joy - a day of my life -

日々の体験や思ったことを綴ります(by 涼風)。

絵本 『ノエルのひみつ』 グレゴアール・ソロタレフ(作・絵)

2007年01月24日 | 絵本・写真集・画集

             「灰色の空の下のイルミネーション」(on “Flickr”)

『ノエルのひみつ』(祐学社 1990)という絵本を読みました。絵と文はフランスの作家グレゴアール・ソロタレフ。訳は末松氷海子さんという方。

赤い服を着ている男の子ノエルが森で大きな赤い袋を見つけました。その袋は魔法を使える三人の小人が運んできたものです。小人はノエルにあるお願いをし、その願いを聞いてくれたらノエルのためにあることをすると約束します。

クリスマスの絵本で、12月にこの絵本を読み聞かせしてくれる図書館もいくつかあるみたいです。

なんだか、あたたかさとさびしさが混ざったような絵とお話です。どこにも淋しい感じはしないのに、とても淋しい感じもします。

12月の冬の、雪の積もった森で、男の子が一人で森を歩き、そこで小人に出会います。小人はこびとであって、人間ではありません。そこにいる人間は男の子だけです。それがとても淋しい感じを抱かせます。

その小人に出会って、男の子の話は展開していきます。その展開も、世界の子供たちを喜ばせる話のはずなのですが、私はこの男の子がなんだかとても淋しい人生を送っているような気にさせられました。これでこの男の子ノエルは本当に幸せだったんだろうか、と思ってしまいます。いや幸せだったのです。ノエルは自分の人生を見つけたのです。だからよけいに読んでいて淋しくなるのです。

作者のソロタレフさんの絵は、太い線でシンプルに絵を描いていきます。それが暖かみと同時に、キーンとするような冷やっとするものを読んでいて感じさせられます。

お話の展開は単純ですが、なにか人の世界の奥行き、読んでいる自分の奥行き、今まで知らなかった自分の心の奥にまで道を広げられたような感じがします。