山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

遠かった武尊山  平成24年7月29日

2012年07月31日 | 日本百名山
 前日埼玉県入間市で1966カルテットという若手美人演奏家のコンサートがあった。演奏曲はこのブログ内でも時々YOU-Tubeから載せているビートルズとクイーンをクラシック調にアレンジしたものだ。2ケ月ほど前に座席を予約したので、前から3列目の好位置でコンサートを満喫、トークも演奏も素晴らしかった。

 気分を良くして群馬に向かう。行く先は武尊山。登山口は何ヶ所かあるが、ちょっとしたトレーニングのつもりであまり人が入っていないだろうと予想される川野谷野営場からのルートを選択した。登山口には夕方7時半には到着できそうだったが、空を見ると真黒な雲が広がり、雨が降りそうだ。さらに、日が沈むと雲間に稲光が走っているのが見える。車内泊を予定していたが、これはヤバそうだ。宿を確保してオリンピックを見ながら泊ることにする。テレビ画面のテロップには、群馬県に大雨雷注意報が出されていた。

 翌朝は4時半に起床して川野谷野営場に向かう。広い駐車場兼キャンプ場には誰もおらず、避難小屋にも宿泊した様子は無かった。5時50分、出発する。数日前の当直疲れがまだ抜けないのか、歩き始めから体がだるくて鉛のようだ。少し歩いただけで息が上がり、汗が滝のように流れ出る。不動岳への分岐を過ぎた後から急登が始まるが、とにかく辛い。ピッチを遅くしても、休憩しても呼吸が整わない。

    川野谷野営場と避難小屋。管理人さんがいるのかと思っていたが誰もおらず、自由に使って良いらしい。ただし、トイレは使用不可。


    不動岳の分岐。ここを右に進む。間もなく急登が始まる。


    ロープ場。ここは滑りやすくて慎重に登る。下りのほうが大変。その他に木が1本階段代わりに寄りかけてあるところもあった。


    大きな柏の木。プナやクヌギなど、立派な広葉樹林の木々が立ち並ぶ。


    急登を登りきると道が平らになる。このあたりはツガの樹林帯。


    古い道標が置かれている。この先に進むとオグナ武尊スキー場からの道と合流する。


    ツルアリドオシ。道の脇にちらほらと咲いていた。

 悪戦苦闘すること3時間45分、なんとか標高2,040mの前武尊に到着した。時間は9時35分。絞れば汗が滴る下着を、たまたま持参していた新しいものにここで着替える。ゆっくり休憩していると、4~5人の人たちに追い抜かれた。ここから武尊山までは標高差で約160m、あと少しだと思っていたが全く甘かった。地図で見る限りでは穏やかな尾根歩きかと思っていたのだがそうではなく、岩場をアップダウンする悪路、間違って踏み外せば大変なことになりそうな岩場もある。

    オグナ武尊スキー場の最上部に飛び出す。前武尊はすぐそこに見えるが、なかなか着かない(ように感じた。)


    石像が立つ。


    前武尊岳山頂にやっと到着。「日本武尊像」が立つ。


    前武尊からは一旦下りとなる。眼前に鋭鋒が迫るが、これは登らずに巻き道になっている。


    剣ヶ峰鞍部の道標。真直ぐに岩を登れば岩峰の上に立てるが、そんな余裕全く無し。巻き道を行く。


    剣ヶ峰岩峰の側面に着いていたミヤマダイコンソウの群落

 一旦下ってまた登り返し、剣ヶ峰鞍部からさらにまた崖を下って登り返し、苦節1時間ほどで眺望の良い家の串(標高2,103m)に到着した。この先でようやく目指す武尊山が見えるようになるが、まだ遥か彼方に見える。川場谷野営場から登り5時間で11時山頂と見ていたが、既に時間は10時45分だ。体力の消耗もいつも以上にひどい。ここまで来たからにはもう一頑張り。しかし、またこの道を帰るのかと思うと・・・


    登り返して標高2,103mの家の串に到着。この先でようやく武尊山山頂が見えるようになる。


    右が中の岳、左が目指す武尊山。細尾根が続き、目指す山頂は遥か彼方に見える。


    コメツツジと武尊山

 家の串からまた下りとなり、岩尾根を通過して中の岳目指して登って行くと、中腹であっさり武尊牧場からの道に合流した。中学生と思わしきグループが10人ほどで休憩しており、こちらからのルートがメインルートになっているらしい。中の岳を越えて行くのかと思っていたがここは巻き道になっていた。その先に「菩薩界の水」と書かれた細い水場があり、さらに枯れている鳳の池、たまり水のある三ツ池を通り過ぎて山頂へと向かう。この三ツ池周辺にはキヌガサソウが群生していて、少しだけ疲れを癒してくれた。

    武尊牧場分岐点(中の岳南の分岐点)


    枯れている鳳の池


    三ツ池の周辺に咲いていたキヌガサソウの群落


    キヌガサソウ。ここの花は真っ白。(燧ケ岳では中に薄紫色の紋様がついていた。)

 山頂への最後の登りをほぼ惰性で登り切り、12時15分、武尊山山頂に到着。川野谷野営場から6時間半近くかかったことになる。(ちなみに昭文社地図のコースタイムでは4時間半くらい。)やや混雑している山頂は即座に下りて、その手前のヤマトタケル像が立つ岩のところで昼食をとる。2.5リットル持ってきた水は残が800mlとなってしまう。

    ヤマトタケル像が立つ岩場の横を通り過ぎて山頂へ。あと少し。


    6時間半近くかかってようやく到着した武尊山(沖武尊)山頂。


    ヤマトタケル像の足元にお邪魔して昼食。

 20分ほど昼食と休憩をとり、また長い道を帰る。立ちあがる時に右足の内転筋が攣ってしまい、屈伸運動を十分に行ってから歩き出す。水が足りなそうだったので「菩薩界の水」を汲んだが、300ml汲むのに10分以上かかった。葉屑が少し混ざってしまったが、夏とは思えない冷たくておいしい水だった。あとはひたすら川野谷野営場を目指して歩くだけだ。

