淳一の「キース・リチャーズになりたいっ!!」

俺好き、映画好き、音楽好き、ゲーム好き。止まったら死ぬ回遊魚・淳一が、酸欠の日々を語りつくす。

映画「バックコーラスの歌姫たち」。このドキュメンタリーはいいと思う。音楽好きにはたまらない。

2014年03月25日 | Weblog
 映画「バックコーラスの歌姫たち」が、第86回アカデミー賞で長編ドキュメンタリー賞を受賞した。

 確かにこのドキュメンタリー映画、物凄いインパクトが感じられるとか、これまでにない視点からドキュメントしているとか、そういう映画ではないけれど、「バックコーラスの歌姫たち」、音楽好きの人にとってはたまらない映画ではある。

 冒頭から完全に惹き込まれてしまった。
 まず、いきなりルー・リードの「ワイルドサイドを歩け!」が流れる。

 これまで、永きに渡って様々なアーティストたちによって発表されてきた素晴らしい楽曲、それに素晴らしい彩りを与え続けている大きな要素の一つが、バックコーラスだろう。
 もちろん、歌のバックを支えているのはコーラスだけではない。
 ギターやドラムやピアノやホーン・セクションやミキサーなど、すべてが一体となってそれは成立する。

 このドキュメンタリー映画は、60年代からこれまでの音楽シーンの一端を紐解きながら、裏方としてミュージシャンを支えてきた何人かの女性たちにスポットライトを当ててゆく。

 1960年代、黒人女性ソウルグループ「ブロッサムズ」としてデビューし、あの「ウォール・オブ・サウンド」を生み出したフィル・スペクターが作った、数多の楽曲のバックコーラスを担当していたダーレン・ラヴを中心に映画は進む。

 彼女は、自分が主役であくまでバックコーラスは自分を下支えするだけの道具でしかないという、フィル・スペクターと反りが合わずに対立し、音楽界を去ってしまう。

 ダーレン・ラヴのほかに、メリー・クレイトン、クラウディア・リニアなど、ミュージシャンの単なるバックシンガーの一員というだけではなく、ある時代の音楽の表舞台にも顔を出した女性たちが何人も映画の中に登場し、インタビューに応じてゆく。

 実は、数ヶ月前に「アマゾン」でクラウディア・リニアのアルバムが再発されていたのを見つけ、買おうかどうか迷った末に結局買わなかったことがあって、この映画を観てから、すぐにまた「アマゾン」でクラウディア・リニアのソロ・アルバムを探してしまった。

 そしてこのドキュメンタリーには、多くの有名アーティストたちとそのライブが挟みこまれる。
 これがまた貴重なフィルムで、音楽好きにはたまらない。

 デビッド・バーン(トーキング・ヘッズのライブらしい)、デヴィッド・ボウイ(ヤング・アメリカンのスタジオ・ライブ)、スティング、ローリング・ストーンズ、スティーヴィー・ワンダー、ジョー・コッカー、それから「スイートホーム・アラヴァマ」を歌うレーナード・スキナードなどなど・・・。

 全部ほんの数分間だけのシーンなので、正直にいうと、インタビューはいいからそのままライブ演奏を長く流してよ!と何度か叫びたくなったけれど、それはまあ仕方がない。

 映画「バックコーラスの歌姫たち」の中で特に素晴らしかったのが、メリー・クレイトンがステージ上で熱唱するニール・ヤングの名曲「サザン・マン」と、ラストのエンド・ロールに流れるブルース・スプリングスティーンが登場するシーンである。

 鳥肌もんである。
 泣きはしなかったけれど、目頭がジーンと熱くなってしまった。
 これもちゃんと、最初から最後まで全部観たかった(聴きたかった)。

 それから、ストーンズの名曲「ギミーシェルター」。
 この曲ほど、女性バックコーラスなくしては語れない名曲はない。
 映画に登場するクラウディア・リニアからインスパイアされて、ミック・ジャガーはあの「ブラウン・シュガー」を世に送り出したのである。
 そういう意味でも、ミックの名プロデューサーぶりがこの映画によって改めて再確認された。

 映画の中でも語られることだけれど、最近の音楽シーンにおいては、バックコーラスという手法があまり採用されなくなってきた。
 しかし改めて考えると、素晴らしいバックコーラスを含んだ楽曲って、料理に例えると、秘伝の隠し味というか、旨味を上手に引き出す極上の調味料なのである。これがないと、料理自体物足りなくて、イマイチ食欲が湧かなくなる。

 映画を観たら、無性に60年代の女性黒人ヴォーカル・グループが聴きたくなって、CD棚から何枚か取り出して今聴いている。

 うーん。
 やっぱ、いいッスね。







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