山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

流星流れる星空 釈迦ヶ岳の双子座流星群

2010年12月27日 | 御坂・毛無・天子山系
 平成22年12月14日

 週間予報では曇りだった天気予報が変わり、午後から青空となった甲府盆地。この夜は双子座流星群極大となる日だった。しかし生憎の平日、翌日は仕事もあるし、天気は回復したが撮影は半分あきらめていた。ところが・・・翌日予定していた業務が一つ中止となり、午前中で終わってしまうような仕事内容となる。これは・・・山の神様が私を呼んでいるのか?そんな気さえして、夜9時に甲府を出発して、かねてから夜の撮影を狙っていた御坂山塊釈迦ヶ岳に向かう。この山は黒岳から節刀ヶ岳に延びる尾根が河口湖の町灯りをカットしてくれるため、富士山側の星空を撮影するには絶好の場所だ。夜間登山だが、何度も登っているこの山、道を間違えることはまずあり得ない。

    甲府盆地の灯りと南アルプスに沈む月  甲府盆地は南側だけ、アルプスは雲がかかる。


    富士に南中するオリオン座と冬の大三角形  富士の上に流星が流れる。


    構図の解説


    拡大図。この山を選んだもうひとつの理由はこの低空に輝くカノープス。パソコン上の計算では見えるか見えないかぎりぎりの位置だが、見えることが確認された。


    流星流れる富士の空

 すずらん峠の駐車場に10時過ぎ到着、2台ほど駐車場から星空を観察している先客がいた。新道峠はゲートが閉じているのか、林道を歩いている人のヘッドライトも見える。10時半、出発。ほとんど休憩せずに黙々と歩き、11時40分、釈迦ヶ岳山頂に到着した。ちょうど南アルプスに月が沈んで行くところだった。見上げる空は澄み、流星が一つ二つと流れて行くのが見える。さっそく三脚とカメラをセットして撮影に取りかかる。富士山の上にオリオン座と冬の大三角形が南中した頃で、この星が写る構図を決めて、あとはシャッタースピード30~40秒、記録のためのインターバル3秒をおいて、これを繰り返すようにレリーズタイマーをセットして電池が無くなるまでひたすらシャッターを切り続ける。レンズを変え、構図を変えて再び同作業を繰り返し、約4時間ひたすら撮影した。その間、山頂にテントを張り、2~3時間翌日の仕事のことを考えて眠った。

    横位置構図の解説図


    流星2個


    流星2個


    流星1個


    山頂に張ったテントと甲府の灯り

 何度か流星群の時に山上で撮影を試みているが、1時間に10個流れれば良い方で、2~3カット写れば良い方である。昨年の双子座流星群は御座山で一夜を過ごしたが、天候が悪かったこともあるのだが、流星が写ったのは2カットだけだった。しかし今年は別格、360カットほど撮った中に大小合わせて14カット、16個の流星を撮ることができた。撮影しているのは全天空の10分の1ほどの狭い範囲なので、換算してみると1時間あたり30~50個のたくさんの流星が流れたことになる。ここ数年では最高の流星群であったと言えるだろう。

    夜明けの夫婦地蔵と富士


    朝日射す釈迦ヶ岳山頂

 夜明け前にはテント撤収し、朝日が昇るのを見て下山開始。甲府市街で渋滞に巻き込まれてしまい、10分遅刻で職場に到着した。30秒でシャッターを切り続けた画像をビデオ編集ソフトでつなげると、実は動画のように編集することができる。今回初めて試みた手技だが、パソコン上では十分に楽しめる。しかし、先日行った「山と花と星の奏でる音楽会」で上映してみると・・・プロジェクターの解像度が悪く、細い筋のように見える小さな流星はほとんど見えてはくれなかった。もう一工夫必要なのかもしれない。
コメント (12)
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雲海と月光の富士 夜の新道峠から黒岳

2010年12月25日 | 御坂・毛無・天子山系
 平成22年11月21日

 なかなか澄んだ空が見られない今日この頃。しかもすっきり晴れた日はほとんどが平日、なかなか週末に良い日がやって来ない。この日も日中はどんよりした空で山には行かずに日中を過ごす。夜になって駅前の行きつけの焼き鳥池田で食事後、その近くのバーで夜12時過ぎまで時間を過ごして外に出ると・・・月が見える。ひょっとしてこの状況は・・・三つ峠ライブカメラを携帯で見てみると、富士山が見え始めているではないか。これはきっと、雲海の広がる景色になる・・・と直感し、御坂山塊新道峠に向かって深夜1時から車を走らせる。
 新道峠は週末ということもあって県外ナンバーの車が10台ほど。もう駐車場には入りきれず、路肩に数台止まっていた。夜明けを狙って車の中で待機している人もいた。新道峠はおそらくカメラマンでいっぱいだろう。未明2時半、新道峠に登って行くと、7~8人のカメラマンが三脚を立ててシャッターチャンスを伺っていた。眼下には河口湖を覆う一面の雲海が白い綿のように広がっている。その上に、月光に照らされた白い富士山が浮かんでいる。さらにその上の空には、ちょうどおおいぬ座シリウスが燦々と輝いている。撮影には絶好の条件だ。ただ、新道峠はこれから人がどんどん増えてくるだろうから、十数カット撮影して黒岳を目指して進む。

