山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

森にひっそり咲く小さな蘭 小金沢山系の山  平成26年7月13日

2014年07月15日 | 大菩薩・小金沢山系
 広大な草原が広がるこの山は、かつてハクサンフウロやキンポウゲ、オオバギボウシなどが咲き誇る豊かなお花畑が広がっていたが、ここ数年の鹿の食害は酷く、すっかりイネ科の雑草が生い茂る草地になってしまった。鹿保護柵が設置されたのはおそらく昨年であろうと思われるが、もはや既に時遅しといった感もある。人から山を保護するために私が登山を始めたばかりの8年前には既にロープが張られていたが、草地に入り込むのは人間だけでは無い。残念ながら、このロープだけでは山は守れなかったということになるだろう。


    かつては草原を彩る様々な花が見られたお花畑だったが、今ではイネ科の雑草ばかりが目立つ。


    設置された保護柵は雪の影響で一部壊れていたが、添え木がつけられてすっかり修理されていた。


    ひっそりとノコギリソウ。まだ咲いていない。


    これから咲くヤマハハコ。


    まだ蕾のシモツケ


    キバナノヤマオダマキがちらほら。


    かつてはこのキンポウゲがたくさん咲いていた記憶があるが、今ではまばら。

 今回はこの草原の様子を見に来たことがひとつ。数年前に来た時は確かクルマユリやハクサンフウロが咲いていたように思ったが、まだ時期が早いのかもしれないが全く見かけない。ササバギンランも見かけなくなってしまっていた。もう一つの目的は樹林帯の中に咲いているであろう、地味で小さなランだ。目を凝らして林の中を覗きながら歩くと、本当に小さなノッポの花を見つけることができた。写真を撮っていると後ろからご夫婦の方が登って来て、このような珍しいものが咲いていると教えてあげると、その先の林の中で次々に見つけてくれて、在り処を教えてくれた。おかげでこちらは探す手間がかなり省けた。


    目を凝らして探さないと森に同化して見つけられないような、緑色の小さなラン。


    初めて見る花 ハコネラン。


    花も小さいが葉も小さく、これでは花が咲いていないと葉を探すのは至難の業。


    2株並んで咲く。


    ハコネラン


    こちらも2株。


    コイチヨウランに似るが、こちらは下唇の横にギザギザがある。

 展望地まで行き、軽食をとって下山する。空模様が悪く、下山途中で雨が降り出してしまい、カッパを着て下山することとなってしまった。


    以前に設置された保護柵の中は黄色いニガナの花が増えているように見える。果たしてこの山、再生できるのだろうか?


    下山途中で見つけた株。


 樹林帯の中のお目当ての花は見つけることができたが、この草原はこの後いったいどうなってしまうのか?アヤメが咲かなくなってしまった櫛形山に良く似ているように思う。いちはやく保護に乗り出し、成功している三つ峠の取り組みはやはり素晴らしいと思う。

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皆既月食の月 ~滝子山一夜~

2012年02月24日 | 大菩薩・小金沢山系
  平成23年12月10日、皆既月食の月を大月市笹子にある滝子山という山の山頂で過ごしました。ちょっと寒かったですが、空気が澄んで月食観察には最高の夜でした。先日開催した「山と花と星の奏でる演奏会」で上映した皆既月食の月を編集してみましたのでお楽しみください。パワーポイントのスライドをJPEG変換して作成したので、若干画質が粗いですがお許しください。

皆既月食の月.mpg


 曲はクイーンのボヘミアン・ラプソディという有名な曲ですが、1966カルテットという若手演奏家がバイオリン2台、チェロ、ピアノの編成でリメイクしています。最近お気に入りのグループですが、コンサートがあまり無いのが残念です。4月1日に「題名のない音楽会」に出演するそうですので、ご注目ください。
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皆既月食の赤い月、滝子山一夜(後編)

2011年12月19日 | 大菩薩・小金沢山系
 
 月が東の空に輝く夕方6時、テントの中に一旦引き込み、夕食を取る。月が欠け始めるのが9時半ごろからなので、寒さしのぎにシュラフの中に潜り込んでしばし休憩する。

    月光照らす御坂山塊と富士


    甲府盆地の灯り

 8時過ぎ、テントの外に出ると、月の下にオリオン座が昇ってきていた。富士山側を見ると、月光に照らされた御坂山塊とその向こうに見える富士山が美しい。西側には甲府盆地の夜景と雲が巻いた南アルプスの山並みが広がる。冷え込んだ上にやや風が強かったおかげで空が澄み、月食を観察するには絶好の空となった。しかし寒い。温度計を見ると-8℃を指していた。

