山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

北海道の山2山目、札幌岳 

2010年10月29日 | 番外編
 平成22年10月15日 天候曇りのち雨

 職員旅行で北海道を訪れた2日目、前日の樽前山に続いて再びtarumae-yamaさんに案内していただいて、今度は地元で人気の山、札幌岳に登った。当初予定していた羊蹄山は午後から雨の予報のため中止して早めに下山できそうな山に変更した。
 定山渓温泉の本日宿泊予定となっているホテル駐車場に8時半待ち合わせにして、洞爺湖ウィンザーホテルを7時に出発した。空は曇り空だが、時折青空ものぞくことができたが、途中で見える羊蹄山は中腹から上はどんより暗い雲がかかっていた。午前8時、中山峠という定山渓温泉手前の峠のあたりで電話が鳴った。Tarumae-yamaさんはもうホテル駐車場に到着したそうだ。15分ほど遅れて私も到着、tarumae-yamaさんの車に乗り込んで札幌岳登山口の駐車場に向う。10分ほどで駐車場に到着し、8時半から歩き始めた。

    登山道の入り口 笹の中に良い道が延びている。


    途中、丸太橋のかかった川を何度か横切る。


    林道を横切る。休憩中のtarumae-yamaさん

 何度か丸太橋のかかる小川を渡り返し、林道を横切って1時間半ほどで赤い屋根が綺麗な冷水小屋(つめたみずこや)に到着。そこには本当に冷たくておいしい水が流れている。ここから先が札幌岳への急登となる。1時間ほど登ると傾斜が緩くはなるのだが、そのあたりはぬかるみがひどく、ズボンの裾を泥だらけにして進む。山頂間近というところで雨がポツポツと降り出し、なんとか本降りにはならずに山頂までは到着できた。

    冷水小屋


    冷水小屋の横に流れる冷たい水。


    中腹の白いダケカンバの林がきれいだったが、天候が悪くうまく表現できない。

 ここでザックカバーと上半身だけカッパを着る。時間は11時20分、3時間近くかかった。Tarumae-yamaさんの奥様が朝5時に起きて調理してくださったというお弁当をいただく。おにぎりの中身はハスカップの塩漬けという初めて食べる食材で、自家性のものだそうだ。梅のシソ漬けに似たその味はおにぎりの中身にぴったりで、たいへんおいしくいただいた。昼食を食べ始めた頃にtarume-yamaさんの山仲間Hさんが登って来られた。昨夕アップしたtarumae-yamaさんのブログを今朝見て、予定した山を変更してこちらに来られたそうだ。映像関係の仕事をされている方で、Eos5Dを愛用されているそうだ。山頂まで2時間とかからずに到着されており、これまた快足の持ち主だ。(何故か、山で知り合う人たちはこんな凄い人たちばかりだ。)さらに地元の女性2人(看護師さんだそうだ)が登ってこられて、5人で山頂の標柱とともに記念撮影した。天気が良ければ札幌の町を一望でき、羊蹄山をはじめとする道南の山々の眺望抜群の山なのだが、残念ながらこの日は雲に巻かれて何も見えなかった。

    雲に巻かれた札幌岳山頂


    tarumae-yamaさんが持ってきてくれたお弁当。おにぎりの中身は自家製のハスカップ塩漬け。


    山頂にいた5人で記念撮影。

 小雨降る中を下山、スリップしやすい道で何度か滑ったが転倒することなく歩く。冷水小屋あたりで本降りの雨になってしまったが、Hさんと星空をはじめとする写真談義を交わしつつ、楽しく下山できた。
 今年の北海道の紅葉はハズレ(おそらく山梨県も同様)だったが、札幌近郊で人気の山2山に登ることができて、満足な山行だった。2日間おつきあいいただいたtarumae-yamaさんには本当に感謝感謝である。肝心の職員旅行は・・・全員の集合写真を撮るという仕事が残っており、下山後添乗員に連絡をとり、午後から一行に合流した。
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ドームに沈む夕陽、樽前山(北海道)