    河口湖をおおう雲海と月光富士(新道峠から)  左下の赤い光はカメラマンのヘッドライト、右の四角い影はセットされている三脚とカメラ。


    おおいぬ座シリウス輝く月光富士  星を大きく写すため、初めてプロソフトンフィルターを使用。




    15mm diagonal fisheye 画像。オリオン座と冬の大三角形が輝く。

 黒岳山頂の展望台に到着したのは午前4時。新道峠からちょうど1時間で到着した。こちらは予想通り誰もいない。西の空に月が沈みかけており、雲に巻かれて富士山は見えなかった。20分ほど待つと、雲が晴れて月光と雲海の富士山が浮かび上がった。河口湖の灯りが透けて見える低空の雲海は甘い夜の雰囲気をかもし出し、予想以上の素晴らしい情景になった。そしてもう一つ、あの星は見えるのか・・・?この話題は別の機会に書くことにする。

    雲下の河口湖と月光富士


    シリウスと雲海の富士


    夜明けの雲海富士


    日の出


    朝日に輝く雲

 その後は雲が湧いたり切れたりを繰り返し、6時半、日の出となる。その後は雲が多くなり、ここで撮影は終了。山頂でゆっくりと朝食をとって下山する。新道峠は相変わらずカメラマンがたくさんいたが、もう引き上げた人もいるようだ。きっと皆さん良い写真が撮れたのではないだろうか。眠い目をこすりながら、帰宅。今日は来て良かったとつくづく思った。

    朝の黒岳山頂。霜が降りて真っ白。


    新道峠の朝。カメラマンがたくさんいる場所を避けて撮影。


    霞がかかりはじめて彩度が悪い。
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山と花と星の奏でる音楽会 2010 X'mas (12月23日 天皇誕生日開催)

2010年12月21日 | 番外編
 ここのところ来年のカレンダー作りで手いっぱい、その後この会に向けてのスライド編集(まだ全然できてない!)となかなかネットに向かう環境にならず、すっかり遅れてしまいました。約2ヵ月間も更新していなかったにもかかわらず、以前と変わらないたくさんのアクセスをいただき、ありがとうございました。当直・日直の回数が増えて週末までに疲れが抜けず、山に行く回数が減っているのは事実ですが、登っていないわけではありません。できるだけ更新して行きたいと思っています。ご心配をおかけしてすみません。
 開催まで残すところあと数日となってしまいました。掲示が遅くなって申し訳ありません。さて、この「山と花と星の奏でる音楽会」、昨年の12月23日に初演して以来、1年間で実に7回も上演してきました。5年間撮り集めてきた画像で作成したスライド集は30本を超えます。今回はその総集編、ではありますが、曲が変わるのでそれに合わせて画像も少し変り、また、今回に向けてのオリジナルも4~5本作成しています。ご都合よろしい方、是非お越しください。最後に景品が当たる抽選会があります。



 今回は上演予定の曲目と画像も公開します。

    山と花と星の奏でる音楽会 2010.X’mas

 曲目と映像(予定) 

 第1部 14:00~

①Von Voyage (Violin:葉加瀬太郎)
  映像:雲海の情景

②夢見る頃を過ぎても(歌:八神純子)
  映像:町明かりの情景

③ショパンの練習曲第13番変イ長調 作品25-1「牧童」(Piano:小山実稚恵)
  映像:名峰北岳

④Beautiful days(Violin:宮本笑里)
  映像:天空の花園 ~北岳に咲く花たち~

⑤サンタが町にやって来た(Jazz version)
  映像:樹氷の情景

⑥シューマン「子どもの情景」から「トロイメライ」(Violin:葉加瀬太郎)
  映像:月光の情景

 第2部 15:00~

⑦DIAMONDS(歌:Princess Princess)
  映像:ダイヤモンドな富士たち

⑧パッヘルベルのカノン ~ハンドベル・バージョン~
  映像:星の輝く夜の情景

⑨Tears(Violin:宮本笑里)
  映像:秋の槍・穂高連峰

⑩シューマン:交響曲第3番「ライン」から第5楽章(レナード・バーンスタイン指揮 ウィーン・フィル)
  映像:名峰富士

⑪Sometime Somewhere いつかどこかで(Violin:寺井尚子)
  映像:Earth Shadowの空

⑫ショパンのエチュード ホ長調 作品10-3「別れの曲」(Piano:ルイサダ)
  映像:星に願いを ~流星流れる星空の情景~

コメント (5)
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不発に終わった秋の毛無山ダイヤモンド 平成22年10月23日