    そろそろ欠け始め。だが、まだ富士山と一緒に撮影できる画角には入らず。


    半分以上欠けた所でようやく10mmレンズの画角に入る。しかし、まだ明るすぎて月は吹き飛んでしまう。


    皆既直前の月と冬の大三角形  17mmレンズで撮影。

 9時40分を過ぎた頃、いよいよ月が欠けはじめた。しかし、新調した10-22mmレンズを最大広角にしてもまだ富士山と一緒にこの月を写し込むことはできない。皆既月食になるのはほぼ頭の真上、角度は足りるのだろうか?ちょっと心配になる。
 月が半分近く欠けた10時過ぎ、ようやく富士山と月が10mmレンズの視野で捉えられるようになる。麓の夜景を入れてぎりぎりの位置だが、なんとか入りそうだ。いつも使っている17mmレンズでも試してみたが、予想通り全く富士山の視野に入って来なかった。

    皆既月食の赤い月とオリオン座


    富士に昇る赤い月  月が欠けるにつれて星が輝く。予定では冬の大三角形が入るはずだったが、若干画角が足りず。

 2種類のレンズを交換しつつ撮影していると、10時50分過ぎ、遂に皆既月食となり、輝いていた月は赤銅色の月に変わる。初めて見る皆既月食の月は本当に赤かった。そして月が隠れると星がたくさん輝き出す。滝子山からだと、予定では富士山の真上で皆既月食になるはずだったのだが、計算を間違えたようで、やや東側で皆既したため、冬の大三角形が画角の中に捉えきれなかったのがちょっと残念だった。ようやく冬の大三角形が画角に捉えられた深夜12時は、皆既月食がもう終わる頃で月が輝き始めていた。

    月食の終わり。ここでようやく冬の大三角形が写りこむ。この画像ではわかりにくいかもしれないが、超低空にカノープスも写っている。

 富士の裾野の低空には若干雲が湧き、町明かりで明るく光っていた。冬の大三角形が南中した頃、肉眼でカノープスを見ることはできなかったが、皆既月食が終わる頃に撮影した映像の中にはっきりとその星が写っていた。やはり、条件が良ければ滝子山からカノープスを見ることができるのだ。おそらくはその北側の大蔵高丸、白谷ノ丸、さらに大菩薩嶺に至る山々からも見えるのだろう。皆既が終わった12時過ぎ、テントに戻って暖をとり、シュラフに潜って眠る。

    薄明の空  左が丹沢山塊、右が御正体山の山並み。


    Earth shadowと沈む月

 翌朝4時頃、背中が寒くて目が覚めた。温度計を見るとテントの中で-10℃を指していた。寒いのでバーナーを炊いてテント内を暖めまた寝る。5時50分、テントから出るときれいな瑠璃色の空が広がっていた。水平線がオレンジ色に染まっている。月は甲府盆地の向こうの西の空に傾いている。Earth shadowが広がった。

    夜明けの富士


    三つ峠越しの朝富士

 富士山の山頂がピンク色に染まり、6時42分、丹沢山塊から朝日が昇る。空気が澄んでオレンジ色に染まったきれいな日の出だった。大菩薩・小金沢連山が朝日で赤く染まっていた。7時過ぎまでこの素晴らしい夜明けを楽しみテントに戻って朝食を取る。

    朝の滝子山山頂

 さて、人が登ってくる前に邪魔にならないようにテント撤収、8時半下山開始した。前日登ってきたルートはやはり遠回りで、もう1本東側の尾根にルートがあってそこを下りた。出たところは景徳院の裏側だった。景徳院境内を見物させていただき、11時、駐車場に到着。一応は寝たが、帰りの車の運転は相当眠かった。

    欠ける月(合成)

 月の欠けて行く様子を55mmズームで撮影して合成したが、焦点距離が短すぎてあまり良いものにはならなかった。かつ、最後の赤い月は星を同時に撮影することを意識し過ぎて露出オーバー(Iso感度上げ過ぎ)の画像となってしまった。次こそは・・・と言いたいが、次にこのような好条件が揃う日はいつになるのだろう?



