山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

雷鳴轟く蓼科山  平成20年7月26日-27日

2008年07月29日 | 日本百名山
 平成20年7月26日-27日  天候曇りのち雷

 この日は高校生の息子の夏合宿が始まるため、同級生2人を乗せて12時半に3人を宿泊予定地の清里に送り届けた。そこから佐久方面に北上し、左折して北八ヶ岳を横断し、蓼科山に向かった。地図で確認し、いちばん短時間で山頂に到着できそうな南西側の7合目鳥居から登ることにした。移動に結構時間がかかり、登り始めは午後3時になってしまう。天気予報で午後から大気の状態が不安定になると言っていたので、多少の雨は覚悟していたのだがまさかあんな雷につかまるとは思ってもいなかった。

    登山口の7合目鳥居

 最初は緩い傾斜だがだんだんと傾斜は増す。道は広いが石がゴロゴロしていてスリップしやすく、やや歩きにくい。中腹の天狗の露岩あたりで雲行きが怪しくなってきたが、まだ雲間から陽が射していた。この先あたりで小雨がぱらつき出し、ザックカバーだけ着けて木陰で雨宿りしつつ登る。蓼科山荘(中腹の小屋)に到着したのは4時半、このあたりで雨足が強くなってきたので、小屋の軒下で雨宿りさせてもらい、カッパを着る。小屋のご主人が出てきて、今日は山頂で星空を撮影する予定だと話すと、やめろと止められると思っていたのとは裏腹に良い写真を撮ってくるように励まされた。実に理解のあるご主人だ。

    天狗の露岩。このあたりで雲行きが怪しくなってきたが、まだ雲間から陽が射していた。

 5時頃に雨足が細くなったので山頂向けて出発。途中で親子連れとすれ違ったが、小学生低学年と思われる男の子に山頂直下は雨で滑りやすいから気をつけるようにと注意された。夕暮れが近かったので「お気をつけて」と言うと、その子に「こんな時間に登ってきて気をつけてというのはこっちのほうだよ」と逆に説教されてしまった。登ること20分ほど、山頂小屋まであとわずかというところで雨足が強くなり、遠くで鳴っていた雷鳴が近くでゴロゴロと鳴り出す。と思ったら、100mほどしか離れていない隣の山の山頂にビカビカッツというもの凄い稲妻が走る。間を入れずにバリバリッ、ドンという凄い音が響き渡る。雷雲につかまってしまった。通電する可能性のあるストックとカーボン三脚を積んだザックを置いてひとまず岩陰に隠れる。ふとあたりを見ると、5mほどのところに倒れたダケカンバを補助するための高さ5mほどの竹棒が立てられていた。これはまずい、足早に反対側のダケカンバ林の中に逃げ込み、しゃがみこんで雷雲が遠退くのをじっと待つ。雷、こっちに来るな!と祈るしかない。待つこと30分、光ってから2~3秒で轟いていた雷鳴が7~8秒の間隔となったところで、ザックとストックを拾って頂上小屋目指して大急ぎで登った。なんとか雷に打たれずに6時半、小屋に到着したが、生きた心地がしなかった。

    夕空を切り裂く稲妻  小屋から撮影。

 小屋に到着すると小屋主さんが心配して出てきてくれた。事情を話し、この日は小屋に宿泊させてもらうことにした。相変わらず空は稲光が走り、凄い雷鳴が轟く。小屋についてひと安心、持っていったカップラーメンで夕食をとる。落ち着いたところで、さて、撮影会開始。星空撮影の予定が一転、稲妻撮影会となる。三脚を構えて馬鹿みたいにシャッターを切っている私を宿泊している人たちは奇異に観ているのではと思っていたが、意外とそうではなく、良い写真を撮ってくれと励ましてくれた人が多かった。それにしても、山の上から見る稲妻ショーは迫力満点だった。

