日々、土器実測(仮)

発掘された遺物の図化作業メインのお仕事ブログのはずが、日々の徒然・スピ話ばっかりになっちゃってる日記。

介護

2011年02月15日 | Weblog
もう何年も前の話ですが、私は母と祖父の介護をしていました。
ちょうど期限付きの仕事が終わったところで、そのまま仕事につかずに介護していたのですが、2人でやっていてさえ大変な事が多いのに、1人で面倒を見ている人、それも高齢の人はどんなに大変なんだろうと思います。

介護は体力的なきつさも勿論ですが、精神的なものが大部分ではと思います。
先の見えない不安、介護によって自分の人生を奪われたような気持ちになったり、色んな事で追い詰められたような気持になりますが、私が1番辛かったのは周囲の人の存在でした。
叔父や叔母の存在はその最たるもので、この人たちが発する言葉で祖父を憎く感じる事がどれだけあったか……。
こう云う親戚は多いと思いますが、口は出すけど、手とお金は出さないと云う最低最悪のパターンですね。
おむつ交換も褥瘡(じょくそう)の手入れも、ただの1度もした事がないくせに……。
たまに外から来れば、どうしてこんな事ぐらいと思われる事も、毎日の事となったらどうか、じゃあ自分たちなら出来るのか、そう云う事は沢山あります。
一緒に家族として生活して行くと云うのは決していい事ばかりではありません。
核家族であれば当り前に出来る事も、祖父母や小姑がいる事で出来ない事もある。
それは特別な時ではなく、ごく普通の毎日において、です。
勿論その逆もありますが、自由が利かない、制約されると云う点では断然核家族が楽です。
時間の自由とかそう云う事だけでなく、ちょっと茶の間にごろんと横になるとか家の中での小さな事も、祖父母がだらしないと嫌い出来なかったり、本来考えなく出来る事が出来ない。
そう云う、自分たちが当然の事として謳歌している自由は頭にもなく、良いところばかりで同居している家族を責めたてて来る、叔父や叔母は恐怖の圧力団体でした。

私はとても冷淡なところがありますが、圧力団体の言動もあって、祖父が死んでしまったらどんなに楽になるだろうかと何度思ったかしれません。
祖父がいる事で、私たちは好き勝手な想像をされ、云われなくていい事まで云われました。
よく、本人に罪はないのに、その人の周囲の人たちのせいで本人を嫌いになると云う事がありますが、そんな感じですよね。
決して厳しい言葉ではなく、自分たちは大意なく云った言葉が、云われた方にとって本当に辛い言葉と云う事は多々あります。
特に介護のような事をしている当事者には云ってはいけない、禁句と云うものがあるのですよね。
どっちにしても、私たちがやる事は何をやっても気に入らなかったのでしょうし、どんな風にしても大事にされていないと思われたと思います。
こう云う風に云いたい事を云う人と云うのは、自分たちは介護の経験をせずに終わってしまったり、結局何一つこちらの事情を理解しないままで終わったりするのですから、本当にやり切れません。

介護経験のない人が介護される側になる場合も、かなり厳しいと感じます。
特に年をとって我がままが度が増す人がいますが、そう云う人の傍若無人ぶりは、聞いていて耳を疑います。
私の、自分の価値観のみでしか物事判断しない知人なんて絶対信じないだろうなと何時も思いますが、結構私の周囲にはそう云う信じられない我がままばーさんが多いのですよね。
で、揃いも揃って自分には介護経験がなく、自分の子供を拘束し仕事まで辞めさせるような事を平気でする。
仕事を辞めさせるなんて事は、お金があるなしの問題以前の話で、結局子供の人生を自分の意のままにしているのと一緒です。
自分の子供だけでなく、他の家族まで巻き込む訳ですからね……。
前出の圧力団体ではありませんが、この手の我がまま老人も、自分は同じ事では辛い経験をせずに終わってしまうのですから、世の中はなんて不公平なんだろうと思います。

でもどんな状況であっても介護を辞めると云う事は出来ない訳で……。
どんなに酷い状態の中でも、このくそ爺にくそ婆と思いながらも、時折お互いに何かしら心の暖かくなる事やほろりとする事があり、そう云う本当に小さな事に支えられ、何とかやれている気がします。
可愛がって貰った事や色んな思い出もありながら、現実は苛立ちや色んな感情と戦い、複雑な気持ちなの中で介護している訳で……。

どんなに健康な人であっても、あの世へ逝かない人はいません。
人は色んな思いを抱えていて、腹をくくって逝く為の準備を整えている人もいれば、どんなに身体の自由が利かなくなっても家から離れないと頑張る人もいる。
この先に何事もなく老衰で死ぬのであれば、私は血の繋がった人のいない中で死んで行く事になると思いますが、スッキリあっさり、極力他人の手を煩わせないようひっそり逝けたらなと思います。
死ぬ前に、お棺の中に入るとこまで出来たらいいんだけどな(汗)。