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皆既月食の赤い月、滝子山一夜(前編)

2011年12月14日 | 大菩薩・小金沢山系
 平成23年12月10日-11日

 空が澄んだ皆既月食の夜、皆様はいずこへ?私は富士山の上に昇った赤い月を捉えるべく、テント泊、滝子山山頂で一夜を過ごした。今までにも何度か月食の機会はあったのだが、いずれも天候が悪く不発に終わってしまった。初めて撮影する赤い月、果たしてうまく撮影できるものかどうか??今回の月食は深夜11時半、ほぼ頭の真上で月食となるため、今使っている17mmレンズで富士山を入れて撮影するには画角が足りず、支給されたばかりのボーナスで10-22mm超広角レンズを新調して撮影に望んだ。

12月10日
 朝から青空が広がり、寒い日となった。ブログには書いていないが、昨年秋に笹子から滝子山に登って、いつか山頂からカノープスを撮影してやろうと下調べをしてあった。今回は雪が降ったばかりだったので、車のスリップを心配して林道を避け、勝沼側の景徳院から登ることにした。3時間くらいで到着するだろうと甘い考えで、11時に自宅を出発、12時半に景徳院を出発した。地図を持って行くのを忘れ、入口がわからなかったが、「大鹿峠」という看板があったのでその看板に従って道を行くと、人家の柱に道標が打ち付けられていて、庭の中を通って登山道に入った。送電線鉄塔が何本も立っていて、道は良く整備されている。しかし、なかなか大鹿峠に着かない。

    景徳院の門。門の下に「湯の沢峠入り口 大鹿峠入り口」の看板あり。


    人家の柱に「大鹿峠」の看板。人家の庭を横切って登山道に入る。


    鉄塔整備道を兼ねているらしく、良く整備されている。


    大鹿峠付近の樹氷と、遥か向こうに見える滝子山。(中央の双耳峰のように見えるのが滝子山)
 
 午後2時20分、ようやく笹子側からの道に合流、見覚えのある看板が立っていた。その先が大鹿峠だった。樹氷の向こうに見えた滝子山はまだ遥か彼方だ。小休止してからひたすら歩くが、久しぶりのテント装備荷物はずっしりと重く、なかなか足が進まない。滝子山目前の最後の草原で日は西の山裾に沈んでしまった。なんとか夕暮れの富士山を見ようと最後の急登を必死に登り、息絶え絶えに午後5時、滝子山山頂に到着した。残照は終わってしまったが、夕焼けを背負った端正な雪化粧の富士山が、三つ峠越しに立っていた。

    滝子山手前の草原。もう日は西に沈みかけている。


    山頂目前で遂に日が沈んでしまう。


    夕暮れの富士  午後5時、ようやく山頂到着。夕焼けの空に富士が立つ


    夕暮れの富士と金星


    東の空に昇った十五夜の月

 東の空には金色の月がもうだいぶ高く昇ってきていた。大月市の明かりの向こうのは東京都の明かりが大きく広がっている。日が暮れて暗くなるにつれて星が輝き出す。月明かりに照らされた富士山の右には明るい金星が輝いていた。さて、今宵はこの月、どんな姿を見せてくれるのだろうか?星空の撮影を始めた3年前までは天体現象など全く興味がなかったので、部分月食は見たことがあるが皆既月食を真剣に観察するのは初めて(子供の時に見たような気もするが・・・)の経験となる。

    月光照らす夕暮れの富士


    滝子山から見る月。今宵はどんな姿を見せてくれるのか?

 すっかり暗くなった夕方6時過ぎ、テントを設営し、夕食をとって月食が始まるのを待つ。腕時計の温度計は-6℃を示していた。(後編に続く)

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祝、山梨百名山踏破!おやじ3人衆(+α)集結、最後の難峰(軟峰?)へ。  

2009年10月06日 | 大菩薩・小金沢山系
平成21年9月26日 天候晴れ
 おやじ3人衆の1人、山口さん(上野原在住)は今年8月23日に最後の難峰、笊ヶ岳に登頂し、山梨百名山全踏破を終えた。そして植田さん(以前は甲府だったが、現在町田市在住)は今回登る最後の難峰(軟峰?)一座を残して全踏破となる。2人のお祝いを兼ねて、山仲間の女性2人を誘い、最後の一座へ向う。

    深い谷の上にかかる橋を渡る。


    山門の前で記念撮影&ここでもうビールあけて乾杯!

