ウオーキングの途中で いつものように大型書店を視察。なんとかという出版社の「歴史入門シリーズ④」が目に留まった。シリーズ④は「2・26」特集。表紙には「昭和維新は成らず 青年将校たちの戦い」の文字もある。いわゆるムックスタイルで外観は悪くない。
言うまでもなく、この種の出版物に「真実」を求めようとは思わない。当時を知らない世代に「表層」を把握してもらうだけでも、それなりの意義がある。新しい「二・二六事件の関連本」が書店に並ぶだけでも、なんとかという出版社に感謝しなくてはいけない。
しかし、内容的には「トンデモ本」の一種だったので、ガッカリしてしまった。何しろ「渋皮善助」が登場する本なのだ。別のページには「渋谷善助」も登場する。要するに「その程度のレベル」の入門シリーズだから、立腹する方が悪いのかもしれない。
この出版物の内容は、複数の人間によって記されているらしい。題材ごと(例えば、相澤事件とか高橋是清とか)の筆者名が記してないから「らしい」と推察するしかないが、事件の捉え方が混乱している。
それにしても「青年将校の“格差社会と政治腐敗の打破、農村の貧困を救うため奸臣を取り除く、などは後付けの理由で、革命熱と陶酔によって決起した」というような解説はヒドスギルのではないか。
表紙に奇妙な数字が大きな文字で記されている。自決2人+処刑16人+民間人2人。合計20人。
軍事裁判によって処刑された人数(自決を含む)のつもりだろうが、計算が合わない。
賢崇寺の墓碑には、相澤中佐を加えて「二十二士」が刻まれている。この「トンデモ本」が数え忘れた「ひとり」は誰だったのだろうか。
こういう類の書物に遭遇した場合、河野司氏や末松太平が健在だった頃であれば、抗議をして訂正させた筈である。河野・末松が逝去した後でも、池田俊彦氏が健在であれば、穏やかに反論を記したと思う。
この本には、池田俊彦著「生きている二・二六」が度々引用されている。他の方々の著作が殆ど引用されていないのが、不思議といえば不思議である。
余談(予断?)を少々。歴史入門シリーズの続刊は「新撰組」である。二・二六事件に“渋皮善助サン”が登場したように、新撰組に“肘肩歳三サン”が登場するのではないかと心配している。
画像は国立公文書館の展示資料。ストロボ&三脚使用禁止を守れば、写真撮影できるのが嬉しい。(末松)
「インターナショナルラグジュアリーメディア」で間違いないと思う。
なにはともあれ「二・二六事件の本」を出版してくださったことは、感謝いたします。
一昨日、「新選組と見廻組」を見つけまして、手にとりましたが、肘肩、はないですが、やっぱり
ところどころ、「?」です。ある意味スゴカッタです。