山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

茅ヶ岳標柱修復  平成20年6月27日

2008年06月30日 | 八ヶ岳・秩父山系
 平成20年6月27日 天候曇り

 茅ヶ岳標柱がいたずらされ、文字が石かなにかで削られているという連絡が私のもとに届いたのはもう1ヶ月ほど前のことだ。毎週のように茅ヶ岳に登られている茅ヶ岳の主、末木さんから写真付きでメールをいただいた。「山梨百名山」の部分を主に削っているところを見ると、県外からの登山者の仕業か?早く修復に行きたかったのだが、天候が悪かったり行事があったりでなかなか行けず、ようやく空いた午後の時間(といっても夕方7時から町内会の会合あり)に一人で標柱修復に向う。

    登山道脇に咲いていたコアジサイ

 大明神林道に車で入り、短絡して登る。黒ペンキとニス、筆、刷毛は3週間前にホームセンターで買い、車に積んであったので、それをザックに入れて午後1時を過ぎた頃から歩き始める。下部の登山道周辺にはコアジサイがたくさん咲き、また途中の明るく開けた場所には蝶が乱舞、グライダーのように舞うウスバアゲハやスジグロシロチョウ、素早く飛ぶテングチョウ、突然飛来するイチモンジチョウなど、たくさん舞っていた。このあたりはアイノミドリシジミをはじめとするゼフィルスがたくさん舞う場所でもあるので、ところどころ木の枝をたたきながら歩くが、ゼフィルスは飛び出さなかった。やや時期が早いのか?

    女岩の水場。カップ類は山梨山の会の末木さんたちが管理してくれている。毎週のように茅ヶ岳に登っている末木さんは茅ヶ岳の番人、標柱に異常があるとすぐに連絡してくれる。


    傷つけられた茅ヶ岳標柱。「山梨百名山」の文字の部分が主に削り取られている。

 3時までには到着するはずだったのだが、ところどころ三脚を立てながら、蝶が留まるのを待って写真を撮ったりしていたために結局山頂到着は3時半になってしまった。雲行きも怪しく、山頂は霧につつまれ、隣の金ヶ岳さえ全く見えない状態だった。標柱を確認すると、思ったほどのひどい損傷ではなくて安心した。削られていたのは前情報通り、山梨百名山の場所が主で、そのほかに標柱左側も損傷していた。紙やすりでデコボコの部分を少し削り、ニスを厚めに塗る。そして、破損した文字の部分を黒ペンキで修復するのだが、これはちょっと難しかった。参考に前回標柱再建した時の写真を持って行き、それと同じように文字を書いたつもりだが・・・芸術的センスに欠けているかもしれない。特に「百」の文字がいまひとつ気に入らないが、塗りすぎて太い文字になってしまうと修復不能になるのでそこそこのところで止める。30分ほどで修復完了し、午後4時過ぎに下山開始。帰りの森の中は霧で薄暗く、深山幽谷の雰囲気満天。スリップに注意しつつ、5時40分ごろに大明神林道の駐車場に到着した。

    修復完了。ニスを塗り、さらに黒ペンキで文字を修復。しかし、いまひとつ文字が芸術性に欠ける気がする。


    深山幽谷、茅ヶ岳の森


    大きなナラの木

 標柱に対してはいろいろな意見があるだろうし、良く思っていない人がいるのも当然と思う。しかし、そういう人たち以上にこの標柱を大切にしている人たちがたくさんいることを覚えておいて欲しい。山梨百名山制覇を目指している人たちはこの標柱とともに記念撮影するのを楽しみにしているのである。
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最短ルートで十二ヶ岳と節刀ヶ岳に登る  平成20年6月15日

2008年06月24日 | 御坂・毛無・天子山系
平成20年6月15日 天候曇り

 この日は当初は傷つけられた茅ヶ岳の標柱を修復に行く予定だったのだが、集まったのは当院に勤務する独身美女2人のみ。この2人は昨年茅ヶ岳標柱再建に協力いただいており、既に茅ヶ岳には登っている。空模様もいまひとつで、茅ヶ岳からの眺望はほとんど期待できなそうだ。何度も同じ山につきあってもらうのも申し訳ないので、朝6時病院駐車場に集まった時点で目的地を変更、御坂山塊節刀ヶ岳に4月に見ておいた最短ルートでツツジを見に行くことにした。