    佐久の明かりと稲妻


    八ヶ岳の落雷

 夜11時ごろようやく雷が止んだ。その頃にかわいい女性が一人起きてきて私につきあってくれた。山はまだ初心者で、友人と2人で来たという。先週登った南アルプス北岳のお花畑が凄いこと、その前の八ヶ岳横岳のウルップソウが満開で素晴らしかったこと、カメラの話、そして最近凝っている星空の話、こういう話をし始めると話が尽きない。ちょうど雨も上がって月が昇り始め、小屋の上に出た明るい木星も一緒にみることができた。1時間近くもつきあってくれ、私にとっては実に楽しいひと時だった。深夜12時半、あっという間に雲が沸き始め、小屋は深い霧に包まれてしまう。本日の撮影会はここまで。小屋主さんが特別に配慮してくれた1階の4人部屋に一人で寝かせていただいた。

    雷雲去りて月昇る


    小屋の上に出た木星と天の川

 一旦3時半に外に出るが霧は晴れず、次に目が覚めたのは5時過ぎ、小屋の朝食を準備する音で起きる。外に出ると相変わらずの霧の中だが、頭の上で真っ青な青空が見え隠れし、雲は薄そうだ。待てば八ヶ岳や南・北アルプスとご対面できるかもしれない。ちょうど昨晩の女性とその連れの女性が2人で小屋のまわりを散策していたので、お願いして真ん中に入れてもらい記念撮影する。(鼻の下伸びっぱなし!)持っていったパンを食べて早々に朝食を済ませ、山頂に向かう。山頂は噴火の跡なのか臼状の窪地になっており、その中央に山頂の鳥居が立てられている。三角点の反対側には方位板が立てられていて、そこからの眺望はまたいちだんと素晴らしい。八ヶ岳や南アルプスはわずかに姿を見せたのみだったが、雲海の上の影蓼科山とブロッケン現象を見ることができた。

    小屋で知り合った女性二人組と記念撮影。2人とも超カワイカッタです。鼻の下伸びっぱなし。


    山頂の鳥居。向こうに見えるのが方位板。


    雲海の彼方の南アルプス


    一瞬の赤岳


    影蓼科山

 小屋に戻るともうほとんどの人たちは下山したあとで、私が最後になる。いろいろと配慮していただいた小屋主さんにお礼を言い、午前7時、下山開始。下の小屋にもちょっと立ち寄り、昨日の雷に会ったことを話してから下りる。順調に下山し、約1時間半で7合目鳥居に到着した。
 雷に会うとんだ山行となったが、この山の小屋主さんたちは実に良い人たちばかりだった。写真撮影にも理解があり、いろいろと配慮してくれたことが本当にうれしかった。次に行く時は空気が澄んだ満点の星空の時に訪れてみたい。小屋泊まり、おみやげを持って。
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花咲く北岳(1日目)  平成20年7月19日

2008年07月23日 | 南アルプス
 平成20年7月19日 天候晴れ

 2週間前は風邪のためキタダケソウを見に行けず悔しい思いをした。2週間過ぎてもまだ治りきらず、咳と痰が続いている。しかし、歩くにはあまり支障なさそうなので連休を利用して2泊3日で農鳥岳まで行く計画を立てた。同行するのは山梨百名山残り7山あまりの植田さんと登山初心者の当院事務員の斉藤さん。斉藤さんは1泊しかできないとのことなので、翌日一人で広河原まで下山してもらう、はずだった。

    大樺沢沿いに咲くミヤマハナシノブ

 さて、6時半病院集合で私の車で芦安駐車場に移動。既に車は満杯に近く、いちばん端の第八駐車場に車を止める。7時40分のバスに乗り、9時に広河原を歩き始めた。コースは一番安全な二俣から右俣を登るコース、北岳肩の小屋に宿泊させてもらう。連休で混雑が予想されるので、寝る場所が無い時のことを想定してツエルトとマット、シュラフカバーを持っていった。植田さんはトレーニングだと言ってテント、マット、シュラフと完全装備で登る。いつもの通りの花を楽しみながらの亀足ペースで歩く。大樺沢沿いにはミヤマハナシノブが咲き元気をつけられる。心配していた雪渓は二俣の下、距離にして200mほどで、しっかりと踏み固められておりアイゼンは装着せずに登れた。その先の左俣はハシゴ下まで雪渓が続き、アイゼンなしではちょっと危なそうだった。

