台湾の姉妹校から来訪者があるので、10:00に高校へ行く。新入生がクラスごとに校地内を散策中で、山道をぞろぞろ歩いていた。女子が先を行き、男子がだらだら金魚の糞みたいに続いていくので、おかしかった。なにしろ広さが87万㎡もある高校だからな。迷ったら大変なことになるかも。
校長室で香をたき、掛物を変え、呈茶のための干菓子を準備して、茶盌も仕組んでおく。台湾の人はキティちゃんがお好きだから、資料は売店でキティちゃんクリアファイルを買ってセットしておいた。このようなちょっとした心遣りが大切だと思う。
5月末に2クラスの生徒が来訪し、まる1日交流することになっている。当方も修学旅行でお世話になるから、手厚く応対したい。本年度は150名も受け入れていただかなくてはならんからな。11:00、お越しになったのは女性の美術の先生で、打ち合わせの後、校舎内を見学していただく。さすがに美術の授業に関心がおありのご様子だったが、事前に担当教員に了解を得ていなかったので、ドアの覗きガラス越しに観ていただき、申し訳なかった。
その後、近所の蕎麦屋へご案内して、お昼を差し上げた。事務長も教頭もこのお店は初めてということで、花番さんに名刺なんぞ渡していたが、校長は渡してはおらんぞなもし。お昼の簡易コースでご満足いただけたようだ。このお店は、新潟の古民家を移築したものだということも、初めて知った。教頭は新潟ご出身なので、ゆかしとお思いのご様子だった。
高校に戻り、校長室で呈茶申し上げる。桜はあらかた散ってしまったので、お菓子は「東京松屋本店」の「吉野懐古」を川本太郎の緑色のの山茶碗に盛ってお出しする。ぼりぼり召し上がった。茶盌は岸野寛作の刷毛目を使う。掛物は、琵琶湖の舟の古材に大津絵の昇鯉が描かれたもの。油断すると落下するぞとの警句の和歌が書き添えられており、説明したらにっこりされた。時計の針の絶え間なく、励めや励め。学校に相応しいや。
台湾の高校は月~金に毎日8時間授業だそうだ。クラスの編成の仕方も興味深かった。能力別かつ得意分野別の編成らしい。そういうめりはりのつけ方もあるのか。工夫がある。道理で日本の教育は負けるわけだ。
来訪の先生は、この学校の教員になるにはどうすればいいですか?としきりにお聞きになる。世辞を言っているのかなあと思ったが、存外本気なのかもしれん。今の美術教師を毒殺すればいいですよと、お返事しておく。(笑
お土産にいただいたパイナップルケーキは、すぐ教務スタッフや事務所に分けて食ってしまった。しばらくして、今度は学校法人学生担当部署の事務部長さんがお見えになる時刻。掛物を変える。その昔、施設からの立ち退き騒ぎで群衆と対峙し徹夜した時の渡しの雄姿を、写真部の学生が撮影して引き延ばし贈ってくれた写真を、額装にしたものだ。
その写真でもって、最初の一撃を加えた。後は一方的にまくしたてて、聞く耳もたんと断固はねつける。これでよいか?と隣のK生徒主任に目配せしたら、頷いている。私はその部署の参与をしていたこともあるので、双方の言い分はともによく分かる。事務部長殿には子どもの使いのようなこととなって申し訳なかったが、総合的な調整をやってこなかった理事会が悪いのである。ガバナンス、ガバナンスと言うけれど、ガバガバだ。カバの逆立ち、バカである。バカは死ななきゃ直らないのだ。
雄姿写真といえば、その中に映っている人物の一人が、どうやら事務職員のTさんらしいということになり、大いに沸いた。本人に確かめると、そうかもしれないとおっしゃる。私はずっと□○の活動家だと思ってきたがな。奇遇、奇遇。
それから職員会議の打ち合わせ。理系の教員のリテラシーの無さに唖然とする。やっぱり3年生の最後まで、国語はちゃんと履修させなければならんわけだな。英語も大事だが、日本語運用能力が基本のキであろう。おお、茶道部が校内で茶会を開きたいとな…。ついに点前座用の畳を買ったんだな(ウチの高校には畳が1枚も無い。柔道もしないしね)。校長室の茶道具?を自由に使ってもらおうか。畳があるなら、段ボールで茶室を作るべいよ。
存外早く帰りの新幹線に乗れた。明日も高校へ来にゃならぬ。結局、4月5日から土日も無くて校長業務出づっぱり。明日の職員会議で一段落だが、午前中に卒論ゼミをしてから東京駅から移動である。東京から新幹線に乗ると、足が出る。金返せ! 私の研究時間を返せ!と、小さな小さな声で叫んでみる。