2010年10月24日 | 圏外編
 平成22年10月14日 天候晴れ

 今年も職員旅行の季節がやって来た。昨年は九州・由布院方面、職員3人を連れて九重山を訪れ、一昨年は東北方面で、単独那須岳に行った。そして今年は北海道、ちょうど紅葉の季節だろう。旅行の行き先が決まった春先の当初から、千歳在住のブログ仲間、tarumae-yamaさんにご厄介になり、樽前山に行こうと決めていた。そして日程と時間が許せばもう一山どこか、できれば日本百名山の羊蹄山あたりをと考えていた。日程は10月14日から16日までの3日間だ。事前にtarumae-yamaさんに連絡をとり、10月14日、新千歳空港に午後1時降り立ってすぐにレンタカーを借り、コンビニエンスストアで待ち合わせてtarumae-yamaさんと合流する。ご自宅に車をおかせていただき、tarumae-yamaさんの車に乗り込んでさっそく樽前山に向かう。

    樽前山の紅葉と支笏湖


    風不死岳  なんとなく山容が茅ヶ岳に似ている。

 駐車場に到着したのは午後2時半近くになってしまい、さすがにこの時間から登って行く人はほとんどいなかった。山頂だけちょっと往復してくるつもりで行ったのだが、折角来てくれたのだからと紅葉のきれいな風不死岳(ふっぷしだけ)の裾近くを通ってぐるりと樽前山ドーム一周するコースを案内していただいた。その足の速いこと、あの飯豊本山を、コースを間違えながらも川入から日帰りしてきたのもうなずける。今年の紅葉は夏が暑すぎたためにあまり染まらないうちに葉っぱが落ちてしまい、あまり良い色にはなっていないらしいが、それでも山梨の中・低山で見る紅葉とは全く違う景色が広がっていた。
 西側が見える稜線まで登ったところで休憩して軽食をとる。遙か遠くに羊蹄山が霞んで見えるが、蝦夷富士の名の通り、富士山そっくりの山容、そしてでかい。日帰り登山はかなり大変そうだ。樽前山のドームが見えるようになるが、ちょうどその上に半月少し前の月が昇っていた。

    見上げる樽前山山頂 ドームはこの稜線を越えると見えてくる。


    樽前山ドームと月  前景の白く丸い花はシラタマノキ。たくさん咲いている。


    樽前山ドームと噴煙


    樽前山ドームから吹き上げる噴煙  シューシューという音が聞こえる。


    東側にまわり込んで見る樽前山ドーム。もう山頂は目前。


    奥の院。向こうには海が見える。

 ドームを左手に見ながら西側に回り込む。樽前山ドームからガスがシューシューと音を立てて噴出しているのが見え出す。さらに回り込んで山頂に行くと、ちょうど樽前山ドームの上に夕陽が沈んで行くところだった。反対側を見れば影樽前山の三角錐が延びている。なんという絶景か。初めて訪れた山でこんな綺麗な夕暮れ、しかも絶妙な位置に沈んで行く夕陽が見られるとは思ってもいなかった。風が強く、少しばかり寒かったが、日が沈むまでこの景色をじっくりと味わってから下山した。一応ヘッドライトを装着したが、まだ足元が見えるうちに駐車場に到着できた。

