そのころ、世に数まへられぬ古教授ありけり。

この翁 行方定めず ふらふらと 右へ左へ 往きつ戻りつ

3月25日(水)その2

2009年03月25日 | 昔日記
 コースの卒業証書と修士学位記の授与は16:00からなので、ゆっくりと大学へ向かう。会場には私が卒論指導をした卒業生も皆、顔を出していた。Nさんは都立高校の教員に採用されたが、赴任校が決まったとの報告を受ける。K高…、おお、「寅さん」という感じだね。O君は覚悟のフリーターだとか。それぞれの道への旅立ちである。修士課程修了者の諸君も、博士課程へ進学する人、就職して雄飛を目指す人などさまざまだ。最後にS教授の音頭で乾杯した。

 その後、キャンパス内のカフェテリアで賑やかに行われていた夜学部の卒業祝賀会を覗く。私の発案でこの学部のマスコットになった「ぶんぶん」のぬいぐるみ?が、ステージの脇に鎮座ましましている。このキャラクターを作って、本当によかったなあ。学生担当のI教務主任と少し立ち話をした。彼とは助手仲間だった。しかも、独文の彼と国文の私は、同じフロアにあるそれぞれの研究室で仕事をしていたのだ。当時の助手は今より人数が少なく、集まってよく飲んだから、「助手繋がり」というのも、案外強い絆なのである。

 17:30から、所属コースの謝恩会が、個人研究室の前の会議室を借り、料理をデリバリーして行われた。会費3,000円という、つつましやかな会。幹事団は、1年基礎演習で私が担任をした諸君が中心だ。受付を手伝う3年生も、私の基礎演習出身者や学生研究会のメンバーたちである。こういうところに人材養成の実を発揮できているのは、正直誇らしい気持ちがする。この謝恩会は、私たちの期が銀座のホテルで開いたのが、その後ずっと続いている伝統行事なのである。

 幹事の一人Tさんは、卒業式でO記念賞の芸術賞を受賞した人。既に歌人として大活躍している。大学院に進学することが決まっているので、4月2日の新歓懇親会の後、、日本酒を飲みに行こうと約束した。またOさんも、都立高の赴任先が決まったそうだ。Oさんのお父様はたしか、ロシア文化ご専門の研究者のはずだが、国文に進み高校の国語教師になることとあいなった。1年生の頃に比べてたら、すっかり垢抜けて、素敵な女性になったなあ。U君は落研で活躍したようだが、彼も大学院進学組で、U教授の研究室に入る。

 2時間はあっという間に過ぎた。教員それぞれがスピーチをさせられた。私は、亡き指導教授がいつも口にしていた「揉めれば揉めるほど世の中よくなる」の言葉を贈り、喧嘩の勧めを一席ぶった。数日来、あちこちで喧嘩?しているからな。花束をいただき、卒業生代表の挨拶があってから、司会のOさんがお開きに一本締めすると言い出した。だめだめ。一本締めはヤクザの風習だ。三本締めでなくてはいけないと叫び、前にしゃしゃり出て、手締めをした。元助手は体が先に動く。

 引き続き私の研究室を開放して飲む。書道のA先生もやって来て、吟醸酒を2本も差し入れてくださった。A先生、相当酔っ払っておられる。Tさんに、O記念賞の金メダルを見せてもらった。銀メダルに金メッキしたものだそうだが、ずっしり重い。NYへ来年は、隣のK教授が派遣を内諾されたし、万事めでたし、めでたしだった。23:00近くになったので、さすがに帰宅することした。同じ方向へ帰る幹事団のメンバー、袴姿じゃ大変だから、最寄りのJR駅まで一緒にタクシーに乗った。

3月25日(水)

2009年03月25日 | 昔日記
 明け方に、カリキュラム委員会の持ち回り審議に対する私の意見を回答する。ついでに教組のメーリングリストに、小冊子に奥付が無いので回収すべきとの意見を流してやった。情宣部の刊行物と誤解されたら迷惑だ。今日はう~んと意地悪な男になっている私。

 私が攻撃したコースに所属する委員から、弁明めいたメールが来た。私の意見を「まっとう」と認めている。でも悪気はなかったんだと。それで済んだら警察は要らんわい。教組の書記長からは、組合執行委員会の名前が表紙に印刷してあるから回収しなくてもよいと返事が来た。そうですかい、ウチの職場区ではどんどん再生紙回収ボックスに小冊子が棄てられつつあるとのことだが、そのまま放置しますと、またぞろ返事をしておいた。あ~、本当にいぢわるなあたし。人文系学部に経済状況の冊子を配ったって、捨てられるのは火を見るより明らかだ。だ~から言ったじゃないの~♪ バカね。

 娘の話を聞いていると、なるほどねと思う。就活の面接も、二次、三次ともなると、企業側がどんな人材を取ろうとしているか、どのような考え方で働かそうとしているか、はっきり見えてきたという。それが分かると、ここはやめておこうという判断も出てくるようだ。空前の不況で、現下は採用側主導だが、面接というものは、採用してもらう側だって企業を判断する貴重な機会でもある。卑屈になる必要はさらさらない。娘がなんだか拘って、今のところ食指を動かしているところ、私はよい判断だと思っている。大学の友人からは、バカにされているそうだが、学科の勉強が大いに活かせる業種ではないか。見栄や体裁で、仕事を選ぶ時代ではない。しっかりした考えで選び、首尾よく採用された暁には、大いにお祝いしようじゃないか。というわけで、今日も面接ご苦労さま。雨が降って来たので、せめては駅まで車でお送りする。

 さて、卒業式である。そろそろ出かける準備をするか。今日はユニクロというわけにもいくまい。