谷川俊太郎「詩を考える―言葉が生まれる現場」
① 「あなたが何を考えているのか知りたい」小田久郎さんはそうおっしゃった。電話口を通してぼそぼそと響いてきた〈 その肉声だけ 〉が、私にとって〈 こんな文章 〉を綴ろうとする唯一の理由だと、そんなふうに私は感じている。
② 編集者である小田さんの背後に、無限定な読者を想定することは、今の私にはむずかしい。私の考えることが、その人たちにとってどれだけ意味のあることか、私には確信がない。私の書くことはみな、まったく私的なことで、それを公表する理由がどこにあるのか見当がつかない、それが私の正直な気持ちだ。が、それでも私は電話口で小田さんの肉声に〈 自分の肉声でためらいながらも答えた 〉のである。
③ 原稿を注文され、それをひきうけるという一種の商取引に私たち物書きは慣れ、その行為の意味を深く問いつめる余裕も持てないでいるけれど、〈 その源にそんな肉声の変換がある 〉とするならば、それを信じてみるのもいいだろう。
Q1「その肉声こそが」とあるが、「肉声」とはどのようなものか。
A1 直接伝えられた編集者の本当の思い
Q2「こんな文章」とはどんな文章か。
A2 詩がどのように生まれるのかを解説する文章
Q3「自分の肉声でためらいながらも答えた」とはどういうことか。
A3 伝えられるかどうか自信はないものの、小田さんの気持ちに応えたいと思ったということ。
肉声……本音・心からの気持ちを直接伝える言葉
↑
↓
人工音声・マイクごしの言葉・建前・商取引の言葉
小田久郎さん 編集者
注文↓肉声↑原稿 ……肉声の変換
私 物書き
Q4「その源にそんな肉声の変換がある」とは、どういうことを述べているのか(80字以内)。
A4 原稿の注文をひきうけるという行為は、
何らかのことを知りたいという編集者の切実な思いと、
それに応えたいという物書きの真摯な姿勢が
具現化したものであるということ。
① 「あなたが何を考えているのか知りたい」小田久郎さんはそうおっしゃった。電話口を通してぼそぼそと響いてきた〈 その肉声だけ 〉が、私にとって〈 こんな文章 〉を綴ろうとする唯一の理由だと、そんなふうに私は感じている。
② 編集者である小田さんの背後に、無限定な読者を想定することは、今の私にはむずかしい。私の考えることが、その人たちにとってどれだけ意味のあることか、私には確信がない。私の書くことはみな、まったく私的なことで、それを公表する理由がどこにあるのか見当がつかない、それが私の正直な気持ちだ。が、それでも私は電話口で小田さんの肉声に〈 自分の肉声でためらいながらも答えた 〉のである。
③ 原稿を注文され、それをひきうけるという一種の商取引に私たち物書きは慣れ、その行為の意味を深く問いつめる余裕も持てないでいるけれど、〈 その源にそんな肉声の変換がある 〉とするならば、それを信じてみるのもいいだろう。
Q1「その肉声こそが」とあるが、「肉声」とはどのようなものか。
A1 直接伝えられた編集者の本当の思い
Q2「こんな文章」とはどんな文章か。
A2 詩がどのように生まれるのかを解説する文章
Q3「自分の肉声でためらいながらも答えた」とはどういうことか。
A3 伝えられるかどうか自信はないものの、小田さんの気持ちに応えたいと思ったということ。
肉声……本音・心からの気持ちを直接伝える言葉
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人工音声・マイクごしの言葉・建前・商取引の言葉
小田久郎さん 編集者
注文↓肉声↑原稿 ……肉声の変換
私 物書き
Q4「その源にそんな肉声の変換がある」とは、どういうことを述べているのか(80字以内)。
A4 原稿の注文をひきうけるという行為は、
何らかのことを知りたいという編集者の切実な思いと、
それに応えたいという物書きの真摯な姿勢が
具現化したものであるということ。