    歩いてきた尾根を振り返る。前武尊は右側のピークの裏側になり、ここからでは見えない。これからまたあそこを歩いて帰るのかと思うと・・・先が思いやられる。下に見える水たまりが三ツ池。


    岩場に咲くコキンレイカ(ハクサンオミナエシ)。向こうに見える山はあちら側の剣ヶ峰山。


    剣ヶ峰岩峰の家の串側。鎖がついていて登れそうだったが、とてもそんな元気無し。


    剣ヶ峰岩峰。上に先行した若者が立つ。

 予想通りこちら側のルートを歩く人は少なかったが、あまり歩かれない理由も少しわかった。下りは4時間くらい、午後5時15分に無事下山。

    川野谷野営場に到着。止まっているのは私の車だけ。途中に新しい踏み跡があったので、こちらから入山した人がいたはずだが、おそらくはほんの数人だけだろう。

 トレーニングどころではない、大変な登山だった。標高差、距離とも7月に訪れた桜平から硫黄岳・横岳ルートとあまり変わらなかったのでそれほど苦労しないだろうと思っていたのだが、体調不良以上に歩きにくいルートだった。下調べと、もう少し日常のトレーニングが必要と反省させられた。
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尾瀬ヶ原~燧ケ岳~至仏山 花咲く至仏山へ(3日目)

2012年07月25日 | 日本百名山
 平成24年7月16日

 前日燧ケ岳でメンバーは疲弊、というよりも、テント装備を持っても至仏山は少しきついかもしれず、また、女性1人は見晴の山小屋に宿泊しており、本日鳩待峠で合流することになっている。私はどうしても至仏山のホソバヒナウスユキソウに会いたくて、この日は一人で至仏山に登り、メンバーとは午後1時から2時の間に鳩待峠で合流することにした。
 普通に登れば山頂まで3時間半ほどだろうが、前日の疲れとテント、カメラ機材の重さ、さらに撮影時間を考えると5時間は見たほうが良い。山頂から鳩待峠まで2時間として、11時に山頂、そこから逆算すると5時ごろには出発したほうが良い。テント撤収時間を考えて、朝4時に起床してテント撤収する。朝食は軽くパンで済ませて予定通り5時に出発する。

    朝霧巻く至仏山


    燧ケ岳からの日の出

 3連休でこの日がいちばん天候に恵まれた。薄雲の向こうに青空が広がる。時間が早かったのでまだ歩き始めている人は少なかったが、前日の疲れで若干ふくらはぎに筋肉痛あり、だらだら歩きしていると次々に登山者が登って来て、ことごとく追い抜かれた。森林限界の看板のあたりで休憩して、前日準備しておいた牛丼を食べようとすると・・・無い!アルファ米の白ごはんはあるのだが、牛丼の具がザックの中に見当たらない。おかずになるものはお湯に溶かしてすぐに出来上がるカレーしか無い。しかし、バーナーは他のメンバーの食事準備のために置いてきてしまったのでお湯が沸かせない。止む無く、水で溶かしてみるが全く溶けず、スプーンで崩して混ぜることになる。ごはんにかけて食べてみると・・・ジャリッという食感、やはりうまく溶けてくれない。半分ほど食べてあきらめ、あとはソイジョイで我慢してまた登る。

    木の階段道。登山道はきわめて良く整備されている。


    登山道脇に咲いていたダイモンジソウ


    ここのダイモンジソウはおしべとめしべがカラフルで美しい。


    ここから森林限界。ここで朝食を取ろうとしたが、牛丼の具を紛失。満足に朝食取れず、ショック。

 森林限界を超えると、蛇紋岩の露出したすべりやすい道になる。鎖のついているところもあるが、踏み場所が悪いとツルっと滑ってしまう。続々と登って来る登山者にはことごとく道を譲って最後尾を歩く。

    蛇紋岩の岩にステップが切られている。


    鎖場。ここは若干渋滞した。


    中腹で見つけたウスユキソウ。探しているのはこれではない。

 高度を上げて行くと、ハクサンコザクラがちらほらと咲き出した。さらに登山道脇を見ながら登って行くと、図鑑で予習してきた花が咲いている。オゼソウだ。数本見つけたかと思ったら、さらに上では群落になって咲いているのを見ることができた。さらに、ガイドさん付きの団体の後ろを歩いていると、あまりお目にかかれないクモイイカリソウを発見してくれた。

    ハクサンコザクラの群落


    ハクサンコザクラ


    オゼソウ


    オゼソウ群落


    クモイイカリソウ


    続々と登って行く登山者の行列。そして、見えている稜線の上まで登ると驚くべき光景が・・・

 蛇紋岩のゴロゴロした急登りの登山道を登りつくと、木道の整備された緩い傾斜のところに登り着いた。そしてその周辺には驚くべきお花畑の光景が広がっていた。ホソバヒナウスユキソウがこれでもかというくらいに咲いている。その中には色鮮やかなヨツバシオガマがたくさん、さらにピンク色のキク、ミヤマアズマギクかと思ったら、ガイドさんらしき方がジョウシュウアズマギクと解説していた。谷川岳を中心とした群馬県にだけ咲く花だ。ここで完全に足が止まった。三脚を取り出して、心行くまで撮影する。

    至仏山のお花畑  北岳や八ヶ岳とは全く違うお花畑が広がる。


    赤紫色の花はヨツバシオガマ、ピンクの花はジョウシュウアズマギク、そして白い花が今回のお目当て、ホソバヒナウスユキソウ。


    向こうに見えるのは中岳(左)と越後駒ケ岳


    尾瀬ヶ原を見下ろす


    ジョウシュウアズマギク


    ホソバヒナウスユキソウ


    ヨツバシオガマとホソバツメクサ(?)