    大樺沢から見る北岳と左俣の雪渓

 二俣に12時半到着、昼食をとる。陽射しが強く、結構熱い。いよいよ右俣の急登、さらにゆっくりしたペースで登る。途中にキバナノアツモリソウが咲いているところがあると聞いていたので、教えてもらった場所を念入りに探したがとうとう見つけることはできなかった。午後2時半ごろに草スベリの分岐に到着、そのあたりはちょうど満開のシナノキンバイのお花畑になっていて事だった。登山中に抜きつ抜かれつしていた若者3人のグループともすっかり仲良くなり、打ち解け会って肩の小屋を目指す。

    右俣上部のシナノキンバイのお花畑


    肩の小屋直下のミヤマシオガマ

 小太郎尾根分岐の稜線に抜けると景色は一変、目の前に大きな山容の仙丈岳と格好良い甲斐駒ヶ岳が姿を現す。花もシナノキンバイからハクサンイチゲ、ミヤマキンバイ、ミヤマシオガマなどのお花畑に変わる。小屋まであとわずかだが、フル装備で来た植田さんはかなりばてているようだった。私も高度を上げるごとに咳がひどくなり、呼吸が苦しくなってきた。そして午後5時、目指す肩の小屋に到着した。

    肩の小屋直下のお花畑。夕陽に映える。


    テント場は満杯状態。

 小屋では夕食の準備の真っ最中だった。受付を済ませると、小屋主の森本さんが私の名前と顔を見て、「あれっ、前にも来たことあるよねー」という話になり、嶺朋クラブの名を告げると、ビールと女性にはコーラをサービスしてくれた。私もずいぶん有名になったものだとちょっと自己満足する。一緒に登ってきた若者3人組も好ポジションにテント場所を確保し、さっそく設営にとりかかっていた。記念に私たちのパーティーとともに小屋の前で思念撮影をした。6時を過ぎてもまだ日は高く明るい。小屋の直下のお花畑が見事だったので私は三脚を担いで撮影に出かけたが、その頃から咳がだんだんとひどくなってきた。仙丈岳の左側に沈んで行く夕陽が実にきれいで、小屋裏の石垣の上に三脚を立てて何枚も写真を撮った。咳はさらにひどくなり、呼吸が苦しいほどになる。小屋に戻ると夕食に呼ばれていたらしいのだが、撮影に夢中で全く気付かなかった。私たち3人組は遅れて、食事を出してもらったが、植田さんは寝不足と疲れで一口も食事をとることなくシュラフに潜り込んで早々に眠りについた。私は咳で苦しく、酸素缶で酸素を吸いながら食事をとるという異常事態になる。咳止めの薬を持ってきたはずだったのだが見つからず、奥の手で高山病対策に持っていたステロイド剤を内服。呼吸が整うと咳もしだいに治まってきた。高度3000mあたりから空気が薄くて呼吸が荒くなるため、風邪で過敏になっている気道を刺激して咳が止まらなくなるらしい。この時点で明日の農鳥岳行きは断念し、斉藤さんとともに下山することにした。

    途中で一緒になった3人組と記念撮影。水野君と内山君…だったかな?すみません、忘れました。


    仙丈岳に沈む夕陽  雲が湧き上がり、実にきれいな夕陽だった。

 小屋は混雑していたが、1階のいちばん端のスペースに寝かせてもらい、かなりゆったりしたスペースで寝ることができた。といっても、最近夜中の撮影に凝っている私は外の様子が気になってしょうがない。8時過ぎ、外に出て9時半まで月を眺め、2時間ほど寝て今度は深夜1時半から北岳山頂に昇った月を撮影する。一旦横になったが寝付けずに3時半、再び外に出る。既に夜明けを山頂で迎える人たちが準備し、登っている人たちもいた。結局そのまま夜明けを迎えてしまうことになる。(2日目に続く)

