山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

沈む夏の大三角形と昇る冬の大三角形、平沢峠と瑞牆公園  平成21年12月7日

2009年12月28日 | 番外編
 平成21年12月7日

 八ヶ岳に沈んで行く夏の大三角形をずっと撮りたいと思っているのだが、なかなか天候や日程、さらに月の位置が合わない。それと、雪が積もる白い八ヶ岳に沈んでゆくところが撮りたいのだが、もうひとつ問題がある。それは・・・明るすぎるサンメドウズ清里スキー場のゲレンデの明りだ。11月の早い時期ならばまだライトは点灯していないが、まだ八ヶ岳の雪が少ない。12月に入るとライトが灯り、山の風景が吹き飛んでしまう。12月の初旬、おそらくは明りが邪魔になるであろうが、これを過ぎるともう夏の大三角形が夕暮れの早い時間に沈んでしまう。ほとんど最後のチャンスといって良い。飯盛山の山頂が良いのだが、この日は何も登山の準備や防寒着は準備しておらず、とりあえず平沢峠(飯盛山の主登山口)から八ヶ岳の眺望が良いので、そちらに行ってみることにした。

    平沢峠から見る八ヶ岳夕景  スキー場の明りが眩しいほどに明るい。

 峠に向う道はところどころ雪が積もっていたが、ノーマルタイヤでもなんとかスリップせずに通過できた。6時ごろ、平沢峠到着。予想通りスキー場ゲレンデの明りが赤々と灯っている。八ヶ岳は中腹あたりまで雲がかかり、赤岳山頂は見えたり隠れたりしている状態だ。気温は-3℃、普通のズボンと靴では足元が凍える。三脚を立てて車の中と三脚のところを行ったり来たり、車内で暖を撮りながら撮影する。うまく雲がスキー場のライトを覆ってくれる時を狙ってシャッターを切るが、やはりあまりにも明るすぎて山の姿が飛んでしまいそうだ。やはり飯盛山界隈から冬の八ヶ岳と星空を写しこむのは難しそうだ。夏の大三角形が八ヶ岳の上に来る8時まで粘って撤収する。

    八ヶ岳と夏の大三角形Ⅰ


    八ヶ岳と夏の大三角形Ⅱ

 その頃、東の空にはオリオン座が昇り始めていた。もう1ヶ所、是非行ってみたいと思っていた場所、それは瑞牆公園だ。ここから見上げる瑞牆山は凹凸の激しい、圧倒される山容を見せてくれる。角度的にちょうど山頂にオリオン座と冬の大三角形が昇って来るはずだ。カーナビを瑞牆山方面にセットして、信州峠を越えて瑞牆公園に向った。

    瑞牆山に昇るオリオン座

 信州峠の信州側の道は悪路だと思っていたのだが、今は全面舗装された広い道になっていて、むしろ山梨県側よりも良い道になっていた。9時前には到着し、公園の広い芝生(草地か?暗かったので芝ではないように見えたが)の中を良さそうな撮影場所を探して歩く。ちょうど瑞牆山の上にオリオン座が全景を見せているところだった。足元がかなり寒かったが、車に戻るのは面倒なので辛抱していると、しだいに寒さに慣れてきた。待つこと1時間、10時過ぎにいよいよ冬の大三角形が昇って来た。左端の土手の上に登る道があったので、そちらに場所を移動すると、ちょうど良い位置で冬の大三角形を画角内に納めることができた。10時半まで撮影して車に戻り、かじかんだ手と足をヒーターで暖めながら岐路についた。

    瑞牆山に昇るオリオン座と冬の大三角形Ⅰ


    瑞牆山に昇るオリオン座と冬の大三角形Ⅱ

 撮影としてはそこそこに良い風景が撮れたと思うのだが、山の上から撮る風景ほど感動がない。今回は次に登る予定の山から見る風景の、下見も兼ねている。次回、1ヵ月半ぶりに登った山上からの星空をお見せする。果たしてふたご座流星群は写ったのか?乞うご期待。
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獅子座流星群と冬の大三角形、帯那山  平成21年11月18日 

2009年12月26日 | 番外編
 平成21年11月18日 

 先日の夕方までは曇り空だったのだが、この日の未明には雲が晴れ、獅子座流星群観察には良い天候となりそうな予報だった。しかし・・・この日は平日、かつ夕方までびっしり仕事を抱えている。カメラを持って帰ると撮影に出かけてしまいそうだったので、職場にカメラを置いて帰宅した。ところが・・・夜9時頃、同じ町内会の山中間から電話が・・・「流星ってどうやって写真撮ればいいの?」。彼はまだカメラ初心者で、NikonD300という名機を持ってはいるものの、ほとんどオートでしか撮ったことが無いらしい。まず我が家に来てもらい、カメラの設定から始める。ついでだから職場にカメラを取りに行き,私も撮影に加わることにした。

    帯那山から望む夜の富士山.低空が霞んでいまひとつ.