    十二ヶ岳と西湖  途中の展望の良い岩場から見る風景。残念ながらこの日は終日富士山は姿を見せなかった。


    岩場のところで足元に咲いていたギンラン。花が開いているところは初めて見たが、確かにランの花だ。


    眼前に迫る十二ヶ岳。一旦ハシゴを下りて写真下側に見えるロープ付き岩場を登るのだが、初心者2人は一苦労。

 河口湖大石の林道を行き、大石峠への登山道分岐を真直ぐに車で進み、林道突き当りまで進むと、砂防ダム工事のための小屋が立っている。日曜日は工事が行われていないので、工事関係の車は止まっていなかった。4月に訪れた時とはだいぶ様相が変わっていて、登山道入り口あたりが削り取られ、車を止められる広いスペースに変わっていた。その時に工事現場にあった2台の重機の姿は無く、登山道を登って10分ほど行ったところに移動しており、新たな砂防ダム建設のためガレた沢を掘削工事しているところだった。登山道の一部も削られており、迂回して歩くことになる。初心者2人を連れているため、ゆっくりペースで30分に1回休憩を入れながら歩いたが、それでも節刀ヶ岳と十二ヶ岳の中間部コルまで約1時間で到着した。時間は9時、これならば十二ヶ岳まで行く時間は十分にある。まず、左折して十二ヶ岳に向う。こちらの道はまだ歩いたことがなかったが、確か昭文社地図にクサリ、ハシゴありと書かれており、誰かのブログで鎖場の写真を見たような記憶があった。初心者2人がちょっと心配だが、とりあえず行ってみると、案の定、まずはロープの先に10mほどのハシゴの下りあり。ここはさほど難なく通過。問題はその先、十二ヶ岳直下の岩場はロープが数本かけられた20mほどの岩場直登だった。ここはちょっと苦労した。まずは私が先に登って登り方を指示しつつ、一人目を岩の上まで送り届け、一度降りてもう一人を登らせる。2人とも初めてのロープ付き岩登りの経験だっただろうが、無事に登ることができ、十二ヶ岳山頂にたどり着くことができた。時間は10時、予想よりも早く到着できた。30分ほど休憩してまた岩場を戻るが、下りがまた一苦労、しかし無事通過。ハシゴの登りでは2人とも少し余裕が出始める。

    十二ヶ岳制覇! 苦労してロープを登り、達成感満点。


    ハシゴの登り返しではもう余裕の表情。

 十二ヶ岳制覇し、次は節刀ヶ岳に向う。細かい休憩を入れつつ、約1時間20分ほどかけて節刀ヶ岳に到着。山頂直下で下りてくる一人の男性、かぶっている青い帽子と首からかけたタオル、会ったことはなかったが、一目でその人とわかった。「望の富士」で富士山撮影に命を掛けている(?)のぞむ君だ。私のブログとも相互リンクしている人気サイトの管理人。歩いている山域が似通っているので、どこかでばったり出会うだろうとは思っていたが、まさかこの日に出会えるとは思ってもいなかった。下山するところを引き止めて山頂で記念撮影する。のぞむ君、本日は電車とバスを乗り継いで大石から大石峠を経由して節刀ヶ岳に登り、これから十二ヶ岳を越えて桑留尾に下山し、お風呂につかってから帰る予定だったらしい。本日はお目当ての富士山が見えずに残念。しかし、もう一つの目的、大石峠のアヤメとヤマツツジはしっかりと撮影し、デジカメのモニターで見せていただいた。あちら側の途中はヤマツツジが見頃のようだ。私は節刀ヶ岳直下のヤマツツジを期待していたのだが、こちらは赤い花が全く見当たらない。良く見てみると咲いているのは白い小さな花、ヤマツツジの木だとばかり思っていたら、これはドウダンツツジだった。

