山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

垣間見る秋空、黒沢池と妙高山  平成23年9月24日

2011年09月30日 | 日本百名山
 平成23年9月24日

 火打山山頂で夕暮れの7時半まで粘ったが、その後小雪が舞い始め、高谷池テント場に8時半下山してきた。テントの中に入ると、恐れていたことがおこっていた。ピンホールが何個も空いている私のテントの底、水がしみ込んでテントの床が濡れてしまっている。幸いにしてシーツを敷いてある部分はかろうじて大丈夫で、そこに座って食事をとるが、周辺に置いてあったタオルやティッシュペーパー、手袋は水浸しになってしまった。コンビニの袋に荷物を詰め替えて防水対策をとる。防寒のためシュラフカバーを持って来たおかげで、シュラフはなんとか濡らさずに眠ることができた。その夜は小雪混じりの小雨が降ったり止んだりしていた。
 迎えた翌朝は5時に目が覚めた。気温は0.6度だったが、ダウンジャケットとカッパを着るとさほど寒くは感じなかった。もうテントを撤収している人の声が聞こえる。雨は止んでいるが外はどんよりとした曇り空だ。6時まで寝て明るくなったところで朝食をとり、テントを撤収する。メインテナンスを行なっていない私のテントは水を含んでしまい、フライシートも本体もずっしりと重みを増してしまう。ザックを背負うと、登って来たときよりもむしろ重くなっているように感じた。想定外の雪とテントのトラブルでほとんどやる気無し、かつ、空は相変わらずの曇り空、このまま下山も考えたが、ひとまず1時間ほどで行ける隣りの黒沢池まで行ってみることにした。

    高谷池テント場は雨で泥沼状態。靴もズボンも泥だらけになった。


    茶臼山付近から見る火打山は雲が巻くが、秋の青空が垣間見える。


    下に見える黒沢池と、少しだけ姿を見せる妙高山


    黒沢ヒュッテ  これから妙高山に向かうグループの姿が見える。

 重いザックはすぐに慣れた。一旦昇りになり、茶臼山という小ピークを越えると黒沢池への下りになる。曇っていた空はしだいに晴れ始め、時折青空が見えるようになってきた。雲の中から妙高山も顔を覗かせ始める。黒沢池を右下に眺めながら、黒沢ヒュッテに8時半到着した。
 これから妙高山に出発する人たちの姿が何組もあった。山頂まで約2時間半の行程だが、私の足だと3時間くらいはかかるだろう。山頂12時、黒沢池に戻って3時としても下山には十分な時間だ。天候も回復しつつあるので、行ってみることにする。使わないテントやシュラフ、テントマットなどは黒沢池ヒュッテに置いて荷物を軽くし、9時にヒュッテを出発した。

    大倉乗越から見る雲をまとった妙高山


    燕温泉分岐の手前から見上げる妙高山。かなりの急傾斜だ。


    燕温泉分岐。ベンチが設置されていて休憩できる。

 まずは大倉乗越への昇りだ。雨の降った後で道がぬかるんで滑りやすく歩きにくい。登りつくと妙高山の展望が一気に開け、雲を纏った妙高山が眼前に立つ。登ったと思えば今度は急下り、ロープが数本張られた急斜面を登ってきた以上に下る。帰りにまたこの急斜面を登り返すかと思うと、先が思いやられる。川を渡ってようやく燕温泉への分岐点に到着する。ここにはベンチが設置されていて休憩できる。時間は10時10分、ここから妙高山への急登り、高度差にして400m強の登りが待っている。
 石のゴロゴロする急斜面をひたすら登る。休憩するにも良い場所が無く、また、下山してくる人とたくさんすれ違う。下山の人たちにできるだけ道を譲り、その度に休み、ひたすらゆっくりと、呼吸を整えつつ、疲れを残さないように登る。まだ帰りの笹ヶ峰までの長い下りが待っているからだ。