    月光の奏でる夕景  明るい星は木星。


    北岳山頂に昇った月  午前2時ごろの風景。
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花咲く北岳(2日目)  平成20年7月20日

2008年07月23日 | 南アルプス
平成20年7月20日 天候晴れのち曇り

 朝3時半になるともう出発の準備をする人たちで山小屋は動きが活発になる。日の出を山頂で迎えるためヘッドライト装着して登って行く人たち、テント撤収して出発準備をする人たち、日の出の写真を撮るため三脚を構えて待つ人たち。山の朝は早い。私は天候と体調が良ければ山頂で日の出を迎えたかったのだが、雲がかかったすっきりしない空模様、相変わらず動くと咳が出始める体調、山頂はあきらめて肩の小屋前で日の出を迎えることにした。

   夜明け前の肩の小屋前。日の出を待つ人、山頂に登る人、動きが活発になる。


    朝の富士山

 雲海の上に富士山はみえるものの、最近多い霞がかった富士山。すっきりした富士山は標高3,000mの高さでもなかなか姿を見せてくれない。やがて鳳凰山の観音岳と地蔵岳の間から赤い陽が昇る。いつ見ても美しい日の出だが、しかし予想したとおり空はあまり焼けなかった。
 小屋に戻るとちょうど植田さんと齋藤さんが食事しているところだった。終了したところで準備し、朝5時、北岳山頂に向って出発。いつもの調子で山頂向けて登って行くと、あっという間に息が切れてゼーゼーし、咳と痰がひどくなる。2人には先に行ってもらい、登山道をちょっと脇に逸れて休憩すると・・・そこには雲海に浮かぶ富士山と、お気に入りの花、ミヤマオダマキの咲く岩肌の景色が待っていた。怪我の功名、思わぬ景色をカメラに収めることができた。その後も息が上がらないようにスローペース、休憩を交えながら山頂目指し、1時間10分かけて北岳山頂に到着した。

    北岳と雲  山頂に登る途中から見える富士山を被うように大きな雲が出始める。


    花と富士の饗宴  北岳に登る途中の稜線で撮影。

 山頂では昨日の若者3人組も休憩しているところだった。20分ほど休憩して記念写真をとり、農鳥岳を目指す植田さんとはここで別れ、齋藤さんと私はトラバース道のお花畑を見に一旦八本歯のコルの方向に下りる。トラバース道のキタダケソウが残っていないか、念入りに探したがあるのは葉っぱだけ、花は一輪も見つけることができなかった。わずか1ヶ月ほどしか見ることができないキタダケソウ、来年こそは再会したい。2年前の7月に訪れた時のトラバース道で見たシナノキンバイとハクサンイチゲのお花畑は本当に感動した。山の上にこんな楽園があるなんて思ってもいなかった。あの時、雪渓でカメラが濡れ、故障して撮影できなくなってしまったので、是非もう一度撮影に行きたいとずっと思っていた。ようやく訪れることができた花の北岳、やはり山頂からトラバース道周辺の花は凄い。若干シナノキンバイの数が減った気はするが、それでも見ごたえ十分だ。ゆっくり散策して、北岳山荘側の道を山頂向って登り返す。

    北岳山頂で見たブロッケン現象


    ハクサンイチゲのお花畑と間ノ岳

 ピッチを上げるとすぐに咳が出だすのでスローペースで登り返し、少しでも息が上がるとすかさず休憩。登山道をちょっと外れて休憩すると、そこにはまた間ノ岳の素晴らしい眺望が待っていた。これもまた怪我の功名。足が遅くて左右を見ながら歩くといろいろな花を見ることができ、体調不良で登山道を逸れて休憩すると良い景色にめぐり合う。この遅いペースが私にとっては武器になっているのだと勝手に思い込んでいる。山頂を経て11時、肩の小屋に到着した。