    林の上に昇ったオリオン座と冬の大三角形.秋から冬はやはりこの星座がいちいちばん目を引く.

 12時に睡眠薬を飲んで一旦寝て、3時半起床、4時に我が家に迎えに来てもらい、帯那山に向かった。4時40分には撮影予定地に到着し、三脚を立てて早速富士山の写る位置を探す。しかし、低空にかかった霞のために富士山の写り方はいまいちだった。ならば、照準を林の上に昇っているオリオン座と冬の大三角形に変えて、そちらを中心にシャッターを切る。1時間に20個くらいの流星が流れているが、なかなかカメラの画角の中に流れてくれない。ここで一緒に行った連れのカメラにトラブル(というか1枚も撮影しないうちからトラブル!)発生。モードをマニュアルに変えて30秒、ないしはバルブで撮影したいのだが、Pモード(プログラムオートモード)からの切り替えの仕方がわからない。持っていった説明書を見てもどこで切り替えれば良いのやら???NikonもCanonもほとんどダイヤル式になっているのだが、D300は切り替え方式が違っていてダイヤルがついていない。いろいろいじっているうちに、あっという間に空が青くなり始め薄明の時間になってしまった。そして水平線が赤くなり、星が消え夜明けとなる。結局連れの彼は星空を1枚も撮ることなく夜が明けてしまった。

    獅子座流星群と冬の大三角形


    同上,解説付き


    帯那山から見る朝の富士山.この時間の富士山はきれい.

 私の方は、20カットほど撮ったうちの1枚に2個流星が写ってくれてはいたのだが、同時に邪魔な人工衛星も写ってしまっていた。寝不足で出勤となったが、トラブル無く仕事を終えることができた。連れの彼はきっとダークな1日だったことだろう。
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 月光のアサヨ峰一夜  平成21年11月7日 

2009年12月25日 | 南アルプス
 平成21年11月7日 天候晴れ

 実に2か月ぶりのブログ更新となる。私のブログを熱心に見てくださっている方々、また、更新されないので心配されている方々、申し訳ありませんでした。全く山を歩いていなかったというわけではなかったが、体調不良で休んでいたのも事実。体力に似合わない大きな荷物を背負ったためか、左手にしびれが出て1ヶ月ほど静養したが、全く症状は変わらず、休んで治るものではないらしい。また、来年のカレンダーをつくったり、クリスマスイベントを企画して職場で音楽会に併せてスライドショーをやったり(画像500枚を編集して約250枚を上映した)、忙しい日々が続いていた。(本業は暇にしてます。)この記事は1ヶ月以上も前に登った、アサヨ峰1泊の記事である。
 奇しくもこの日は南アルプス林道バスが運行する今年最後の週末だった。また、故障したカメラとレンズの修理が終り、2日前に受け取ったばかりだった。この日を逃すと北沢峠は戸台口から歩かなければならなくなってしまうため、果てしなく遠い山になってしまう。また、アサヨ峰は昨年の年末に行こうとしたのだが、強風に阻まれて手前の栗沢山までしか行けなかった山である。何故この時期のアサヨ峰にこだわるのか?それはあの山頂からおそらくは北岳の左側、池山吊り尾根の上にカノープスという星が見えると予想されるからだ。どうしてもそれを自分の目で確かめてみたい。
 仙流荘10時発の北沢峠行きバスにぎりぎり間に合って、飛び乗るようにしてバスに乗り込んだ。ひと安心して久しぶりに見る戸台川の流れを楽しんでいると、異変に気付く。いつもなら首から肩にかけてぶら下げているもの、そうだ、カメラが無い!修理しなおしたばかりで車の座席に置きっぱなしにしてバスに乗ってしまったのだ。北沢峠まで行って仙流荘に戻るバスは午後1時、折り返して北沢峠行きのバスは午後3時、もうアサヨ峰まで登ることは不可能だ。北沢峠まで到着したところでバスの運転手さんに事情を話し、あきらめて帰ることを告げると、ちょうど団体客の臨時バスが北沢峠から出発するところだったらしく、無線で連絡をとってくれた。そして運良くそのバスに乗ることができ、12時半に仙流荘に戻ることができた。次の北沢峠行きバスは午後1時。2時から歩き始めれば、なんとかアサヨ峰まで到着できる。きっと山が呼んでいるのだろう。気合を入れなおしてアサヨ峰を目指す。

    仙丈ヶ岳に沈む夕陽(栗沢山から)


    夕陽射すアサヨ峰


    夕陽射す甲斐駒ケ岳

 晩秋の北沢峠は人もまばらで、テント場も数張しか張られていない。ツガ林を登っていると、後ろから中年のカップルがサブザックで登ってきてあっさりと私を追い越していった。栗沢山までピストンするらしい。自分としては急いで登っているつもりなのだが、栗沢山に到着したのは午後4時20分、北沢峠から2時間半もかかった。ちょうど仙丈ケ岳の上に夕陽が沈んで行くところだった。普通ならば急いでアサヨ峰目指すところなのだろうが・・・折角の夕暮れの景色がもったいないので、ここは三脚を出して写真を撮りながら、しばし夕暮れの景色を楽しむ。ヘッドライト装着し、午後4時45分、栗沢山を出発、途中で雷鳥に出会うことができ(この山塊で雷鳥を見たのは初めて)、岩場を慎重に越えながら、午後6時半、目指すアサヨ峰に到着した。もう真っ暗で、鳳凰山塊は見えるものの富士山は出ているのかどうか肉眼では確認できない。カメラで撮影してみると綺麗な富士山が鳳凰山の右上に浮かんでいた。

    アサヨ峰の途中で雷鳥に出会う.1羽は木の陰に隠れている.


    アサヨ峰から見る夕暮れの鳳凰山と富士山


    甲斐駒ケ岳と北天の空  甲斐駒ケ岳はちょうど北側に位置する.南には北岳がある.

 テントを張って夕食をとり、しばし和んでいると、甲府盆地の向うからオレンジ色の月が昇り始めた。今宵は十九夜の明るい月、星空を撮影するには明るすぎるが、そのかわり月光浴びる山々がきれいに写ってくれる。薄雲が時折山の上を流れて行くが、空が澄み、風も無く穏やかな夜だ。果たしてカノープスは見えるのか?昨年年末に栗沢山から撮った写真を再度良く検討した結果、栗沢山で見えたカノープスと思っていた星は実はそうではなくて、カノープスの少し上にあるオレンジ色に光る星であったことがわかった。すなわち、栗沢山からカノープスを見ることはできないのだ。しかし標高が100mほど高く、南に位置するアサヨ峰ならば、カシミールの画角からすると見えるはずなのだが・・・。東の空からオリオン座が昇って来たところで、午後9時半、シュラフにもぐり込んで一旦寝る。

    北岳と木星


    鳳凰山に昇るオリオン座  甲府盆地の明かりが明るすぎてあまり写らない.

午前2時半、テントの外に出て北岳を見ると、もうすぐ冬の大三角形が南中するところだった。そして、池山吊り尾根の上を見ると・・・微かな光、おそらくカノープスだろう。目が慣れてくると、明らかに明るい星が輝いているのが見える。間違いない、カノープスだ。予想通り、アサヨ峰から見ることができるのだ。30分ほど眺めていると、午前3時を過ぎた頃にカノープスは北岳の斜面に消えていった。

    南の空高く昇るオリオン座と冬の大三角形  すぐ上に月がある.


    天空のシリウスと池山吊尾根に昇るカノープス


    北岳とカノープス


    月光の甲斐駒ケ岳と雲に浮かぶ八ヶ岳


    薄明の鳳凰山と富士山

 甲府盆地は雲の下、霞んだ光が静かに輝く。月光に照らされた甲斐駒ケ岳が静かに立ち、その横には雲海に浮かんだ八ヶ岳がたたずむ。一人で過ごす山上の静かな夜を満喫し、やがて夜が明ける。鳳凰山の左横から朝日が昇り始める。このカットは以前から年賀状に使おうと思っていたのだが、なかなか撮れずにいた風景だ。日が昇ったのを見届けてからテント撤収、急いで下山し、北沢峠10時半のバスになんとか間に合って、無事帰宅した。

    朝焼けの北岳


    鳳凰山に昇る朝日


    朝日浴びるアサヨ峰

下山の時に岩場を降りる際、レンズの先を岩で擦ってしまった。いつもならば保護フィルター(NDフィルター)をつけているのだが、この時は修理から戻ってきたばかりだったのでうっかり付け忘れていた。あっ、と思った時にはもう遅く、レンズには1cmほどの白い傷がついてしまった。修理したばかりなのにまた修理、これもあって山をしばらく休むことになる。体の異変に気付いたのは下山して2~3日経ってからだった。槍ヶ岳に行ってきた頃からなんとなく左手がおかしい気がしていたのだが、たいして気にもしていなかった。しかし、今回は明らかに左手の指先がしびれる。1日中ではないが良くなったり悪くなったり、しかし、握力や腕力は全く問題なし。単なる神経の圧迫症状だろうと思い、しばらくザックを背負わずに休むことにした。(何となくスランプ状態で、あまり歩きたくなかったこともある。)1ヶ月休んだが症状は全く変わらず、そうしているうちにもう一つの異変が・・・血糖値がかなり高くなっていた。以前から内服治療はしていたのだが、もはや入院するかどうかという状態まで悪化、これはもう歩くしかないってことだろう。「さぼってないで登っておいでよ」山がそう呼んでいる気がする。
コメント (6)
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