    節刀ヶ岳山頂で、ばったり出会ったのぞむ君とともに記念撮影。


    ヤマツツジだとばかり思っていた山頂直下の木はドウダンツツジだった。これも収穫。秋の紅葉が期待できる。

 桑留尾に下山予定だったのぞむ君をお誘いして一緒に最短ルートを下山することになった。初心者2人連れなのでペース遅くて申し訳ない。情報を交換するが、のぞむ君、ホームページのタイトル「のぞむの富士」まさにそのままの富士山大好き人間、富士山が見える山以外はあまり興味がないらしい。7月は硫黄岳山荘泊りで八ヶ岳に行くらしい。コマクサをはじめとする高山植物が咲く絶好の季節、横岳から見る赤岳に並ぶ富士も最高だ。大いに楽しんできて欲しい。私の大好きな南アルプスも勧めておいた。スローペースながら順調に下山し、1時半ごろ車を停めてある林道に到着した。のぞむ君はどこかの温泉に寄ってから中央線で自宅に帰るとのことだったので、女性2人を病院駐車場まで送り届け、ついでに病院内の私の写真が展示してある廊下ギャラリーを(無理矢理)案内した。その後2人で信玄の隠れ湯、積翠寺温泉古湯坊を案内し、一緒にお湯につかってきた。古湯坊は我が家から車で10分ほどのところにあり、義母の法事で2度使っているがお風呂に入ったことはなかった。甲府盆地を見渡すまでは行かないが、眺望の良い展望風呂はなかなか良かった。4時過ぎ、のぞむ君を甲府駅までお送りしたが、最近毛無山から雨ヶ岳縦走などロングコース歩きを楽しんでいるのぞむ君、本日は明らかに消化不良になってしまったのではないだろうか。しかし、本日目的地変更したおかげでのぞむ君にお会いできたことは大収穫だった。秋になったら黒富士、黒平ルート一緒に歩きましょう。眺望抜群の秘密の場所、撥岩も案内します。
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八ヶ岳の星空とツクモグサ  

2008年06月09日 | 八ヶ岳・秩父山系
 平成20年6月6-7日  天候晴れ

 梅雨時にしては珍しく、天気予報で週末晴れそうだ。7日の土曜日は良さそうだが8日には雲が広がるらしい。となると、ねらい目は6日の金曜日の夜空。アストロガイドとカシミール3Dで天の川の位置を調べると、深夜11時ごろから横岳から見る赤岳が良さそうだ。細い月は9時半には西の空に沈み、星空撮影には絶好の条件となる。ただ問題は何時に横岳に到着できるか。午前中の仕事と雑務を片付けて、甲府を出発したのは午後3時近くになってしまった。
 美濃戸口を過ぎて美濃戸まで車で行く。途中を大きなザック担いで林道を歩いている若者がいたので乗せてあげると、赤岳鉱泉で働いている人だった。山の情報を聞くと、今年は雪が多く、1週間前はまだツクモグサは咲いていなかったという。昨年同時期にはまだほころびかけた頃だった。本日の宿泊先を聞かれたので行者小屋に泊り、空を見て横岳に星空を撮影に行くと答えた。さて、美濃戸には午後4時到着、昨年ホテイランを見られずに悔しい思いをしたので、赤岳山荘に駐車料金を払うかたわら、念入りにホテイランの咲いている場所を聞いて行く。南沢沿いの意外と近い場所に一輪咲いているのを見つけた。ゆっくり探してはいられないので、帰り際に探すことにして先を急ぐ。途中で左に曲がって沢から離れて道がつけられている箇所があるのだが、間違えて倒木をまたいで直進してしまった。その先には滝が2つ、一つは幅3mほどあり、徒渉はやや危なそう。どうみても道を間違えたのだが、滝の向うに細い踏み跡らしきものがあるので、たぶん左手に登って行けば道に出るはず。と勝手に決めつけて滝を渡り、獣道のような道を伝って左斜面を登る。しかし、2段ほど上まで登ったが道は見当たらず、おかげで滝の源頭を見ることができた。さらに沢を遡上するように斜面に沿って進み、もう一段上に登ったところでようやく登山道に出た。体力・時間ともだいぶ消費する。

