9月4日(水)
ウクライナがロシアのクルクス州に進撃して、あっさり占領をしたようである。ロシアは進撃を受けると全く予期していなかったとの話だ。そんな馬鹿なと思っていたが何処かに解説が載っていた。
アメリカをはじめ西側諸国はウクライナに武器援助しているが、ウクライナ国内でのみ使うようにとの、限定を付けていたとの事なのだ。例えばアメリカの大砲の着弾点がロシア領内になってはいけないとか、西側のミサイルはウクライナ領内で落ちるように射程を短くするとかの、制限が付けられているのだそうだ。勿論ウクライナ産の大砲とかミサイルにそんな制限はないが、少数である。大量の援助兵器を西側の意に反する使用をして、もし西側から兵器供与を絶たれればウクライナの敗戦は必至であろう。だからゼレンスキーは不満ではあったろうがその制限に従っていたのである。
何で西側がそんな制限を付けていたかというと、西側の兵器でロシア領内を攻撃したら、プーチンが怒って核戦争を仕掛けると、恐れていたからである。ひょっとしたら西側とロシアの間に、戦争は東部に限定するとの裏協定が出来ていたのかも知れない。だから戦線は東部戦線に限定され、そこでの果てしのない消耗戦が続き、多数のウクライナ人が死んでいったのである。だからウクライナと国境を接する他の地帯の防御が、驚くほど薄かったのである。
東部戦線でウクライナ人がいくら死のうが西側諸国の痛みはない。武器援助の全部が回収可能とは思わないが、多くはウクライナへの貸し付けとして帳簿に載せることは出来るだろう。そうして核戦争になる危険を避けつつ、じりじりとロシアがくたばるのを待つという戦略だったのだろう。
ウクライナとしてはこの作戦は堪ったものではない。ゼレンスキーはウクライナ人が、西側によってマリオネットのように操られて死んでいると、堪忍袋の緒が切れたのでろう。クルクス攻撃は絶対的な秘密作戦であったと聞く。今までの所を見るにどうも、ロシアに東部戦線以外の場所に、兵力を回す余裕はないらしい。となるとプーチンはいよいよ核を使うか、或いはアメリカがクルクス州以外にウクライナ軍を侵攻させないようにして、膠着状態の維持を図るか、分からない所である。
ウクライナは可哀そうである。もしウクライナが長距離ミサイルも爆撃機も自前で持っていたら、戦線を東部に固定されるような目には合わなかったろう。自前の軍備を持たない弱国は、同盟国から援助は受けられても、大国の都合によって操り人形にされる悲劇を、避け得ないのだと思う。