    見にくいが、タカネシュロソウ、別名ムラサキタカネアオヤギソウ


    イワイチョウの群落と、これから歩く尾根を望む。

 お花畑にすっかり感動し、三脚を担ぎながらゆっくりと歩いた。そのほかにムシトリスミレやキバナノコマノツメの変種、ジョウシュウコマノツメ、ハクサンイチゲ、シナノキンバイなども咲いていた。蛇紋岩は塩基性(アルカリ性)の岩で、この土壌に咲く花は限られている。標高がほぼ同じくらいの燧ケ岳にはあまり花が咲かず、こちらの至仏山にはたくさん咲くのはこの土壌の違いによるところが大きい。至仏山山頂は10時10分に到着、予定した5時間だ。大混雑していたのでここはスルーして小至仏山まで行き、ここで昼食にする。

    至仏山山頂。大混雑、三角点の標柱見つからず、山頂の石標をなでてきた。


    山頂付近の美しい岩群。下に見えるのは奥利根湖とならまた湖。


    小至仏山と笠ヶ岳


    ヨツバシオガマ群生

 朝食で残っていたカレー混ぜごはんを食べるが、今度はごはんになじんでいて食べられる。さらにソイジョイと小さなパンを食べてゆっくり休憩する。時間は11時を過ぎた。ここから鳩待峠まで約2時間、待ち合わせの時間に到着できそうだ。この先、休憩所もあったのだが、水場で水を補給した以外はほとんど休まずに下る。1時間ほど下ったところで、岩の上でたそがれている男3人を発見、近付いてみれば、ヨッシ-隊の3人ではないか。山小屋に宿泊していた女性1人が予想よりも早く山の鼻に到着したそうで、鳩待峠に早く到着し過ぎてここまで登って来たそうだ。合流して快速なピッチで下山したが、さすがに足が疲れて残り1kmのところでペースダウンし、1時15分ごろに鳩待峠到着した。これでメンバー全員が揃った。

    鳩待峠に下る尾根。建物が見えるところが鳩待峠。


    途中の休憩所は大盛況。


    右の岩の上でたそがれている男性3人、近付けば我らがメンバーだった。

 1時40分ごろのジャンボタクシーに乗り、戸倉スキー場の駐車場に到着。帰りに花咲の湯で温泉につかったが、ここで眠気が襲い、30分ほど寝かせてもらった。予想通りの関越道渋滞に巻き込まれ、甲府には9時半ごろ到着した。
 会いたいと思っていた花にこれほど出会えるのも珍しい。特にショウキランは大収穫だった。さらに至仏山のお花畑、こんなに凄いとは思ってもいなかった。トラブルもあったが、良い山行ができた。
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7月3連休、尾瀬ヶ原~燧ケ岳~至仏山(2日目)

2012年07月24日 | 日本百名山
 平成24年7月15日(2日目)

 前日はなんとか雨に降られずに済んだが、この日は前日よりも雲が厚い。金星と月が接近する未明3時半に起き出し、燧ケ岳の上に昇る月と金星を撮影するが、燧ケ岳山頂には既に雲が巻いている。

    燧ケ岳に昇る月と金星


    夜明け前の燧ケ岳。雲が巻いている。


    これから燧ケ岳に向けて出発。

 本日は移動距離が長く、10時間程度の行動時間が予想されるため、朝4時に起床して自炊で朝食をとり、5時半に小屋を出発する。目指すは燧ケ岳、標高差約900mの登りだ。樹林帯に入り、最初は緩い昇りだがしだいに傾斜がきつくなり、やがて霧の中に突入して視界が悪くなり、想定していた小雨が降り出す。

    霧と小雨の急斜面を登る。


    稜線まで間近。しかし、その後も急登りが続く。


    中腹で見つけたテガタチドリ。

 ペースがあがらず、男性3人には先に行ってもらうことにしたが、後にこれが裏目に出ることとなる。コースタイムでは3時間半ほどだが、女性1人が相当へばってしまい、最初のピーク、柴安山頂に到着したのは10時半、5時間かかったことになる。ひとまずはここが燧ケ岳最高点なので登頂したことにはなるのだろうが、予定では10時までに通過するはずだった。俎を通過して燧ケ岳周回すると相当な時間がかかるので、ここから引き返すという手段もあったのだが・・・しかし、先行した男性3人は既にそのピークにはおらず、先に行ってしまったようだ。そうなると、どこかで待っているかも知れないので先に進むしか無い。あいにく、ドコモの携帯電話は圏外で電話連絡がとれなかった。

    柴安山頂付近に咲いていたハクサンシャクナゲ


    柴安山頂。霧で視界が悪く、尾瀬ヶ原は見えず。


    次のピーク、俎に向けて急斜面を下る。

 早目の昼食をとって、隣の俎(まないたぐら)向けて急斜面を下る。雨で濡れて滑るうえに、残雪が一部残っておりドロドロの泥沼道と化していた。スリップに注意しながら下り、今度は岩混じりの急登りとなる。そして柴安から30分ほどで俎に到着した。ここにも先行した3人はおらず、小休止後さらに先に進むことになる。そしてその先のルートで問題が発生・・・。

    柴安からの下り。一部雪が残る。道は泥沼化。


    イワキンバイの群落


    俎への登り


    俎山頂。後ろにおられる男性の方に、柴安から俎までの間いろいろ面倒を見ていただき、たいへん助かりました。ありがとうございました。

 俎から先に進むがその先もドロドロの道が続く。途中の雪渓の脇にサンカヨウが群生しており、さらにその先に探していた花、キヌガサソウを発見。初めて出会う花に感動する。真っ白な花かと思っていたが、花弁にはうっすらと赤紫色の模様がついていた。ここは三脚を出してきっちりと撮影する。その先に進むと、途中にロープが張られていた。気にせずに先に進むと、長英新道の下り口に到着してしまう。予定ではナデッ窪ルートを下りるはずだったのだが・・・。下に尾瀬沼と沼尻の休憩所が見える。近くにいた人に尋ねると、ナデッ窪ルートは残雪のため通行禁止になっているそうだ。長英新道を下りて尾瀬沼3分の1周するしかない。距離にして約4㎞、1時間以上余計に時間がかかることとなる。果たして何時に山の鼻のテント場に到着することやら。その前に、ヘバっている女性は山の鼻まで歩けるのだろうか??

