ずっと生まれてから、本州の最北端にある県庁所在地に暮らしていると、華やかな都会に対する激しいくらいの憧れと、暖かくて穏やかな気候のもとで暮らすことへの渇望に、いつもいつでも揺れ動く自分がいる。
南に行きたい。東京で暮らしたい。
そういう欲求は中学の頃からだんだん激しくなってきて、「高校を卒業したら東京の大学に入って、もう二度とこんな寒くて暗い街には戻らないぞ」と心に決めていた。
だからなのかもしれない。
好きな音楽の傾向も、都会的でソフィスティケートされた、明るくポップで肯定的なサウンド・スケープを醸し出しているアーティストに、即座に心を持っていられるし、天候に関してもなぜか敏感で、快晴の日や太陽が光り輝いていたりすると気分がよくなり、前向きになったりする。もちろん誰でもそうだとは思うけれど、他人よりも異常にそれが強い気がするのだ。
ビーチ・ボーイズは、1961年、アメリカはカリフォルニア州ホーソーンで結成されたロックバンドだ。
1963年リリースされた「サーフィン・U.S.A.」がヒットを飛ばし、その後も
怒涛の快進撃を続け、「ファン・ファン・ファン」や「グッド・ヴァイブレーション」や「ココモ」(この曲だけは後期の大ヒット・ナンバーですが)など幾つもの大ヒットを連発して、サーフ・ミュージックの第一人者へと躍り出た。
特にロック・ファンの間で知らない人間は一人としていないと思われるのが、アルバム「ペット・サウンズ」の存在だろう。
ロック・アルバムの最高傑作はどのアルバムなのかというような特集が組まれると、必ずその第1位か2位に選ばれるアルバムが、ビーチ・ボーイズの「ペット・サウンズ」だからだ。
1966年に発表された「ペット・サウンズ」は、「ローリング・ストーン」誌が選ぶ「史上最高のアルバム500」でも2位に選出されていて、この名盤は、当時のミュージシャンたちに大きな影響を与えてきた。
1966年に発表された「ペット・サウンズ」は、「ローリング・ストーン」誌が選ぶ「史上最高のアルバム500」でも2位に選出されていて、この名盤は、当時のミュージシャンたちに大きな影響を与えてきた。
そんな1960年代をビートルズと人気を二分したビーチ・ボーイズ。その彼らのドキュメンタリー映画「ビーチ・ボーイズ:ポップ・ミュージック・レボリューション」が「Disney+」でこのたび配信された。
ポップ・ミュージックに革命を起こした伝説的バンドの歴史を綴り、初公開の記録映像を差し込みながら往年のヒット曲がたくさん流れる。
ライバルだったビートルズの映像も出て来るし、「ラバーソウル」の素晴らしさに嫉妬して、メンバーのブライアン・ウィルソンが「ペット・サウンズ」を完成させ、続けてビートルズが「サージェント・ペパーズ・ロンリー・クラブ・バンド」を世に送り出すと、負けずと彼は「スマイル」で対抗しようと試みる。
しかしそんなビーチ・ボーイズも、ブライアン・ウイルソンとマイク・ラブの確執だとか、メンバーの死だとか、ブライアン兄弟の父親のハラスメントだとか、様々な問題が噴出し、結果、アルバム制作のプレッシャーからブライアン・ウイルソンは神経を病んでリタイア状態へと陥ってしまう。
このドキュメンタリー映画、かなりそれらの問題へも深く踏み込んでいて、中々興味を惹く。
そして、ラスト。
これがいい。
「ビーチ・ボーイズ:ポップ・ミュージック・レボリューション」、ビーチ・ボーイズが好きな人なら是非観るべきだ。
それにしてもすっかり、、忘れてたな。ビーチ・ボーイズのこと。
急いで、また聴き直そう。
夏、海、太陽、砂浜、青空、そしてビーチ・ボーイズ!