    ほころび始めたキンロバイと間ノ岳  トラバース道からの風景。


    イワベンケイ、雄花と雌花。


    残雪の間ノ岳カール  登山道をちょっと外れて休憩すると素晴らしい景色が待っていた。

 昼食をとり、荷物を詰めなおし、小屋主の森本さんと記念撮影をして12時、下山開始。バスは4時と5時15分だが、少し急げば4時に間に合いそうだ。右俣コースをやや急ぎ気味に下る。草スベリ分岐あたりのシナノキンバイはちょうど真上から日があたって昨日よりもさらにたくさん、鮮やかに咲き誇っているように見えた。良い臭いのする(?)ミヤマクロユリも咲いていた。順調に下山し、初心者の齋藤さんも全くトラブル無く、午後3時45分、広河原バス停に到着した。

    小屋主の森本さんと記念撮影。次は9月にまた伺います。


    草スベリのシナノキンバイ。見事!


    ミヤマクロユリ。鼻が曲がりそうな強烈な臭いがする。

 何度登っても、いつ登っても感動を与えてくれる北岳。地球温暖化と鹿の食害などによって年々狭くなっているお花畑。この美しい風景がこれからもずっと変わらずに引き継がれてゆくことを切に願う。そして、このレポートと写真を見て、一人でも多くの方が北岳を訪れてみたいと思っていただけたなら幸いである。
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花咲く八ヶ岳横岳 7月13日

2008年07月18日 | 八ヶ岳・秩父山系
 7月13日  天候晴れのち曇りのち雨

 体調不良ながら昨日の富士山の疲れはほとんどなく、朝4時半に目が覚めた。空模様は良好、三つ峠の富士山ライブカメラを見ると霞の上に富士山が浮かんでいる。今頃八ヶ岳はコマクサが咲き始めた頃だろう。うまくすれば満開のウルップソウが見られるはず。花咲く八ヶ岳横岳に杣添尾根を直登した。
 お風呂に入ってから準備し、海ノ口の登山道入り口に到着したのは8時になってしまった。既に駐車場は満杯で止む無く路上に他の車と並べて駐車する。歩き出すと咳がコンコンと出始め、途中でマスクをつけて歩く。休憩している間に中高年7~8人のグループと4人のグループに追い抜かれ、その後は抜きつ抜かれつのペースで一緒に杣添尾根を登ることとなる。7~8人のグループはどうみても平均年齢は60歳以上、なのに全く引き離せない。後に休憩中に話をしてわかったのだが、静岡の三島勤労者山岳会のメンバーだった。帰ってきてから会のホームページを見て納得、それなりにハイレベルの登山を行っているグループだった。

    杣添尾根稜線から見る赤岳


    横岳稜線直下のミヤマダイコンソウと赤岳

 杣添尾根の稜線に抜け、赤岳の展望が開けたところで私は三脚を出して写真を撮る。その間に三島勤労者山岳会の人たちは横岳への最後の急登を登っていった。さらに4人のグループも先に登って行く。私が横岳稜線に到着したのは12時少し前、たくさんの人たちが訪れており、ちょうど昼時だったので休憩して食事している人たちがたくさんいた。横岳の稜線はまさに花満開、ハクサンイチゲ、チョウノスケソウ、ミヤマダイコンソウ、ミヤマキンバイ、ミヤマシオガマ、オヤマノエンドウなど、一斉に咲き誇る。そして圧巻だったのはちょうど見頃を迎えていたウルップソウだった。どちらを見ても一面のお花畑、ちょっと無理して登ってきた甲斐があった。三脚を担いであっちをぶらぶら、こっちをぶらぶら、3時間も横岳の上で楽しんだ。

