スケッチブック３０（武田邦彦 おかしいぞ）

３月１日（日）２年
　学校閉鎖要請を受けて武田邦彦がおかしなことを言っている。患者数が１０００人に満たず死者も一桁代の病気に対してそんな事をするのは前代未聞だ、自分の人生においてこんな事態は初めての経験だ。これはきっとこの病気の凄まじさを政府は知っているが、国民には隠して、手を打っているのではないか、という一種の陰謀論を唱えている。つまり武漢肺炎について政府は何か凄まじい物を隠しているというのである。
　武田はいつも科学的に数値を挙げて物を言えと啓蒙している。ならば武田の政府陰謀論の根拠は、１０００人に満たない患者数と一桁台の死者という数字であろう。だが中国の現状をどう見る。１０万人に近い患者数と３０００人の死者も、大した病気ではないというのか。確かに武漢肺炎が既知の病気でこれで収まる事が分かっているなら、そう言っても良いと思う。しかし幾つもの都市を封鎖してまだ先行きは分からないという有様である。未知の病気に晒されているのに、既存の確定されている病気の数値と比較して、それだけで判断すれば、武田のように大した病気ではないとなろう。大した病気でもないのに学校閉鎖されるのを見れば、陰謀論を思いつくしかなかろう。
　恐ろしい思考の幅の狭隘性である。武漢肺炎は更に広がるのか、中国が都市を遮断したからこれくらいで収まっているのか、もしそうだとしたら日本で都市の遮断が出来るか、感染が拡大すれば日本が世界の国から封鎖を受けるのではないか、そういう現実的思考を武田邦彦は全く欠いている。ただ今の数値を普通のインフルエンザと比べて大したことはないと言っている。だから彼には政府の現実的対策が、陰謀論に基づくものとしか捉えられない。