がじゅまるの樹の下で。

*琉球歴女による、琉球の歴史文化を楽しむブログ*

当サイトの掲載写真・イラスト等の無断転載/無断使用を禁じます

続・王様の行列

2018年12月10日 | ・琉球史散策/第二尚氏

前回、古琉球期の王様の行列のについて書きましたが、

同じ朝鮮王朝実録に記録された
王様の行列の超有名なエピソードは
別にあります。

 

通称、

オギヤカの行列。

 

オギヤカの行列の様子については
これまで断片的には取り上げてるとは思いますが
しっかりブログに書いてないっぽいので、
せっかくなのでしっかり拾ってみましょう。

 

供述しているのは1477年に済州島から漂流し、
1479年に帰国した朝鮮人。

帰国までに転々とした先島諸島や
琉球国、九州など各地の様子について語っている
当時の記録。

その彼らが1478年沖縄島にいた時、

あの行列を目撃したのです。

 

 

(意訳:和々)

 

 

俺らは、たまたま、国王の母の出御を見た。

国王の母は漆の輿乗り、四面は御簾が垂れていた。

輿を担ぐ者は20人近くいた。

皆、白苧衣を着て、帛(絹?)で頭を包んでいる。

軍士は長剣を持ち、弓矢を佩いて、前後を警護しており、
100人近くいる。

双角や双太平簫(※楽器)を吹き、
火砲(※祝砲的なやつ?
を放っている。

美しい婦人たちが4・5人、
あやぎぬの衣を着て、表(上)には白苧衣の長い衣を着ている。


俺らは、道端に出て拝謁した。

すると輿が止まり、
二つの鑞瓶が運ばれ、漆の木の器で
酒を賜った。

その味はわが国(朝鮮)と同じだった。

 

若君がいた。

(輿より)やや後ろにいて別隊だった。

年齢は10歳余りだろうか。

はなはだ美しい。

髪は後ろにたらし、編んではいない。

紅のあやぎぬの衣を着て、帯をし、
肥えた馬に乗っている。

轡をとる者、皆、白苧衣を着ている。

騎馬で先導するものが4・5人いる。

左右を護衛するものも、はなはだ多い。

衛士の長剣を持つ者は20人余り。
傘を持つ者は馬に並んで行き、陽をさえぎっている。


俺らは、(若君にも)また伏して謁見した。

すると若君は馬から降りると
鑞瓶を持ってきて酒を盛り、これをくれた。

俺らがそれを飲み干すと、
若君は馬に乗って去っていった。


国の人が言っていた。

『国王が亡くなって、若君はまだ年若い。
なので母君様が朝廷にいる。
若君が成長すれば、すぐ国王になる』


『朝鮮王朝実録 琉球史料集成』(榕樹書林/2005)



この行列は、
尚真が即位(1477年)してじきのことから、
お披露目パレードのような、
もしくは権威を知らしめるためのものとも
考えられています。


だけど、当の尚真王よりも、
母・オギヤカの方が派手で、輿に乗り、前方にいることから
幼い尚真王を差し置いて権力を誇示する
オギヤカの女帝っぷりが感じられるエピソードとして
この行列の記述はよく引用されています。

 

一方で尚真はというと、
母が朝鮮人に酒を賜ったのをそっくり真似て
同じようにやっているのがちょっとかわいい。

馬から降りて、飲むのを最後まで見届けている
というのも、なんだか無邪気な少年らしさが感じられて
面白いですよね。

しかも美少年ときたもんだ。

さすが、モテ男金丸と、
そんな金丸を射止めるほど美人だったであろう
オギヤカの血を引く人だ!

 

もう一つ特筆すべきは、
尚真の髪型。

髪は後ろにたらして編んで(束ねて)はいない。

カタカシラでもなく、
総角でもなく
かんぷーでもない。

ちょっと意外な感じもしますよね。

 

この記述から、キラキラ尚真(少年期)は
さらさらストレート垂れ髪にしてます。

(制作途中↓)

 

本当は髪は(結べるくらい)後ろも前ももっと長くて
サイドも結んではないんだろうけど、

ここは幼さとかわいさを出すための
アレンジとして。

 

採用版では短くおかっぱになりましたけど、
没ラフでは記述通りもっと髪は長かったのです↓

でも金丸も長髪ストレートだったので
被りすぎるかなーと思い、
バリエーションを出すためにも
サイドだけ長くして、後ろは短くした…

という制作裏話。

 

子猿ちゃんの印が怖いですね(笑)

 

 

 

ところでこの漂流民の記述。

 

自分たちを示すのに

 

俺ら(俺等)

 

って書いてあるのがツボ(笑)

 

私が勝手に一人称「俺」にしてるんじゃなくて

本当に「俺等」って書いてあるんです(笑)

 

俺等、適々国王の母の出遊するを見る。

俺等、道傍に出で拝謁す。

 

云々。

 

 

俺等、イカしてるぜ!


この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 王様の行列 | トップ | あせ嶋と雨城 »