12月20-21日 天候晴れ
前日は杖立峠(火事の跡地)にテント泊し,翌朝8時半に出発.目指すは鳳凰山薬師岳の稜線だ.薬師岳は白根三山,特に北岳を撮影するには絶好の場所だ.薬師岳小屋の横あたりにテント設営すれば安全なのだが,夜中に薬師岳の稜線まで行ったり来たりするのは大変だ.稜線上か,できるだけ稜線に近い場所にテントを設営したい.
南御室小屋.屋根の雪下ろしがされているらしい.前の庭は積雪50cm以上.踏み跡なし.
行く手をはばむのは30cmほど積もった新雪だ,起動跡の窪みはあるものの,足跡は無く,延々と一人ラッセルが続く.夏場ならば1時間少々の行程だが,2時間もかかってよしまう.南御室小屋に到着した.ここまではまだ良かったほうで,小屋の前の広場は膝あたりまでの雪,さらにその先は雪は深さを増し,膝下,時に膝上のラッセルを強いられる.南御室小屋から苦節3時間あまり,午後2時ごろにようやく砂払山の稜線に飛び出した.眼前に目指す薬師岳が迫り,あとは砂払山の岩峰を登れば辛い道は終了する.しかし,ここで見舞われたのは思いもよらぬ強風だった.天気は良いが風で吹き上げられた雪が顔に容赦なく吹き付け,目も開けていられない状態だ.これで薬師岳稜線上にテントを張るのはかなり危険だ.薬師岳の岩陰も厳しそうに見える.
目指す薬師岳は目の前.しかし,強風が吹き荒れる.
さて,どうするか?砂払山の岩陰ならばなんとか強風を避けられる場所が確保できそうだ.問題は撮影に良い場所があるかどうか.雪の吹き溜まりを踏んで大きな岩を巻いて上に乗ってみると,そこは甲府盆地側から仙丈岳にかけて,約240度の展望が得られる絶好の展望台だった.富士山も良く見える.決めた,本日はこの岩陰にテントを張ることにする.雪の吹き溜まりということは,そこは風があまり吹かない場所ということでもある.50cmほど積もった雪を掻き出し,さらに踏み固めてテントを設営する.ちょうど掻き出した分の高さだけ雪の壁ができ,うまく風を避ける防御壁ができた.展望台はすぐ上だが,雪の下はハイマツの林らしく,一歩踏み外すと腿まで足が沈んでしまう.夜中に移動するため,足場をしっかりさせないと危険なため,雪をかき集めて踏み固め,しっかりした足場と撮影場所を確保する.
夕映えの富士
白根三山に沈む夕陽
そんなことをやっているうちに,あっという間に時間は4時を過ぎ,もう白根三山に夕陽が沈む時間になってしまった.そういえば,朝食も昼食もパンを1~2枚かじっただけで簡単に済ませてしまっている.腹が減ってきた.日が沈み,富士山にかかる残照が無くなるまで待って,テントに戻り夕食となる.
白根三山に沈み行く金星
甲府盆地と昇るオリオン座 明るすぎる盆地の明かりでオリオンはあまり写らない.
仙丈岳と沈む夏の大三角形
甲府盆地の上に昇る冬の大三角形とオリオン座
小休止後,午後7時,再び活動開始.展望台に登ると,白根三山の上には明るい金星が沈んでゆくところだった.甲府盆地の上にはもうオリオン座が昇ってきていた.それにしても明るい甲府盆地の光,オリオン座はあまり写ってくれない.9時頃まで粘って本日終了,昨日の寝不足解消のため今日こそは寝ないと明日もたない.強風は吹き続いているがテントの中はあまり気にならず,睡眠薬を飲んでさっさと寝る.
甲府盆地に昇る月 月は三日月です.