    妙高山への石のゴロゴロした急登り。


    登山道上部から見る妙高山。あの岩の裏側が山頂。


    山頂裏側にある祠

 急斜面を登り切って尾根を右に曲がると祠があった。そこで写真を撮りつつ休憩した後、先に進むと広い山頂にポンと飛び出した。たくさんの人が登ってきており、昼食時間ということもあり休憩していた。金峰山同様、日本百名山なる山は人がいっぱいだ。時間は11時45分だった。三角点のある山頂よりもその向こうにあるピークのほうが7~8mほど標高が高いらしいが、今回はそちらまで行かずに、山頂で記念撮影と周辺の景色を撮って、12時には早々に撤退する。人の多いところはどうも苦手だ。

    妙高山山頂


    隣のピークのほうが標高が高い。


    山頂の岩には少しだけ雪が残っていた。火打山と同様にこちらも雪が降ったようだ。


    山頂から見る火打山方面。相変わらず雲が巻いている。


    先週登った金峰山同様、妙高山も人がいっぱい。


    帰り際、大倉乗越から見る妙高山と長助池。

 あとはひたすら下山。大倉乗越への登り返しはやはり辛く、あとから来た人たちに道を譲ってゆっくりと登る。そして、黒沢ヒュッテには午後2時半に到着した。置いていった荷物をザックに詰めなおし、小休憩と軽い食事をとって3時10分前にはヒュッテを出発する。黒沢池は高谷池や天狗の庭と同様に心の和む美しい場所だ。小さな尾瀬ヶ原といったところだろうか。山々に囲まれた景色、草の生える湿原、紅葉の季節になればきっと心奪われるような景色になることだろう。そして、花の咲くシーズンもきっと素晴らしいだろう。木道の脇には大きなミズバショウの葉やチングルマの綿毛、イワイチョウの葉などがたくさん生えていた。急いで歩くことなどできない。この景色を心に留めつつ、振り返っては写真をとり、名残り惜しみつつ帰路につく。

    黒沢池


    水芭蕉の葉


    チングルマの綿毛


    振り返っては写真を撮り、名残惜しんで黒沢池を去る。

 黒沢池の湿地帯を過ぎてから高谷池の分岐までは少し登りとなり、その先はひたすら下りだ。十二曲がり手前の急斜面さえ明るいうちに通過すれば、あとは明瞭な道で危険箇所は無い。まだ日の明るいうちに楽々その場所を通過し、あとは黒沢橋を渡って木道を足早に歩き、ちょうど日没の5時40分、笹ヶ峰の駐車場に到着した。ゆっくり登ったことが功を奏し、あまり疲れを感じずに下山できた。
 天気予報で晴れの予報を信頼して行った火打・妙高だったが、想定外の雪には少々驚いた。テントの水漏れは予想していたが、降るとは思っていなかったので修理もしていなかった。反省して3連休最終日は自宅でテントに防水をかけ、ピンホールを接着剤で修復して次の山行に備えた。さて、りゅう座流星群とオリオン座流星群のやって来る10月、どこの山で星空を眺めるか、楽しみだ。秋の空気が漂い始め空が澄んできた今日この頃、美しい星空を眺めたいものだ。
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高妻山に流れる天の川、笹ヶ峰から火打山へ 

2011年09月28日 | 日本百名山
 平成23年9月23日

 山梨百名山は約1年半で制した。かつ、スペシャリストの山と言われる鋸岳、笊ヶ岳、笹山(黒河内岳)、鶏冠山の4山は、鋸岳登頂2回を除けばいずれも3度登った。山梨百名山は既に2周半くらい登ったといっても良いかもしれない。しかし・・・それでもまだ満足していない。それは、まだ歩いていないルートがあるからだ。甲斐駒ケ岳から鋸岳のルート、まだ鋸岳第2高点には立っていない。農鳥岳から笹山のルートも、鶏冠山から甲武信ヶ岳のルートも、そして伝付峠から笊ヶ岳のルートもまだだ。いずれも難しいルートだが、これらを踏破しなければ山梨百名山を制したとは言えないのではないだろうか。
 今年の9月、2度の3連休があったが、前半は演奏会と日直で、間に金峰山に登って終わった。後半、第一候補は農鳥岳から笹山のルートだった。奈良田から笹山へのダイレクトルートが数年前に切り開かれ、昭文社の新しい地図にも掲載されるようになった。奈良田を起点に2泊で周回(1泊でも十分に可能)できる。ところが、台風16号の大雨により奈良田に至る道は早川橋の近くで通行止め、かつ、夜叉神から広河原ルートも、伊那側のルートも使えなくなった。それを知ったのが連休前日の木曜日、どこに行くか決まらないまま、アウトドアショップエルクに行って地図を眺める。とりあえず北へ行くことだけ決め、持っていなかった妙高・火打山の地図を買った。
 水曜日の当直疲れが抜けないまま、金曜日、連休初日の朝を迎える。いつもなら目が覚めないのに、不思議とこの日は5時半に目が覚めた。お風呂に入り、それから登山の準備、とりあえずテント泊の装備をザックに詰め込み、7時自宅出発して中央道に乗る。台風が過ぎ、すっきり晴れの天気になると思っていた予想ははずれ、空はどんよりとしている。長野方面に向かって走って行くと、南アルプスは雲に覆われているが八ヶ岳は見え始めていた。ならばできるだけ北へ、ということで、ここで妙高・火打山にテント泊で行くことに決める。

