澤見彰の『ヤマユリワラシ』-遠野供養絵異聞―を読んだ。まず澤見彰だが、1978年埼玉生まれの作家、『時を編む者』でデビュー、主にファンタジーを中心に執筆し、『奥羽草紙』、『たちばな亭』、『もぐら屋化物語』シリーズなど執筆したとあるが、全く未知の作家である。この本はたまたま古書店で発見したものだ。-遠野供養絵異-という副題にひかれて購入。舞台は遠野、かの遠野物語の舞台になったところ。遠野で多数奉納されていた「供養絵」にまつわる話をふくらませたものだ。三閉伊百姓一揆も登場する。なんとなく遠野物語の雰囲気を感じてしまう。
平岩弓枝の「新・御宿かわせみ」シリーズの7、『青い服の女』を読んだ。「御宿かわせみ」以来300話になる作品だそうである。一応「御宿かわせみ」シリーズは全部読んできたつもりである。ドラマの方を観たいと思うのだが、DVDがなかなか手に入らない。
またまた葉室麟の新刊を見つけてしまった。『墨龍賦』というPHP文庫の本である。もう葉室物は出てこないと思うと、時折新刊が出る。ついその都度購入してしまうのである。この本の主人公は海北友松、桃山時代に活躍した絵師であって建仁寺に「雲龍図」を描いた人。明智光秀の本能寺の変の前後のかかわりも描かれる。
天野純希の『元禄繚乱』を読んだ。古書店で物色してたまたま手にした本である。まず天野純希であるが、1979年名古屋市生まれの作家。2007年に『桃山ビート・ドライブ』で小説すばる新人賞を受賞してデビュー、『破天の剣』で中山義秀文学賞を受賞とあるが、初見の作家である。この小説の主人公は会津藩の山浦鉄四郎、その相手役の中野竹子、中野竹子が戊申のたたかいに際し、娘子軍のリーダーだったこと位の知識はある。この小説では、戊申の戦役で必死にたたかいぬいた一青年の姿を描く。