東南アジア・ヴァーチャル・トラヴェル

空想旅行、つまり、旅行記や探検記、フィールド・ワーカーの本、歴史本、その他いろいろの感想・紹介・書評です。

ケネス・ラドル、石毛直道,『アジアの市場』,くもん出版,1992

2007-12-20 21:37:43 | フィールド・ワーカーたちの物語

これを見ればアジアのイメージがつかめる超おすすめ。
しかし、企業メセナのつもりなのか、こういう大判の本を出してもらっても、図書館でみるだけですね。みなさんも図書館でどうぞ。
初出は『季刊民族学』1984年秋―89年春まで全16回連載。

『魚醤とナレズシの研究』のコンビが、各地の市場でバシャバシャ写真をとり、特色を述べたもの。発表当時つまり1980年代半ばの旅行であるから、今からみて古い部分があるが、かえって貴重な記録になりそう。
場所の選定がいい!
漁業がさかんな淡水域が多いのだが(例外はセブ島と石垣島)、それらと対極的なウルムチ・長春も紹介。

以下、ざっと
ベトナム;ハノイのドンソン市場、ホーチミンのベンタイン市場で南北差がみえる。
カンボジア;プノンペン、内戦の影響が濃い時期
タイ;北・東北・中部・南と全域さらっと。
セブ島;マンダウェイ市場、階層による食生活の違い
ジャワ島;バンドン・チレボン・スラバヤとプカランガン
西ジャワ;スカブミ養殖魚専門市場、プロの市場
シンガポール;団地の中の市場など多民族・他宗教の都会
バングラデシュ;コクセスバザールとチッタゴン丘陵
ウルムチ;オアシス農業
長春;自由市場、開拓と食料事情
広州;清平路自由市場、珠江デルタの養魚、野味
香港;小販
韓国;ソウルほか、キムチと塩辛、定期市の歴史
石垣島;公設市場

最後の石垣島がほかに比べて異様に淋しい……


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