    夕陽を背にシャッターを切るtarumae-yamaさん


    夕陽とドームを背にして山頂で記念撮影


    樽前山ドームに沈む夕陽  こんな良い場所に夕陽が沈んでくれるとは思ってもいなかった。


    影樽前山


    樽前山の夕暮れ


    夕陽が沈むのを見て下山。

 その後、tarumae-yamaさんのご自宅に寄らせていただいてお茶をいただいた後、千歳市内の居酒屋で夕食をご馳走になった。牛タンと豚のしゃぶしゃぶ、おさしみ、ししゃも焼きなどなど、一品一品素材にこだわったこの店の料理はどれをいただいてもたいへんおいしかった。特に、好物のホッキ貝とししゃもは絶品だった。山は歩いたものの、体重は軽く1kgは増えたことだろう。
 すっかりご馳走になって満腹になった後、本日の職員旅行宿泊地、洞爺湖ウィンザーホテルに向かう。9時にお別れして10時10分ごろにホテル到着したものの、その後トラブルがあって自室に到着したのは10時半になってしまった。(詳細はまたの機会に。なにせこんな高級ホテルに泊まったことのない田舎者なもので。)明日の天気は午後から雨なので羊蹄山は止め、再びtarumae-yamaさんに案内していただいて、地元で人気の山、札幌岳に行くことになった。本日ほとんど寝ないで甲府を出発してきたため、大浴場で入浴後はほとんど同行した職員たちの顔を見ることもなく、さっさと寝る。(しかし、高級ホテルは体に合わないのかぐっすり眠れない。)
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3年越しのダイヤモンド富士、笊ヶ岳(2日目)

2010年10月24日 | 南アルプス
 平成22年10月10-11日 天候晴れ

 前日11時間半かかって山頂に到着した時は、もうすっかり夜中、10時半になってしまった。富士山の上にオリオン座が昇り、天の川流れる星空を眺めつつ、未明1時に眠りについた。

    夜明けの富士山


    夜明けの荒川三山 右から荒川岳、赤石岳、聖岳。聖と赤石の間にあるのが影富士。

 目が覚めたのは4時半ごろ、まだ薄暗く、もう少し寝るかと2度寝入りすると、次に目覚めたのは5時40分過ぎ。携帯電話の目覚ましを5時20分にセットしておいたのだが、全く気がつかなかった。外はもうすっかり明るくなっている。ダイヤモンド富士は確か6時ごろだったはず、飛び起きてテントの外に出ると、富士山山頂がきらきらと輝いていて、ダイヤモンドの前兆が始まっていた。急いでカメラのところに行くと、前夜セットしておいたタイマーが作動していて5カットほどシャッターを切ったところだった。構図を決めなおして絞りとシャッタースピードを再調整し、ダイヤモンド富士に備えるが、後を見ると荒川三山に朝日が当たり始めており、綺麗な景色になっていた。影富士も見える。そちら側に移動して何枚か撮影し、戻って北岳方面を撮っていると・・・ふと見ればダイヤモンド富士が始まってしまっているではないか!急いで定位置にカメラを戻してシャッターを切る。まだ朝焼けのオレンジ色が残っているうちにダイヤモンドになるこの場所の富士山はそれなりに良いのだが・・・狙っていたのは雲海上のダイヤモンド富士。すっかり雲が飛んでしまってあまりにもあっさりし過ぎている。レンズに吐息を吹きかけて光を分散させて撮ると、それなりに面白い作品にはなるのだが・・・いまひとつと言わざるを得ない。また次回・・・はいったいいつになるのか?またここまで登って来る元気があるのか?この山に来るたびにそう思うのだが、辛さは下山するとすぐに忘れてしまってまた行きたくなってしまう。山に登る人はきっとみんなそうなのだろう。

    笊ヶ岳のダイヤモンド富士  3度目でようやくダイヤにはなったが・・・雲が無くあっさりし過ぎている。


    レンズに吐息を吹きかけて光を拡散させて撮影


    朝焼けがまだ残っている時間帯にダイヤモンドになる笊ヶ岳は、条件は良いが登るのが大変。


    白根三山(右)と塩見岳(左) 真中に小さく見えるのが仙丈ケ岳


    笊ヶ岳から見る甲府盆地


    小笊と富士

 ダイヤモンド富士が終わったところで朝食をとる。夕食と朝食で水1リットル消費し、残りは布引山にデポした分を合わせて800mlほどとなってしまう。広河原の水場まで5~6時間かかるとして、ギリギリといったところだろう。昨日の登りで時間がかかり、予想以上に水を消費してしまった。それでもなお、体は脱水状態で、テント撤収でテントを丸めようとすると両手の指が攣って言うことを聞かなくなる。指を引っ張ってはテントをたたみ、また引っ張っては仕舞い、そのうち面倒になって指が攣ったままでテント撤収して無理矢理ザックの中に押し込める。さて、長い下山だ。

