから昨年から興味を持ち始めて見回っているシダ植物だが、今年見て回った渓谷のシダとは全く違う種類のものが北岳には生育している。まだ分からないものばかりで図鑑とネットを駆使して調べているがそれでも不明のものが多い。標高1,530mの広河原から北岳山頂まで、目に付いたシダ類は片っ端から撮影してきたが、時間節約のためカメラ手持ちで撮影したものはほとんどがピンボケやブレていて使えないものが多い。画像多量なので標高2,700m付近までと森林限界を超える標高2,800m以上に分けて記載する。今回も間違っている記述が多々あると思うのでそのつもりでご覧いただきたい。


    広葉樹林帯の下にゴソゴソっと群生しているこのシダ、シラネワラビだと思う。


    これと同じものだと思ったのだが少し違うようだ。


    円形の小さなソーラスが小羽片の辺縁寄りにまばらに配列。これはイッポンワラビ(イワデンダ科シケチシダ属)と思われる。


    これも似ているが葉先が丸っこくて軸が黒い。


    根元の鱗片は黒い。


    薄い舟形のソーラス。これはヤマイヌワラビ(イワデンダ科メシダ属)と思われる。


    これもワラビと名の付くシダ。富士山御中道を歩いた時にたくさん見かけたが何だか分からなかったシダ。


    ミヤマワラビ(ヒメシダ科)。


    これもワラビの名が付きそうに見えるのだが・・・


    小さなソーラスが小羽片葉軸寄りに配列。最下羽片が大きく張り出しているのは確認しなかったが、尾白川渓谷や西沢渓谷で見てきたホソバナライシダと思われる。


    ひときわ目立つ大きなシダ。


    三日月状のソーラスがたくさん付いている。オオメシダ。


    大きくて目立ち、緑色が鮮やかである。


    これも大きくて目立つ。オシダのようだが中軸が黄緑色である。


    根元の部分の鱗片


    ソーラスは小羽片の中央寄り、かつ葉軸寄りに配列している。これはミヤマベニシダ(オシダ科オシダ属)らしい。


    似ているがやや光沢があって葉が尖っているように見える。イノデの仲間か?


    やや大き目なソーラスが小羽片中央寄りに配列。かつ、葉の上半分にのみ付着している。これはホソイノデ(オシダ科イノデ属)と思われる。


    形は似ているがこちらは二回りくらい小さめのシダ。


    残念ながらソーラス無し。


    標高が上がって樹林帯を抜け出たあたりで見たこのシダも同じものだろう。


    葉軸中央寄りにソーラスが配列。良く見ると半円形のものがある。おそらくこれはミヤマヘビノネゴザ(イワデンダ科メシダ属)と思われる。

 樹林帯の中のシダは似たようなものが多く、ソーラスを見るとそれぞれに形が違うので何が何だか分からず、とにかく写真を撮りまくってきた。画像を見ながら調べてはみたものの、これが正しいのかどうかは全く自信が無く、書いた直後にもうシダの名前を忘れてしまっている。複雑多岐にわたるシダの仲間を短期間で頭の中に詰め込もうというのは土台無理な話である。

 樹林帯を抜け出し大樺沢上流の草地に抜け出た。ここから先はそれほどシダの種類は多くないと思われるが、それでもわからないもののオンパレードである。


    草原の中で目立っている大型のシダが現れた。残念ながら全て枯れかけている。


    ソーラスを見ると大型のソーラスが小羽片の真ん中に配列している。これが見たかったシダのひとつ、カラフトメンマだろう。


    根元付近の鱗片はたくさん付着していてゴツく見える。


    手持ちで撮ったのでピントが甘いうえにソーラスがきっちり撮れていない。来年はこのシダがもっと青々と茂っている頃に訪問してみたい。


    そしてもう1種類、この草原内で存在感を表しているシダ。


    円形、ないし楕円形のソーラスがびっしり付着。


    鱗片は真っ黒。


    これはミヤマメシダ(イワデンダ科メシダ属)。


    そしてもうひとつ、ダケカンバ以上に紅葉しているこのシダの群生。


    これもソーラスがきっちりと撮れていないがオオバショリマ(ヒメシダ科)と思われる。

 大樺沢の草地を過ぎていよいよ梯子を登って八本歯のコルである。ここで足と手が攣るというアクシデントがあったがなんとか八本歯に到着した。ここから先がこの日の本番のシダ探しだが、足が遅いうえにアクシデントがあり予定よりもだいぶ遅くなってしまった。何度も往復して探し物のシダを探索する時間は無さそうである。(2,800m以上編に続く)