翌朝起床は3時半.目覚ましをかけたが,その直前に目が覚めた.その間全く意識なし,ぐっすりと眠れた.展望台に登ると,白根三山側は雲ひとつないすっきりした展望,月明かりに照らされた白根三山が白く光って見える.Iso感度を変え,レンズを変え,何枚も撮影する.モニターで見る限りは良く撮れているように見える.帰ってからのプリントが楽しみだ.
白根三山に沈むオリオン座
白峰に傾く冬の大三角形とオリオン座 15mmレンズの画像
白峰三山に沈む冬の大三角形 砂払山からだと北岳をまたぐように冬の大三角形が沈んで行く.今回一番撮りたかった写真.
薄明の甲府盆地
午前6時,水平線が赤く染まり出し,赤い朝日が昇り出す.年賀状にちょうど良さそうな風景だ.しだいに明けてゆく白根三山もまた美しい.すっかり日が昇った7時,テントに戻り,朝食だ.天気予報では本日下り坂,朝の雲を心配していたが,良い星空を見ることができてほっとした.
日の出 年賀状の写真に良さそうだが・・・検討中.(まだ年賀状できていません)
白根三山の夜明け
朝日昇る 冬至の頃なので,富士山に近い位置から陽が昇る.
テント撤収,薬師・観音岳には立ち寄らず,そのまま9時に下山開始した.その頃には雲が広がり始め,白根三山はもう雲隠れしてしまっていた.この日に登ってくる人は7~8人出会い,中には大きなザックを背負って早川尾根縦走するという若者2人連れもいた.登りの時と違ってトレースがしっかりとあり,午後2時15分,夜叉神峠登山口に無事到着した.
杖立峠から見る富士山 白根三山はもう雲の中だったが,富士山は雲の上に頭を出していた.
甲府に戻ってからは病院に直行し,画像をパソコンで調整後プリントしてみると,なかなかの出来栄えだ.星を撮るなら月はいらないが,山を撮るには月明かり,特に低い位置にある斜光線の月明かりが良い.今回の写真は私が撮りたいイメージにかなり近い写真となった.
前日は杖立峠(火事の跡地)にテント泊し,翌朝8時半に出発.目指すは鳳凰山薬師岳の稜線だ.薬師岳は白根三山,特に北岳を撮影するには絶好の場所だ.薬師岳小屋の横あたりにテント設営すれば安全なのだが,夜中に薬師岳の稜線まで行ったり来たりするのは大変だ.稜線上か,できるだけ稜線に近い場所にテントを設営したい.
南御室小屋.屋根の雪下ろしがされているらしい.前の庭は積雪50cm以上.踏み跡なし.
行く手をはばむのは30cmほど積もった新雪だ,起動跡の窪みはあるものの,足跡は無く,延々と一人ラッセルが続く.夏場ならば1時間少々の行程だが,2時間もかかってよしまう.南御室小屋に到着した.ここまではまだ良かったほうで,小屋の前の広場は膝あたりまでの雪,さらにその先は雪は深さを増し,膝下,時に膝上のラッセルを強いられる.南御室小屋から苦節3時間あまり,午後2時ごろにようやく砂払山の稜線に飛び出した.眼前に目指す薬師岳が迫り,あとは砂払山の岩峰を登れば辛い道は終了する.しかし,ここで見舞われたのは思いもよらぬ強風だった.天気は良いが風で吹き上げられた雪が顔に容赦なく吹き付け,目も開けていられない状態だ.これで薬師岳稜線上にテントを張るのはかなり危険だ.薬師岳の岩陰も厳しそうに見える.
目指す薬師岳は目の前.しかし,強風が吹き荒れる.