    横岳のお花畑と赤岳


    岩場に咲く花たち  後ろは赤岳


    ウルップソウのお花畑と阿弥陀岳


    ウルップソウ咲く横岳大権現のお花畑

 午後3時近くになるとさすがに人もいなくなり、雲行きも怪しくなってきた。さて、下山。樹林帯に入るや否や、視線と同じ高さでゴロゴロと遠雷が鳴り始め、雨が降り出す。カッパを着てスリップに注意しつつ下山し、午後5時半、無事に駐車場に到着した。あまり見るものの無い富士山に比べると遥かに楽しい山行きだった。

    ウルップソウと横岳大同心


    ミヤマシオガマに紛れてムシトリスミレ一輪


    ガレ場に咲くヤツガタケキスミレ。八ヶ岳特産種。
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ミッション、日本最高峰を制覇せよ!  7月11日

2008年07月18日 | 日本百名山
 7月11日-12日 天候晴れ

 職員の希望で富士山に連れて行ってくれと頼まれた。あの山は登るものではなくて見るもの、ただの岩山で花もなく、何も見るもの無し、と私は思っている。御来光と言っても私に言わせればただの日の出。山梨百名山の中では私の中では一番行きたくない山だ。しかし、登山の経験が無い当院職員に頼まれればいやとは言えない。どうせ行くなら希望者を募って、総勢10人で行くことになる。

    総勢10人。マイクロバスに乗り込み、いざ、出陣。

 出発は11日金曜日の夕方、仕事を終えてから18時に病院前からマイクロバスを出して出発。私は先週の風邪がまだ治らず、鼻水ダラダラ、咳コンコンの状態だ。病院関係者なのだから少しは医学的なことをやろうと、今回は酸素飽和度モニターを病院から借りて行き、高度を上げると血中酸素飽和度はどう変わるのか調べることにした。富士山5合目に20時15分ごろに到着、心配していた夕立はなさそうだ。さっそく全員の酸素飽和度を計るとほとんど93%~96%くらい、それでも平地に比べると低いのだが、私だけ89%を示す。深呼吸を繰り返すと94%まで上がり、なにか変だなと思いつつもそんなものかと夜9時から歩き始める。

    富士山頂付近の雪渓と星空。天の川を挟んでおり姫と彦星がめぐり合う。

 6合目21時40分、7合目23時、ここまでは予定通りのペース。7合目で再び酸素飽和度を計ると、私だけ88%、あとはみんな90%を超えている。しかし、呼吸はいつもと全く変わりなく、苦しくも無い。この時は山に慣れている人は酸素飽和度が低いのだろう、というくらいにしか思っていなかった。しかし、その先8合目まで登った頃から徐々に変化が現れてくる。10mも歩くと息が上がって足が進まなくなってしまう。先頭をリードしてきたが、8合あたりで交代、最後尾を歩く。酸素飽和度を計ると、なんと、84%しかない。風邪の影響で痰がからみ、肺の換気が悪いらしい。山頂でみんなで飲むコーヒー用の水1.8リットルをよほど捨てようかと思ったのだが、なんとか担いで歩く。8合5勺か9合目あたりで御来光の予定だったのだが及ばず、8合5勺のひとつ下にある小屋の前で御来光を迎えることになる。何となく霞がかかったすっきりしない空だったが、御来光は見ることができた。金曜日に登りはじめたので道は思っていたほど混雑していなかったが、ペースはきわめて遅く、2年前の大混雑の時以上に時間がかかってしまった。朝7時、私が最後尾で山頂に到着。予定より1時間以上遅い到着だった。

    8合目からの御来光


    光る山中湖


    8合5勺小屋を見上げる。山頂はまだ遠い。

 お湯を沸かして朝食のカップラーメンを食べる。山頂では10歩も歩くと息が苦しい。酸素飽和度を計ると83%だった。だが、そのほかの人たちも低く、平均90%くらいだったが、1人だけ81%という低値を示していた女性がいた。女性はバテテはいたものの頭痛や吐気はなく、高山病の症状は訴えていなかった。酸素缶の効果などあまりあてにはしていなかったのだが、試しに10回ほど深呼吸しながら吸い込んでみると、あっという間に酸素飽和度は100%まで上昇した。自覚的にはあまり変わった気はしないが、計測上は確かに効果があることがわかった。

