第4章;ベトナムと中国の関係を歴史をさかのぼって叙述
第5章;サイゴン陥落後のUSAとの関係修復
第6章;サイゴン陥落前後のベトナム=ソ連関係
第4章でわかること
著者ナヤン・チャンダの語る中越関係史。1000年前からの歴史をつうじての中越間の伝統的な華夷秩序。それを現代にそのまま適応できるかどうかは疑問である。疑問であるが、中国の指導者たちの態度は、華夷秩序の中で生きているとしか読めない。イデオロギーや資源獲得という問題ではない。
濱下武志が説いたような朝貢・冊封体制から、中国=ベトナムの関係をみるなんて、1980年当時、だれも考えていなかったんだから。
中国の指導者たちは、ベトナムがインドシナの強国になることを決して許さない。これは、毛沢東生存時も四人組が粛清された後も小平の時代も変わらない。
夷をもって夷にあたる、という大昔からの戦略が基本方針であるというわけだ。
第5章でわかること。
ベトナムはアメリカの対応を過剰に楽観的に予想していた。まったく外交下手で、井の中のカワズである。
ニクソン政権の提出した援助、西側の投資の再開など、ベトナム側の予想はまったくはずれた。USA国内では、ベトナムに対する怨念がたかまり、反戦運動は下火になり、ウォーターゲイト事件の影響でニクソン政権の約束など反故にされる。
ベトナムに対する賠償など、問題外。
著者ナヤン・チャンダは、ベトナムの指導者たちが、マルクス主義者の常として、戦争は経済的な利益追求のために行われると考えていたとする。つまり、アメリカは経済侵略のために戦争をしていたのだから、戦争が終われば利潤追求のため投資を再開する、と。(マーシャル・プランや日本の例もあるし!)
しかし、USAは議会制民主主義国家なのである。皮肉なことだが、賠償や援助の案件はきっちりと議会で審議されて、否決された。
アメリカばかりでなく、ヨーロッパの国も投資には消極的。日本もアメリカの顔色をうかがっていて、手を出せない。
そこで、ベトナムが経済的援助を期待できるのはソ連だけになる。
第6章でわかること
中国と同じく、ソ連もベトナム戦争が永遠に膠着状態が続くことを願っていた。
ベトナム人の間でまことしやかに伝えられる自慢話がある。ソ連は、ベトナムが強くなりすぎないように、B52を迎撃できるロケット砲を供与しなかった。しかしベトナム人は自力で迎撃システムを改良し、B52を撃墜できるようになった、という話。(著者チャンダもこの話は噂なのか本当なのか判断しかねるようだ。)
ベトナムとしては、ソ連の干渉を減らしたい。だが、西側にそっぽを向かれ、中国の圧力に抗していくために、世界の嫌われ者ソ連の援助をあおぐしかない。
なんてこったい。
ここで、ベトナムは世界中から孤立することになる。
第5章;サイゴン陥落後のUSAとの関係修復
第6章;サイゴン陥落前後のベトナム=ソ連関係
第4章でわかること
著者ナヤン・チャンダの語る中越関係史。1000年前からの歴史をつうじての中越間の伝統的な華夷秩序。それを現代にそのまま適応できるかどうかは疑問である。疑問であるが、中国の指導者たちの態度は、華夷秩序の中で生きているとしか読めない。イデオロギーや資源獲得という問題ではない。
濱下武志が説いたような朝貢・冊封体制から、中国=ベトナムの関係をみるなんて、1980年当時、だれも考えていなかったんだから。
中国の指導者たちは、ベトナムがインドシナの強国になることを決して許さない。これは、毛沢東生存時も四人組が粛清された後も小平の時代も変わらない。
夷をもって夷にあたる、という大昔からの戦略が基本方針であるというわけだ。
第5章でわかること。
ベトナムはアメリカの対応を過剰に楽観的に予想していた。まったく外交下手で、井の中のカワズである。
ニクソン政権の提出した援助、西側の投資の再開など、ベトナム側の予想はまったくはずれた。USA国内では、ベトナムに対する怨念がたかまり、反戦運動は下火になり、ウォーターゲイト事件の影響でニクソン政権の約束など反故にされる。
ベトナムに対する賠償など、問題外。
著者ナヤン・チャンダは、ベトナムの指導者たちが、マルクス主義者の常として、戦争は経済的な利益追求のために行われると考えていたとする。つまり、アメリカは経済侵略のために戦争をしていたのだから、戦争が終われば利潤追求のため投資を再開する、と。(マーシャル・プランや日本の例もあるし!)
しかし、USAは議会制民主主義国家なのである。皮肉なことだが、賠償や援助の案件はきっちりと議会で審議されて、否決された。
アメリカばかりでなく、ヨーロッパの国も投資には消極的。日本もアメリカの顔色をうかがっていて、手を出せない。
そこで、ベトナムが経済的援助を期待できるのはソ連だけになる。
第6章でわかること
中国と同じく、ソ連もベトナム戦争が永遠に膠着状態が続くことを願っていた。
ベトナム人の間でまことしやかに伝えられる自慢話がある。ソ連は、ベトナムが強くなりすぎないように、B52を迎撃できるロケット砲を供与しなかった。しかしベトナム人は自力で迎撃システムを改良し、B52を撃墜できるようになった、という話。(著者チャンダもこの話は噂なのか本当なのか判断しかねるようだ。)
ベトナムとしては、ソ連の干渉を減らしたい。だが、西側にそっぽを向かれ、中国の圧力に抗していくために、世界の嫌われ者ソ連の援助をあおぐしかない。
なんてこったい。
ここで、ベトナムは世界中から孤立することになる。