今となっては本屋では容易に手に入らない文庫である。いつ購入したか記憶はないが、本棚の奥から引っ張り出してきた。
落日の会津藩にひとからならぬ思い入れを持つ綱淵謙錠の作品の中でも、頂点を成す一冊である。この作品は小説というより史伝というジャンルに分類されるべきものである。
綱淵氏は、容保が会津に帰城する場面から書き起こし、奥羽越列藩同盟、北越戦争そして会津落城に至るまでを、各種資料を駆使して刻銘に描いている。
会津戦争にまつわる悲話や美談を連ねることは難しくない。綱淵氏は、圧倒的兵力差がありながら、敢然と新政府軍に立ち向かう会津藩の老兵を描く一方で、見切りを付けて脱走する会津壮年兵の姿も紹介する。
武士道の根幹が自己犠牲とすれば、究極の武士道は女性や老人子供による集団自決であろう。落城前後の集団自決については、会津戦争を語るとき欠かせない悲劇となっているが、何度読んでも凄まじい。追い込まれると男性よりも女性や老人子供の方が遥かに武士道に忠実に行動するということであろう。
落日の会津藩にひとからならぬ思い入れを持つ綱淵謙錠の作品の中でも、頂点を成す一冊である。この作品は小説というより史伝というジャンルに分類されるべきものである。
綱淵氏は、容保が会津に帰城する場面から書き起こし、奥羽越列藩同盟、北越戦争そして会津落城に至るまでを、各種資料を駆使して刻銘に描いている。
会津戦争にまつわる悲話や美談を連ねることは難しくない。綱淵氏は、圧倒的兵力差がありながら、敢然と新政府軍に立ち向かう会津藩の老兵を描く一方で、見切りを付けて脱走する会津壮年兵の姿も紹介する。
武士道の根幹が自己犠牲とすれば、究極の武士道は女性や老人子供による集団自決であろう。落城前後の集団自決については、会津戦争を語るとき欠かせない悲劇となっているが、何度読んでも凄まじい。追い込まれると男性よりも女性や老人子供の方が遥かに武士道に忠実に行動するということであろう。