 今回は電車を利用し、大月駅に10時集合。コンビニに立ち寄ってビールとつまみを買い、ザックに入れないで何故か手にぶらさげたまま山を目指す。私のザックの中には5人前のヤキソバと野菜、焼き鳥、シシャモ、エリンギ、ボトルウィスキーなど、宴会道具一式が入っている。川にかかる高い橋を渡り、登山口に到着。登る前に山門の前でさっそくビールを出してハイ、カンパ~イ。完全に山を舐めてますね。もうおわかりでしょうか?最後の難峰とは大月駅前に聳える岩殿山。みんなで宴会できるように、登りやすい山を残しておいてもらったのだ。

    岩殿城跡。丸山公園になっている。


    丸山公園から見上げる岩殿山

 登山とは言い難い、階段の整備された道をテクテクと歩き、山門から1時間かけて、12時に山頂到着。さっそく秘密兵器ののれんを取り出して記念撮影する。ちなみに青いほうは雪の白根三山のイメージ、赤は朝焼けのイメージで作ったのだが、赤のほうは色の出方がいまひとつだった。植田さん、申し訳ない。

    祝、山梨百名山踏破。山口さん、植田さん、ご苦労さまでした。


    山の上で祝賀会


    岩殿山から見る大月の町。富士山はちょっと姿を現しただけだった。

 記念撮影後はあずまやの横の広場にシーツを敷いて祝勝会を行なう。山口さんは相変わらずのハイピッチ登山、6月にはフランスのモンブランに登ろうとしたが、悪天候で手前の山小屋までで引き返したそうだ。植田さんは最近笹子周辺の山がお気に入りらしく、本社ヶ丸、鶴ヶ鳥屋山、三つ峠界隈を電車利用で歩いている。女性2人は数年ぶりの山歩きとなる。1時間半ほど山談義で盛り上がり、撤収・下山。次は日本百名山を目指そうと結束を新たにした。東北など遠い場所の遠征は複数で車に乗ったほうが有利だ。来春、飯豊山に登ってみたい。
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雪の大蔵高丸  平成20年1月25-26日

2008年01月28日 | 大菩薩・小金沢山系
平成20年1月26-27日 天候晴れ
 
 ようやく少し固まって雪が降った。甲府盆地から見る御坂の山塊も白く雪化粧していて、ようやく冬らしい景色になってきた。そこでさっそく、冬の秀麗富岳十二景、大蔵高丸を訪れてみることにした。春から秋にかけては林道を車で行けば難なく登れる大蔵高丸だが、冬季はゲートが閉鎖されているために湯ノ沢峠登山道の入り口まで余計に1時間半ほど歩かなくてはならない。さらに沢沿いの道を1時間歩いてようやく湯ノ沢峠なので、雪道であることも考慮すると山頂までは4~5時間かかると思って良い。しかも、この日はテントを担いで山頂泊り、星空と月光の富士山を狙う。
 土曜日の夕方に私用が入ってしまったので、金曜日の午後出発となった。午前中の仕事を早々に片付けて甲府を出発したのは午後1時を回っていた。天目温泉から林道に入ったが、予想通り私の車ではスリップしてとてもゲートまでは行けそうも無い。即効であきらめて車を回し、天目温泉近くの空き地に車を止めて林道を歩く。時間は既に午後3時、山頂到着前に日が暮れるのは確実だ。

    林道入り口近くにある竜天宮神社

 歩くこと1時間半、順調に湯ノ沢峠への登山道に到着。ここから沢沿いの道を歩くのだが、幸運なことにトレースがつけられていた。雪の深さはくるぶしからすねのあたりまでで、さほど歩きにくくはないが、急斜面ではところどころスリップする。途中で日が暮れてしまい、ヘッドライト装着、湯ノ沢峠の避難小屋に到着したのは午後6時近くでもう真っ暗だった。小屋は開放されていて、中には布団も用意されていた。いざとなったらここに駆け込めば良いなと考えつつ、大蔵高丸への道を進む。この先でトレースは白谷ノ丸側に曲がっており、大蔵高丸側には全くトレースはなかった。しかし、ここから先は広くて良い道なので夜でも歩ける。新雪を息絶え絶えに進むこと45分あまりで湯ノ沢峠お花畑に到着。東の空にオリオン座と冬の大三角形が大きく輝いており、ここで三脚を出し、最近試している星空の撮影を試みる。薄い霞が一枚かかり、東京都の明りが減弱されてはいるものの、かなりの明るさが東の眼下に見えていた。やがてその明りの上に赤い月が昇りはじめた。
    