    笊ヶ岳の標柱  左が立派な静岡県(東海パルプ)の標柱、右は新しく立て直した山梨百名山標柱。南嶺会のメンバーが苦労して担ぎ上げて立てた標柱だ。


    布引山コルから見上げる大笊と小笊


    布引山の稜線から見る富士山  下に雨畑湖が見える。


    布引のガレから見る紅葉の荒川三山

 7時半山頂を出発、布引山9時、その先のガレ場がなかなか眺望が良く、三脚を立てて写真を撮る。ここから先が急下りだ。こんな急で道がわかりにくいところを、よくあんな暗闇の中を登って来たものだと我ながら感心する。昨日の足の疲れでふんばりがいまひとと効かないので、慎重にゆっくりと下りる。途中で軽く足が攣ったものの、屈伸運動だけで改善。辛かったのは爪先の痛みで、靴が合わないようで4時間以上のロングコース下りだと毎回痛くなる。山の神手前辺りから痛みが強くなり、靴を脱いで休憩しながら下山し、午後2時、渡渉点の広河原に到着した。

    山梨の森百選、檜横手山の苔とツガの森

 水を一気に1リットル飲んで水分を補給し、ここでゆっくりと昼食のソバを作って食べる。前日に比べて水かさはだいぶ減っており、楽に渡渉できた。靴紐をゆるめて奥沢谷、林道と歩き、午後4時20分、老平の駐車場に到着した。ヘトヘト、というほどでもなかったが、爪先の痛みがいちばん辛かった。
 山頂まで行けるかどうか、この山に登る時はいつも心配になる。今回は足が攣って心が折れそうになったが、目的と強い意志を持って登りつくことができた。ちょっとばかり危険な登山ではあったが、達成感のある登山だった。
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富士に昇るオリオン座 笊ヶ岳(1日目)

2010年10月19日 | 南アルプス
 平成22年10月10-11日 天候曇りのち晴れ

 3連休初日の土曜日はあいにくの雨となってしまった。天気予報では翌日の午前中も雨の予報で、前年からこの連休に予定していたこの山へは登れないだろう、と思っていた。雨による増水で奥沢の広河原が渡渉できない可能性が高いからだ。数年前に台風後の増水時、ここを無理に渡ろうとして流され、命を落とした人がいる。しかし・・・
 10日の日曜日、朝8時に目を覚まして空を見上げると、雨はもう上がっている。時折雲の切れ間から青空も覗いているではないか。思ったよりも早く雨が上がったのだ。しかし、昨日の雨の降り方からして奥沢の渡渉が可能なのかどうか?時間も遅くなってしまったし、相手はあの難峰笊ヶ岳だ。行くかどうか、かなり迷った。天気が回復してくるのは目に見えている。そして、何故この連休にこだわるのか?それは、10月11日は笊ヶ岳山頂でダイヤモンド富士になり、しかもほぼ真中から日が昇って来るからだ。10月11日が休みになる日はまた数年先になってしまい、その時登れる保障もない。渡渉できなければ仕方ないが、行かないときっと一生後悔するだろう、そんな思いを抱きつつ、早急に1泊テント装備をザックに詰め込み、9時に自宅を出発した。
 雨畑の老平(おいだいら)を歩き始めたのはもう11時になってしまった。3年前は11時間かかってようやく山頂に到着したので、今回もおそらくは山頂到着は夜の10時ごろになるだろう。なにせ累積標高差が約2,300mもある、とんでもない登山だ。急ぎ足だと後半に響くので、足が疲れないように故意にペースを落としつつ、林道を歩き、一軒家の廃屋を過ぎ、岳沢吊り橋を渡って1時間20分ほどで広河原に到着した。

    雫の上に咲くギボウシ


    岳沢の吊橋


    シャワーを浴びる場所がある。

 思ったとおり、いつもの徒渉よりも10cmほど水位が上がっている。いつもは登山靴のまま石の上を飛んで靴を少し濡らす程度で渡っていたが、今回は濡れずに渡ることは困難だ。まずザックを下ろし、膝上までズボンとタイツを捲り上げ、裸足になって空身で渡渉してみる。膝を少し越えるところまで水に濡れるが、なんとか渡渉できる。今度はザックを背負って慎重に渡渉し、無事に対岸にたどり着いた。