    強行突破して渡渉した南沢に注ぐ滝。どう見ても道間違ってるだろう。

 そんなこともあって、行者小屋に到着したのは6時45分だった。空を見上げると曇り空、赤岳や横岳には大きな雲がかかり、山頂は見えない。しかし、時折雲の切れ間から青空が見え隠れする。夜になって空気が冷えれば、雲は下に行くに違いない、そう言い聞かせて夕暮れの地蔵尾根をヘッドライト点灯し、登り始める。樹林帯の中は雪があるので、昼間ならばアイゼン不要だが夜なので簡易アイゼン装着して登る。途中は完全に雲の中、白い霧が目の前を流れてゆく。稜線下の地蔵が待つ展望台に到着したのは8時40分ごろだった。雲の彼方に薄明かり、細い三日月の光が見えるようになってきた。1年ぶりのお地蔵さんと対面し、ひと息入れていると、パッと雲が飛び、阿弥陀岳が姿を現す。そして諏訪の町明り、沈み行く三日月。空を見上げると阿弥陀の右上にふたご座のカストルとポルックスが輝いている。天の恵み、お地蔵さんに感謝する。しばし夜の景色を眺めて再び登る。
 地蔵尾根を登り切ったところで赤岳を見上げると、さそり座が縦に登り、全容を現していた。しかし時間はまだ早い。狙うのはさそりが赤岳に寝そべるように傾き、その左に天の川が輝く時間。横岳への登りのハシゴと鎖が心配だったので、慎重に通過して中腹の平らになった場所まで行く。時間は10時、ほぼ予定通りの時間に無事到着できた。この頃には雲はすっかり晴れ、凄い星空が広がっていた。登って来た甲斐があった。本日はボーナス前借りでCanonの新しいレンズ(値段10万円!)に変えてきたので、どういう写り方をするのかも楽しみだ。三脚とカメラセットし、長時間露光撮影しつつ、寝所を確保、といってもどうせ徹夜で撮影なので、持って来たのはツエルトとシュラフカバー、マットのみ。あとはダウンジャケットとカッパで寒さを凌ぐ。だいぶ雪を踏んだので足先が冷たく感じ、ホッカイロを貼ったのみであまり寒さを感じずに一夜を過ごすことができた。

    赤岳の夜(ホワイトバランス日陰)  甲府盆地の町明かりが強い。

 狙っていた甲府盆地側の天の川は、甲府盆地の明りが明るすぎて期待通りに写ってはくれなかった。しかし、赤岳の真上を通り過ぎて行くさそり座は圧巻だった。そして深夜2時過ぎ、赤岳の右側に出た天の川は見事だった。時折雲が流れて視界が遮られる中、幸運なことに1枚だけレンズが薄く結露したおかげで木星が幻想的な光を放ってくれた。これも天の恵みだ。

    木星輝く


    天の川輝く


    スター・ダストとカシオペア座  岩峰は横岳。

 1時間ほど横になったほかは(予定通り)眠ることも無く朝を迎える。赤く染まる赤岳を期待したのだがあまり染まることなく日が登る。5時半、ツエルトを片付け、もう一つの目的、横岳のツクモグサを見に行く。10分ほど上に登ると長い鎖のつけられた斜面があり、そこはまだ雪渓が残り、凍りついていた。鎖につかまりながら慎重に通過し、登り切って左側の斜面にツクモグサがたくさん咲く場所がある。そこは踏まれないように緑のロープが張られている。近付くと、昨年の倍くらいあるだろうか、まだ花は開いていないものの、たくさんのツクモグサが土の中から顔を出していた。ふさふさと毛の生えたその姿は可愛らしくて愛嬌たっぷりだ。今年も会うことができた。来週ごろから見頃を迎えそうだ。

