スケッチブック30

生活者の目線で日本の政治社会の有様を綴る

スケッチブック30(アドバイザリーボード データ修正)

2022-07-24 14:18:00 | 日記
7月24日(日)
アドバイザリーボード データ修正について

 
 厚生労働省が本年5月に、アドバイザリーボードのデータ集計方法を修正した。ワクチンを2回打ったのに接種日を言えなかった人(陽性者として緊急入院した人は殆どそうだろう)を、従来はワクチン「未接種」の陽性者として集計していたのを止めて、「接種歴不明」者として別カウントにするようにした、というものである。これによって今まで「未接種」で集計していた人の陽性者数が減って、なんと「2回目接種」済みで集計した陽性者数より、下回った数となった。
 アドバイザリーボードのデータは年齢を11段階の層に分けているが、0-11歳の層はまだ2回目の接種をしていないのと、90歳以上の層も何故か「未接種」者の母数が記載されていないから比較対象とならず、比較可能(「未接種」の陽性者数と「2回目接種」のそれ)なのは12歳から89歳までの9段階の年齢層である。
 そのうち4個の層で「2回目接種」者の陽性者が「未接種」者を上回った数字となった。9個のうち4個かと思うかも知れないが、これは故意ではないだろうが少し欺瞞的で、最新のアドバイザリーボード(7月1日~7月3日)のデータによって12歳から89歳までを一括りにして計算すると、「未接種」者の10万人当たり陽性者数は43.8人、「2回目接種」者のそれは53.7人となる。明らかにワクチンを打った方がコロナに罹り易いと読めるではないか。計算はしてないが最新版以前のデータでも、集計方法変更後は、こういう傾向になっている。
 このデータは、HER=SYS(ハーシス)から送られてくるものである。

*ハーシスとは
 「新型コロナウイルス感染症等情報把握・管理支援システム」の英語略称だそうだ。2020年5月より稼働している。
 各病院がコロナ患者を確認すると、ハーシスを使って、厚労省に報告をする義務がある。
 送り手は基本的に各医師。
 ハーシスにワクチン接種歴の項目があるが、全体の2~3割が空欄もしくは項目の一部が未記入の儘、送られているらしい。その項目の実際を見ていないが話では、接種歴の有無を問い、有なら、接種日を記入する欄が続くものになっているようだ。接種日は患者に聞くしかないが患者だって正確に覚えてはいない。接種票で確認するには手間がかかる。ハーシスはすぐ送らねばならず、つまりは手いっぱいで治療に当たっている病院にとっては、うっとうしい作業なのだ。

 で空欄といっても、「2回目接種」に有りと丸を付けて、接種日を書かない事例がかなり出たらしい。それを受け取った厚労省側は、接種歴有りとあっても日付のない事例は全て、「未接種者」とカウントしていたのである。
 日付空欄者を「未接種」者に集計していたことは、CBCテレビの大石アナウンサーの番組で報道された。CBCは何処かの市の議員(氏名は述べられていたが私が失念)と協力して厚労省に電話で問い合わせをして、そのやり取りを録音した音声を番組で流した。議員が厚労省の担当者に「未接種」者について聞くと、担当者は、接種有りとあっても接種日の記載のない人を、「未接種」者にしていたと、明確に答えていた。
 この厚労省の態度は批判されてしかるべきものだ。私は唖然とした。患者本人が2回目を打ったと言っているのに、厚労省としては、日付がないから打ったと認められないと言うのである。必要書類をすべて出さないと何々だとは認めてやらないという、お上意識丸出しの役人思考である。事象(コロナ感染状況)を正確に調査するためのハーシスだとの意識が、まるでない。
 ハーシスが稼働を始めた当初ワクチン接種者はほとんどいなかったので、接種歴を空欄のまま送ると、「未接種」者と見なされた(現在でも有りとも無しとも書いてない全くの空白の報告があるだろうが、それも「未接種」者に分類されていると思う)。しかし接種者が増えて、「2回目接種」有りとしてあるのに、日付がないから「未接種」だとは、厚労省は頭脳麻痺集団だというしかない。
 接種歴別のワクチンの効果判定というものは、学術的には詳細な作業が必要とされるもののようだが、世間的には、「未接種」者の感染者が何%で、「2回目接種」者の感染者は何%だと比べるのは、実に分りやすい説明である。厚労省はこの種の説明で何回かワクチンに効果はあると、これまで言って来たようである。
 だから厚労省はワクチンの効果について嘘を言ってきたのだ。
 接種歴不明の感染者は別カウントではなく、「2回目接種」者に含めて計算すべきである。現実は接種したかしなかったかの二者択一である。「接種歴」不明者とは統計上の不手際から生じる架空の概念に過ぎない。アドバイザリーボードはこの現実に存在しない数字を、現実に存在する「未接種」「2回目接種」からはぎ取って計算している。アドバイザリボードの「未接種」者「2回目接種」者の数字は、現実を反映していない誤った数字だと言える。だから厚労省は新たな嘘を作り出しているのだ。恐らく「2回目接種」者の陽性者がますます多くなっては、厚労省が困るのだろう。
 そこで「接種歴不明」者を「2回目接種」者に含めてみると、「未接種」者の10万人当たり感染者数43.8人に対して、「2回目接種」者はなんと100.7人となる。「2回目接種」者は未接種者に比べてコロナに倍罹り易い。
 これは従来の厚労省の説明と、真逆ではないか。何故マスコミも野党も追及しないのだろうか。大石アナの番組も厚労省に間違いがあったと指摘するところで終わって、「2回目接種」の方がコロナに罹り易いという、重大問題に目を向けていない。外国でも研究者による同様の報告が二三例あるとの話を聞く。しかし国レベルで行ったものはまだないようだ。何故日本はやらないのだ。日付のない人全員に聞き取り調査をして統計を完全なものにするくらい、そう難しい作業ではないだろう。或いは市町村にはその人の接種記録がある筈だから、それとの照合作業をしても良い。コロナについて大発見に繋がるかも知れない作業だと思う。
 まあしかし松野官房長官は当初、2回打った人を「無接種」者に数えたことはないと、答弁していた。その後の追及を受けて、厚労大臣が本当の事を答弁したのだが、政権に正しい情報が上がっていなかったと思われる。つまりは厚労省の役人に緊張感がないのだ。重大問題だとは思っていないのだ。厚労省にそれをさせるのは無理かもしれない。
 思えば薬害エイズの時、厚労省は自分が不利になる資料を必死に隠した。それを後の菅総理(民主党、当時厚生大臣)が役人を叱り飛ばして出させた、との記憶がある。あの時は管に期待したものだが・・・。そのように厚労省は腐った体質がずっと続いているのかも知れない。官邸に呼ばれる医学者連中も、厚労省のお役人様が人選して決めているのだろう。
 アドバイザリーボードはこれからも続けてゆくらしい。もし(仮説だが)多数回のワクチン接種が何らかの免疫不全を起こすのなら、それが原因で「2回目接種」者の方がコロナに罹り易いのなら、「3回目接種」者はもっと罹り易い筈である。最新版(7月1日~3日のもの)では、年齢別階層を一括りにした、10万人当たりの感染者は22.9人で、流石に一番低い。これがどれくらい高くなってゆくのか観察する事は、私でもできる。