    
    
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

秋晴れの北岳を下山  令和1年10月6日

2019年10月08日 | 山梨百名山
 前日は1日中青空が広がっていた北岳だったがこの日の天気予報は曇りで一時雨が降るかも知れないという予報である。未明2時に起きて星空を見ながら北岳山頂を目指す予定だったが、外に出てみれば星はほとんど見えず雲が広がっている。しかし時折雲間から明るい星が輝いて見える。前日にセットして撮りっぱなしにしてあったカメラを撤収して北岳山頂に向かう。お目当ての星は見えない可能性が高いのだが、山の天気はどうなるか分からない。


    見上げる北岳の空は雲に覆われて星は見えない。


    しかし時折雲間に輝く星が姿を現す。明るい星はおおいぬ座シリウス、富士山が見えている。


    雲間に姿を現したオリオン座と冬の大三角形。冬の大三角形が射し示す低空にあの星が見えるかも知れないと期待を寄せるが・・・。


    北岳山頂に登って行く登山者たち


    間ノ岳を目指す登山者たち


    夜明けが近付くと空が晴れてきた。薄明の空に昇るおおいぬ座と間ノ岳。おおいぬ座シリウスの真下の低空に輝くカノープスが今朝の狙いだったが見えなかった。


    夜明けが近付き星の輝きは消えて行く。


    朝焼けの雲と間ノ岳


    朝焼けの雲と富士山


    同上


    雲が一番焼けた頃には富士山は雲隠れしてしまった。


    もうすぐ日の出。この岩が赤く焼けてくれるのを待つ。


    雲に遮られながら日の出を迎える。


    激焼けにはならなかったが、そこそこに朝焼けに染まってくれた。


    朝焼けの間ノ岳


    日本第3の高峰間ノ岳を見下ろしながら北岳山頂に向かう。


    北岳山頂。後ろの山は仙丈ケ岳。混雑するので山頂は休まずにスルーして肩の小屋まで下りる。


    北岳北峰。写真撮影には絶好の視野が得られるピークである。後ろ側の仙丈ケ岳や甲斐駒ケ岳には雲がかかってしまっている。


    北岳に登る時は肩の小屋泊りで八本歯を下りることが多いので、このルートを下りるのは久しぶりな気がする。


    北岳肩の小屋。ここで大休憩。

 時刻はまだ8時半である。小屋主の森本さんに挨拶して植物情報を少しいただき、30分ほど休憩して下山する。この先にも探しているシダがあるはずだが、昨年登った際に偶然撮ってあったものなので場所が不確定で見つかるかどうかも分からない。またまた不審者の如く、ひたすらに草むらや岩の隙間を覗き込みながら、登山者に迷惑にならないようにことごとく道を譲りつつ下山する。


    岩の間にあった変なもの。


    これは苔なのかシダなのか??


    ダケカンバの紅葉よりもこのシダの紅葉のほうが見事である。オオバショリマと思われる。


    なんとか目的のシダは発見できた。しかしこれは姫なのか小なのか?下山してから画像を検討する。


    センジョウアザミとウラギンヒョウモン

 探し物は他にもたくさんあったのだが、見つからないものが多かった。星空と植物を含めて、目的を達成できたのは7割くらいだろうか。花はもう終わってしまっているので仕方ないのだがシダはまだ勉強不足で見ていてもそれと判断出来ていないものが多数あると思われる。特に、期待していたカラフトメンマ(山梨県絶滅危惧Ⅱ類)は山梨県では北岳と八ヶ岳でしか見ることが出来ず、それと思われるものはそこそこに数はあったが全て枯れかけていたことが残念である。また来年、夏緑生のシダが元気な頃に勉強し直して見に来てみたいと思う。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

秋晴れの北岳へ  令和1年10月5日

2019年10月07日 | 山梨百名山
 9月に予定していた北岳は残念ながら天候不良で中止した。確認しておきたかったトラバース道周辺のキタダケトリカブトの屈毛(ホソバトリカブトやキタザワブシがかなり混ざっているらしい)や状態の良いキタダケデンダ、トガクシデンダなどのシダ類をきっちりと撮影しておきたかったのだが不発に終わってしまった。10月に入ってしまったのでそれらの大部分はもう終わってしまっているだろうが常緑性のシダはまだ残っている。もうひとつ、昨年も撮影に出かけたが雲に阻まれて不発に終わってしまった北岳の左上で廻る北天の星空をリベンジしたい。半月近い月が深夜まで空を照らすが星は十分に写るはずである。天気予報も雲画像も5日の夜は良好である。今年2回目の北岳に登る。


    朝一番のバスが激混みで1時間立つことになる。既に足が疲れてしまった。空は青空、いざ、北岳へ。


    今年は雨が少なく、大樺沢の水量は少な目。


    沢の脇にアザミが現れた。さて、このアザミは何?


