そのころ、世に数まへられぬ古教授ありけり。

この翁 行方定めず ふらふらと 右へ左へ 往きつ戻りつ

3月23日(月)

2009年03月23日 | 昔日記
 時節がら、科学研究費の報告書をいただくことが多いが、今日も埼玉大学の武井和人さんから、『中世後期禁裏本の復元的研究』が届いた。まことに有益かつ豊富な研究内容である。禁裏御文庫の研究はずいぶん進んだが、文献学的な考察の基幹に関わる問題と言ってよい。このあいだ皇學館大学の深津睦夫先生から頂戴した『全国神社奉納和歌のデータベース化と研究のための予備的研究』とともに、今進めている仕事に直接役立つ成果であり、本当に有り難いかぎりである。研究の進展は、果てしのないものであるなあ。

 3月末締め切りの論文を1本書き上げる。400字詰原稿用紙50枚程度という規定なのに、字数は20,000字超で、60枚近くになっちゃったかもしれない。行数も結構取るし、困ったなあ。3月は論文書きまくったが、すぐ次に続いて書きたい論文が2本ある。1本はAさんと共同執筆にして、もう1本は学部の紀要に出そうかな。今度は表現論となるので、夏休みにじっくりまとめればいいか。それまでに資料紹介を1本、本の原稿が2つ、不義理をしている辞典の原稿もある。身動きが取れなくなってきたぞ。

 4月の学会発表の配布資料もほぼ完成させた。A4判で8ページ。A3の用紙2枚の裏表に印刷すればいいかな。他に原資料の復元模型?を付けるかどうかを思案中。大阪に持って行かなければならないので、できるだけコンパクトにする必要がある。資料多きがゆゑに尊からずだ。

 13:00から茅場町の録音スタジオで、拙著CDブックの録音が行われた。強風のため、A師匠の到着が少し遅れる。6名で分担しての朗読を、5時間かけて、無事録音できた。パートナーには、発音とアクセントのチェックを全面的にしてもらう。家に音韻学者が住んでいると、本当に助かりますわ。スタジオのNさんに、近所の美味しいお店をお尋ねしたら、茅場町の「鳥徳」を紹介、手配してくださった。なかなか場所が分からず右往左往したが、着いてみたら、いやはや気に入りました。昭和レトロ!という感じのお店で、大繁盛している。焼き鳥が美味しい。Nさんからの差し入れもあって、大満足。お酒も「上喜元」だった。皆さんには、今日は拙著のために時間を割いていただいたので、もちろん私めが饗応申し上げた。

 帰宅後、メールチェックしたら、漢字博士のS先生から、お尋ねしていた事柄の返事がもう届いていた。「樫」の字の異体字と考えられる「木刃」(木偏に刃)字についてお伺いしたのだが、『色葉字類抄』から既に訓が見られるそうだ。さすが専門家である。これが「籾」と誤読されるのだが、活字文献は当てにならない。誤写の想定についても愚説にご賛同を得た。阪大での発表に自信ができたぞ。

 U先生から、博論審査報告書の原案について問い合わせの電話があったらしい。25日に持って行きますから。あ~忙しい。これじゃあまるで、「茶目子の一日」みたい。

 娘は連日、就活で面接の連チャンである「就活今か酣に~♪」。早く内定がもらえるといいね。業種によって遅速があるのだから、焦らないことだな。お父さんは文学部の出身で、教員採用試験くらいしか受けなかったから、適切なアドバイスはしてあげられない。なにしろ、身をえうなき者に思ひなしていたからな。