    笹ヶ峰の火打山登山口


    整備された木道が続く


    川を渡る。この先から傾斜が強くなってくる。


    中腹のブナの森


    ブナの森を過ぎるとオオシラビソの林に変わる。

 妙高山への登り口はいくつかあるが、火打山にも行きやすい笹ヶ峰のルートを選択し、駐車場に向かう。10時半に到着、準備して11時に出発した。テント場のある高谷池、あるいは黒沢池まで、約4時間の行程だ。整備された木道がしばらく続き、川を渡ったところで急登りになる。十二曲がりというジグザグの急登を登り切り、ここで緩くなるのかと思ったら本当の急登はその先にあり、崖のような岩が待っていた。ここを登ってしまうと高谷池(火打山方面)と黒沢池(妙高山方面)の分岐となる。山頂までの時間は火打山のほうが早かったので、ここは高谷池に行くことに決める。

    高谷池(火打山方面)と黒沢池(妙高山方面)の分岐


    小雨が降り、雲に巻かれる火打山。右に見える小屋が高谷池ヒュッテ。


    高谷池周辺は笹とシラビソの森。


    テント場から見る高谷池と火打山


    反対側から見る高谷池ヒュッテとテント場

 分岐を過ぎたあたりで雨が降り出した。天気予報はあてにならないものだ。スパッツを持ってこなかったので、ズボンの裾は泥だらけになってしまった。3時、ほぼ予定通りに高谷池のテント場に到着した。テント場はほぼ満杯で、一番奥にようやく2張ほどできるくらいのスペースが空いているだけだった。テント設営し、4時少し前から火打山山頂を目指して出発する。約2時間で山頂、となると下山してくるのは夜7時を回る。が、それも計画のうちだ。山頂からどんな夜景が見えるのか見てみたかった。

    色付きはじめた火打山


    同上


    天狗の庭展望所


    火打山を映す天狗の庭の池

 当然の如く、この時間から山頂に登って行くのは私だけだった。天狗の庭という湿原は少しだけ紅葉し始めており、火打山を水面に映す心洗われるような美しい場所だった。下山してくる人たちとは10人くらいすれ違った。最後に出会った2人の若者男女が、山頂直下で雷鳥に出会ったと教えてくれた。もともとはこの山には雷鳥はいなかったはずなのだが、どこからか飛んで来たらしく、住み着くようになったと聞く。夕陽の差し込む天狗の庭と登るほどに姿を露わにする妙高山を振り返っては写真を撮りつつ、山頂を目指す。

