「公園を歩く夫婦」
先週土曜日夜の『ER 緊急救命室Ⅹ』「百日咳」では、診療部長のケリー・ウィーバーが、事故で亡くなったロバート・ロマノの顔をかたどった像をみんなの前でお披露目していました。ウィーバーはその像を前にして、「ロマノ氏の長年の功績を讃えて、ここにゲイ・レズビアンのためのクリニック、「ロマノ・センター」の設立を…」と発表していました。
しかしこのロマノ氏は、ERファンの人はみんな知っているように、性差別主義者で人種差別主義者だったので(そう割りきれない面もあるのだけど)、ゲイ・レズビアンのためのクリニックに彼の名前を付けて、かつ死んだ彼の顔の像をみんなの前に出すというのは、死んだ者へのウィーバーの攻撃みたいです(ウィーバーはレズビアンです)。
まるで悪魔みたいな人ですね、ウィーバーは。
ロマノもウィーバーも悪魔みたいな人です。
ロマノはレズビアンを嫌いだという理由で研修医に悪い点をつけたり、医師を解雇したりした人です。
また自分の気に入らない別の医師を解雇して、おまけにその医師の再就職を妨害したりしました。
あるいは、自分の指示に従わないウィーバーを停職処分にもしました。
ウィーバーもウィーバーで、自分のイライラを若い研修医にぶつけて彼を解雇したり、自分のミスを別の医師になすりつけたりする人です。
ウィーバーもロマノも自分の出世や立場を守るために他人を犠牲にするような人です。
でも、『ER』というドラマのリアルなのは、そうした悪魔みたいな人たちも、その悪魔のような側面と同じような深さの慈愛をもっていることを見せてくれるところです。
そう、ロマノもウィーバーも、他人に優しいときはとても優しい。いや、ふだん強烈に他人に毒を与えるからこそ、同じような強さと深さで他人に優しく接することができるのだと思う。
それはロマノやウィーバーに限らず、私の経験でも、そういう人はこれまでにもたくさんいました。
他人に対して攻撃的で相手を深く傷つけようとする人ほど、人に優しくするときはとても深い愛情を見せるのです。
人は悪魔にも天使にもなります。
徹底的に悪魔になる人ほど、別の時には徹底的に天使になります。
誰もが悪魔になるときもあれば、天使になるときもあります。
悪魔になるときもあるけど、誰の中にも天使がいます。
悪魔にならざるを得ないときもあるけど、天使になれるときを誰もがもっています。
すべての人の中に天使がいます。
これはうれしくなるような事実だと思います。
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