    山頂で記念撮影。なんとかたどり着きました。


    噴火火口と剣ヶ峰。 まだ雪が残る。

 予定では7時下山開始し、富士宮口に下りるはずだったのだが、バス時間は12時と18時の2本だけ。12時には間に合いそうもなかったので止む無く富士吉田口に下りることにした。下山道は砂埃が舞う砂利のブルドーザー道、ほとんど同じ景色でひたすら長い。花も木もなく、ただひたすら歩くのみ。9時に下山開始し、富士吉田口に到着したのは午後2時だった。

    山中湖を眼下に見ながら長いブルドーザー道をひたすら下る。

 実はこの日、鳳凰山で会ったY-chanのブログを見ると、同じ日に富士山に登っており、早朝登り始めたY-chanは私たちのグループをおそらく下山中に抜き去ったとおもわれ、午後1時に富士吉田口に到着している。快速のY-chanがうらやましい。私はもう当分富士山は遠慮したい。話にはおまけがあって、下山した翌日天候が良かったので八ヶ岳に行こうとしたところ、携帯電話が見つからない。下りてきてからあちらこちらを探したが見つからず、紛失したことがわかる。自宅の電話機で呼ぶとつながったりつながらなかったりするので、5合目あたりで落としたと思い、探すのは困難と判断し、新しい電話を作ることとなった。15日夕方、電話機を新調したところ、午後8時、その電話に電話がかかってきた。韮崎観光のマイクロバスで電話機を拾ったという人からの連絡で、行きのバスの中で電話を落としたらしい。しかし、時既に遅し、もう電話機を変えてしまった後だ。高い富士登山になってしまった。
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無念、北岳

2008年07月07日 | 番外編
 昨年以上に雪の多かった北岳は7月初旬がキタダケソウの見頃となりそうだ。広河原行きのバスは伊那側の林道が崩落して工事中ということもあり、今年は6月28日から動き出した。昨年は6月30日の開山日に北岳に登り、満開のキタダケソウを見ることができた。そして今年、7月5-6日に登る予定を立て、楽しみにしていたのだが・・・。

    満開のキタダケソウ(平成19年6月30日の写真、以下も同様)


    キタダケソウ咲く(北岳山頂側)

 7月4日の金曜日午後から何となく体がだるくなり、夕方から喉の痛みと鼻水がだらだら出始める。夜になるといっそう症状ひどくなり、翌朝4時半、ザックの荷物を確認しようと担いだところ、まだ水と食事が入っていない状態でとてつもなく重く感じる。風呂に入って気分を変えるが、鉛のように重い体、とうてい北岳に登れるような体調ではない。無念、今年のキタダケソウはあきらめて自宅で休むことにした。5時半ごろに嶺朋クラブのメンバーに連絡をとり、行けないことを告げる。無念のリタイア、ここ3年間で風邪で山に行けなかったことは初めてだ。2週間前に牡蠣を食べて中ったことといい、ここのところ体調管理(体重管理とコレステロールと血糖値の管理も)いまひとつだ。掲載した写真は昨年訪れた時のキタダケソウの写真だ。

    キタダケソウ


    キタダケソウ咲く斜面と間ノ岳  今年は別の角度と、午前中の陽が差し込む斜面を撮りたかったのだが、風邪のため無念のリタイア。
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オオレンゲツツジ咲く美ヶ原  平成20年6月29日