    火打山中腹から見る夕暮れの天狗の庭と妙高山


    山頂直下で出会った雷鳥


    きれいなEarth shadowが出た妙高山


    日没を少し過ぎた午後6時、山頂到着。雲に巻かれて真っ白。


    東側に広がる町灯り。


    雲が巻く夕暮れの妙高山

 山頂まであと10分ほどのところで足元から雷鳥が姿を現した。私の姿を見ると足早に逃げ去ってしまい、10mほど離れた場所でなんとか撮影することができた。山頂に到着したのはちょうど6時ごろだった。流れ行く雲に覆われてしばらくは何も見えなかったが、待っていると時折雲の切れた隙間から高妻山が見えた。日本海側はやや厚い雲がかかり、まずいことに雷鳴が時折響いてくる。町明かりが灯り始める頃まで寒い中を辛抱して空を眺めていたが、なかなか晴れず、あきらめて下山し始めた。10分ほど下りたところで妙高山がすっきりと見え始めた。さらにその南から西側を見ると、雲がすっかり飛んですっきりと空が見え始めていた。再び山頂に戻ってみると、南西の空に傾いたさそり座が全容を現していた。夕暮れの青い空に天の川もうっすらと見え始めている。再び三脚を構えて待っていると、7時を過ぎた頃から目を見張るような星空が広がった。高妻山から昇る白い天の川が頭の真上を横切り、夏の大三角形を貫いている。久しぶりに見る夏の天の川だ。撮影に熱中するが、南アルプスと同様、こんな北の山に来ても飛行機がたくさん飛び交い、これをカットすることができない。

    夕暮れのさそり座と天の川  左下に見える山は高妻山・戸隠山山塊。


    高妻山に流れる天の川


    火打山の星空  カシオペア座を狙ったが、一部画像に入りきらず。右手に光るのは雷雲。


    妙高山と町灯り


    高妻山を流れる天の川  このカットを最後に雪が舞い始め、下山する。

 7時半ごろ、雲が増えてきたかと思ったらあっという間に山頂は雲に巻かれてしまった。さらに雨、ではなくて小雪が舞い始めた。ここで撮影は終了、止む無く下山する。木道はうっすらと雪を被り、スリップするため、木道の横の石のところを歩いて下山する。途中に2~3人用のテントが張られていたのには驚いた。テント場がいっぱいで張れず、おそらくここまで登って来たのだろう。許されるなら、私も天気の良い日に山頂で一夜を過ごし、この山からでもひょっとしたら見えるかもしれないカノープスを眺めてみたいと思った。
 8時半、無事にテント場到着。それから夕食をとって寝たのだが、その夜はずっと小雨と小雪が舞っていた。いつも条件の悪い場所でテント設営しているため、私のテントの底には小穴がたくさん開いてしまっている。そこから雨水が入り込み、テントの中はえらいことに・・・(翌日の妙高山に続く)
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晴天の金峰山  平成23年9月18日

2011年09月26日 | 八ヶ岳・秩父山系
 平成23年9月18日
 
 演奏会を終えた翌日、久しぶりに6才のなっちゃんを誘って山に出かけた。他に北岳登山ですっかり山にはまってしまった高山君と小堀君を誘う。3連休の中日、相当な混雑が予想される大弛峠、早朝5時に職場の駐車場集合し、塩山でなっちゃんとお母さんを拾って峠に向かう。
 塩山では空はどんよりとした雲が広がっていたが、大弛峠に近付くにつれて青空が広がり始め、7時に峠到着した頃には下に雲海が見える青空になった。予想通り駐車場も路上も車がいっぱいで、長野側の砂利道を100mほど下ったところに車を止めた。シャツ1枚では少々肌寒いくらいの気温だった。

    長野県側の砂利道脇に車を止める。


    空はもう秋の雲

 7時半、大弛峠からいざ出発。最初は少し急な登りだが、登って行くとなだらかな登りとなり、林の隙間から富士山が見え出す。雲の上に頭を出している。さらに南アルプスもずらりと雲を纏って並んでいる。今日の眺望は最高だ。2時間ほどで朝日岳の岩の堆積した展望地に到着した。ここで景色を見ながらしばし休憩する。いつもならこのくらいの時間になると富士山や南アルプスには雲が上がってしまい、見えなくなるのだが今日はすっきりと見えている。

    急な上りを登り付くと林の隙間から富士山が見え出す。


    雲海に浮かぶ富士山


    夜間に星空を入れながら撮るならこんな感じかなと考えながら撮影。


    朝日岳山頂付近から見る富士山


    こちらは雲海に浮かぶ南アルプス


    立ち枯れの森が広がるが、若い木が下から成長している。


    こちらも立ち枯れの倒木。環境の厳しさが伺える。

 朝日岳から一旦ぐっと下って、そこからまた金峰山山頂に向けての登りとなる。ツガの樹林帯を登って行くと、突然森林限界を超えて一気に眺望が開ける。眼下に瑞牆山、その向こうには雲に浮かぶ八ヶ岳が見える。山頂はもう目の前だ。