    雪渓脇のサンカヨウ群落


    キヌガサソウ群落。初めて見る花。


    キヌガサソウ


    見下ろす沼尻。予定ではあそこまで直下りするはずだったのだが・・・

 止む無し、腹を決めて長英新道を下りる。この道はかなり削れていて窪みがひどく、しかもドロドロの道で、きわめて歩きにくい。相当ピッチを落として歩いたつもりだったが、女性2人がなかなか追いついて来ない。12時に長英新道を下り始め、尾瀬沼の分岐点に到着したのは午後2時半になってしまった。女性一人はかなり足が痛そうだ。ここから前日宿泊した見晴までは6.5km、普通に歩けば2時間ほどだろうが、今のピッチでは3時間はかかるだろう。山の鼻までは到底歩けそうもない。考えに考えて、足を痛めた女性一人はなんとか見晴まで頑張って歩いてもらい、山小屋にもう1泊してもらうことにする。もう1人の女性は十分に元気なのでここで先に山の鼻まで行ってもらい、私が夜8時ごろに到着することを先行した3人に伝えてもらうことにした。

    長英新道中腹から見下ろす尾瀬沼。まだ遠い。

 見晴に向かって木道をゆっくりと歩く。あまり景色を楽しんでいる余裕はなかったが、ピッチが遅いので花を探す余裕がある。コバイケイソウやツルコケモモ、ハクサンチドリなどの他に、林の中の道沿いでめったにお目にかかれないショウキランに出会うことができた。3時半、沼尻休憩所を通過、売店は既に終わっていて、水の入ったタンクだけ置かれていた。そしてちょうど日没の午後6時15分、見晴に無事到着、前日と同じく弥四郎小屋に飛び込みで泊めていただくことができた。

    コバイケイソウと尾瀬沼湿原


    ツルコケモモ


    ショウキラン  これにお目にかかれるとは、超ラッキー!!


    尾瀬沼尻の休憩所


    女性1人は弥四郎小屋にもう1泊してもらう。

 小屋にもう1泊してもらった女性は、明日の午後1時から2時の間に鳩待峠バス停で待ち合わせすることにして、一人で戻ってきてもらうことにした。私は夕暮れの尾瀬ヶ原をテクテクと山の鼻に向けて一人歩く。すると、先行した男性の一人が心配して迎えに来てくれた。ピッチを上げて一緒に戻ると明日の至仏山に堪えるので、私が持っている一人用テントのポールとバーナーを持って行ってもらい、もう一張りテント設営してもらうことと、食事の準備をするように指示し、先に戻ってもらうことにした。

    夕暮れ時の尾瀬ヶ原

 日が沈み、暗くなってそろそろヘッドライトが必要な時間になった。昼間の喧噪が嘘のように静かな尾瀬ヶ原、しかも風が無い。まるで、写真を撮ってくれといわんばかりの状況だ。誰もいない尾瀬ヶ原、靴を脱いで靴下で木道をゆっくりと歩く。右手には靴をぶら下げ、左手には三脚とカメラを担ぐ。昼間とは違う夜の尾瀬ヶ原を堪能した。前日、ホタルが飛ぶかもしれないと山小屋で聞いていたが、川の流れる周辺では5~6匹飛んでいるのを見ることができた。

    夕暮れの池糖


    夕暮れのニッコウキスゲと至仏山


    夕暮れの逆さ燧ケ岳を狙ったがこれはいまいち。

 午後8時20分、山の鼻に到着。ちょうど夕食のスパゲッティをゆでているところだった。この日も持ってきたアルコール、今度はホワイトホース(予定が白馬岳だっただけに)ボトル1本だが、さすがにこれは飲み切れず、3分の1ほど残してノックアウト。メンバーはさすがに疲れたようで、明日の至仏山は皆乗り気ではない。私の今回の最大の目的は至仏山に咲くホソバヒナウスユキソウを見ること、明日はなんとしても登りたい。相談の上、私一人で至仏山に行くこととなり、一人用テントで寝て、明朝メンバーより一足先にテント撤収して登ることになった。火力の強い私のバーナーはメンバーの食事を作るのに必要なため、あらかじめアルファ米とレトルト牛丼を作っておいて明朝に備える。
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7月3連休、予定変更して尾瀬へ、 尾瀬ヶ原~燧ケ岳~至仏山

2012年07月23日 | 日本百名山
 今年の7月3連休は白馬岳と予告していたが、気圧配置が悪く雨に降られるのはほぼ確実だ。そこで、山行予定日の数日前から気圧配置と雲画像を見ながら、天気の持ちそうなところを探していた。最も雨が少なそうな場所は・・・福島と群馬あたりだ。

 平成24年7月14日(1日目)

 7月14日、ヨッシ-隊の5人は予定通り朝5時に山梨病院駐車場に集合した。那須岳も候補のひとつだったが、折角メンバーの皆様シュラフやマットなど揃えてくれたのに、テント泊しないのは申し訳ない。しかし、福島・群馬方面でテント設営できる山となると限られてくる。そこで、今回は登らずにテントが張れる尾瀬に行くことに決めた。メンバーの1人を途中で拾い、計6人で尾瀬に向けて出発する。
 予定では鳩待峠から入り、尾瀬ヶ原の見晴まで行ってテント設営、翌日燧ケ岳に登ってもう1泊、最終日は至仏山を越えて鳩待峠に戻るという計画だった。ところが、食事1回分を見晴の山小屋にお願いしようと思って電話してみたところ、見晴のテント場は現在工事中で使えないという。そこで作戦変更、山の鼻のテント場は使えるので、ここにテント1張して余計な荷物を置いて行き、見晴の山小屋に1泊して翌日燧ケ岳に登り、山の鼻テント場まで戻るというコースに変更した。2日目の移動距離が20km近くなってしまうが、さて、いかがなものか??

