joy - a day of my life -

日々の体験や思ったことを綴ります(by 涼風)。

天使と悪魔 「百日咳」『ER Ⅹ』

2007年01月22日 | 映画・ドラマ

             「公園を歩く夫婦」


先週土曜日夜の『ER 緊急救命室Ⅹ』「百日咳」では、診療部長のケリー・ウィーバーが、事故で亡くなったロバート・ロマノの顔をかたどった像をみんなの前でお披露目していました。ウィーバーはその像を前にして、「ロマノ氏の長年の功績を讃えて、ここにゲイ・レズビアンのためのクリニック、「ロマノ・センター」の設立を…」と発表していました。

しかしこのロマノ氏は、ERファンの人はみんな知っているように、性差別主義者で人種差別主義者だったので(そう割りきれない面もあるのだけど)、ゲイ・レズビアンのためのクリニックに彼の名前を付けて、かつ死んだ彼の顔の像をみんなの前に出すというのは、死んだ者へのウィーバーの攻撃みたいです(ウィーバーはレズビアンです)。

まるで悪魔みたいな人ですね、ウィーバーは。

ロマノもウィーバーも悪魔みたいな人です。

ロマノはレズビアンを嫌いだという理由で研修医に悪い点をつけたり、医師を解雇したりした人です。

また自分の気に入らない別の医師を解雇して、おまけにその医師の再就職を妨害したりしました。

あるいは、自分の指示に従わないウィーバーを停職処分にもしました。

ウィーバーもウィーバーで、自分のイライラを若い研修医にぶつけて彼を解雇したり、自分のミスを別の医師になすりつけたりする人です。

ウィーバーもロマノも自分の出世や立場を守るために他人を犠牲にするような人です。

でも、『ER』というドラマのリアルなのは、そうした悪魔みたいな人たちも、その悪魔のような側面と同じような深さの慈愛をもっていることを見せてくれるところです。

そう、ロマノもウィーバーも、他人に優しいときはとても優しい。いや、ふだん強烈に他人に毒を与えるからこそ、同じような強さと深さで他人に優しく接することができるのだと思う。

それはロマノやウィーバーに限らず、私の経験でも、そういう人はこれまでにもたくさんいました。

他人に対して攻撃的で相手を深く傷つけようとする人ほど、人に優しくするときはとても深い愛情を見せるのです。

人は悪魔にも天使にもなります。

徹底的に悪魔になる人ほど、別の時には徹底的に天使になります。

誰もが悪魔になるときもあれば、天使になるときもあります。

悪魔になるときもあるけど、誰の中にも天使がいます。

悪魔にならざるを得ないときもあるけど、天使になれるときを誰もがもっています。

すべての人の中に天使がいます。

これはうれしくなるような事実だと思います。


絵本 『ポヤップとリーナ沖縄へいく』 たちもとみちこ(さく・え)

2007年01月22日 | 絵本・写真集・画集

             「花壇の中の二人の女性」


たちもとみちこさんが沖縄を旅行した経験を絵本にした『ポヤップとリーナ沖縄へいく』を読みました。ポヤップとリーナという二人の主人公が沖縄に行って、沖縄の様々な動物、植物、特産物を現地の人に紹介してもらうというもの。

ここでもたちもとさん独特の色彩感覚が生かされて、沖縄のカラフルな植物・特産物・動物が鮮やかな色合いで表現されています。

僕は沖縄に行ったことがないけれど、その印象は、他の地域とちがってどこかゆったりとした時間軸が流れているというもの。この絵本では、そういう沖縄の印象が、たちもとさんの貼り絵のような絵によって表されて、どこか近いけれど異世界のような場所に行っている気にさせられます。

ポヤップとリーナが最初沖縄についた頃には、沖縄の色いろなものを現地の人や動物に教えてもらって、ポヤップとリーナはそのもの珍しさに驚いておおはしゃぎしているようです。

それがページが進むにつれ、カンムリワシに乗せられて西表島に行った頃から、どこかより異次元の世界にいるような雰囲気になります。平和だけれど、静かで、自然の神秘の世界に触れているようなのです。表面上は他の世界と変わらないようでも、何かより世界の奥に入っていっているような。このあたりから、絵本からもポヤップとリーナのはしゃぐ声は少なくなり、彼らも静かになって沖縄のより奥の世界でじっとおとなしくしている感じがします。

これはたちもとさんもそう感じたからかな。



ポヤップとリーナの旅えほん(1) ポヤップとリーナ沖縄へいく

ワニマガジン社

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