    眼下の瑞牆山と雲に浮かぶ八ヶ岳


    山頂付近の紅葉と富士山

 その先はゴロゴロした岩や大きな岩の上を歩くようになるが、山頂直前の岩場でルートを間違えて進めなくなり、なっちゃんともう一人同じようにルートを間違えた男の子を岩の上から抱えて降ろし、また先に進む。すぐ先が山頂だったが、山頂の金峰山標柱のところは写真の順番待ちをするほどの人でごったがえしていた。さらにその先の五丈岩周辺もちょうど昼食時だったこともありたくさんの登山客が訪れていた。人だかりを避けて五丈岩裏側の広場に逃げたつもりだったが、こちらも数人の先客あり。しかし、5人で座って食事するには十分な場所があり、ここで食事をとって大休憩する。

    五丈岩とたくさんの登山者たち


    五丈岩を背に記念撮影。今日は最高の登山日和でした。

 寒くも暑くもないちょうど良い気温、しかもお昼になってもまだ富士山がすっきりと見えている。なんと良い日に登って来たことだろうか。山の素晴らしさを満喫し、同じ道を下山。午後4時15分、大弛峠に無事下山した。
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晴天の茅ヶ岳、夏の花と標柱整備  平成23年9月7日

2011年09月21日 | 八ヶ岳・秩父山系
平成23年9月7日 
 
 夏休みではないが、平日のこの日は昼間に時間が空き、夜が当直となった。朝からすっきりとした青空が広がったこの日、秋のハイシーズンを前に茅ヶ岳の標柱の点検とニススプレーを持って整備に出かけた。
 朝8時、いつもの出勤するのと同じくらいの時間に自宅を出発、大明神林道を9時半に歩きはじめる。女岩に向かう道はミズヒキが咲き、ツリフネソウはそろそろ終焉、トリカブトは蕾を膨らませ始めたところだった。

    ツリフネソウはもう終わり。


    トリカブトが蕾を膨らませていた。このあたりは白っぽい花が咲く。


    メタカラコウ。女岩の上の道沿いに毎年咲く。


    茅ヶ岳の森の倒木


    ウバユリの実


    名前不明。良く見かける花(?)です。


    ミヤマママコナ  山頂付近に咲くが、以前に比べるとだいぶ数が減った。


    ハクサンフウロ  山頂付近に群生。

 女岩を過ぎて稜線までは順調に歩いたが、稜線に着いたところで左に行くところをちょっと右に逸れて金峰山方面の展望地に立ち寄る。そこは眺望が良いこともあるのだが、もうひとつ、ミヤマモジズリというピンク色の可愛らしい花が咲いている場所があるからだ。3株ほど咲いているのは確認したが、場所が悪く、また雨で花がつぶれていたため、撮影しなかったが、その後この花を見つけることはできなかった。

    茅ヶ岳山頂。知らないうちに大きな方位盤が設置されていた。が、既に富士山が壊れている。標柱の横にあるのは三角点の計測器。


    ツインタワーは健在。うれしい限りです。

 稜線の道に戻ると、20人ほどの団体客が登って来た。平日なので静かな山が楽しめると思ったのだが、人気のある茅ヶ岳だけに、そうはさせてくれないようだ。先に行ってもらったが、途中で追い抜いて先に山頂に到着した。4~5人の先客がおり、さらに三角点で測量している技術者の方もいた。知らないうちに大きな方位版が設置されていたのには驚いた。後ろから団体客が来るので、すぐに標柱整備にとりかかる。はがれた標柱表面を削り、ニススプレーを吹きかける。サンドペーパーを持ってこなかったので表面はあまりきれいにはできなかったが、腐食を防ぐには十分と思う。昼食はとらずにそのまま下山し、午後1時、車を止めた林道に到着した。

    久しぶりにすっきり見える富士山。空にはトンボがたくさん飛ぶ。


    金ヶ岳と八ヶ岳  紅葉はまだ始まっていない。


    下山途中の尾根道で見つけたマツムシソウ。倒れた木の枝に押しやられて曲がって咲いていた。


    ビランジの咲き残り。


    尾根道のガレ地から見る富士山
    
 これから紅葉シーズンを迎え、ハイシーズンを迎える茅ヶ岳。標柱が登山客の皆様に可愛がっていただければ幸いだ。
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中秋の名月昇る富士 猪之頭峠から熊森山へ