    鳩待峠。ほとんどの人がハイキングスタイルの中、異様な重装備のヨッシ-隊。


    山の鼻到着。ここにテントを設営して荷物を置いて行く。

 11時、戸倉スキー場到着、バスで鳩待峠に移動し、山の鼻には午後1時ごろに到着した。一人用テントを張ってシュラフやマット、余計な食料などを置いて行く。昼食休憩後、尾瀬ヶ原を散策して見晴に向かう。連休なので宿は混雑しているかと思いきや、当日電話してあっさり宿泊所を確保できた。本日の宿は弥四郎小屋だ。

    尾瀬ヶ原の池糖。浮いている葉はヒツジグサ。


    逆さ燧ケ岳


    離れた池糖にオゼコウホネ発見。2輪発見しました。


    ナガバノモウセンゴケ


    スギナモ流れる川

 三脚を出してゆっくり撮影したかったが、3連休とあって人が多く、とても三脚を立てている余裕など無く、カメラ手持ちで撮影する。たくさん咲いていたピンク色の花は全てトキソウだと思っていたら、色の濃い花はサワランであることを山小屋に到着してから知った。

    トキソウ。たくさん咲いていました。


    こちらはサワラン。色が濃くて鮮やか。


    ヒオウギアヤメと燧ケ岳


    ヒオウギアヤメ群落


    ニッコウキスゲと燧ケ岳


    キンコウカ(黄色い花)と竜宮小屋


    オニノヤガラ。竜宮小屋の先の林で発見。


    もうすぐ見晴。


    何だこれは?花の散った後??調べてみたらクロバナロウゲという花でした。バラ科キジムシロ属。


    見晴到着。正面が本日宿泊地の弥四郎小屋。

 午後4時、宿泊地の弥四郎小屋に到着。受付を済ませて部屋に案内してもらうと、なんと、8畳一部屋を6人で貸し切りだった。混雑を避けるためのテント装備だったのだが、あの重装備はいったい何だったのだろうか?まあ、これも次の山行に向けての経験とトレーニングということで勘弁してもらおう。宿泊して驚いたのは、立派なお風呂が付いているということ。入浴できるのは東電温泉小屋だけかと思っていたら、尾瀬の山小屋はどこでもお風呂が付いているそうだ。そうとは知らず、着替えをテントに置いてきたのはちょっと失敗だった。ゆっくりお風呂に浸かり、6時夕食。おかずはハンバーグだった。その後、夕暮れの尾瀬ヶ原をプチ散策し、部屋に戻って持参した日本酒で乾杯。残すと明日の荷物が重くなるので、とにかく全部(といっても900ml、しかし、飲んだのはほとんど3人だけ)飲んで、ほろ酔い加減をやや過ぎたくらいに酔っぱらったところで、午後9時、就眠する。

    夕暮れの燧ケ岳と見晴の山小屋
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花咲く八ヶ岳、桜平から硫黄岳・横岳へ  平成24年7月11日

2012年07月13日 | 八ヶ岳・秩父山系
 偶然の平日休みがとれた7月11日水曜日、相棒の植田さんとともに桜平から硫黄岳・横岳を歩いた。植田さんは7月に入ってから既に杣添尾根から2度横岳に登っており、ウルップソウをはじめとする花が咲き誇る横岳尾根が相当お気に入りのようだ。横岳直登で最も早い杣添尾根を行くつもりだっただったが、3度目では申し訳無いので桜平からの硫黄岳経由でのルートをゆくことにする。午後からは天候が崩れる予報なので、少し早目の朝4時半に甲府を出発する。
 週末は大混雑して車を止めるのが大変な桜平だが、平日は至って静かだ。6時半、桜平を出発。オーレン小屋までは林道を2時間ほど歩くが、道端の土手や林、草むらを探しながら行くといろいろ咲いている。オサバグサはたくさんあるが既に終焉、今年は背丈が低くて小さな株ばかりだ。そのほかにキバナノコマノツメやシロバナノヘビイチゴ、さらにイチヨウランやキソチドリなども見つけることができた。

    イチヨウラン 林道脇で発見。結構ありました。


    キソチドリ(だと思う)  これもちらほら。


    オサバグサ これはたくさんありますが、今年は背丈が小さくもう終わりかけていました。

 途中で140人連れの中学生2組と遭遇した。1組は長野県茅野市からやって来た中学生、もう1組は佐久市から来た中学生だ。長野県では学校をあげてのこのような登山の取り組みをしているところが多いようで、さらに下山する時にこの日夏沢ヒュッテに宿泊するという小淵沢町から来た中学生の団体に出会った。感心なことである。桜平まではバスが入れないので、バスの入れる広い道までさらに2時間歩くと言っていた。
 花探しと撮影に時間を費やし、夏沢峠には9時15分に到着した。風は強かったが青空が広がった。この先は森林限界を超えてハイマツの広がる斜面となる。イワカガミやイワウメはもうほとんど終わってしまっていたが、代わりに色鮮やかなミヤマシオガマが咲いていた。偶然にも、ムシトリスミレを3輪見つけることができた。10時50分、硫黄岳山頂に到着。青空が広がったが、かなりの強風が吹き付ける。硫黄岳山荘まで下りてそこで昼食をとる。


    ミヤマシオガマと硫黄岳


    同上


    ムシトリスミレ発見


    硫黄岳噴火下降


    硫黄岳山頂。青空が広がったが風が強い。


    八ヶ岳  硫黄岳山頂から。

 強風だが空は晴れている。ここで帰ることも考えたのだが、ウルップソウが主に咲いているのは横岳の稜線だ。硫黄岳山荘周辺にもあるにはあるが、数は少ない。天候はまだ持ちそうなので行ってみることにした。途中のザレ場にはコマクサがたくさん葉を出しているが、花はまだ咲き始めたばかりでほとんどが蕾だ。その中にヤツガタケキスミレや白花のコマクサが混じっていた。