2010年12月21日 | 南アルプス
 平成22年10月23日 天候晴れ

 ずっと頭の中で描いているがなかなか撮れないダイヤモンド富士、それは一面に広がる雲海の上に昇るダイヤモンド。標高1,500mを越えないと撮影できないこの絵は撮影できる場所が限られており、毛無山と笊ヶ岳は絶好の場所だ。何度も登っているこの二つの山だが、未だ雲海上のダイヤには巡り合っていない。そう簡単に撮影させてくれるものではない。
 前日の10月22日は雲の多い空模様だったが精進湖から富士山は見えていた。写ば写ばの栗林先生の喫茶店に立ち寄った後、朝霧高原の毛無山登山口に向う。オリオン座が昇って来るのが夜9時過ぎなので、山頂に夜9時までに到着すれば良い。4時間かかると見て、歩き始めたのは夕方4時半。普通の人はもう下山している時間から登り始めるので、もちろん誰1人出会うこともなく、毛無山の急登りをテント担いで黙々と登る。

    毛無山を代表する滝、不動の滝

 5合目あたりですっかり日が暮れてヘッドライトを点灯、時折霧に巻かれて視界が悪くなるが、少し待つと霧が晴れて空にうっすらと月が見える。9合目の富士山展望台に着いたのが8時を少し回った頃で、展望台から富士山を眺めてみるとちょうど富士山の真上に月が昇っているところだった。数枚撮影したがあっという間に富士山は雲の中に消え、その夜は二度と姿を現すことはなかった。山頂にテントを張ってしばらく空を眺めてみたが、月も星も全く姿を現さず、その夜は寝るしかなかった。

    9合目富士山展望台から見る富士山。一時的に雲が晴れて姿が見えたが、その後は姿を現さず。

 迎えた23日の朝、一面の雲海とは行かないが、富士山5合目あたりに巻いた雲の上に富士山が浮かんでいた。しかし、悪いことに富士山の真上にも大きな雲がかかってしまっている。裾野は朝焼けで赤く染まってはいるものの、果たしてダイヤモンドになるのだろうか?夜明けとともに空の雲は少しずつ晴れて行くが果たしてその時までに晴れてくれるのか?時計と空を見ながら祈るように待ったが・・・6時40分、ダイヤモンドの時間になっても富士山頂にかかった雲の帯は消えることはなかった。6時49分、雲の切れ間から太陽が姿を現したが、わずかの差でダイヤモンドにはならなかった。ほんの少しだけ雲の位置がずれていれば、きっと素晴らしいダイヤモンド富士になったであろうが、自然相手の写真はこのようなことは良くあることで、良い写真とそうではない写真はほんの紙一重の差でしかないのだ。「またおいでよ、今度は凄い景色を見せてあげるから」山がそうつぶやいているような気がした。

    迎えた朝の富士。山頂に大きな雲の帯・・・


    少しずつ狭まってはいるが・・・


    ダイヤモンドに間に合うか?


    祈るようにその時を待つ。光の放射は富士山頂から広がっている。


    わずかに至らず。雲間からダイヤモンド富士になったなら、良い写真になっただろうが・・・


    毛無山に昇る朝日


    草紅葉と富士


    展望台から見る南アルプス

 いつもなら登って来た道をそのまま下りるのだが、今回は1度だけ歩いたことのある地蔵峠から沢沿いに下りる道を歩いてみることにした。地蔵峠からのダイヤモンドも悪くは無く、場所と視界の確認、それともうひとつ、この山塊で不動の滝と並ぶもう一つの大きな滝、比丘尼(びくに)の滝を見に行きたかったことがある。地蔵峠の上には絶好の富士山展望台があり、紅葉もちょうど見頃で良い景色に出会えた。ここは4年ほど前の冬にやはりダイヤモンドを狙って下部温泉側から登った時、樹氷が素晴らしく綺麗だった場所だ。その時は何故か野良犬のシロ君が山頂までずっとお供してくれた。

    毛無山稜線の紅葉 今年はハズレ。


    地蔵峠上の展望台から見る紅葉と雲海の富士山(来年のカレンダーに使いました)


    地蔵峠から見る富士山 このあたりからのダイヤモンド富士も良さそうだが、やはり、当面は山頂にこだわりたい。

 地蔵峠から一旦急下りになるが、その先は尾根道と違って傾斜は緩やかで、沢を数回渡り返す。初めて歩いた時は対岸に渡る場所がわからず少々とまどったことがあったが、今回は全く迷うことなく(ルートもわかりやすくなっている)進む。あと10分ほどで尾根道分岐というところに比丘尼の滝がある。「尼」という名がついているが、むしろ男性的なイメージを受ける豪快に落下する滝だ。

    毛無山のもう一つの滝、比丘尼(びくに)の滝

 約4時間のスローペースで下山し12時半、麓の駐車場に到着した。帰り支度をしていると、見慣れた方が下山してきた。この山塊の主、ミスター毛無山さんだ。毎週この山に登られており、登頂回数は既に1500回を越えているのではないだろうか。この山に登る時は必ずといって良いほどこの方とお会いする。今回はルートが違ったので会えないかと思っていたのだが、偶然にも駐車場でお会いできるとは光栄だった。また来ますと挨拶して別れた。
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