さて,どうするか?砂払山の岩陰ならばなんとか強風を避けられる場所が確保できそうだ.問題は撮影に良い場所があるかどうか.雪の吹き溜まりを踏んで大きな岩を巻いて上に乗ってみると,そこは甲府盆地側から仙丈岳にかけて,約240度の展望が得られる絶好の展望台だった.富士山も良く見える.決めた,本日はこの岩陰にテントを張ることにする.雪の吹き溜まりということは,そこは風があまり吹かない場所ということでもある.50cmほど積もった雪を掻き出し,さらに踏み固めてテントを設営する.ちょうど掻き出した分の高さだけ雪の壁ができ,うまく風を避ける防御壁ができた.展望台はすぐ上だが,雪の下はハイマツの林らしく,一歩踏み外すと腿まで足が沈んでしまう.夜中に移動するため,足場をしっかりさせないと危険なため,雪をかき集めて踏み固め,しっかりした足場と撮影場所を確保する.
夕映えの富士
白根三山に沈む夕陽
そんなことをやっているうちに,あっという間に時間は4時を過ぎ,もう白根三山に夕陽が沈む時間になってしまった.そういえば,朝食も昼食もパンを1~2枚かじっただけで簡単に済ませてしまっている.腹が減ってきた.日が沈み,富士山にかかる残照が無くなるまで待って,テントに戻り夕食となる.
白根三山に沈み行く金星
甲府盆地と昇るオリオン座 明るすぎる盆地の明かりでオリオンはあまり写らない.
仙丈岳と沈む夏の大三角形
甲府盆地の上に昇る冬の大三角形とオリオン座
小休止後,午後7時,再び活動開始.展望台に登ると,白根三山の上には明るい金星が沈んでゆくところだった.甲府盆地の上にはもうオリオン座が昇ってきていた.それにしても明るい甲府盆地の光,オリオン座はあまり写ってくれない.9時頃まで粘って本日終了,昨日の寝不足解消のため今日こそは寝ないと明日もたない.強風は吹き続いているがテントの中はあまり気にならず,睡眠薬を飲んでさっさと寝る.
甲府盆地に昇る月 月は三日月です.
翌朝起床は3時半.目覚ましをかけたが,その直前に目が覚めた.その間全く意識なし,ぐっすりと眠れた.展望台に登ると,白根三山側は雲ひとつないすっきりした展望,月明かりに照らされた白根三山が白く光って見える.Iso感度を変え,レンズを変え,何枚も撮影する.モニターで見る限りは良く撮れているように見える.帰ってからのプリントが楽しみだ.
白根三山に沈むオリオン座
白峰に傾く冬の大三角形とオリオン座 15mmレンズの画像
白峰三山に沈む冬の大三角形 砂払山からだと北岳をまたぐように冬の大三角形が沈んで行く.今回一番撮りたかった写真.
薄明の甲府盆地
午前6時,水平線が赤く染まり出し,赤い朝日が昇り出す.年賀状にちょうど良さそうな風景だ.しだいに明けてゆく白根三山もまた美しい.すっかり日が昇った7時,テントに戻り,朝食だ.天気予報では本日下り坂,朝の雲を心配していたが,良い星空を見ることができてほっとした.
日の出 年賀状の写真に良さそうだが・・・検討中.(まだ年賀状できていません)
白根三山の夜明け
朝日昇る 冬至の頃なので,富士山に近い位置から陽が昇る.
テント撤収,薬師・観音岳には立ち寄らず,そのまま9時に下山開始した.その頃には雲が広がり始め,白根三山はもう雲隠れしてしまっていた.この日に登ってくる人は7~8人出会い,中には大きなザックを背負って早川尾根縦走するという若者2人連れもいた.登りの時と違ってトレースがしっかりとあり,午後2時15分,夜叉神峠登山口に無事到着した.
杖立峠から見る富士山 白根三山はもう雲の中だったが,富士山は雲の上に頭を出していた.
甲府に戻ってからは病院に直行し,画像をパソコンで調整後プリントしてみると,なかなかの出来栄えだ.星を撮るなら月はいらないが,山を撮るには月明かり,特に低い位置にある斜光線の月明かりが良い.今回の写真は私が撮りたいイメージにかなり近い写真となった.