    コマクサは咲き始め。


    コマクサ(白花)と硫黄岳


    コマクサ


    ヤツガタケキスミレ

 強風に煽られながらも12時50分、硫黄岳山頂に到着した。その手前には新鮮なウルップソウが咲いていたが、数年前に来た時に比べると半分くらいしか数が無い。その先の杣添尾根分岐の手前にもかつてはたくさんあったのに、今年はだいぶ少ない。念入りに探してみると、咲き残っていたツクモグサを2株見つけることができた。


    ウルップソウ


    ウルップソウと硫黄岳


    咲き残っていたツクモグサ


    綿毛のツクモグサ


    横岳稜線のお花畑


    チョウノスケソウと赤岳

 午後1時半ごろまで横岳稜線のお花畑を楽しみ、折り返して下山し始める。相変わらずの風だが、さらに雲が増えてきた。赤岳は半分雲で隠れている。そして硫黄岳山荘への下りのところで、遂に硫黄岳山頂に雲がかかり始める。あっという間に雲は下がり始め、硫黄岳への登りの頃には既に真っ白な霧の中に入ってしまい、視界が悪くなる。大きなケルンは1つ先まで見えるものの、2つ目までは見えない。見失わないように山頂を目指し、午後2時40分、硫黄岳山頂に到着した。さらに天候が崩れそうだったので、ここは休憩せずに夏沢峠まで下りた。


    雲が巻き始めた硫黄岳山頂

 夏沢峠で休んでいるとポツポツと雨が降り出す。途中でカッパを上半身だけ着たが、さほどひどい雨にはならず、林道をひたすら歩いて午後5時、桜平に到着した。今年は他の花と同様にウルップソウもあまりたくさんは咲いてくれなかった。コマクサもたくさん葉が出てはいるが花付きはいまひとつのように思う。
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裏道を行く、清八峠側から静寂な三ツ峠へ  平成24年7月9日

2012年07月13日 | 山梨百名山
 三ツ峠に行くのはほとんどが富士山撮影目的だ。雪の降った後の白い山並み、ツツジを前景にした富士、月光照らす富士と夜景など、何度か登っているが、そのいずれもが御坂天下茶屋側からの最も短いルート、林道のような道を登ると、昼も夜も関係無く1時間少々で山頂にたどり着ける。今回は初めて裏側の清八峠側から歩いてみた。
 登山口はいつもと同じ天下茶屋の下からだが、今回は直登する林道ではなく左のゲートを越えて清八峠側に進む。清八峠側の林道を終点まで行き、突き当たりの尾根を右に曲がれば三つ峠に行く尾根道だが、それよりもかなり手前、ゲートから20分ほど歩いた細い川沿いに籔っぽい道を発見した。果たしてこの道はどこに行く道だろうか?入ってみるとすぐ先に川を渡る橋が架かっており、道が続いている。さらに砂防ダムを越え鹿防護柵の脇を過ぎて進むと、さらに道は明瞭になり橋を何本か通過して抜け出たところは清八林道右側の伐採地だった。鉄塔が2本立っているのが見える。上に見える鉄塔が三ツ峠に登る尾根道に立っているものだ。手前の鉄塔を回り込んで登る道が見えたが、手前の鉄塔側の下に行ってみるとその先の道は鹿の防護柵の中に続いていて入れない。戻って下の道を行けば良いのだが、ここはちょっと籔歩きトレーニング、草むらをかき分けて上に立つ鉄塔まで直進する。

    細い川の右岸にある道らしきものを発見。その先に橋がある。


    入り口側はところどころ道不明瞭だが、進んで行くと明瞭な道が出現する。


    何本か橋が架かる。それほど古い橋には見えない。鉄塔整備の道ではなく林道が通じる前の旧道なのだろう。


    出たところは鉄塔の立つ伐採地。向こうに見える鉄塔が三ツ峠に登る尾根道に立つ鉄塔。


    ここは故意に籔コギ、鉄塔に向かって直進する。

 鉄塔の足元に到着した頃に霧が深く立ち込めるようになり、さらに遠雷が数回ゴロゴロと轟く。林の中に隠れて15分ほど様子を見たが、その後は雷鳴は轟かず、登ることにする。最初は急登だが、15分ほど登ると道は平らになり、その先は多少のアップダウンのある道に変わる。霧の中を歩き、先がどうなっているのか見えなかったこともあるが、なかなか登りにならず、道を間違えたのではないかと思うほど長く感じた。30分ほど歩いてようやく御巣鷹山に登る急斜面に到着した。ここからは標高差300m弱の急登りとなる。

    霧が巻き、遠雷が鳴る。鉄塔の先に三ツ峠への登山道が続く。


    登り始めの急登。


    クサタチバナ。この花も鹿が食べないらしく、食害に遭った山ではこれが多く残っていると聞く。


    いよいよ御巣鷹山への急登り。最初は岩場になっている。

 表側から登ると富士山撮影目的のカメラマンばかりが目立つ三ツ峠だが、こちらの原生林はなんと静かなことだろうか。大菩薩嶺、茅ヶ岳と並んで喧噪の三ツ峠も一歩裏側に入ると全く違う山の姿を見せてくれる。霧の巻いた林の中は静寂さが漂い、奥深き山の自然を存分に楽しませてくれた。

    ヤグルマソウ群落。静寂さが漂う三つ峠原生林。

 山の雰囲気を存分に楽しみつつ、1時間ほどで電波塔の立つ御巣鷹山山頂に到着した。時間は16時50分、ゲートからちょうど3時間の行程だった。この山頂の草地はロープや防護柵が張られて大切に保護されている。オオバギボウシに混ざってアヤメが咲いている。きっと昔はアツモリソウもたくさんあったのだろうが、今では見られなくなってしまっている。

