国鉄フライヤーズ

目指せカネ、ヒマ、若さ

女子大生がヤバイ!

2010-02-17 01:00:00 | 本、映画、イベント
ヤバイっす、女子大生。
ヤバすぎる。

この言葉、我々が昔使っていたのと随分違うんですね。
ヤバイ!=マズイ!でしょ、かつては。

6年ほど前、音楽短大に通っていた頃です(53歳から2年間ジャズを勉強しました)。
ギターの先生のライブの後で私の十代の同級生の男の子が
「センセイの演奏、チョー・ヤバくないっすか」と言いだした。

一瞬、息を飲んでしまった。
な、なんとということを言うんだこの若者は。
素晴らしい演奏だったし、もし仮にイマイチだったとしても恩師にその言い方はないでしょ、みたいな。

40歳前後の先生も一瞬ギョッとされていたように思えました。
でも周りの子たちは平然としている。
しかし段々と文脈から「ヤバイ」は「メチャメチャ・カッコイイっす」ということだと理解でき
ほっとしたことを覚えています。

そんなわけで「女子大生がヤバイ!」は彼女らのあまりにフシダラなプライベートはマズイっしょうという話ではなく
「今、女子大生が面白い!旬だ!」みたいなニュアンスです。

本の作者というか編者は小沢章友さん。
開高健賞奨励賞を取った作家です。

長髪のちょっと怪しげな写真がある。


おっ、この人私と同じ年。
しかも同じ学校、学部、学科とは。
卒業アルバムを見てみると

いたいた。


(昔は怪しくなかったイケメンの小沢さん)

ついでに見つけた静岡県知事川勝平太さん


余り変わらないのね、君は。



小沢さん、某女子大で15年にわたって「創作講座」で小説の書き方を教えているそうだ。

この講座で小沢さんが出すテーマにそって学生が授業中に創作し提出した作品とそれに対する
彼の印象、クラスの反応、書いた学生の様子とかのレポートです。

内容はびっくりするくらいヤバい。
結構、地頭のよさそうな学生が多いみたい。
しかもこういう講座を取るからには「何か一筋縄ではいかない」エネルギーを内に秘めているのか
かなりヤバそうな子たちです。

ところは見たところは普通の今風だとか。

バブルの頃は「おおいに笑わせ」「おおいに泣かせる」ようなストレートなものが多かったらしい。
社会に大分翳が差し込めた今日この頃、学生の作風も大分変っている。

まず第1に表現力が高まり文章が飛躍的にうまくなっているそうです。
小沢さんの分析では携帯メール。
毎日どんな時でもどんな場所でも文章を書く「頻度」と「集中力」。

変わりましたね現代人の生活、この小さな箱、携帯で。
電話機で、計算機で、手帳で、ゲーム機で、カメラで、テレビでウオークマンでインターネットで電子辞書。

そしてなにより彼女たちの表現力を高めているのはタガがはずれたこと。
タブーがなくなった。

すごいですよ。

凄惨な殺戮のイメージ、キレる心理の吐露。親や親友への嫉妬と殺意。人には言えないような自分の性癖暴露と妄想。
サディズムとマゾヒズムとナルシシズムの同居する自傷。
これはヤバい、かなりヤバい。

でも見かけは普通の女子大生。
発表した後の周りの反応も常識的。

でも生み出される作品は親兄弟が読んだら即卒倒モノで翌日から見る目が変わること保証できます。

ど、どっちが本当の君なんだ。
女性の内部は深くて暗いのか。

男はアタマで考えてしまうが女性は情念というか、肉体的ですね。
管がつながっているというか。
そして男は自分の能力に悩むが女は人間関係が重要みたいで。

そのストレスを妄想とか、小説で表現したりでガス抜き、毒消しするのでしょうか。

畏るべし、日本の女。

そんな君たちが眩しい。
小沢さんも優しい目を細めて眺めています。