    総苞の棘が短い。これはホウキアザミ。大樺沢の沢沿いで良く見かける。


    樹林帯を抜けて草原で現れたアザミ。


    総苞の棘が長くて鋭い。茎にはクモ毛が生えている。これは北岳中腹の草地で良く見かけるセンジョウアザミ。


    センジョウアザミと北岳


    良く分からないのがこのアザミ。センジョウアザミと花の形はそっくりだが葉が幅広い、茎のクモ毛が少ないが無いわけではない。葉の形が違うタイプのセンジョウアザミとしておこう。


    もう1種類、総苞片が反り返らないもの。これはアザミでは無くヒゴタイの仲間、ミヤマヒゴタイ。アザミもヒゴタイももう時期を過ぎているのが残念。


    ミヤマアキノキリンソウ。これももう終盤である。


    種を飛ばした後のミヤマアカバナ。これはこれで面白い。


    二又の手前から見上げる北岳。紅葉の盛期までもう少し。


    二又から見る右又と北岳


    カラフトメンマと北岳


    ミヤマメシダと北岳。シダ類の詳細は後日別記する。

 私としては良好なピッチで3時間半くらいで二又に到着した。午後1時までに八本歯のコルに到着出来れば・・・と思っていたのだが、左又上部の急登に差しかかったあたりから右足の太腿が痛くなってきた。さらに1つ目のハシゴを登ったところで遂に右足の内転筋が攣ってしまう。決して急いで登ったわけでは無いが朝の立ちっぱなしのバスの疲れか、それとも2日間の出張帰りで寝不足で登って来たための体調不良か、北岳で足が攣ったのは初めてである。ゆっくり休んでハシゴを登って行くと、今度は右手の指が攣ってしまった。八本歯のコルに到着したのは1時半になってしまったが、ここから先が本番のシダ探しである。小屋番の人たちには申し訳ないが4時半に北岳山荘到着を目標にしてその先を進む。


    紅葉のナナカマドと鳳凰山


    見上げる紅葉の北岳バットレス。この辺りで足が攣り、さらにストックを持つ右手の指が攣った。


    八本歯のコルを越えてもうすぐトラバース道の分岐。鳳凰山とポーズを決めた影。日は西に傾きかけている。


    八本歯の頭と富士山。秋晴れのこの日は午後になっても富士山が良く見えていた。


    トラバース道のハシゴは整備されて綺麗になっていた。


    常緑性のアオチャセンシダは元気に茂っていた。


    しかし夏緑生のトガクシデンダはもう枯れかけている。


    幸いにしてこのキタダケデンダはまだ青々としていた。


    夜の星空撮影の場所を考えながら北岳山荘に向かう。

 予定通りの午後4時半に北岳山荘に到着した。天候が良く朝のバスの混み具合から本日は満床かと思っていたのだが以外にもまだ少し空床が残っており、一つの布団で寝ることが出来た。夕食は3回に分けて振舞われ2回目の5時50分が私の食事時間だった。夕焼けに染まる北岳を狙って撮影地に向かったが残念ながら雲が湧き上って北岳は姿を消してしまった。


    夕陽に染まる北岳は雲が湧き上り不発に終わる。


    雲の切れ間から少しだけ見えた夕焼けの雲。夕陽も一瞬だけ見えたが山は見えず。

 この日の日没後の狙い物がひとつあった。北極星の下を飛んで行く国際宇宙ステーションである。時間は6時15分ごろから10分間くらい見えるはずである。しかしその時間帯はちょうど夕食の時間と重なってしまう。そこでタイマーリモートコントローラーを仕掛けて6時15分ごろから連続インターバル撮影出来るようにしてカメラをセットし夕食に向かう。あと30分で雲は晴れてくれるだろうか?