    アヤメとオオバギボウシ


    アヤメの群落


    ヤマオダマキ

 ゆっくりと草地を散策して標柱の立つ三ツ峠山頂に行く。平日の夕方、かつ霧で富士山が見えないこともあって山頂を独占、忘れ物のストックが1本あっただけだ。まわりの岩地やガレ地、さらに草地を見渡すといろいろと咲いている。富士山ばかりに気を取られていた三つ峠だが、植生も豊かな山であることを改めて感じた。

    霧で富士山見えず、誰もいない静かな三ツ峠山頂。


    シモツケ


    ヤハズハハコ


    キジムシロ


    ネバリノギラン


    まだ蕾だが、これはおそらくテガタチドリ。こんな花も咲く。





 
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レンゲツツジ咲く山 横尾山   平成24年7月2日

2012年07月03日 | 山梨百名山
 前日の甘利山のレンゲツツジは若干時期が遅かった。それでは、もっと北側にある横尾山はどうだろうか?この山のレンゲツツジはだいぶ減ってしまったという記事をどこかで読んだ記憶があるが、レンゲツツジの季節に横尾山を訪れるのは初めてだ。
 午後から出発して信州峠の駐車場には午後2時に到着した。週末は混雑する信州峠だが、平日は誰もいない。と思っていたら、私と同様に地元の人と思わしき方が信州側から車でやって来て、軽装で登って行った。途中ですれ違って話をすると、私と同様にレンゲツツジがお目当てのようだ。駐車場の向かい側に登山道入り口があり、樹林帯の中を進む。足元の花に気をつけながら歩くが、目ぼしい花は見つからない。

    横尾山登山道入り口


    樹林帯の中の登り。最初は緩いがしだいに傾斜が急になり、最後は岩混じりの道になる。

 約1時間ほど歩いてカヤト野原に到着。一気に展望が開ける。レンゲツツジの木は思っていた以上にたくさんあるが、こちらも1週間ほど遅かった。甘利山同様、ほとんどが散り始めていた。草むらの中は人が歩いたと思われる踏み跡が縦横無尽に走っている。かつてはこの山にもたくさん咲いていたらしい、あの花を探した跡なのだろうか?

    カヤト野原のレンゲツツジ。1週間ほど遅かった。


    気持ちの良い横尾山カヤト野原


    アヤメがぽつぽつと咲く。


    グンナイフウロもカヤトに紛れてぱらぱら咲く。

 カヤト野原から横尾山山頂へは若干の登りとアップダウンがあり、ところどころ滑りそうな岩がゴロゴロしているところもある。再び樹林帯に突入し、横尾山山頂を目指す。こちらも足元に注意しながら歩き、ランを発見したかと思ったらスズランだった。カヤト野原から1時間ほどで横尾山山頂に到着、ここに来るのは6年ぶりだ。山頂の山梨百名山標柱はかなり傷んでいて、揺らせば倒れてしまいそうだ。

    ところどころ岩が混じる。スリップに注意。


    横尾山山頂。

 時間はジャスト4時。本日この山に来たのはこの先の道がどうなっているか下見することもある。稜線を辿って清里の飯盛山まで行けるのだが、車の回収が厄介であまり歩く人がいないルートだ。いつか歩いてみたいと以前から思っているルートのひとつだ。横尾山を過ぎてからの道は籔っぽいところもあるにはあるが、普通に道がついていた。レンゲツツジからヤマツツジに変わり、こちらはちょうど見ごろを迎えていた。登山道の両側にドームのようになって咲いているところもあった。草地もあれば、大菩薩嶺縦走の時を思い出させる笹の茂るところもある。道は迷うところ無く、しっかりとついていた。45分ほど進み、次のピークが見えたところで休憩して5時に折り返した。

    レンゲツツジからヤマツツジに変わる。


    古い道標がついていた。


    ここのレンゲツツジは見事。他の木もこれくらい花をつけてくれると、凄い景色が楽しめそうだ。


    笹原の道。大菩薩縦走の時に雰囲気が似ている。


    ヤマツツジ満開


    ヤマツツジのドーム

 帰りは登山道周辺の林や草むらを捜索せずに真面目に歩いたところ、25分ほどで横尾山山頂に到着した。つまり、行きは45分かかったが寄り道が多くて実際の距離はあまり歩いていないということだ。カヤト野原は予定通り6時に到着。ここで残照の瑞牆山を撮影する予定だったのだが、霧が湧いて景色は全く見えなくなってしまった。小休止して下山、6時半に駐車場到着した。

    ノコギリソウ。カヤト野原で見つけたが、途中の稜線にあったものは鹿に食べられていて上部が無かった。


    このあたりは眺望が抜群。瑞牆山を撮影して下山の予定だったが、霧に巻かれて眺望得られず。
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霧に咲くレンゲツツジ 甘利山  平成24年7月1日

2012年07月01日 | 山梨百名山
 前日の6月30日(土)は日差しがあり、比較的良い天気だったが、当直明けでとても歩く元気は出ない。7月1日はお昼ごろから雨の予報で、朝から空はどんよりと曇り空だ。行くならば午前中だけで行ける山、そういえば、先週甘利山のレンゲツツジが満開だとローカルニュースでやっていたのを思い出す。普段ならば大混雑の甘利山だが、天気の悪い日はマニアックな人たちしか歩いていないはずだ。朝7時に自宅出発し、甘利山に向かう。
 予想通り甘利山の駐車場に止まっている車はまばらだ。霧雨に時折小雨が混じる天候で、カッパにスパッツを装着、さらに傘を差して出発する。濃い霧に巻かれているが、撮影には都合良いことにほとんど無風状態だ。