2011年09月19日 | 御坂・毛無・天子山系
 平成23年9月13日

中秋の名月は十四夜の月で、例年ならば若干欠けている月なのだが、今年は満月になった。この日は午後から休みをとってあり、当初は午前の業務を早めに切り上げて七面山に行く予定を立てていた。しかし、予定通りには行かないもので、終わってみればもう12時を過ぎており、今から七面山に行ったとしても月の出に間に合うかどうか難しい時間になってしまった。ならば、予定変更、猪之頭林道に行くことにする。ここならば車で行けるので、5時半の月の出には余裕で間に合う。途中栗林先生のところの「写ば写ば」に立ち寄って(残念ながら先生はおらず)コーヒーをいただいてから予定地に向かったが、余裕で3時に到着した。
 撮影に良さそうな場所にはもう車が何台も駐車されており、三脚が立てられていた。猪之頭トンネルすぐ手前から狙おうと思って現場に行くと、既に3~4人の先客がおり、三脚が立てられている。その後からも数台車が到着、場所取りで三脚だけ立てて車を別の場所に置きに行く人もいた。場所は余裕で確保できるのだが・・・撮影者の顔ぶれは高齢の方ばかりだ。やはりこういう場所は歩けなくなって山に登れなくなった時のために残しておくべきだろう。この上の稜線は樹林帯で眺望が悪いということは聞いていたのだが、木々の隙間を探して山の上から狙うことに決めた。

    猪之頭林道から猪之頭峠に登る獣道のような細い道


    猪之頭峠直下の林の中から見る富士山。こんな感じでの撮影も有りかなと考えながら登る。


    猪之頭峠から見る富士山  急な登山道から撮るので足場は決して良くはないが、撮影場所はある。

 トンネルの脇を右に行く細い道があり、急登を登って行くと30分ほどで猪之頭峠という場所に登り付く。かなりの悪路で、登るには良いが闇の中を下山するとなると道迷いを起こしかねない細い道だ。峠で左に曲がって登って行くと、笹と低木でやや視野が遮られるものの、十分に撮影可能な場所があった。さらに登って行くと、見上げるような急登りとなり、ツガの樹林帯に入る。このあたりはほとんど景色が見えないが、急登が少し緩やかとなって山頂まであと少しというところで森の切れ目を発見。左右の視野に制限があるが、富士山を切り抜くには十分の視界が得られる。ここで中秋の名月を撮影することに決める。

    熊森山に登る中腹から、振り返れば毛無山の山塊が見える。かなり遠い。


    熊森山山頂直下の林の切れ目。富士山と朝霧高原が見える。ここから月を狙うことに決める。

 その先、数分で山頂に到着した。その山の名前は・・・熊森山。名前は凄いが、至って静かな平らな山頂だった。三角点のところにあった看板はこの名前ではなくて「雲守山」というロマンチックな名前がつけられており、そちらのほうが山の雰囲気に合っているように思った。山頂で道は二手に分かれていた。ここは毛無山から長者ヶ岳に行く縦走路で、あまり歩く人がいないマイナールートである。予想していたよりもコース状況は良く、普通に歩けそうだ。もう1本の左手(南東側)に向かう道はおそらく猪之頭林道に直接降りる道だろう。昭文社地図には載っていない道なのでどうなっているかわからないが、分岐点で見る限りでは明瞭な道だ。

    熊森山山頂。平らで穏やか、熊の森のイメージではない。看板には「雲守山」とロマンチックな名が書かれていた。


    こちらの標柱には「熊森山」と書かれている。

 さて、山頂から少し戻ったところで三脚をセットして富士山頂に月が昇るのを待つ。現在地は標高約1,500m、平地での月の出は5時半ごろだったので、6時頃に山頂に昇ってくるだろうと予想して待つが、なかなか昇ってこない。富士の残照が消え、6時を過ぎてもまだ昇らない。携帯電話で七面山ライブカメラを見てみると、こちらはもう富士山の遥か上まで月が昇っていた。10分以上は時間差があるようだ。そして6時9分、待望の富士山頂からの月の出を迎える。雪の無い夏富士だが、これもまた面白い。ただ、想定していた残照の時間帯に昇る月ではなかったのがちょっと悔やまれた。

