~ 存在を消せる添乗員になりたい ~
ベルテンポトラベルの高萩徳宗さんは、こう言う。
ベルテンポの高萩さんといえば、高齢の方、障害をもつ方、小さな子どもがいる方など、ふつうに旅をするには二の足をふむ方々にも、安心して旅行してもらいたいというコンセプトの旅行会社を創り上げた方だ。 高萩さんのサービス論に共感する方は多く、業界ではカリスマ的存在なのかなと思っていた。
しかし、高萩さんの目指すのは、主役はあくまでもお客様であり、いつしか添乗員の存在を忘れて、みんな楽しく過ごしている時空をつくることだと言う。
学校の先生の理想的な姿もこれかな。
高萩さんは、オーケストラの指揮者にたとえても述べている。
コンダクターは音楽をまとめる役割だけど、決して自分では音は出せない。
ツアーコンダクターは、楽器を演奏するお客様同士がハーモニーを奏でて、いい音楽をつくるのをそっと演出するだけだと。
なるほど。部活でも、教員の仕事全体でも、その存在を忘れられてしまうのが理想体。
もちろん記憶から抹消される教師がいいというのではない。
あの先生のおかげで成長できた、などという意識をもたせることなく、その生徒さんが気付いたら自然に伸びていたという環境をつくっていくことが大事だと思ったのだ。
誰に習っているかなどという意識はなくて、でも自然に学力がついていく教室。
何が原因かはわからないけど、なんとなくみんな頑張っている空間。
仕事ができる部下とは、その存在を上司が忘れる部下である、と内田樹先生がおっしゃっていたのも同じことかもしれない。