    広河原の渡渉場(渡渉後に撮影) 下段の中央部を渡った。

 ここが最後の水場になるので、たっぷり水を飲んで食事をとって、2.5リットルの水を汲んで(持って行ったスポーツドリンクと合わせて計3.5リットル)ザックに詰め込み、午後2時広河原を出発した。ここからが笊ヶ岳登山の本番となる。山の神の祠まではジグザグの良い道がついているが、その先で急傾斜が始まる。ちょっと緩くなったかと思えばまた急傾斜、その繰り返しだ。檜横手山手前の傾斜がかなりきつく、登りついて緩やかになったところで苔の生えたツガの林に入るのだが、ここから緩い傾斜をだいぶ歩いてようやく檜横手山山頂に到着、時間は午後6時、ここで日が暮れた。檜横手山(ひのきよこてやま)まで、昭文社地図では広河原から3時間と書かれているが、何度歩いてもこの時間ではとてもたどり着けない。(老平駐車場の看板には4時間と書かれていて、こちらの時間のほうが正しいと思う。)

    造林小屋跡地への登りでガレの縁から富士山が望める。雲が晴れすっきりした富士山が見え始める。

 座って一休みするが、足にかなりの疲れが来た。普通ならばここでテントを張って未明から登り始めるのだろうが、なんとしても山頂まで行きたい。立ち上がってザックを背負おうとすると、右足太腿の内転筋が攣ってしまう。ストレッチしてなんとかおさまり、ヘッドライト点灯して夜道をルート探しながら歩き始める。この先、崖のような急登が待っている。その中腹で、今度は左足の大腿四頭筋が攣ってしまい、一歩も足が進まなくなってしまう。暗闇の中、登ることも下りることもできず、しかもテントを張れるような場所でもない。ひとまずは腰を下ろして疲れた足をマッサージし、ゆっくりと屈伸運動を繰り返す。そしてスポーツドリンクと行動食をとって塩分とエネルギーを充填する。10分ほどの休憩でなんとか足は動くようになり、再び暗闇の中を上を目指して歩き出す。なんとか歩けそうだ。最初はゆっくりと、そして徐々にピッチを上げて、いつも通りに歩けるまで回復した。
 布引山に8時45分到着。空を見上げるとすっかり雲が晴れ、一面の星空が広がっていた。頭上高く夏の大三角形が輝き、天の川が貫いている。やはり山は登って来いと私を呼んでいた、そんな気がした。ここで500ミリリットルの水をデポして笊ヶ岳山頂を目指す。足は大丈夫そうだ。この先のルートははっきりしているので、迷うことはない。足元に気をつけて転倒しないように歩き、そして夜10時半、ようやく笊ヶ岳山頂に到着した。3度目の山頂だが、今回がいちばん達成感があった。小笊越しに富士山がくっきりと見える。右手には静岡・沼津方面の明かり、左には甲府盆地の明かり、富士山の左手に明るく放散しているのは東京都の明かりだろう。思ったとおりの夜の絶景、そして富士山の真上にオリオン座が昇ってきていた。

    富士に昇るオリオン座


    富士に昇るオリオン座と冬の大三角形  右が沼津、左が甲府盆地の夜景。15mm diagonal fisheyeで撮影。


    裏側の荒川三山に沈む夏の大三角形

 山頂にこだわるその理由は、明朝のダイヤモンド富士もあるのだが、もう一つはこの富士山の上に昇って来るオリオン座と冬の大三角形だったのだ。夜11時にオリオン座が全容を現すのはパソコンで計算していたので、それまでに山頂に到着できれば良かったのだ。なんとかたどり着くことができた。3年前の静寂な雲海が広がった笊ヶ岳の夜、この光景を目にしていたのだが、その時は撮影する技術を持っておらず、ずっとリベンジしたいと思っていた。3年越しの思い、しかし、雲海が広がらなかったのはちょっと残念だ。久しぶりに空気が澄んでいつもは霞んでいる甲府盆地の明かりがはっきりと見える。おそらく、この夜は甲府からでも空に流れる天の川が見えたことだろう。リモコンで1分30秒ごとにシャッターが切れるようにセットして、テントを張り食事をとる。満天の星空の下でとる食事がどれほど美味で幸せなことか。