    朝の赤岳


    赤岳と富士  一段登ったところから撮影。


    横岳のツクモグサ  昨年に比べて花の数は今年のほうが多い。


    まだ蕾のツクモグサ

 地蔵尾根の分岐まで下り、さてどうするか。まだ時間は7時前だが、寝不足で体がだるく、歩くのは結構辛い。3年前に1度登っただけの赤岳が目の前に聳えている。とりあえず赤岳展望荘まで行って休憩。元気は無いがこの日は雲海の上の抜群の眺望、赤岳山頂からは権現岳の上に南アルプスが見えるはずだ。だるい体を引きずって赤岳に登る。8時半赤岳山頂到着、予想通り雲の上に姿を見せる南アルプス、雲巻く権現岳の眺望を楽しむことができた。9時には下山開始するが、全くピッチ上がらず文三郎尾根を転ばないようにダラダラと歩く。行者小屋で軽食をとり、南沢を戻るが、上りの時は沢沿いにずっと歩いてきたと思ったのだが下りは沢の左側の林を歩く道だった。どうも上りながら2度道を間違えたらしい。ホテイランのあるあたりで登山道周辺に気をつけながら歩いていると、目的地の手前で1本発見、さらに渡渉してすぐのところにもう1本、道をはずれて斜面を見渡すと数本咲いており、計6本自力で見つけることができた。赤岳山荘のおかみさんに教えてもらったあたりは数人のカメラマンが撮影に夢中で、またホテイラン探しを目的に来ていた3人組のおばさんたちは、なんと、19本も見つけたという。ちょうど最盛期だったようで、こんなにたくさん咲いているとは思ってもいなかった。稀少なランをたっぷり堪能し、美濃戸駐車場に午後1時半到着。眠い目をこすりながら、顔に張り手をくれつつ車を運転し甲府に戻る。夜間強行登山でちょっと危険だったが充実した山行だった。

    赤岳頂上小屋から見る山頂。向うに甲斐駒・仙丈が見える。


    赤岳山頂から見る権現岳と南アルプス


    南沢に咲いていたホテイラン
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難峰、鶏冠山

2008年06月02日 | 八ヶ岳・秩父山系
 平成20年6月1日 天候晴れ

  山梨百名山のうち、スペシャリストの山と言われる山が4山ある。そのうちの一つである鶏冠山は標高差1000mあまり、日帰りで行ける山ではあるが、明瞭なルートが無く岩登りの技術を必要とし、技術的には最も難しい山である。技術のない私にとって、この鶏冠山は山梨百名山中、最も難しい山だと感じており、実際、初回の登頂も一人では登れそうもなかったので、ELKツアーに入れてもらって登頂している。あれから2年、果たして登れるのか?久々のおやじ登山隊出動だが、植田さんは勤務する営業所の成績が良かったらしく、会社のご褒美でハワイ旅行に出かけている。山口さんと2人で出かける。

    吊り橋から見る鶏冠山。すぐそこに見えるのだが…。

 西沢渓谷駐車場に朝6時集合、渡渉する格好で歩き始める。吊り橋を渡って少し登ったところから東沢に入る。かつてはここに入山禁止の看板が立っていたと思ったのだが、その看板は道を少し入ったところに立てられていた。道の切れたところで河原を歩き、徒渉、この季節はまだ雪解け水が流れ込むので、足先が麻痺するほど水が冷たい。かつては3回渡渉で済んだのだが、河原の地形が変わっていて4回徒渉することとなる。川にせり出した大きな木に「出合」の看板が取り付けられており、そこが取り付き口である。「鶏冠山登山口」と書かれた朽ちかけた木の看板があったのだが、もう無くなっていた。

    鶏冠谷出合の取り付き口。上のほうに看板が取り付けられている。

靴を登山靴に履き替え、準備して7時20分、登り始める。鶏冠谷に入ったところでスチール製の看板が目立たないように立てられている。尾根の道はごく普通の登山道、いきなりの急登だが、1時間ほど歩いて大きなツガの木が3本立ち並ぶあたりから傾斜は緩くなる。シャクナゲがドーム状に生い茂るあたりは倒木が多く、やや荒れている。そして再び木の根をつかみながら登るような急登となり、登り切って着いた尾根に「鶏冠山」「鶏冠谷出合」の看板が立っている。ここで一休み、ここから下ではもうシャクナゲは終わっていたが、このあたりから見頃を迎えていた。ここまでは迷う場所もなく、普通の登山道である。