      空に輝く冬の大三角形  下の明かりは東京都の明かり


    星の成る木  湯ノ沢峠お花畑で撮影

 さて再び大蔵高丸山頂目指して山腹のジグザグ道を歩き、午後8時半過ぎにようやく山頂に到着した。月明かりに照らされてうっすらと雲のかかった富士山らしきものが見えている。バルブ撮影しながらテントを張り、画像を確認してみると確かに富士山だ。後側に雲がかかっている。食事をとり、10時過ぎにテントの外に出てみると、今度は月明かりではっきりと富士山が見える。昼間見る富士山とはまた違う味わいがあり、都合良く三つ峠の電波塔は明りが灯っていなかった。ピントを合わせてバルブ撮影、さらにオリオン座と富士を入れて星空の撮影を試みる。気温はマイナス10度くらいだろうか、かなり寒く感じる。夜間の撮影で電池を大量に消費してしまい、明日の撮影分を残して夜の撮影は撤退、12時にシュラフにもぐり込んで眠る。

    月光富士

    
      オリオン座輝く  午後11時半ごろ撮影


    甲府盆地と南アルプスの夜景

 思ったよりも夜は寒く、未明の3時ごろに寒くて目が覚める。一旦ガスバーナーを焚いて暖をとり、ダウンジャケットとズボンをさらに着込んでまた眠る。ふと目を覚ますと周りがもうずいぶんと明るくなっている。時間は6時20分だった。パンを1枚食べて三脚を担いでテントの外に出る。雪をかぶった御坂山塊の山並がきれいだ。やがて富士山に朝日がかかりはじめるが、期待していた茜色の富士山にはならず、残念。午前7時、もう山頂に登ってきた人がいた。私と同じく朝の富士山狙いのカメラマンだった。午前3時から歩き始め、やっと日の出の時間に到着できたという。トレースがあって助かったとは言っていたが、やはり冬の大蔵高丸に登るのはちょっと苦労だ。

    雪を纏った御坂の山々と富士


    朝富士


    朝の南アルプス

 8時、すっかり日が昇ったところで撮影止め、朝食をとってテント撤収する。同じ頃にもう一人の彼も下山していった。さて、私はこれからハマイバ丸、米背負峠を経て大蔵川林道に下山するコースをとる。トレースが全く無いのが若干不安だったが、道は尾根通しに歩けば良く、さほど迷うところもなく三脚を担ぎながらダケカンバや広葉樹林の雪景色を楽しみつつ1時間半くらいでハマイバ丸に到着。一休みして笹原の急斜面を下るのだが、ここはちょっと苦労した。登山道に雪で倒れこんだ笹が覆いかぶさり、道が全く見えなくなっていた。覆いかぶさった笹の下を足やストックで探ると空間が空いているので、そこを探して笹をかき分けながら進むが、胸元から背丈ほどある笹で雪まみれになりながら通過した。さらにその先、2~3のコブを越えてようやく米背負峠に到着したのは12時半。結構疲れた。

    ハマイバ丸稜線の妖しげな木

    
      雪と木と富士  ハマイバ丸手前で撮影

    
      雪と笹で閉ざされた登山道  この笹原の下に道がある。

雪を溶かして昼食にスパゲッティをつくり、1時間ほど休憩して沢沿いの道を歩く。ここも全くトレースなし、道も良くわからないところがしばしばあったが、ところどころに道案内の看板がつけられているのでそれを目印に下る。ここはコース時間通りに40分で通過できた。そこから先は長い林道歩きだ。曲がりくねった林道をテクテクと歩いて行くと、右側が大きく崩落している場所があり、その先で車が入れないようにブロックが積んであった。2年くらい前に来た時は車で行けたのだが、これでは当面は通行不能だろう。夏場でもある程度の林道歩き覚悟で行く必要がありそうだ。かなり下まで降りたところにトンネルがあり、中は真っ暗。車が来るといけないので右端を歩いていたところ、大きなアイスバーンがあって見事にすってんころりん。久しぶりに雪の積もった山で転ばなかったかと思えば、こんなところで転んでしまった。その後は道のど真中を歩いて林道を通過、車の止めてある天目温泉には午後3時半に到着した。雪を楽しむには手頃な雪量の山だった。
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