    3年越しの思い、富士に昇るオリオン座と冬の大三角形


    笊ヶ岳の標柱とテント  この星空の下、眠るのがもったいない。

 眠るのが惜しい夜だったが、寝ておかないと明日の下山に堪える。1時まで頑張って、翌朝間違って起きられなかったことを想定して、5時半から自動的にカメラのシャッターが切れるようにタイマーをセットしておいて、シュラフに潜り込んで眠る。
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色付き始めた御坂山塊、釈迦ヶ岳

2010年10月19日 | 御坂・毛無・天子山系
 平成22年10月3日 天候曇り

 星の輝く夜の空を狙ってはいるものの、なかなか空が晴れてくれない。今年の冬は御坂山塊からカノープスが見えるのかどうか、検証してみたいと思っているのだが、空が晴れないことにはどうしようもない。
 この日も曇り空。どこに登るかも決めていないまま、朝9時頃ひとまず御坂山塊目指して車を走らせる。芦川に行ってみると、新たに河口湖と芦川、さらに精進湖線へとつなぐルートのトンネルが完成しており、ひとまず河口湖の大石まで走ってみた。トンネルを抜けてすぐのところに大石峠から節刀ヶ岳への登山口があるのだが、そこへ行く道はゲートがついていて、ペンション村のほうを回り込まなければ行けないようになっていた。引き返して再び芦川に戻り、釈迦ヶ岳や黒岳の登山口があるすずらん峠の駐車場に行く。どこに行くか迷った時、また、しばらく登っていない時に体調を試すために登る山、それが釈迦ヶ岳だ。3週間ほど山歩きをさぼっており、次の連休に予定している大変な山に向けて、体調を見ておかなければならない。釈迦ヶ岳に行くことに決める。

    スズラン峠駐車場の横に咲いていたトリカブト

 すずらん峠駐車場から1時間半もあれば登れ、しかも眺望の良いこの山は手軽に登れてお気に入りの山だ。入山しようとすると、山の中で何やらごそごそと音がする。鹿か?と思ったらそうではなくてビニール袋を手にした男性だった。キノコ狩りのシーズンが到来しているのだ。状況を聞いてみると、まだ1~2週間ほど早いらしく、このあたりは今日はもう採取された後だと言っていた。

    色付きはじめたツツジの葉と釈迦ヶ岳


    府駒山


    赤い花が咲いていた。トモエシオガマ?とはちょっと違うようだが?

 やや急な斜面を登ると20分ほどで稜線にたどり着き、あとは少々のアップダウンを越えて府駒山にたどり着く。ここから釈迦ヶ岳まで35分と書かれている。明瞭な道はないが、降りられそうな尾根がいくつかあり、いつか降りてやろうとルートを探りつつ、山頂を目指す。

    釈迦ヶ岳山頂直下


    山頂の標柱と紅葉のウツギ


    山頂の夫婦地蔵  夏衣裳のエプロンをつけているが、以前のものとは違い、新しい衣装のようだ。


    山頂のツツジはだいぶ色付いている。向こうに見えるのは御坂山塊最高峰、黒岳。

 ちょうど12時、歩き始めて1時間25分ほどで山頂に到着した。この程度であれば全く疲れも何もない。しかし、次週の山は少なくともこの5倍は登らなければならない。果たして大丈夫なのか?山頂の直下あたりから少しずつ紅葉が始まっていた。山頂にあるヤマツツジ、ドウダンツツジなどの葉はもうだいぶ色付いていた。10月下旬ごろが見頃といったところだろうか。ここは比較的人気の高い山で、生憎の曇り空で富士山は見えなかったのだが、10数人の人たちとすれ違った。これからが盛期だろう。

    林道をどんべい峠を越えてカムイ御坂スキー場方向に行くと、こんなお花畑があった。
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