2008年07月01日 | 日本百名山
 平成20年6月29日 天候晴れのち曇り

 当初は妻と2人で木曽駒ケ岳にロープウェイで行く予定を立てていたのだが、町内会の急用が入ってしまい、午後3時までには甲府に戻らなければならなくなってしまった。木曽駒ヶ岳は時間的に無理、もう少し近いところを探し、誰かのブログで2週間前は美ヶ原のレンゲツツジが蕾だったというのを読んだ記憶があったので、たぶん見頃だろうとの予想で美ヶ原に行ってみることにした。

    美しの塔

    美ヶ原の放牧場

 妻と2人で山に出かけるのは昨年秋の室堂から剣御前を歩いて以来だ。妻が高山病にかかり、私は車のキーを失くして電車で甲府に帰ってくる始末で、波乱万丈の山行だった。今回の美ヶ原は標高2000mで室堂とほぼ同じくらいの高さのため、高山病にかからないとも限らないので念のため携帯酸素を持って行く。6時半に甲府出発し、2時間半と見ていたのだが意外と早く8時半には美ヶ原に到着した。まず美術館側に行ってみると、レンゲツツジがちらほらと咲き、8分咲きといったところだ。地図を見ると山本小屋から歩くほうが王ヶ頭(美ヶ原最高点)に近く、山本小屋に移動して車を停める。朝8時半だとまだ歩いている人は少なく、駐車場は3割くらいの駐車率だった。砂利の敷かれた道をゆっくりと歩く。登山ではなくて完全に散策だ。広い草原には牛や馬が放牧され、のどかな景色が広がる。青空は見えるものの周辺には雲が湧きあがり、南北アルプスや八ヶ岳は見えない。ちらほらと散策している人の姿が見えるが、大多数は運動靴の散策スタイルだった。

    王ヶ頭と王ヶ頭ホテル


    王ヶ頭の御嶽神社


    王ヶ頭で記念撮影

 ゆっくり歩いて王ヶ頭ホテルに9時45分到着、ホテルの裏側に美ヶ原頂上、王ヶ頭と書かれた石碑と三角点があり、そこで休憩をとる。南側の眼下にレンゲツツジの群落と、その下に三城牧場の放牧場が広がる。その向うに見えるなだらかな起伏の山は・・・どこだか良くわからないが、同じくらいの標高なので南側にある鉢伏山~二ツ山~三峰山の稜線だろうか。西側にはレンゲツツジで赤く染まっている王ヶ鼻の高まりが見える。昨年剣御前小舎で見事に高山病にかかった妻のことを思い、あそこまで行けるかどうか尋ねたところ、今回は全く問題なさそうなので王ヶ鼻まで足を伸ばす。王ヶ鼻の電波塔手前で左に曲がって王ヶ鼻に行ってみると。そのあたりはレンゲツツジが群落を成し、真赤になっていた。眼下に松本市の町並みが広がっている眺望の良い場所だ。御岳神社という小さな神社が奉られており、これは御嶽山の方向を向いており、御嶽山に登る体力のない人がここを訪れて御嶽山への信仰を表した場所らしい。(休憩中にやって来た団体客のツアーガイドさんの説明による。)

    見頃を迎えていたオオレンゲツツジ


    王ヶ鼻の展望台


    王ヶ鼻のレンゲツツジ


    王ヶ鼻手前のレンゲツツジ

 王ヶ頭に戻り、ホテルの食堂で昼食をとる。注文した山菜ソバは麺は柔らかくてあまり好みではなかったが、スープはうまかった。高原牛乳はまさに搾りたてといった濃厚な味わい。食事後、また同じ道を戻ったのだが、その頃からは来客がたくさん訪れる。ツアーの団体客もたくさん訪れ、大きな列をなして途切れることなく人が歩いてくる。これだけの人数が一斉に王ヶ頭や王ヶ鼻を訪れたら、休憩するスペースなど無くなってしまうのではないだろうか。早めに歩き始めて良かった。午後1時、山本小屋の駐車場に到着、ほぼ満杯の駐車状況だった。レンゲツツジの見頃は7月中旬ごろまでだろう。


    牛がのんびり横たわる
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