    甘利山駐車場。天気が悪く、車はまばら。


    本日のお目当て、レンゲツツジ。登山道脇に咲いていたもの。


    霧に巻かれた甘利山に森は、いつもとは全く違った雰囲気。深山幽谷の世界に飛び込んだよう。

 満開の時期には1週遅く、ほとんどの花は散り始めてしまっていた。富士山を入れてこのレンゲツツジを撮影しようとするカメラマンが多いであろうが、この霧に巻かれたレンゲツツジもなかなかの趣がある。人が少なかったことも幸いして、三脚を担ぎながら木道を歩き、心行くまで撮影させてもらう。

    霧に咲くレンゲツツジ  若干時期が遅かった。


    木道の両脇にたくさん咲く。


    ヤマドリゼンマイの群落


    甘利山山頂。人は少なかったが、それでも20人近い人と出会った。中にはマウンテンバイクを担ぎあげて来た人も・・・。

 東側斜面はもうほとんど散りかけていたが、山頂を越えた南側(千頭星山側)や南西側斜面ではまだ新鮮な花が残っていた。足元の花に気をつけながら歩いていると、たくさん咲いていたキンポウゲの他にハクサンフウロ、グンナイフウロ、そしてノギランと何だかわからないランを一株だけ発見した。

    山頂の向こう側に咲き残っていたレンゲツツジ


    霧に咲くレンゲツツジⅡ


    ハクサンフウロ


    梅雨に咲くグンナイフウロ


    ノギラン  登山道脇に1株だけ発見したが、それらしい葉は他にもあった。


    名前のわからないラン(だろう) 図鑑で調べたところ、これはアオチドリ。

 1時間もかからずに散策できる甘利山だが、2時間以上もうろついた。10時を過ぎた頃から徐々に雨足が強くなりはじめ、10時半過ぎに駐車場に戻った。たくさん人が訪れる甘利山だが、探せばいろいろな花にお目にかかれそうだ。


    存分に楽しませていただきました、レンゲツツジ様。来年は今年以上にたくさん咲いてください。


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忘れものを取りに 高座山から杓子山へ  平成24年6月25日

2012年07月01日 | 番外編
 昨日の○○○丸で撮影している時に撮影器具のある部品が無いのに気付く。その前に行った山は杓子山で、その後は撮影器具は使用していない。忘れてきたのは杓子山に間違いない。カメラのキタムラで部品を調達することも考えたが、手に入るかどうかわからない。やはり、取りに行こう。天気予報、今後の予定を見るとこの日しか行ける日はなさそうだ。午前中の業務を終えて午後から出発する。
 不動湯の林道に入ろうとすると、林道が崩落したのか不動湯のすぐ上で通行止めになっている。ここから歩くと杓子山まで3時間近くかかってしまう。往復5時間というところだろうか。下山は7時過ぎになってしまう。帰ることも考えたが、ひとまず高座山の登山口まで行ってみることにする。林道はこんなに荒れていただろうかと思うようなデコボコ道で、RV車でなければとても走れない道だった。ゲートの前に車を止草地の中に延びている道を歩いてみる。ここに来たのはもう6年も前の秋のことで、以前来た時とはずいぶん変わった印象を受けた。カヤト野原の脇の急登りを滑りそうになりながら登った記憶があるが、それらしき道は草におおわれてあまり歩かれていないようだ。少し戻ったところに駐車できるスペースがあり、そこに杓子山登山道の看板があった。以前来た時はおそらくこの看板を見落としてカヤト野原の脇を登ったのだろう。時間はもうすぐ3時だが、ここからだと頑張れば2時間少々で杓子山に到着できるはず。霧に巻かれて雨が降りそうな天候だが、ここは行くしかない。準備して出発する。

    高座山を経て杓子山に至る登山道入り口


    霧に巻かれた林を行く。


    林を抜けると広大なカヤト野原が広がる。霧が巻いて真っ白。

 林を抜けると広大なカヤト野原が広がる。広い道だが、雨で道がえぐれており、スリップしやすくて決して歩きやすい道とは言えない。道端やカヤト野原の中にはポツポツとアヤメが咲いている。オオバギボウシがたくさんあり、花芽を出している株もあったがまだ咲いてはいなかった。それどころか、花芽の先が無くなっており、おそらくは鹿に食べられてしまったものだろう。

    登山道脇に咲いたアヤメ


    オオバギボウシの花芽は無くなっている。おそらくは鹿の食害。

 そして高座山への急登りとなり、ここは滑りやすい土の斜面でロープが張られている。登りはなんとかなるが、下りはロープにつかまらないと滑り落ちそうだ。そして1時間ほどで高座山に到着。時間が時間だけに水分を補給しただけですぐに出発する。

    高座山の急登。滑りやすい土の斜面で、補助ロープがある。


    高座山山頂。富士山の眺望が良い山だが、この日は辺り一面真っ白で何も見えず。

 ここからは少々のアップダウンがある尾根道だ。鉄塔の立つコルの手前に若干の岩場があり、ここは滑りやすくロープが張られている。鉄塔を越え、さらにひと登りして下りになると、ハングライダー発着所の手前で林道からの道と合流する。予定通り1時間半で到着した。

    鉄塔の下をくぐる。


    コアジサイ


    ハングライダー発着所。さすがにこの日は誰もいない。

 おそらく忘れ物はランを探した中腹の林の中だろう。小休止後、山頂目指して登り、途中で林の中に入って忘れ物を探す。思った通り、前回探したスズムシソウと思わしき葉の近くに忘れ物があった。無事回収を済ませ、スズムシソウの葉が無事であることも確認した。なにせ長年愛用している撮影器具だけに愛着が深く、買い替えるのもあまり良しとしない。

    忘れ物はこれ。三脚の中央の柄の部品。花の撮影で三脚を低くセットする時にこの部品を外す。

 任務完了、あとはひたすら帰るだけ。急ぎ足で帰り、鉄塔先の岩場でロープにつかまりながらもスリップして尻餅をつくというおまけがあったが、6時を少し回った頃に下山した。
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