山梨県では、県内に生育または生息する野生動植物のうち著しく個体数が少ないもの、著しく個体数が減少しつつあるもの、生育地あるいは生息地が消滅しつつあるものを「希少野生動植物種」としています。これは絶滅危惧種とほぼ同じ意味と捉えて良いと思います。その中でも、知事が特に保護を図る必要があると認めて、生きた個体の捕獲、採取、殺傷又は損傷を禁止する種を「指定希少野生動植物種(指定種)」、その中でもさらに譲渡し及び譲受けを監視する必要があるものを「特定希少野生動植物種(特定種)」としています。つまり、特定種は庭や鉢に植えてあるものでも移動や売買が出来ない植物であるということになります。山梨県から委託を受けて山梨県山岳連盟が行っている山岳レインジャー活動は、この特定種の個体数・植生調査と保護が主な活動の内容になります。
以下に挙げるものが山梨県特定種と指定種の植物です。
山梨県特定種(2020年1月現在)(指定種の中でも特別な種)
カイコバイモ(ユリ科) 山梨県絶滅危惧ⅠA類(CR) 環境省EN
コシノコバイモ(ユリ科) 山梨県絶滅危惧ⅠA類(CR) 環境省-
スルガジョウロウホトトギス(ユリ科)山梨県絶滅危惧ⅠA類(CR) 環境省EN
キタダケデンダ(ヒメデンダ)(イワデンダ科) 山梨県絶滅危惧ⅠA類(CR) 環境省CR
ヒイラギデンダ(オシダ科) 山梨県絶滅危惧ⅠA類(CR) 環境省EN
キタダケキンポウゲ(キンポウゲ科) 山梨県絶滅危惧ⅠA類(CR) 環境省EN
キタダケソウ(キンポウゲ科)山梨県絶滅危惧ⅠB類(EN) 環境省EN
キタダケトリカブト(キンポウゲ科) 山梨県絶滅危惧ⅠB類(EN) 環境省CR
タカネマンテマ(ナデシコ科) 山梨県絶滅危惧ⅠA類(CR) 環境省CR
タカネビランジ(ナデシコ科) 山梨県絶滅危惧ⅠB類(EN) 環境省-
ミヤマアケボノソウ(リンドウ科) 山梨県絶滅危惧ⅠA類(CR) 環境省-
ホテイラン(ラン科) 山梨県絶滅危惧ⅠA類(CR)環境省EN
ホテイアツモリ(ラン科) 山梨県絶滅危惧ⅠA類(CR)環境省CR
アツモリソウ(ラン科) 山梨県絶滅危惧ⅠA類(CR)環境省VU
キバナノアツモリソウ(ラン科) 山梨県絶滅危惧ⅠA類(CR)環境省VU
ヒメスズムシソウ(ラン科) 山梨県絶滅危惧-環境省CR
ニョホウチドリ(ラン科) 山梨県絶滅危惧ⅠB類(EN) 環境省NT
カモメラン(ラン科) 山梨県絶滅危惧Ⅱ類(VU) 環境省NT
ユキワリソウ 山梨県絶滅危惧ⅠA類 環境省-
クモイコザクラ(サクラソウ科) 山梨県準絶滅危惧種(NT) 環境省VU
ホウオウシャジン(キキョウ科) 山梨県絶滅危惧ⅠB類(EN)環境省EN
ムシトリスミレ(タヌキモ科) 山梨県絶滅危惧ⅠA類(CR)環境省-
ハコネコメツツジ(ツツジ科) 山梨県絶滅危惧Ⅱ類(VU) 環境省VU
ホザキツキヌキソウ(スイカズラ科) 山梨県絶滅危惧ⅠA類(CR)環境省CR
ベニバナヤマシャクヤク(ボタン科) 山梨県絶滅危惧ⅠA類(CR)環境省VU
計 25種類
山梨県指定種(2020年1月現在)(指定種の中で特定種を除いたもの)
ヒツジグサ(スイレン科) 山梨県絶滅危惧ⅠB類(EN) 環境省-
カリガネソウ(シソ科) 山梨県絶滅危惧ⅠB類(EN) 環境省-
ヒメマツカサススキ(カヤツリグサ科) 山梨県絶滅危惧ⅠA類(CR) 環境省VU
(上記3種の指定種は山域や山岳地帯では無い場所に主に生育している)
ヒイラギデンダは北岳に生育しており、おおよその場所は掌握しているので機会と時間があれば観察可能と思っている。
指定種・特定種の制度は採取や移動、移譲、売買を禁じるうえで天然記念物に指定するのに近い法律的な効力を持っている。その違いは、天然記念物の場合はほとんどが場所を公開しているのに対してこの指定種・特定種の制度は場所を公開していないところであろう。良く考えられた良い制度だと思っているが、この制度があっても盗掘されている植物があることは残念である。監視員の目だけではなく自然保護に関心のある多くの人たちの目によって大切な動植物を見守って行くことが大切であろう。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます