史跡訪問の日々

幕末維新に関わった有名無名の人生を追って、全国各地の史跡を訪ね歩いています。

「司馬遼太郎の幕末維新Ⅰ」 週刊朝日編集部 朝日文庫

2012年03月10日 | 書評
上海出張の往復の機内で読むために、肩の凝らない本を探していて、この本を見つけた。上海まで片道三時間ほど。帰路は偏西風に乗って二時間強である。時間的には四国出張より近いような感覚である。往復の機内でちょうどこの本を読破できた。
司馬遼太郎先生が世を去って十五年以上が経ったが、依然としてこの作家に関する本がハイ・ペースで出版されている。このような作家は司馬先生以外に見たらない。
幕末を取り扱った作品では、「竜馬がゆく」と「燃えよ剣」が人気の双璧であろう。個人的には、「翔ぶが如く」が一番であり、次いで「世に棲む日々」と「胡蝶の夢」が同点で二位。つまり私の嗜好は世の中の人気とはちょっと違う。
この本では、司馬作品の中でもっとも人気の高い小説の主人公である坂本龍馬と土方歳三を取り上げている。
我々の中の坂本龍馬と土方歳三のイメージは、司馬遼太郎先生の小説によって強烈に固定化してしまった。「竜馬がゆく」と「燃えよ剣」は、小説としても面白いし、ここに登場する龍馬も土方も、男が惚れるほどかっこいい。かっこ良すぎるくらいである。それはそれで結構なのであるが、ぼちぼち日本国民も司馬先生の描いた龍馬と土方から卒業しても良いのではないか。
「Ⅰ」とナンバリングされているので、おそらく今後ほかの作品やほかの人物が取り上げられるのであろう。大久保利通や松本良順、吉田松陰が特集されるのを心待ちにしよう。

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