    三脚をセット、月を待つ。ついでに時間は早いがヘッドライトをセット。


    夕暮れの雲海と富士


    山頂近くに黒っぽい雲が湧き始めたと思ったら・・・


    あっという間に富士山は雲隠れ。このままダメかと思ったが、10分ほどで雲は晴れる。


    雲が晴れ、いよいよ月が昇りはじめる。


    中秋の名月昇る富士Ⅰ


    中秋の名月昇る富士Ⅱ

 月が富士山頂の真ん中を越えたところで撮影を止め、斜面を一気に降りて猪之頭峠付近の撮影適地に行く。焦って2度ほどスリップしたが、10分くらいで駆け下り、予定地に到着。うまくすれば富士山真上にある月が撮れるかと思ったのだが、若干遅れた。雲の中に隠れた月が輝きまた面白い写真が撮れた。

    富士山上に輝く中秋の名月Ⅰ


    富士山上に輝く中秋の名月Ⅱ

 月が富士山頂を離れたところで、6時50分撮影終了。三脚とカメラをザックにしまい込み、本日一番の難関、峠から林道に降りる道を行く。暗闇の急下りはやや怖かったが、登りながら念入りにチェックしてあったので、迷うことなく15分で猪之頭林道に下り立つことができた。林道ではまだ撮影している人の姿がたくさんあった。
 なかなか空が晴れない今日この頃だが、気温が下がらないこの時期にしては抜群の月が見られたと思う。予定していた場所とは2度も違ったが、一度登ってみたいと思っていた猪之頭峠稜線、かつ撮影場所があるということがわかったことは、大きな収穫になった。

 (今回の中秋の名月は、さっそく先日開催された「山と花と星の奏でる演奏会」で上映させていただきました。)
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山と花と星の奏でる演奏会 盛況に開催しました。

2011年09月19日 | 番外編
 去る9月17日、予定通りに「山と花と星の奏でる演奏会」が開催されました。当初は40人前後の来客者を想定していたのですが、最終的には70人を超える来客者をお迎えすることができました。席が50数席しかなく、立ち見の方まで出てしまいました。また、曲の解説と演奏がうまくかみあわなかったり、スライドと曲のタイミングが合わない(これは最初から想定していましたが)など、いろいろ反省点がありますが、それ以上に、会を進行しながら、わくわくした気持ちがいっぱいで行うことができました。私的には大成功の会だったと思っています。



    9月18日の山梨日々新聞記事


    トライアングルKの3人を囲んで、病院長、および協力していただいたスタッフたちとともに。
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「山と花と星の奏でる演奏会」開催します

2011年09月05日 | 番外編
 ずっとやりたいと思っていた音楽家を呼んでの生演奏とスライド上映会を組み合わせた会ですが、ようやく実現する運びとなりました。職場では初めての試みです。今回はスライドがメインではなくて演奏会が主ですが、後半に5~6本スライドを組み合わせて公演します。ご期待ください。




 今年5月、日本橋三井ホールで行われた寺井尚子さんのコンサートは本当に感動しました。その中で演奏された曲、あのチャーリー・チャプリン作曲のTerry's Theme と Smileを編曲したこの曲は、うっとりするような曲調と澄んだバイオリンの音色に心震えました。今度行われる演奏会も、皆様の心に残るような会にしたいと願っています。

月光のアサヨ峰一夜 for UT
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被災地巡礼Ⅱ② 2日目、南三陸志津川町と石巻

2011年09月05日 | 番外編
8月20日
 気仙沼から海岸沿いを南下し、いよいよ今回の一番の目的地、志津川町に入る。ここにはかつて派遣・非常勤医師として勤務したことのある志津川町立病院(現公立志津川病院)がある。海岸の岬を回り込んで志津川の町に入るとそこには・・・戦場のような光景が広がっていた。

<南三陸志津川町>
 突然眼前に広がった悲惨な光景、5ヶ月経ってもまだガレキが散在し、粉々になった町の光景が広がっていた。ガレキを運ぶトラックが行き交い、海岸近くに高く積まれている。港に立ち寄ってみると、建物は骨格だけ残って粉々になっており、あったはずの道も壊れて無くなっていた。漁港は一応再開されているらしく、4~5隻の漁船が停泊し、フォークリフトや魚の籠が積まれていた。黄色いTシャツを着た人だかりがあったが、ちょうど放映されていた24時間テレビのロケだった。

    志津川漁港 建物はボロボロの状態だが、このままで使用されていた。人だかりは24時間テレビのロケ。


    漁船が数隻停泊していた志津川漁港。


    一応漁港は再開されているらしい。


    道路は復旧されているが町はガレキが散乱。側溝は潮が満ちてくると海水が逆流してくる。


    海岸の近くに山積みにされたガレキの山。ガレキを積んだトラックが頻回に行き交う。

 病院に行ってみると、まだガレキが全く撤去されずに山のように積み重なっていた。津波後のそのままの状態といった感じだ。病院1階には花壇が設けられていて、花の他にぬいぐるみやおもちゃが捧げられていたのが印象的だった。そっと花を手向けてきた。お世話になった病院の変わり果てた姿に、言いようのない空しさと脱力感に襲われた。

    公立志津川病院。かつて勤務していたことがある。


    病院の前はガレキの山。5か月過ぎてもまだ手がつけられていない状態。


    公立志津川病院、左側。


    病院玄関


    病院1階に設けられている花壇。ぬいぐるみやおもちゃも供えられていた。


    病院側から見るガレキ集積所。この山をこれからいったいどうするのだろうか?


    病院裏側に転がっていた救急車の残骸。津波の破壊力の凄さを思い知る。

 病院の裏側に防災対策庁舎がある。津波に襲われつつも、最後まで避難放送を行って殉職された遠藤末希さんがいた場所である。ここにある花壇に捧げられていたユネスコの手紙には思わず涙をこぼしてしまった。庁舎のまわりもまだ手つかずのガレキの山、復興というにはまだ程遠い状況であった。

    志津川町防災対策庁舎。骨格だけしか残っていない。


    庁舎前に設けられた花壇。訪れる人が後を絶たない。


    この手紙には泣けた。


<石巻市、石巻市立病院>
 時間は夕方の6時を回ってしまったが、5月にも視察に行った石巻に立ち寄った。前回は石巻港を一望できる日和山公園から石巻港周辺の惨劇を見下ろした。この時は交通規制があり、自衛隊と災害支援の車両以外は核心部に入れなかった。確かに、ガレキが散乱してその撤去作業が行われており、邪魔な車が入れるような状態ではなかった。

    石ノ森章太郎館の前にある石巻港沿い遊歩道は地盤沈下で水没している。周辺の道路も一部水没。

 カーナビに従って石森章太郎館のある川沿いの道を行こうとすると、その道は地盤沈下のため水浸しの状態で通行不能だった。戻って日和山公園の裾を走って石巻市立病院付近に到着した。まだ細かなガレキは残ってはいるが、5月に比べると格段にきれいに片付いていた。石巻市立病院は道を隔てて石巻湾に面した位置にあり、1階部分はボロボロになっていた。3階より上は大丈夫そうに見えるのだが、問題は地盤沈下だ。院外薬局は半分近くが水没しており、駐車場と思わしき場所も水たまりに変わり、そこには小魚が跳ねていた。とても使えるような状況ではなく、今後もこの場所で再開して良いのかどうか、おそらくは無理だろうと思った。

    石巻市立病院周辺の津波被災地。細かいガレキが散乱しているが、5月に比べると格段にきれいになっていた。


    水没している石巻市立病院周辺


    かつては道路と駐車場だったと思われるが、水につかり、ここでは小魚が跳ねていた。


    石巻市立病院玄関。1階部分はボロボロ。


    石巻市立病院側から見る日和山公園。あの高台に皆逃げた。



    今回視察した場所

 この日は仙台にホテルをとってあり、8時頃到着した。利休で牛タンを食べ、仙台駅周辺のアーケード街を散策したが、仙台の町は何事も無かったかのように、以前と変わらずにぎやかだった。(3日目、名取市閖上地区、仙台空港周辺に続く)
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