 夕食をさっさと終えて6時15分に外に出てみると霧が晴れて北岳が見えている。もうセットしてきたカメラがシャッターを切り始めている頃である。撮影地まで行ってみるときっちりとカメラが起動してシャッターを切り続けている。肉眼でもISSが見えるはずなので目を凝らして北岳の空を見上げるが・・・見えない。カメラでは捉えているのだろうか?


    北岳の左側、予想していたよりも低い位置にISSが写っていた。


    北岳を貫く国際宇宙ステーションISS。計算では北岳の上を越えるはずだったが予想したよりも低い位置を飛んだ。


    間ノ岳の上に上弦前の月が現れた。右に輝く明るい星が木星、左上が土星、そして月の後ろにうっすらと天の川が見える。


    間ノ岳の上に輝く月と木星


    月光に照らされた北岳とその上に輝くカシオペア座


    インターバル撮影して比較明合成したのがこの画像。北岳を廻る北天の空。

 昨年雲に阻まれて撮影出来なかった北岳を廻る北天の空の撮影にも成功し、手足が攣りながらも登って来た甲斐があった。廻る北天の空の画像はカメラをセットしたまま電池が切れるまで撮りっぱなしで放置し、小屋で寝て翌日の未明にカメラを回収して撮ったものである。途中で強風でカメラの位置が少しズレており、画像は前半と後半の2部に分かれてしまっている。それでも、十分に長時間の撮影が出来た。


    廻る北天の空。後半部の画像。




 

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

北岳の高山性シダを振り返る

2019年10月04日 | シダの仲間
 シダ植物を探すきっかけとなったのが昨年秋の北岳の山行である。私の登る1週間前に山岳レインジャー調査を含めて北岳を訪れたメンバーからキタダケデンダが見つかったという情報が入って来た。私の目的はヒメセンブリとサンプクリンドウだったがいただいた情報からシダ植物の探索も行ってきた。そしてこれこそは、と思って撮影してきたシダは下山してから調べてみるとタカネシダというシダだった。それでも山梨県絶滅危惧ⅠB類の稀少なシダである。情報をいただいたメンバーの画像を見てみてもキタダケデンダでは無くタカネシダ、ないしはアオチャセンシダのようであった。では本物はどこにあるのか?10月に再訪した際にようやく本物に出会えたのだが、既に時期が遅く枯れ始めていた。そして今年の8月、綺麗なキタダケデンダを含めた高山性シダを撮影する目的で登ったのだが、カメラの電池切れでスマホでの撮影画像しか撮れず悔しい思いをした。折角良い状態のシダがあったのに大失敗である。9月再訪を予定したが天候が思わしく無く行かず、そのままになっている。そして、過去3回訪れた際に撮影してきたスマホ画像を含めた画像を良く見直してみると、意外なものを撮影してきていたり写り込んでいたりすることが分かってきた。


    令和1年8月に撮影してきた北岳山頂近くで見つけたシダ。撮影時はトガクシデンダと思って撮っていたが葉が細くてナヨシダのほうらしい。


    その近くにあったものだが、こちらはカメラの電池切れでスマホで撮ったもの。葉の形が幅広く、これはトガクシデンダと思われる。


    悔しいのがこの画像。折角の良い状態のキタダケデンダだったのに、電池切れのためスマホでしか撮れず。


    ソーラス。ズームをかけると画像が荒くなってしまう。


    同じくスマホで撮影したアオチャセンシダ。


    同じくアオチャセンシダだが、この画像の真ん中いちばん上に何やら怪しいシダが写り込んでいた。


    トリーミング画像。この葉の形、トガクシデンダの可能性もあるのだが、イチョウシダにそっくりである。


    さらにこれは平成30年9月に撮影したタカネシダだが、一緒に写り込んでいるイチョウの葉のようなシダ。


    トリーミング画像。トガクシデンダの可能性もあるのだが形からはイチョウシダの可能性が高いと思っている。イチョウシダは石灰岩地を好む絶滅危惧ⅠA類のシダである。


    同じ日にこんなシダも何気無く撮っていた。


    この時は知識が全く無くとりあえず撮って来たのだが・・・調べてみるとイワウサギシダだった。これも石灰岩地を好む絶滅危惧ⅠA類のシダである。思えば周辺の岩が白い。


    裏側のソーラスを見ても間違い無さそうである。


    さらに平成30年10月に訪問した際にとりあえず撮って来たもの。撮影した時はこれがシダか苔かどうか分からなかったが、どうやらコスギランらしい。絶滅危惧ⅠB類である。