    尾根道に咲くアズマシャクナゲ


    木の根につかまりながら崩落した急斜面(というか崖)を登る山口さん。

 道はコースを右向きに変え、細くてやや薮っぽい尾根道となる。ところどころ岩のある尾根を進むと、大きな岩に突き当たり、ここに「鶏冠山-広瀬」の看板があり、ここで道は中腹を巻くように左に向かう。ここは細い道だが、2年前はしっかりした道があった。ところが、地すべりをおこして斜面の木が倒れ、道は大荒れ状態、倒木の上を踏みながら歩くようなひどい道になっていた。前日の雨で斜面は滑りやすく、木の根につかまりながら慎重に通過、一部崩れた斜面を通過してチンネのコルと呼ばれる休憩に適した場所に到着する。ここにも「鶏冠山-広瀬」という古い看板がついている。ツガの木の隙間から向こう側に国師ヶ岳、北奥千丈岳の大きな山体が見える。


    第一岩峰から西沢渓谷を望む。ループ橋、ネトリ橋、吊り橋が見える。


    第一岩峰から見る鶏冠山


    山頂付近のアズマシャクナゲ。もうすぐ満開だが、当たり年ではない。

 時間は9時半、順当な時間だろう。ここで尾根は右(北向き)に進路を変え、ツガの林を抜けた後、いよいよ鶏冠山の核心部、第一岩峰、第二岩峰の岩登りとなる。第一岩峰の下にたどり着くまでの道は一部わかりにくいところがある。岩峰を右に巻いたと思えば急に道が無くなり、左の木にテープがついていて、急斜面を木の根につかまりながら登る場所や、道だか薮だかよくわからないところもあるが、2年前に比べるとこのあたりは道標のテープや矢印がすいぶん整備され、迷いにくくなっていた。そして岩の上に残置スリングがかけられた岩登り、結構苦労して登ったような記憶があるが、岩の割れ目が以前より大きくなったのか、あっさりと登ることができた。その先の矢印がついた岩も同様。そして山頂直下の第三岩峰に到着。強者はここを直登するらしいが、巻き道の看板があるので右側に回りこんで裏側から山頂に登る。しかしこの巻き道、下降点がかなりの傾斜あり、木の根っこにつかまりながら下りる。そして11時40分、山頂に到着。なんとか迷わずにザイルも使わずに登ることができた。眼下に見える東沢の切れ込みが凄い。たくさんの滝が流れ込んでいるのが見える。そして国師ヶ岳、黒金山の眺望、富士山が雲隠れしていたのが残念だったが、登頂した満足感と相まって他の山とは一味違う景色が楽しめる。

    東沢に注ぎ込むたくさんの滝。向こうの尾根は石塔(せきとう)尾根、その向こうの山は黒金山。


    東沢の滝


    山頂で記念撮影。後ろの山は国師ヶ岳。

 昼食をとり、大休憩して下山だ。岩峰の下りは足元が見にくいので、2回ほどザイルを出して通過。チンネのコルの先にある崩落箇所はザイル出さずに通ったのだが、濡れた斜面でスリップしてずるずると2mほど落下、木の根っこにつかまった時に右手親指を挟んで擦り傷を負う。それ以外は問題なく、午後3時半、出合到着、渡渉して午後4時半、西沢渓谷駐車場に到着した。入り口のところにある売店のよもぎ餅は有名で、以前立ち寄った時は2回とも売り切れだったのだが、今回はちょうど店頭で焼いているところだったので、2個ほどご馳走になってきた。甘さやや控え目のやわらかいよもぎ餅でおすすめである。同行した山口さん、これで山梨百名山残り5山となった。まだスペシャリスト2山、鋸岳と難敵笊ヶ岳が残っている。

    可愛らしいクモイコザクラの花。奥秩父、八ヶ岳と南アルプスの特産種。


参考(にならない)タイム
西沢渓谷駐車場6:10-鶏冠谷出合7:10-巻き道9:00-チンネのコル9:35-第一岩峰10:20-第三岩峰下11:10-鶏冠山山頂11:40
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