 まだシダ植物の知識がほとんど無い時に訪問して撮って来たものなのでその時は分からなくて当然であるし、撮影してきたこと自体も忘れていた。もし次に訪れる機会があるとすれば、もっと別の見方でシダ植物探しが出来るのではないかと思う。他の花を探すうえでもまた違った見方が出来るように思う。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

やっぱり訳の分からないシダばかり 西沢渓谷のシダ  令和1年9月29日

2019年10月04日 | 渓谷
 前日歩いた尾白川渓谷が標高約750mから1,050mくらい、一方西沢渓谷は1,150mから1,350mくらいと、西沢渓谷のほうが300mほど標高が高い。しかしいずれの沢も花崗岩で出来た沢であり、植生は似ているのではないかと思っていたのだが、西沢渓谷のほうが標高が高い分だけちょっと変わったシダが分布しているようである。少しは進歩したかと思ったのだが相変わらず分からないシダばかりで、またまたプリントアウトして図鑑とネット記事とにらめっこしながら判別を試みるがおそらく間違っているものが多いと思う。


    尾白川渓谷で多かったのはジュウモンジシダだったが、こちらの渓谷は圧倒的にこのシダが多い。


    フクロシダ。谷沿いもトロッコ軌道沿いもほとんどの岩にこのシダが付着している。


    ジュウモンジシダも普通にあるのだがそれほどたくさんあるというわけでは無い。


    他の場所でも見かけているが正体が分からなかったこのシダ。


    この場所のものは胞子嚢が付いていた。細長い胞子嚢が小羽片に沿って配列している。おそらくホソバシケシダ(イワデンダ科シケシダ属)と思われる。


    トリーミング。図鑑の記述では包膜の辺縁がギザギザしていると書かれているが、手持ちで撮ったこの画像では判別不能。


    何だか分からないものの中で特に分からなかったのがこのシダ。


    ソーラス配列。


    さらにトリーミングして見てみると細長いソーラスの他に半円から4分の3円形のソーラスが付着している。どうやらこれはヘビノネゴザらしい。


    金ヶ岳の観音峠側で見てきたものとはだいぶ違う感じに見えるが、岩壁にぶら下がるとこんな感じに見えるのではないだろうか。


    これもまた分からないシダ。ソーラス配列からホソバナライシダだと思ったのだが・・・


    何となく違う。何が違うのか・・・最下羽片があまりピンと伸びていない、かつ小羽片が少し丸みを帯びていて葉に隙間があるように見える。


    ソーラス配列を見てみるとほとんど同じように見えるが・・・


    トリーミングしてみると少し大きめのような気がする。これはナンゴクナライシダのほうかとも思ったのだが葉軸の毛はほとんど無く、ホソバナライシダとしておく。


    特徴的なシダは分かるようになった。ツルデンダ。


    一応裏側のソーラスを確認。


    岩壁に付着していたオサシダ。少し黒っぽく見える葉が胞子葉である。土の斜面のところにはシシガシラも生えていた。


    そしてこれが本日の目的のシダ。小さなシダなので見つからないかも知れないと思ったが数ヶ所で発見。


    オオクボシダ


    毛の多い可愛らしいシダである。


    胞子嚢は根元近くの葉に付いていた。


    マクロ撮影


    トロッコ軌道沿いの岩壁でも発見。


    まだ青いソーラスが付着していた。


    そしてもう1種類、これは見つけるのが難しいだろうと思っていたがなんとか出会うことが出来た。


    イワトラノオに似ているが小型で華奢である。


    ヒメイワトラノオ


    ソーラス配列。葉が細めで小さい分だけ付着するソーラスの個数も少な目である。


    トリーミングして葉を拡大してみると、先端部に突起が出ているところもイワトラノオとは異なる。


    別の場所で出会った個体。

 この日は訪問者が少なかったことが幸いしてじっくりとシダ植物を散策することが出来た。もう1種類探していたものがあったが発見できず、今の私のレベルではまだ無理なのだろう。金ヶ岳中腹で見たヒメイワトラノオかと思われたものはこの場所に生育しているものと比べると葉の形が違い、イワトラノオであることが分かった。まだまだ分からないことばかりのシダ植物だが、2ヶ月ほどでだいぶ進歩したような気がする。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする