国鉄フライヤーズ

目指せカネ、ヒマ、若さ

再度の金融バブル崩壊を前にして「インサイド・ジョブ、世界不況の知られざる真実」を見てみた

2012-09-03 01:00:00 | 本、映画、イベント

サブプライムローン、リーマンショック、株価暴落…。世界中を金融危機の渦に巻き込んだウォール街崩壊の内幕を暴きだした社会派ドキュメンタリー!第83回(2010年)アカデミー賞 長編ドキュメンタリー賞を受賞(オリコン、データベース)

2008年にリーマンショックとした崩壊した金融バブル。
徹底的な規制緩和で証券会社のみならず銀行までが博打に走った。
しかし所詮、博打は博打。
いつも勝てるわけではない?

いやいや、勝てる方法はある。
ゴールドマン・サックスらの金融大手が政治家、学者、格付け機関、マスコミを支配して荒稼ぎした様子がよくわかる。
言葉は悪いが詐欺だ。

アメリカンドリームの幻想のもと、頭金なしで低所得者層にカネを貸した。
銀行ローンは証券化され機関投資家や一般投資家に販売された。
もともと資金のない人たちの住宅購入であるサブプライム・ローン。

焦げ付くリスクは大きい。
しかしそれをパッケージ化して他の債券とごっちゃにして売り出す。
そんな債券にAAAのお墨付きを連発したのが格付け機関。

年金基金などの安全資産を求める投資家には有難い話だ。
日本の国債より格付けが上だもの、ついつい手が出る。
しかし格付け機関は安全だと思ってAAAとつけているわけではない。
儲かるからだ。
潰れれば「あれはただの意見です」との厚顔ぶり。

実態は屑の証券。
もともと金融会社の種々のコストが組み込まれた高金利ローン。
しかしこのローンの成功で住宅バブルが起きた。

住宅価格が頭打ちになれば問題が一挙に噴き出す。
そこでAIGなどが売り出したのがCDS。
債券がデフォルトになっても全額支払い保証してくれる。

そして債券が破綻したときの保険であるCDSも証券化された。
サブプライム証券破綻となれば一企業では支払いきれないほどのCDSが売られる。

サブプライム・ローンを売りまくって大儲けしたゴールドマンらは目の前に迫る破綻を前に今度はCDSを買いまくる。
そしてハルマゲドン。
AIGも当然共倒れだ。

しかし、これも想定済みだ。
ゴールドマンの幹部だったポールソンが時の財務長官。
ただちにAIGを国有化。

そしてNY連銀のガイトナーがゴールドマンらにCDSという保険金を全額支払わせた。
そしてそのガイトナーがオバマの財務長官になる。
全部グル。

レーガン政権下で財務長官になったメリル・リンチのリーガンから始まり、財務長官はルービン、ポールソンら金融マフィアの指定席。
彼らが有り余る金でロビイストを使い(なんと金融ロビイストの数が議員の5倍いるらしい)、金融の規制緩和を推進した。
そしておこぼれに預かったのがハーバートやコロンビア大学の御用学者たち。
金融工学というお笑いだ。
そしてグリーンスパン、バーナンキ率いるFRB。

なにやら原子力ムラに似ているなあ。
そして破綻。
負け組は国民の90%。
10兆ドルの資産が吹き飛び、300万人が失業、米国政府の債務は倍増した。

儲けたのが、今盛んに言われる1%の人たち。
ルービンもポールソンもガイトナーもグリンスパンもバーナンキも格付け機関のトップも御用学者たちも1%として大幅に資産を増やした。
誰一人として責任追及を受けないし、気持ちが悪くなるほどの額のボーナスを貰っていた破綻金融機関の経営者も返還を求められない。

ITバブルの時、買収されて怪しいネット株を推奨したアナリスト達もお咎めなしだった。

そして今、ドル延命のために再び金融バブルが仕掛けられ雇用なき繁栄が続いている。
コンピューターを回して儲け続ける1%。
やがて来る危機の再来でも大儲けするのだろう。

ロムニーは完全に金融側の人。
危機の際、次々と金融規制を打ち出したオバマに期待するのも非現実的だ。
改革は即座に腰砕けした。
当然だ。
オバマのスポンサーはゴールドマンの大ボスであるジェイ・ロックフェラー。

人殺しで金儲けする軍産複合体グループとデリバティブという金融大量破壊兵器で富を独り占めるする金融マフィア。
彼らがアメリカや周辺国の政治・経済を動かしていることは紛れもない事実だ。
この欲深さと用意周到さには驚かされるばかりだ。

日々のちまちましたカネを追いかけ、現状維持に汲々とする日本の既得権益層とはスケールが違う。
いやいや、アメリカが羨ましいとは言っていません(笑)。
アメリカの救いはジャーナリスト精神がまだ残っているらしいこと。
新聞、テレビは「そもそも論」的に金融マフィアや軍産複合体に直接支配されているが、それに立ち向かうジャーナリスト精神は健全だ。

そこだけは羨ましい。




トンデモは楽しい「明治天皇すりかえ」

2012-08-03 01:00:00 | 本、映画、イベント


先日、五木寛之の「下山の思想」を紹介した。
そのなかに書いてあったが、五木の就寝前の楽しみは所謂トンデモ本を読むこととだそうだ。

私も好きな陰謀論、トンデモ論。
そういうと鼻で笑う人も多いと思う。

しかし学者の後ヅケの理論などどれほど役に立つのだろうか。
過去を、そして未来を大胆に予測する仮説。
これは楽しい。
文学、アートに近い気がする。

勿論玉石混淆。
屑も多いだろう。
トンデモは思考の拡張訓練だと思うととても参考になる。
鵜呑みにすれば信仰だ。

しかし表立った議論もある種の信仰だと思った方がよい。

五木に言わせれば「地動説」は正しいトンデモの見本。
法然や親鸞のただ念仏を唱えるだけで修行や善行をしなくても成仏できるという思想も当時はトンデモ説だ。
だから著作は門外不出だった。
オーウェルの1984年、動物農場。
予感の多くが現実になった。

日本を神の国にしてローマ法王に差し出そうとしたイエズス会。
その企みを見破った織田信長を骨が残らぬほど焼き尽くしたのは南蛮寺から本能寺に発射されたナパーム弾。
ポルトガルと手を組んだ信長の死を事前に知っていた秀吉はスペインと内通していた。

現代トンデモ論の大家副島隆彦がどこかで書いていた。
真偽のほどは知る由もない。
しかし独自の歴史観に立った想像(妄想?)には感心する。
何となく辻褄が合う気もするし。

在野の研究家の想像力・妄想力(叡智と言ってもいいかもしれない)
参考にしない手はない、と私は思うがどうですか?

日本の真相1 明治天皇すりかえ


鬼塚さんの推理(動画)

山口県熊毛郡田布施町という今でもさびしい。
山口は長州以前は朝鮮系渡来人の大内藩だった。
毛利に負けた大内家は民化した。
光市と柳井市に挟まれた地域に押し込められた大内残党。
ここから一度に綺羅星のごとく大物が輩出された。

伊藤博文、山形有朋、岸信介、佐藤栄作、難波作之助、国光五郎、安部源基の錚々たるたる政治家。

鮎川義介(日産コンツェルン総師)、久原房の助(日立グループ総師)、松岡洋右(外務大臣)の三スケ。

共産党の実力者、宮本顕治、マルクス主義学者の川上肇、法律界の大御所岩田宙造。

一挙に過激化する鬼塚説(笑)。

秘密は伊藤博文が育てた騎兵隊の力士員隊大室寅之佑が明治天皇になったから。
少数民族が国家を操るのは歴史の定番。
欧米のユダヤ人、中国の客家人脈の支配網は言わずもがなだ。

天皇や皇室は日本最大のタブーの一つだ。
これにチャレンジすると右翼に狙われる。
そこが怪しい(笑)。

子種がない大正天皇から昭和天皇が生まれたり。
日本の皇統はあっちこちで途切れている。
染色体とか遺伝子とかが持ち出される天皇後継議論などちゃんちゃらおかしく聞こえる。

天皇を神聖化することは不合理だ。
ただ個人的には、長く続いていることはやめない方がいい、という皇室擁護派だ。

さて、鬼塚説だ。
この天皇すりかえスキャンダルを掴んだのがユダヤ系国際金融マフィア。
そして以来日本は彼らのコンプラドール(傀儡)になったのではないか、というのが鬼塚の推理だ。
確かに天皇・住友財閥はロスチャイルド系かもしれない。

日本の暗部に光を当て、外国に利用されないようにしましょうという結論には共感する。

最後に語られるエピソードが面白い。
秦郁彦が鬼塚に電話。
実は真実の歴史を隠すために現代史の大家になった田布施出身者だったというオチだ。

やっぱりトンデモは楽しいでしょ。




五木寛之「下山の思想」。年長者の話を聞いてみよう

2012-07-30 01:00:00 | 本、映画、イベント



五木寛之は私より18歳位年長なので今年で80歳になる。
私とは違う時代の違う景色を見てきた人だ。
そんな人に今の時代はどう見えるのか。

世界は、なかでも日本は下山の時代を迎えているというのがこの人の感覚だ。
下品、下流、下等、下賤、下郎。
「下」という字にはネガティブな響きがある。

しかし登山だけでは完結しない。
下山を終えてこその登山だ。
下山では登山の達成感を感じ、目の前に広がる景色を楽しむ。

夕日はいやいや沈むのではない。
堂々とした日没に価値がある。
「親のない子は夕日をおがめ。親は夕日の真ん中に」。

経済的にも停滞しいている日本。
成長のエネルギーは労働人口、資本投下、生産性の向上。
この先10-20年の日本が成長要因を豊かに持っているとは考えにくい。
とすると、五木の言うように目指すべき将来は山頂ではなさそうだ。

そんな下山の時代に遭遇した大雪崩である大震災と原発事故。
五木にはどう見えたのか。

放射能汚染についての国民の無関心。
それは60年代以前のやりたい放題の核兵器実験、あるいはレイチェル・カーソンが「沈黙の春」で予測した公害。
チェルノブイリ事故による1億キューリーの放射性物質拡散。
十分に汚染され、世界が病み、急激に崩壊に向かうという実感が人々を包み込んでいる。

そんなとき人間のとる態度は「そのことを考えるのはやめよう」。
特に我々日本人にはその傾向が強いようだ。

戦争末期、米軍が沖縄の上陸してもまだ国民の大多数は日本が負けると思っていなかったそうだ。
よく言われたことだが戦時中の軍部は計画や目的を神聖化して、統計や戦況などの現実を歪めた。
つまり現実を理想に合わせた。
見たくいないものは見ない、という都合の良い現実逃避。

しかしエリートは実はわかっていた。
「民」という言葉の語源には恐ろしい意味があるそうだ。
針で目をつぶした奴隷だ。
知らしむべからず、という統治の原点。

平壌で敗戦を迎えた軍国少年五木寛之。
ラジオは「治安は確保されています」と繰り返し、平静になれと呼びかけた。
実は軍や政府、報道関係者とその家族はとっくに避難。
そんな時にラジオを信じて情報収集を怠った自分。

ソ連軍の入城で、富のすべてである朝鮮銀行券が紙くずに。
ソ連の軍票に取って代わられる。
筆舌に尽くしがたい逃避行。
信じた自分が馬鹿だった。

戦前戦中は政府、マスコミ、知識人、教育者、芸術家、詩人、学者のすべてが熱に浮かされたように戦争を賛美していた。
これも一瞬のうちに消え去る。
信じた自分が....

世の中、激動時にはなにが起きるかわからない。

政府は人心の動揺を防ごうとする。
これこそ「民」の原点。
真実を隠す。
つまりは一般大衆の愚民視という上から目線。
野田や枝野、前原、細野あたりの小僧が上から目線とは癪な話だ。

第二の敗戦とも言われる今回の震災、原発事故。
まさに「想定外」な事態が起こった。
よくあることだ。
自然災害は大抵想定外。

五木の耳には朝鮮でのラジオ放送と同じに見える昨今の新聞・テレビ報道。
何かを伝えようというのではなく、何かを隠そうとしていると聞こえた。
「メルトダウンはしていない」「放射能は安全だ」「ただちに健康に影響はない」。
人間がれほどのことを知っているというのだ。
そして疑問を政治家や官僚、専門家に投げつけようとしない記者クラブメディア。

下山の話だ。
未曽有の事故も起きた「不機嫌な時代」。

自殺者は年間3万人を超える。
13年連続だ。

無理があったのか。
世界第二の経済大国であった日本。
それ自体は後世に誇るべきだろう。
しかしそれゆえの無理、歪みもあったはずだ。
金融の世界となり、富の一部への集中が加速化されている。
格差問題だ。

経済だけではない。
自殺者の約半数が健康問題。
知らなかった。

世界有数の長寿国日本。
五木の見方はちょっと違う。
長寿は少数のラッキーな人たちにとっての慶事。

一般的には50歳を超えての長生きは「無理」がともなう。
欧米諸国は前立腺癌の検査に消極的なそうな。
手術、放射線、薬物による対処。
いいことばかりではない。

軍事施設をピンポイントで爆撃することはできない。
周辺の市民も巻き添えをくらう。
不良を全て退学にしたら学校はよくなるのか。
癌の対処法も似たようなものだ。

日本では健診に癌検査やメタボリック診断、さらには鬱病の早期発見など。
いい話には裏がある、という五木のシニカルな見方には共感を覚える。
その結果病気が増え、国中に病人が溢れる。
病気と病人の拡大再生産だ。

無理はなるべく避けてたおやかな軟着陸も目指すのが日本人のビッグ・ピクチャーかも知れない。
ギリシャ、イタリア、スペイン、ポルトガルに英国。
見習うべきはこれらの国々かな。
全て経済危機が進行中だがなんとなく余裕が感じられるのは私だけか(笑)。

養老さんが言っていたが、日本の人口は世界の60分の1。
収入も支出もそのくらいでやっていく、という発想があってもいい。
オリンピックの種目数は302。
金、銀、銅それぞれ5個が目安ということだ。

ローマは一日にして成らず、だが一日で滅びるわけない。
長い時間をかけて景色を楽しみながら下山するのも悪くない。


中野剛志著「PTT亡国論」

2011-10-03 01:00:00 | 本、映画、イベント


これを書いているのは10月1日の土曜日。
日曜日から一週間ニューヨークに遊びに行く。
友人の国分夫妻、松川夫妻、フォルクローレ・ミュージシャンで甥にあたるシロー君に会うのが楽しみだ。
ラテン系のライブの他、ブルーノートのデビッド・サンボーン+ジョーイ・デフランチェスコや55バーのマイク・スターン+リチャード・ボナも見逃せない。
安いんですな、これが。
一流ミュージシャンなのにこれでやっていけるの?と思うほど。

音楽や野球、アメリカ発の文化にどっぷり浸かってきたし、これからもそうだろう。
決して反米主義者ではありません(笑)。
でも親米の前に親日。
日本の国益には敏感でいたい。

前に紹介した現役経産省官僚中野剛志の反PTT論である「PTT亡国論」。
経産省が何故か無理矢理にでも推進するPTT(環太平洋戦略的経済連携協定)に真っ向から反対する困った(笑)官僚は
京都大学大学院藤井研究室(都市社会工学)に「窓際」出向中。

彼のTPP反対論のポイントがよくわかる。
TPPそのものが自由競争の枠組みであるどころか、単にアメリカの経済戦略の一環であり、
ターゲットが日本市場であるというのが中野の意見。

元々過剰な自由競争は国家経済にとって必ずしも良いことではないという考え方のようだ。
その辺がきちんと説明してあって参考になった。
経済学出身の国鉄フライヤーズだが、経済理論はからきし苦手だ。
遅まきながら勉強させてもらった。

勉強になったがちょっとややこしいし、理解も万全でないので割愛(笑)。
興味のある人は自分で読んでみてください。
福澤諭吉を敬愛する自立主義者で骨っぽい。
なかなか読み応えある(と思う)。

そういう根本的な考え方は一先ず置くとしても、「鎖国に戻るのか」だとか、
「世界の孤児になるな」とか、ついには日独伊三国同盟でもあるまいに
「バスに乗ろおくれるな」のような情緒的な言動する日本人が多いのはどうしたことか。
違和感を感じざるを得ない。
キャンペーンだな。

大体において日本の市場は閉鎖的なのだろうか。
日本の輸出がアメリカの製造業の脅威となった6ー70年代、所謂日米経済摩擦。
その頃までは確かに関税、非関税の障壁でよちよち歩きの製造業を守り育成した。
それで成功したわけだ。

リトル・リーグがプロ野球と試合しても話にならない。
フライ級ボクサーががヘビー級に殴られたら再起不能。
こういう段階では保護は必要で効果が有った。

しかし日本の製造業が急速に発展すればそんな障壁を何時までも置いておけるはずもない。
今では全品目平均の関税率は近年アメリカのターゲットになっている韓国より遥かに低く、更にアメリカよりも低い。
ふーん、アメリカより低いんだ。

農業部門はがっちり保護されているという印象だ。
しかし関税率が特に高いというわけではなさそうだ。
農産物に限定すると、アメリカよりは高いが、韓国より遥かに低く、さらにEUよりも低い。
ほう。

そしてもちろんWTOに加盟しているし、インドやASEANなど12の国・地域とすでにFTAやEPAを締結しており、
さらに韓国、豪州、ペルーらと調整中だ。
これのどこが「鎖国」だと言うのか?
言ったのは経団連の米倉、利己的なキャンペーンだ。

TPPの参加国はアメリカを除けば小国(シンガポールやブルネイ)や農業国(チリやニュージーランド)
日本型の先進国は入っていない。
韓国も中国もインド入らないという。

実質的に日米FTAだ。
だったら日米で交渉したらいい。
何故アメリカはPTTの枠組みを持ち出す?
アメリカにとって都合がいいからだろう。
日本にとっては共通の利害を持つ仲間のいないリーグで孤軍奮闘しようというわけだ。
なんでまた。

官僚の言うアジアの成長を取り込むというのは欺瞞だ。

前述の通り中国もインドも韓国も入らない姿勢だ。
何が何でもTPPを推進するための空っぽの作文。
こういう目くらましのくだらない作業は得意中の得意だ。
御用学者を集めて研究会、委員会で箔付けする。

アメリカが日本にTPPを迫る理由はアメリカの雇用対策。
農業製品、工業製品で日本の市場により食い込みたい。
要は日本の農家や製造業者から日本市場を奪い取りたい。

そのためにグローバル・スタンダードとも呼ばれたアメリカ方式を日本に丸ごと飲ませたい。
例えば自治体の入札書類には英語版が必須。
アメリカの入札書類は日本語かい?
日本人が日本語を使うことを非関税障壁と呼ぶわけだ。

日本のメディアは報道しようとしないが、PTTは関税全廃、サービス、貿易、政府調達、知的財産、金融、人の移動を自由に、
という極めて急進的な枠組みだ。
シンガポール、ブルネイらの貿易立国、資源国のための協定にアメリカが飛びついた。
東アジア諸国を引っ張りこもうとしたが中韓はメリット無しと判断したようだ。

そう、メリットがあるかどうかが重要。
そこで判断するのが当たり前。
「世界の孤児」「平成の開国」「バスに乗り遅れるな」みたいな標語に踊らされるのは愚かだ。

デフレや雇用が問題なときに何が外国人労働者だ。
そして、コメなど特定分野の除外は参加時点で認められない。

アメリカの関税が下がることによって日本の対米輸出が増えるかというとそうは行かない。
日本のメーカーは円高対策で、既に現地生産を進めている。
そしてこの円高というのがミソだな。

アメリカは大々的な金融緩和・ドル安戦略を採っている。
カネを刷りまくれば価値は下がる。
当たり前だ。
関税が数パーセント下がったところで為替操作されれば効果ない。
アメリカは自国の雇用を作る為に今後もドル安政策を続けるようだ。

今現在、株や商品のバブルが弾け、ドルが不足になっている。
全てがドル表示の株や鉱物資源などが売られればドルが足りなくなるからドル高になる。
現在ドル高が進行中、そんな中でも日本円の強さは不変だ。
アメリカと日本の財務省はそれぞれの思惑で日本には緊縮財政、増税路線を推し進め円高誘導している。

全てが繋がっているようだ。

アメリカは今まで基軸通貨のドルを際限なく印刷することで世界からモノを買ってきた。
日本も中国もその恩恵に浴してきたわけだが、こんなことはもう続かない。
際限なく貿易赤字を出す国と一方黒字を溜め込む国。
グローバル・インバランスというやつだ。

だからアメリカが輸出を奨励するのは極めて正しい。
TPPはアメリカの戦略として正解だ。

問題は日本。
輸出中心の経団連が日本経済の代表ではない。
アメリカへの輸出を増やすことは政策の優先順位としては低い。

日本の問題はデフレであって、需給ギャップを縮める必要がある。
その為に必要なのが政府支出。
民間の投資意欲がデフレで削がれているときが政府の出番だ。
内需を刺激し、「日本の」農家や製造業に元気を与える「日本人の」雇用を生み出すことが必要だ。

TPPなどで過度に自由化をすればモノやサービスが国境を超えてどんどん入ってくる。
結果はデフレの更なる進行。
低体温にしたところで病気は治らない。

農業部門など長年の農業政策の誤りで国際競争力がない分野がある。
特に米などの穀物。
政府の補助金がないと成立しないこの部門に従事する人は準国家公務員と言えるかもしれない。

だからといって農業を自由化しろというのいはナイーブすぎる。
ここにもモンサントを中心としたアメリカ農業戦略がある。
アメリカによる、アメリカのための戦略TPPを推し進めようとする日本人。

TPP締結が使命のようにも見えるアメリカの手先前原。
モンサントのエージェントである住化の米倉が会長を勤める経団連。
反日(?)日本人の動機を見極める必要がある。

それと同時に政府を含む日本人の戦略思想の無さには暗澹たる気持ちにさせられる。
繰り返すがTPPはアメリカによるアメリカの為の対日戦略だ。

国家の経済戦略は駆け引きであり利益の分捕り合いという戦争、と中野は言う。

デフレ不況からの脱却、食料の海外依存問題、グローバル化、グローバルインバランス、
アメリカの輸出倍増戦略、気候変動等内の情実、外の大勢についても何一つ議論が尽くされていない。

ビッグ・ピクチャーに興味がなく目先の政局のみを追いかける大手メディアに付き合っているとバカが移ります。








「スラムドッグ・ミリオネア」も観たぞ

2011-09-30 01:00:00 | 本、映画、イベント
スラムドッグ$ミリオネア 予告編 Slumdog Millionaire Trailer



先週、野辺山で観たもう一本が「スラムドッグ・ミリオネア」。
ツタヤの宅配レンタルだ。
毎月4本まで借りられて月額千円足らず。
延滞料金も無い。

2本ずつ送ってくるが返却しないと次が来ない。
去年など2本観るのに半年かかってしまった。
借りようか迷った映画が来るとついつい見ない。
そういう映画に限って高く付くわけだ。

さて今回の二本はアタリだった。

「ソーシャル・ネットワーク」と同じく120分に凝縮された人間ドラマ。
このぐらいのサイズがいい気がする。
スピード感で一気に持っていってくれる。
いくら話題作でも3時間半は見る気がしない。
純愛有り、兄弟愛有り、嫉妬、裏切りそれに階級社会や貧困、裏社会宗教対立という社会問題有り。

アカデミー賞8部門獲得の超話題映画を今頃観て感想を、と言うのも間が抜けた話だが
観たからには何か書かずにはいられない。
そんな映画だ。

ご存知と思うがインドが舞台。
言わずと知れたBRICSの一角として飛躍中の国だ。
前にも書いたが、日本との縁は深い。

アメリカ従属の歴史はたかだか65年。
日本のインドや中国との関わりは2000年。
「三国一の花嫁」といえば当時の世界一。
日本、中国、インド(天竺)が日本にとっての全世界だった。

そんなインドも長年に亘って停滞、イギリスの米櫃という苦しい時代を経た。
そして日本の戦争がイギリスからの独立の起爆剤になった。
独立の立役者の内、チャンドラ・ボースや中村屋のボースは日本を頼った。

そんな縁で連合国による東京裁判で日本無罪を主張したのはインドのパール判事だ。
南京大虐殺を検証し、残虐行為はあったにしても大虐殺は誇張で、ナチのホロコーストに比するものは
むしろアメリカの原爆投下だと主張。
裁判そのものが先に結論ありきの茶番だ、とまで言った。

そして余談だがオランダの判事もこれに影響を受けたか、日本に好意的だった。
鎖国時代、日本との接触を許された数少ない国。
ペルーの来航も1年以上前から幕府は知っていたらしい。
オランダからの情報だ。
歴史的に友好関係に有る国とは今後とも仲良くしたほうがいい。

そのインド、多極化する世界の中で極の一つになるのか。
かつての世界帝国で現在でも国連常任理事国である中国に比べると政治的には影が薄い。
しかし2030年には中国を抜き世界一の人口大国になる。

というか中国の13億に対し、パキスタンやバングラデッシュを加えた大インドは15億人。
イギリスによる分割統治の遺産だろうが、既に世界一と言えるかもしれない。
大中国と大インドで25億人。
世界の3人に1人以上が中印人。
彼らが順調に発展するとしたら、日本にとっては経済的に頼もしい限りだ。

この映画、素晴らしい映像と共にストーリーがテンポ良くでスリリングに展開する。
社会問題を正面から扱うような映画ではない。
英国制作の娯楽ですな。
それでいてインドのムンバイの雰囲気というか臭いまで伝わてくる。

映画のスピード感と共に伝わってくるのが現代インドのエネルギーだろう。
スラムの悲惨なシーンもあるがそれが帳消しにされるかのような未来への希望も垣間見られる。
「ソーシャル・ネットワーク」にも共通するアップテンポの成り上がり物語。
そして両方ともカネが本来の目的でない所も似ている。

無学なスラム育ちの少年が難しいクイズに次々と正解する。
その理由(ワケ)は....
少年の過去がクイズの出題と共に浮き上がってくる。

タジマハールでモグリの観光案内をする兄弟。
客の財布をすったり、が本当の目的だ。

アメリカから来た観光客の夫婦の案内中に、乗ってきたタクシーからタイアなど皆で根こそぎ盗み出す。
そのタクシーの運転手にお前らの仲間がやったんだろう、とボコられると、
主人公の少年はは夫婦に
「これが本当のインドの姿です」と。

するとアメリカ人の奥さんは「本当のアメリカの姿を見せるわ」
と旦那の財布からお金を出させてその少年に渡す。
アメリカ拝金主義への皮肉ですなあ。

そうです、他人の悪口が好きなイギリスの映画。
さすがイギリス人はインドのことをよくわかっている。
そういえば主演の子役がストリート・キッズになったという話も有ったなあ。
どうなったんだろう。
ギャラはちゃんと払ったのか。
大英帝国は植民地に余分なカネは使わない(笑)。
収奪あるのみだ。

ストーリーはストレート。
妙にヒネらなくてもいい映画はいい映画。
最後の四択「D:DESTINY」は超ベタ。
嫌いじゃないですな、こういうの。
ハッピー・エンドなのもいいね。

そしてエンディングは突如インド映画の群舞。
ちょっと馬鹿にしているね、インド映画を。
ある種の人種差別と言えなくもない。
アメリカ人を馬鹿にしたと思ったら今度は(笑)。
こういう臆面のない身勝手さは英国の魅力でもある(かな?)。

インドの現実である貧困層の悲惨さはあるけれども、良質なエンターテイメント。
社会派ではありません。
肩の力を抜いて見るにはよくできた映画で、これも観ていない人にはお薦めできます。

映画っていいなあ。
サヨナラ、サヨナラ。






「So what's next? はっちゃんの深夜特急」は文庫本

2011-06-07 01:00:00 | 本、映画、イベント


So What's Next? はっちゃんの深夜特急 [文庫]

「文庫本あとがき」っていうのが何か格好いいなあ。
しかし本人も認める通り、この本にはベースとなる単行本は無い。
「誰にも頼まれないのに文を書く変わった人」のはっちゃん、
「自分の文庫本も一冊くらいほしかった」。
そういう人。

本作りが最近の道楽の一つ。
たくさん有るんだな、道楽。
正真正銘の道楽者だ。

100冊刷って30万円、と割り切っている。
一冊のコストが3000円で定価が700円。
赤字は覚悟だ、道楽ですからね。
買います、というと「いいよ」といつもくださる。
そういう人だ。

そして国会図書館に寄贈することで自分の足跡を残すんだそうだ。
私のようにボヤっとしている人間には無理だが、将来誰かはっちゃんのような変人(?)が
発掘するような気がする。
一般人の、しかし平均的でない日常。

ということで橋本正博さん5冊目の「So What?」シリーズ。
沢木耕太郎の本から取った副題は「深夜特急」。
やはりジャズは深夜だ。
オーディオファンにとっては深夜電力がもたらすサウンドは美味しいらしい。
喫煙し放題の治外法権であるご自慢のオーディオ・ルーム。

お気に入りの本のこと。
大型の巡洋艦模型制作のこと。

そして門外漢が読んでもいつも楽しいオーディオ三昧の話。
いつも登場するテラシマさんやハタノさんが段々と自分の友達のように思えてきた。

ジャズ・ライブハウス巡りのこと。
都内、横浜、新潟から何とストックホルムまで行ってしまった。

今回の読みどころは最終章。
はっちゃんの近代史観だ。
日本を愛する者として「本当のことを知りたい」と戦争関連の本を読み続けてきた人。
はっちゃんが明治からの日本を取り巻く情勢についてサマリーしてくれた。

知らなかったこともあり大変参考になった。
一読の価値あり。

骨太だが決して右翼じゃありません。
正真正銘の「親日家日本人」。

あ、それから当ブログのこともいろいろ紹介してくれてます。

はっちゃんとは商事会社の新入社員の頃からの縁だ。
ずっとご無沙汰していたがここ数年急接近中。
味のある人でこれからも楽しみ。


20代後半のはっちゃん。
カッコいいなあ。
同一人物?



そして同じ写真に写っていた国鉄フライヤーズ。
若かった、二人とも。



これが最近の二人(使用後)。





アマゾン、ブックコムで買えます。
赤坂のアルバトロスにも置いてありますよ。




やっと見たミリオン・ダラー・ベイビー

2011-04-28 06:15:43 | 本、映画、イベント



ツタヤの宅配レンタル。
毎月4本まで借りられて1000円弱。
しかも延滞金無しだ。

安い!
一番最近借りたのが山田洋次の「おとうと」と「ミリオン・ダラー・ベイビー」。
六ヶ月前だ。

映画を見るのも気合いがいる。
2-3時間だからね。
気分が乗らないこともある。

2本見るのに六ヶ月かかった。
高い!

先に「おとうと」を見た。
寅さんと同じだが、バカな兄貴でなく、バカな弟だ。

個人的な感想で言えば吉永小百合もツルベエもイマイチかな。
個人の趣味で申し訳ないが。
何れにせよどう見ても実の姉弟に見えないし。
寅さんをリメークする意味も伝わって来ない。

ミリオン・ダラー・ベイビーの話だった。
期待していた。
「グラン・トリノ」や「硫黄島からの手紙」のクリント・イーストウッドだ。
「ローハイド」のロディーがここまで来るとは。
ユミさんからも勧められていた。

一言で言えば、文句なしの傑作だ。
グラン・トリノと双璧。
しかしグラン・トリノのタオは家族に守られていた。
主役はウオルト(イーストウッド)ただ一人。

この映画は違った。
天才女子ボクサー、マギーの家族は最低だ。
見事なほどの最低さは殆ど「イエイ!」の世界だ。

だからこそ尚更光り輝くマギー。
ヒラリー・スワンクが美しい。
それをイーストウッドとフリーマンがしっかり支える。

「尊厳」の話だ。
尊厳のある死は必ずしも悲惨でない。

人種も、階層も、宗教的タブーも超えるイーストウッド・ワールド。
見て損はない。
六ヶ月も借りっ放しでゴメン。



ウォルフレン「誰が小沢一郎を殺すのか」

2011-04-08 01:00:00 | 本、映画、イベント
名著「日本権力構造の謎」のウォルフレンの書き下ろしだ。
反米のサヨク(?)みたいなところが気になる人だが、20年前に読んだ
「権力構造」は目から鱗だったなあ。

鱗だらけの眼ではあるがこの本が一番バラバラ落ちた気がする。
中でも検察・警察と報道の欺瞞、曖昧な法律の恣意的な解釈で官・報が政治家の台頭を抑え、
既成の秩序を守ると言う「非公式システム」という権力構造には得心する物があった。
野党や主婦連、労組らの欺瞞(権力のガス抜き)も「おお、そういうことだったのか」
と感心したものだ。

彼が大筋で間違っていなかったことは時間が証明した。
今はより多くの人が賛同すると思う。

しかし20年たった今、既に使い古されて機能不全になったシステムは温存された。
そして多くの国民は「政治とカネ」のウソに何度でも騙され、いい加減な内閣支持率に
影響され自分たちが選んだはずの議員を見捨てる。

元をただせば明治の寡頭政治。
元老たちが藩の代わりに省庁の利権を代表した。
そして選挙で選ばれる政治家を抑え込むシステムを作り上げた。
天皇を利用したシステムを作った山県はビスマルク、レーニンと比肩しうる政治家だ、
とウォルフレンの評価は高い。

全体的に日本式システム、例えて言えば「喧嘩両成敗」で調和を第一に考える伝統を
ネガティブに捉えるところはやはり西洋人の限界かとも思うがよく見ているなあ。

しかしシステムには耐用期間がある。
高級官僚は自分たちが過去の時代を生き、世の中の変化の先取りなど到底できないのを知っている。
しかし経験の浅い政治家に日本の「良き秩序」を壊させることは許さない。

それが小沢と言う経験が浅いどころか、稀代の改革者で政治のプロに国を託させない
という倒錯的なサボタージュに変質した。
1993年に小沢が非自民政権を発足させたという既存システムに対する脅威のせいだ。
システムが自己目的化したっちゅうわけだ。

システムに組み込まれ全面的に「非公式システム」温存に協力するマス・メディア。
熾烈な小沢に対する人物破壊「キャラクター・アサシネーション」は続行中だ。
「不潔」「顔も見たくない」という声は女性を中心に今でもよく聞く。
刷り込みだ。

彼らに反省の色は無い。
記者クラブの寡占恩恵にどっぷりつかり、小沢擁護のジャーナリストは村八分だ。
上杉隆、江川紹子に続き岩上安身もテレビのレギュラー降板。
検察批判で部数を増やした功労者、異色の週刊朝日編集長山口一臣も交替だ。
行く先が販売とは(嘆)。

そして「非公式システム」はアメリカ覇権とセットだ。
サダム、チャベス、アサンジ、ルーピー鳩山などのキャラクター・アサシネーションも
アメリカの得意技。

そんなアメリカ利権に埋没して国益を省みないようにも見える外務省・防衛省。
外務省のトップは大臣どころか事務次官でもなく駐米大使か。
アメリカが覇権を持っているうちはそれでもいい。
しかしそれって風前の灯でしょ。

これに対し中国の経済的・政治的力は上り坂だ。
歴史的に経済が成長し政治が安定すると「東夷」「西戎」「南蛮」「北狄」に
プレッシャーをかけ朝貢させる傾向がある。
日本にとっても脅威とも言える。
しかしロシアがそうであるようにアメリカだって脅威だよ。

三つのスーパーパワーに囲まれる政治的現実は日本の宿命だ。
アメリカばかりを頼りとし中国に敵対する事に何のメリットもない。
アメリカはアイゼンハワーが危惧したとおり軍産複合体に乗っ取られあちこちで戦争を
起こす制御不能状態だ。
日本は軍産複合体の下請けでいいのか。

これら全て日本の選んだ道。
日本は防衛、外交はアメリカに丸投げ、輸出に励んできた。
一方でちゃっかり「日本的非公式システム」は温存しているので植民地ではない。
冷戦が終わってヨーロッパ諸国は独自の道を歩き始めたが成功体験に埋没して
アメリカの属国のふりをして世界政治で「いないふり」作戦中だ。

そこには、平和を守ると言う戦後の誓いもない。
残念ながらずるい国という印象をあちこちで持たれている。
反核運動が「私は被害者です」だけでアメリカの核の傘に安住するから
何の発信力も残念ながらないのと同根だ。
自前の理念、といっては大袈裟だが独自のスタイルを模索する時だ。


本書では非公式システムの肝に付き再説している。

法律が当局の社会秩序を守るためのトゥールであることは東大法学部の見解である事。

守るべきは慈悲深い政治システムで、天皇からの賜り物である大日本帝国憲法の世界に住んでいる事。

そして条文が意図的に曖昧な政治資金規正法の事。
99%の有罪率で裁判官を兼ねる検察が規制法を使い政治家を操る平沼騏一郎以来のシステムの事。
その無謬性の虜になって冤罪を生みやすいシステムになっている事。

検察に忠実で段ボールに押収書類を詰め悪漢を退治するシナリオを劇場中継するメディア。
中国の人たちは人民日報を、ソ連の人たちはプラウダやイズベスチアを信じなかったが、
日本人の多くは大手メディアの大本営発表に気付いていないのが問題だね。
財政難で権力や企業に媚びるメデイアの姿勢は先進諸国どこもある事だが国民はメディアを疑っている。

数合わせのために入った民主党の異分子、旧社会党出身者が改革意欲がない事
(インチキ・ガス抜き野党なれしているわけだ。ウォルフレン称する一党半体制だったからね)。

ウォルフレンがかつて絶賛したHIVの菅がやり過ぎでスキャンダルのお灸をすえられ、
官僚に飲み込まれた事。

ドッジラインの健全財政政策を金科玉条とする財務省が国家の方向性を打ち出せず景気対策で後手に回る事。
折角菅政権を作ったが就任してすぐ消費税に言及させ参院選敗北。
(ねじれ国会と言う最悪の状況を作り出してしまったおバカさんたちだ)。

版を重ねるごとに自社記事と他社記事を比較し調整し、最終の大都市版では「大差ない紙面」で
世論の方向を決定してしまう新聞の事。

彼らが政局に精通するが政策にはとんと関心が無い事。

政策を語っても報道されない、と脱力する政治家の事。


深い分析は無く羅列的だが一読の価値あり。
差し上げます。


笹川良一「悪名の柩」を読んだ

2011-02-23 01:00:00 | 本、映画、イベント
日本船舶振興会CM 昭和54年放送 (2)



「戸締り用心、火の用心 」
「一日一善 」
「お父さんお母さんを大切にしよう 」

我々の世代にはお馴染みのあの変なオジサンの話だ。

ギャンブルの胴元、ムッソリーニと会見したA級戦犯。

しかし公営ギャンブル自体は違法でないし、戦犯も容疑だけだ。
起訴されずに釈放された人を戦犯呼ばわりするのは推定無罪の原則に反する。
菅さんたちのように人格を疑われる(笑)。

アヤシイ人ではあったが、赤い赤い朝日(当時)やサヨクが攻撃するので
私は何となく応援したい気持ちもあったかもしれない。

この本に書かれているが総評議長で日教組委員長でもあった槙枝元文 は
笹川攻撃の急先鋒だった。
その槙枝が後に自分の名誉職「日中技能者交流センター 」が資金難になったとき
笹川財団から助成金を貰ったと。
しかもその後も笹川の悪口を言うとは(笑)。

ギャンブルの汚れたカネ。
笹川の競艇はいけなくて、闇の違法ビジネスであるパチンコについては攻撃しない。
日本のサヨクはご都合主義だな。

さて まさに「悪名」の宝庫笹川良一。
ダークサイドばかり強調するのは如何なものか。
ということで、その良いところだけを書いた(?)のが本書。

帯にあるのは

並外れた才覚と精力で金を繰り人を動かし。
昭和の激動を東奔西走。
”政財界の黒幕”と呼ばれた男の「カネ」と「女」と
国家観を描ききる。

メザシを愛し、風呂の湯は桶の半分まで。
贅沢を厭い、徹底的な実利思考と天賦の才で財を成すも、福祉事業に邁進し
残した財産は借金ばかり。
家庭を顧みず、天下国家、世のために奔走。
腹心の裏切り行為は素知らぬ顔でやり過ごし、悪口は”有名税”と笑って済ませた。
仏壇には、関係した女の名が記された短冊を70以上並べ、終生色恋に執心した。
日本の首領の知られざる素顔。

ということで、結構いい人ですよという人物論でした。
痛快人物伝と言ってもいい。

しかしやはり物足りないのは日本船舶振興会設立のくだり。
真相を知る関係者はなくなっているという趣旨の記述で、非常にあっさりとしている。
それおかしいでしょ。

一緒に巣鴨プリズンから出た正力松太郎や児玉誉士夫、岸信介は占領軍の手先となって、
自民党を作り日本を反共の砦としたCIAエージェントと言われる。
その岸らのサポートがあっての競艇事業だ。

一時は2兆円の売り上げで700億が財団に転がり込む巨大利権。
綺麗ごとではできません。
そして交付金の多くは笹川ファミリーと運輸省ファミリー。
真黒だ。

そしてこの事業を笹川に変わって運営したのが配下で元右翼ゴロの藤吉男。
しかし彼が笹川に反旗を翻した矢先に都合良く突然死。
財団は三男の笹川陽平に世襲される。
ううん、できすぎじゃね?

カネの使いっぷりは確かにいいようだが、この本では巨額の資金を「先物の相場で儲けた」
の一言で片づけている。
文鮮明や田岡一雄らのブラックな人たちと交流があり、大阪鉄道買占めで恐喝容疑で
4年間収監(但し最後は無罪)されていた笹川さん。
清廉潔白はちょっと説得力ないか。

そして東条に逆らい開戦に反対したらしいが、笹川の「国粋大衆党」。
スローガンは「満州国即時承認、暴支膺懲、国際連盟脱退、
国体明徴、親独伊、汪兆銘南京政府承認、南洋進出」
ということで間違いだらけじゃん(笑)。

まあしかし、おもろいオッチャンではある。
裕福な育ちだが学業に興味なく飛行機乗りの修業をして空路ムッソリーニに会いに行く。
おねえちゃん好きで「下半身の人格は別」と公言する愛嬌者。
東洋のマタハリこと川島芳子とも浮名を流した。
騙されてナヒモフ号の秘宝ロマンに大金をはたいたり。

児玉誉士夫や文鮮明と袂を分かつのはやはり生まれ持っての育ちの良さがさせる業か。
この人には明るさがあるね。

悪名の中和ということで、読んでみても損はない。



「悪名の柩」
工藤美代子著
幻冬舎


「アメリカの経済支配者たち」 欧米エリート社会、大衆国家ニッポン

2010-06-23 01:00:00 | 本、映画、イベント


アメリカの閨閥の研究家、広瀬隆著。
原子力の危険性を喧伝する反原発の著作でも有名です。

アメリカについてこれだけ詳しい人です。
米国の「支配者」たちの目に止まったとしても不思議でない。

アメリカに諂う害務省にはアメリカ研究者は殆どいないそうだ。
ご主人さまを研究するのは不敬に当たるのか。
その外務官僚が読むのが広瀬隆や副島隆彦。

その副島隆彦(「とんでも」といわれている言論人)は日本が核を持たないように
アメリカが広瀬たちを使って広報活動をしていると指摘していた。
広瀬らは自分の反原子力言論活動に役立つから情報を貰う。
大人の関係ということでしょうか。

前に彼が石油閨閥について書いた本を友人のマサさんに貸してもらって読んだことがありますが、
まさに複雑に入り組む欧米の親戚関係に圧倒されつつ、また出てくる固有名詞の多さに
辟易とさせられた事を思い出します。

しかし懲りずに読んでしまいました、この本も。
言ってみればアメリカの伝統的な政治経済の支配者たちが大方結婚によって親戚になっているということ。

そしてそれが金融や石油資源に限らず全ての産業とジャーナリズムを支配している(資本の面でですが)
ということですね。

億万長者ランキングで有名なマルコム・フォーブスはエリザベス・テイラーと結婚手前の
関係であったが、彼の名言は、
「フォーブスという雑誌を私が編集するのは、世襲という”才能”によるものだ」。

そしてアメリカと言う国には二種類の人間がいて「財産が増え続ける」人たちと「全く増えない」人たちだそうだ。
本書で詳しく書かれている通り、新興の成功者たちも地位が確立されると次々と
前者の集団に組み込まれていくようです。

遺伝子と言うより遺伝子に乗っかているドル札。

そういう連中と親しい(使われている?)ソロスやバッフェトにとって投資など簡単なことなのでしょう。
93年のソロスのゴールド大ロングの成功はファイナンシャル・タイムズ、ニューヨーク・タイムズ、
ワシントン・ポスト、ヘラルド・トリビューンなど彼らの広報機関の援護射撃があってこそ、ということらしい。

言ってみればエリート社会ですね。
比較的少数の人たちが近未来を想定して舵を切って行く。
プラトンの「真実はごく少数の者だけが分かって入ればいい」という思想なのかもしれない。

そこに行くと日本は大分違います。
政治は長州閥とか言うけど、岩手、新潟、横須賀、群馬のような辺境(失礼)も首相を輩出している。
経済やジャーナリズムを仕切っているファミリーはいないんじゃないですか?
まあ、戦後はアメリカに仕切られているわけですが。

不思議な国、日本。
河原乞食の木下藤吉郎がナンバー・ワンになる国。
大衆国家なのでしょう。

基本的には覇権国になれない辺境の島国。
周りの様子を見てキャッチ・アップするのが得意。

そこに行くと同じ島国でもイギリス人は凄いですね。
インドと言う台所があったからこその覇権ともいえるが。
日本は中国を台所にし損ねた。

ここで西進するアメリカとぶつかってしまう。
そして粉砕。
自分がアメリカの台所にされた。

教育も違いますね。
日本の寺子屋大衆教育に対し英国のパブリックスクール。

家庭教師を自宅に雇えない層からもエリートを作ろうという「パブリック」な学校。
プラトンの国家論に基づきスパルタ式集団教育でエリート集団を要請する。
やはり考え方の違いがある。

大衆の国日本。
日本では官僚支配が続いているわけだが、ネタは割れている。
官僚は一代限り(外務省あたりはちょっと違うかな)。
割とこういう大衆社会もいいのかなと思ってしまいました。

ネットの世界は大衆復権の社会ではないでしょうか。
誰でも一切の手続きや費用無しで言論活動ができるし批評もできる。
ユーストリームはアイフォンさえあればだれでも動画中継できる。

ダダ漏れとか言うらしいが。
つまり今までは大臣などの会見は記者クラブが仕切っていた。
勝手に都合にいいところだけ編集していたわけだ。

一部で始まっている会見オープン化で素人中継が始まれば(亀井大臣とか鳩山さんの会見は実際中継された)、
彼らの真意(失言も)やパーソナリティーなどメディアに隠されていたことがダダ漏れになるんです。

大衆直接参加のデモクラシーが新しい技術のおかげで可能になる。
早速ネットを「通信」でなく「放送法」の網で抑え込もうという動きが官僚側から出てきている。
絶対に許してはいけないことです。

この本の事。
本書もやたら固有名詞が出てくる疲れる本ですが後悔はしていません。
もう彼の他の本は買わないと思いますが。

ロマンティック・コメディーの傑作「月の輝く夜に」、もう一つのアメリカ

2010-04-27 06:44:15 | 本、映画、イベント


月はルナー。
ルナティックはちょっと気がおかしくなること。
満月の夜に、人間はちょっとすっ飛ぶらしい。

狼男が出るのも満月の晩。

中学の時、満月の翌朝、物理の中間試験で減点式の選択問題で答えを逆に書いてしまった。
20の選択肢のうち3問が正解。
17個が私の答え。

満点のはずが0点以下。
良かったか悪かったかわからないが、この日から理科系が嫌いになった。

大学2年の時、満月の翌朝、靖国通り神田須田町の交差点で正面衝突事故。
中古のコロナは大破した。
運転していた本人は怪我無し。

助手席にいてルームミラーで眉間を切ったのが女の子でなくてよかった。
ごめんね、コマツ君。

月はその引力で潮の満ち引きを作りだし地球に大きな影響をあたえます。
もっと近くにあった太古の昔には大きな干満差で陸上に取り残された海洋生物が
陸上生活に適応するようになったという説もあるらしい。

月がなければ我々はまだ水中にいたのか。

そんなわけで?「MOON STRUCK、月の輝く夜に」

1987年アカデミー賞3部門受賞。
主演女優賞を手にしたのがシェール(シェアとしか読めないが)。

僕らの世代では「ソニー・アンド・シェール」のシェールですね。
シェアをシェールと誤記?したのも情報が乏しい時代。
いたしかたない。

なにせミュージック・ライフにはダイアナ・ロスと「サプレムス」って書いてあった頃。
湯川さん、本当に英語できるの?

そのシェールが映画女優として開花した。
チェロキー・インディアンの血をひくエキゾティックな顔立ち。

グラミー賞とアカデミー賞というポピュラー音楽と映画の最高峰を手に入れた稀有な人。
伝説のバンド(まだやっているから伝説でもないが)オールマン・ブラザーズのグレッグの
元奥さんでもあった。

「7年前に30歳で未亡人となったロレッタは、今も独身を通していた。
そんなある日、友人のジョニーから結婚を申し込まれる。
快く受け入れたロレッタ。
彼女はジョニーの代わりに、絶交していた彼の弟ロニーの元に出向き、式に出席してほしいという伝言を伝える。」

満月の夜は何が起こっても不思議ではない。
弟のロニー役がペッパー警部、でなくニコラス・ケージ。
寒いオヤジギャグで恐縮です。

まだオヤジでなかったニコラス君。
髪の毛も割とフサフサ。

絶望に生きる粗野なパン焼き職人。

北欧では男が狼になる満月の夜。
南欧では女が幻惑される。

ロマンティック・コメディの名作です。

イタリア系アメリカ人のライフ・スタイルがいきいきと描かれています。
さすがマンジャーレ、カンターレ、アモーレの人たち。

食べて、歌って、恋をするのが人生。
仕事は入っていない。
個性的な連中が大家族を生きる、その混沌がなんとも魅力的です。

ニコラス・ケイジは実際に父親がイタリア系で最初はニコラス・コッポラと名乗っていた。
あのコッポラ一族の近親者です。

恋を忘れた野暮ったい中年女ロレッタ。
婚約者の弟ロニーと満月の夜、道ならぬ恋に落ちてしまう。
もうこれっきりという約束で「ラ・ボエーム」を二人で見に行く。

このパン焼き職人はオペラが大好き。

好きだけど愛していない安全パイのお兄さんと違って危険な弟。
彼女は一世一代のオシャレをして出かける。
ロレッタが美しく変身するところが見どころ。

マンハッタンの夜景が舞台。
やっぱりロニーと一夜を過ごしてしまうロレッタ。
翌朝の帰り道、歩道で鼻歌を歌いながら空き缶を蹴る。
いいシーンだなあ。

ロマンティック・コメディーですからもちろんハッピー・エンド。
タキシードで決めたロニーは結婚後たちまちアンダーシャツの粗野な男に戻るのでしょう。
それも人生。

いいなあ人生、生きてるだけで丸儲け。

そして、ここで描かれているのはWAPSといわれる、或いは共和党支持のバイブル・ベルトに住む
アメリカ人ではないもう一つのアメリカです。

一神教の理念の国に対してもっと雑多でおおらかなアメリカ。
清教徒といわれたキリスト教原理主義者は堕落したヨーロッパを捨てた。
その堕落したヨーロッパの香り。

最後にはキリスト教が国教になったローマ帝国。
でももともとは30万の神様が住んでいた。
日本と同じアニミズムの世界。

だから非キリスト教徒の塩野七生さんが書いたローマ史は画期的なんですね。
真面目な神様、ちょい悪の神様。
人間が神に似て作られたとしたら神様は違っている方が面白い。

「存在するすべての物には理由がある」と言ったカエサル。
原理主義的善悪二元論の対極にいた人。

言ってしまえばいい加減なんですね。
そして人間中心。
日本人だって気真面目そうで実はかなりいい加減。
よく言えば柔軟です。

ヨーロッパでは不倫や三角関係は悲劇にならない。
全て飲み込んでそれなりに楽しくやる。
女性が中心の一夫多妻かな。
まるで源氏物語の世界ですね。

ローマでも人妻たちは一度はカエサルに抱かれたがった。
据え膳食いまくるボス猿カエサル。
亭主の元へ帰っていく奥方たち。

動物の世界に近いかも。
しかし大方の男にとっては都合が悪い。
種の保存優先のメスはみな強いオスのところへ行ってしまう。

もしかしたらキリスト教は一夫一妻で普及したのかも。
あぶれる男が少なくなる。
だから英米人は結婚と離婚を繰り返すし、政治家にとって不倫は致命的なスキャンダルだった(大分変わりましたが)。

離婚に厳しいカソリックは不倫に寛容。
片目をつぶって見逃すのが大人。
政治家の下半身スキャンダルは野暮。
明治維新以来英米のコピーをしてきた日本人は混乱するばかりです。

アメリカがWAPSの国だとすれば「アバター」は反米映画。
南北戦争の英雄がインディアンのライフ・スタイルに心惹かれて最後は白人と闘う、
あの「ダンス・ウイズ・ウルブス」のリメイクでしょうか。

作品賞、監督賞などオスカーを総なめにしたケビン・コスナーはシェールと同じく
チェロキー・インディアンの血をひくもう一つのアメリカ人。
イラクとアフガンでの泥沼に苦しむアメリカは反米映画「アバター」を称えるおおらかさを
失っているようです。

カソリックでアイリッシュのケネディ、ギリシャの血をひくニクソン。
やはりアイルランド系のレーガン。
そしてアフリカの留学生が白人女性に産ませたオバマ。

アメリカも少しずつ変わってきているようです。
成熟社会になりつつあるのかも。

そんなもう一つのアメリカの映画です。





「ブライアン・ジョーンズ ー ストーンズから消えた男」

2010-04-23 01:00:00 | 本、映画、イベント

2005年の映画です。

超メジャー・バンドのローリング・ストーンズを1963年に作った男、ブライアン・ジョーンズ。
バンド・リーダーでマディー・ウォーターズの曲からバンド名を考えた。
白人による黒人ブルースバンドですね。

ブライアンは1969年に27歳の若さでこの世を去った。
彼がミステリアスな死を迎える前の三年を中心に死因に迫るミステリー。

ブライアンが離れていったストーンズはその後40年を超えた今でも活発な活動を続けています。

2002-3年ごろシンガポールで見ました、ストーンズ。
ベスト版「フォーティ・リックス」の世界ツアーだった。

そんなに大きくないホールだが35000円と高額だったため割合簡単にチケットを入手。
友達のカキハラさんが取ってくれた。


ミックの汗が飛んでくるくらいの席ですが最初からずうっとスタンディング。
キースはトレードマークのタバコをギターに差して演奏(シンガポールでは室内施設での喫煙は違法ですが)。

ミックも悪たれ風な雰囲気を漂わせた。

でも60歳のミックも、年下ですが結構な年のロン・ウッドもお腹ぺっちゃんこ。
健康そのもの。
2時間以上のステージ、動きまくり歌いまくった。

やはりミックは偽装悪ガキだったのか。
奨学金でロンドン・スクール・オブ・エコノミックスを卒業(だったか)。
ゴルフもハンディ10の腕前と言うことで結構健全なミック。

「良い子のビートルズ」のアンチテーゼだった「不良のストーンズ」でした。
しかし仲間ですから実際はそうは違わない。
両方とも悪ガキ、というか「セックス・ドラッグ・ロックンロール」の人たち。

そんな生活を生き抜いた人たちも多くいたが生き抜けなかった一人がブライアン。
ジャニスやジミヘン、ジム・モリスンのように若くして去った。

共通の恋人が映画のなかで言う。
「キースもドラッグはやるけどあなたと違ってコントロールできる」。

ブライアン・ジョーンズ。
昔だから動画を見るチャンスもなかった。
レコードのジャケットとかミュージック・ライフの写真で見る限り曲者っぽい、
しかし眼力の強そうな。

只者ではなかったようです。
リードギター担当だがシタールや管楽器を含む30種類の楽器を弾きこなした。
ショーケンのいたテンプターズのリーダー、松崎よっちゃんはブライアンの髪型でした。

知能指数135とか、ブライアン君。
根っからのミュージシャンで頭が図抜けていいとしたら商業バンドは無理でしょう。
ストーンズって女の子にさほど人気がなくレコードの売り上げもイマイチでした。

一時ビートルズもどきというかもっと質の低いポップスもやっていましたね。
そしてオリジナル楽曲路線。
大体がミックとキースの作品でブライアンはなぜか書かなかった。

このころかなり荒れた生活をしていたんですね。
そして映画によると仲間たちに見捨てられたブライアン。

代わりのギタリスト、ミック・テイラーのお披露目ライブの三日前に急死。
「熊のプーさん」の作者A.A.ミルンが住んでいた屋敷のプールでの水死でした。
ジミヘンと活動する話もあったらしい。

ハイドパーク・ライブは「ブライアン追悼」という綺麗事になりバンドは人気
実力ともに更なる上昇気流に乗った、ということでしょうか。

因みにミック・テイラーは、かの「ブルース・ブレーカーズ」におけるクラプトンの後釜ギタリスト。
17歳でクラプトンを完全コピーしていたとか。

タブ譜がなく、音源はレコードだということを考えると天才ですね。
若き日のチャーか。

この後のストーンズは不安定な音程と不細工な容貌といわれたミックのボーカルと挙動ががファンの心を掴み、
ブライアンよりヘタなギタリスト、キース・リチャーズのバッキング・リフとチャーリー・ワッツのドラム・ワークで
独特なサウンドを作り上げる。

大好きな「メインストリートのならず者」とか「レット・イット・ブリード」などの名盤を世に出すことになります。

「45歳になってサティスファクションを歌っているぐらいなら死んだ方がまし」と言っていたミック。
70歳になっても歌い続けることはもう間違いなさそう。

ブラック(アブナイ人たちであると同時に黒人音楽にこだわった)なイメージにとことんこだわり、
実生活でも危ない世界と健全な世界、アウトローと商業主義を上手に行き来してストーンズという
「ロックそのもの」といってもいいバンドを作り上げたミックとキース。

普段の不摂生とツアー前のボクサー並みの減量を続けて40年。

「メイン・ストリートのならず者たち」なんだなあ。
タフであっぱれな男たち。
そして「幸せは退屈」と言いながら消えていった天才。

ロック・ファンにお勧めの映画です。





ミックテイラーのお披露目ハイドパークライブはブライアン追悼となった。
ブライアンと凄まじい確執があったと言われるミックが鎮魂にシェリーの詩を読む。

「作品のビートルズ」に対し「ステージのストーンズ」。
面目躍如です。





「白いドレスの女」

2010-03-25 01:00:00 | 本、映画、イベント
タイガー・ウッズの話で出てきたこの映画について。
塩野七生さんのご推薦です。

1981年のヒット作で日本でも翌年公開されたらしい。

悪女にからめとられ抜き差しならなくなる男。
30才のウィリアム・ハートが好演しています。
女好きが唯一の欠点のフツーの男(二流の弁護士)。

確かに塩野さんの言うとおり「わかっちゃいるけど」悪女に翻弄される。
「有りうる」と思うので会いたくないですね、こういう女性に。

会ってみたいということでもありますが。
会わなくてよかった(今のところ)。

原題は「ボディー・ヒート」。
うだるような暑さのフロリダの気だるい真夏の官能サスペンス。

そして官能的な悪女のキャサリン・ターナー。
美人かどうかは意見が分かれるところでしょうがいいですねえ。

この二人の演技がアメリカ映画史上最もエロいカップルの第六位に入っているとか。

そしてチョイ役ですがあのミッキー・ロークが出ていて流石に存在感があります。
彼の名が世に知れるきっかけになった映画とか。

余談ですがこの映画、みんな本当によく煙草を吸う。
今は考えられないですね。

先週、同じ80年代初頭の本邦ドキュメンタリーを見ましたが、ここでも皆さんタバコを吸いまくっている。
会議室なんかガス室のよう。
そういえば昔はそんな感じでしたね。

今は煙草を吸っていると自制心が足りないみたいに思われるかも知れない。
昔はカッコイイ小道具だった。
昔の作家さんの写真とかってみんな煙草をくゆらせてません?

その知性とアンニュイのバランスがカッコよかったんですね。
ゆっくりとした自殺みたいなデカダンス。

この映画も真夏の、しかも異常気象のフロリダ、エスニックな風鈴、
ジョン・バリーのジャジーなBGM,そして煙草の煙が醸し出す倦怠感。
いいですねえ。
クラクラします。

脚本家ローレンス・カスダンの初監督作品というから驚かされる。
レベル高い。

サスペンスとしてはネタバレで愛好者の評価は必ずしも高くないと想像しますが、いいです。
男と女の不思議なお話。

地獄の底に突き落とされた男はまだ女を思っている。
女は次の獲物に襲いかかる。
最近もそんな事件がありましたね。

本当に不思議な男と女の世界。
他の監督作品も見てみたい気にさせます。

「実録連合赤軍 あさま山荘への道程」

2010-03-24 01:00:00 | 本、映画、イベント
映画『隣の家の少女』予告編


総括しちゃいました。
良くも悪くも我々の学生時代を語る時に欠かせないのが新左翼。
全共闘世代とか言われることもある。

そう言われるのは実は迷惑。
嫌いなんです、ああいう泥臭い原理主義。
多分、戦時中の下級軍人もああだったのかなというイヤーな感じ。

ゲバ棒っていう殺傷能力に著しく欠ける武器を振り回す。
竹やりでB29に立ち向かうのと同じメンタリティーです。

ノン・ポリという「政治活動興味ありません」派でしたが、
国中が70年安保を前に政治化した時期でした。

というか68年のパリ五月革命に象徴される旧来の「闘わない左翼(共産党、社会党)」
に対し「闘う左翼」というものが台頭し、暴力による世界同時革命のような熱が高まっていました。

結局は「内ゲバ」と言われた活動家同士の抗争で自滅していくわけですが。
大学が新左翼運動のメッカ、渋谷で言えば「109」みたいな、或いは先月のバンクーバーみたいな
ところですから、そこの住民としては嫌でもある種のかかわりが出てくる。

学校には立て看板が並び同じ字体(革命中国のあのヘンテコな略漢字)で同じような煽動的で
空疎なアジが書き連ねられていた。
「ワレワレはトーソーにショーリしなければならなーい」みたいな内容です。

そして「なんとか集会(3.22決起集会みたいな大袈裟なやつです)」があちこちで開かれ、
また日常のクラス・ミーティングでも各派の使いっパシリが勢力争いの演説会をする。

気が重かったよ、わたしゃ。
皆さんよく勉強しているので、反論する隙間がないぐらい理論武装している。
でもそれが外国の革命思想の翻訳のような「変な」日本語なんですよ。

彼らはそれに酔っていたようだが。
部外者の耳にはダサいだけだった。

今のケンポーは占領軍が作った英文を日本語に翻訳したもの。
だから拭い去りようもない違和感があるのと同じ感じでしょうか。
お題目にしか聞こえない。

平和憲法のおかげで戦争がなかったなんてよく言うよ。
国家間のマジな戦争なんて中越戦争が最後。

アメリカに焼き尽くされ、中国に裏切られた小国ベトナムの命がけの反撃でした。
あとは相手がテロリストとか民族とかの非対称戦争です。

戦争と言えば「経済戦争」。
敵は「同盟国」アメリカ。

1ドル360円と言う特別の待遇で経済大国にしてもらった日本。
東西冷戦の果実でした。

しかし70年ニクソン訪中とニクソン・ショック(ドルの兌換停止)で戦後体制は一度目の終わりを迎えた。
日本はその意味がわからず相変わらず輸出振興、そして商品や資本の輸入には
保護主義を続けました。

その結果、80年代は怒ったアメリカに仕掛けられた経済戦争の時代だったし、
最近でも郵貯やトヨタでやられてる。
まだわかってない、とキッシンジャーあたりは日本の悪口を言っているのでしょう。

経済戦争では平和憲法は役に立たないし日本の官僚はよく戦った。
でも時代が変わっていることに気付かない。

おっと、学生運動の話だった。
運動家のアジ演説も空虚なお題目。
輸入憲法やシャンソンの訳詩みたいな不自然な響き。

そして新左翼のうちでもノンセクト・ラディカル(と言っても立派なセクトではないかな)。
武装闘争に先鋭化し結局は訓練ベースでの「総括」という仲間殺しで自爆してしまった連合赤軍。

これを境に日本の新左翼運動は社会から見放され終息しました。

なんだか不思議でした。
革命理論を熱く語る人たちなんですが知性を信じていない「反知性主義」。
肉体と情念のアングラ演劇が熱狂的に支持された時代です。

一方で国粋主義者も先鋭化して三島由紀夫事件も在学中に起きました。
あれほどの知性を持つ人が起こしたのも同じような「反知性」の運動だった。

ゼンキョウトーの経験者内田樹と平川克美(私と同じ年)が言っていたが三島は尊王攘夷。
全共闘は反米攘夷。

同根なので三島は「君たちが天皇と一言、言ってくれれば共闘できる」と東大全共闘に呼びかけたそうです。



私は全く学生運動にはかかわらなかったしデモに参加したこともない。
でも連合赤軍のなかにも知り合いの知り合い(鳩山邦夫のアルカイダの友人みたいですが)
がいるし、三島の盾の会もそうです。

そんなわけで気が重いけど映画を見ました。
190分、長いし重い。



若松孝二というアングラの人から見た連合赤軍。
彼らに共感して接触もあったインサイダー。
私財を投入して作った渾身の作品です。

感想をふたつばかり。

その一。
若松さんは反権力の政治的な人間だが、映画監督として名を上げたのは低予算の所謂「ピンク映画」。
「ピンク映画界のクロサワ」と呼ばれて若者の圧倒的支持を得ていた。
見たことありませんが(ホ、ホントに)。

実録連合赤軍、これ見方によっては密室、監禁もののポルノ的要素満載ですねえ。
エロいよりグロいですが。

純粋で男好きのする遠山美枝子役の坂井真紀が「総括」されていくところが映画の大きな流れです。
「コレクター」とか「隣の家の少女」のような。
若松さんは個人的にも遠山さんを知っていたらしい。

やっぱり知性より情念の人なんでしょうか。



しかしこういうテーマは芸術ではよく取り上げられる。
小田嶋隆が書いていたが紫式部の源氏物語もそういえばそうです。
紫の上の話は、少女誘拐、監禁、飼育で理想の愛人にするという「とんでもない」話。

それでも立派な芸術作品です。

二つ目。
私は連合赤軍のことはテレビのニュースで見ていただけで調べたわけではないので或いは
見当違いかも知れませんが。

「総括」の首謀者森恒夫と永田洋子。
映画を見た感じでは変ですね、彼ら。

特に森恒夫。
この映画、運動関係者を次から次に実名で紹介している。
原田芳男のナレーションがいい。

森恒夫は始めの頃に登場する。
逃走者として。
当時の言葉で言う「ヒヨッ」た。

そして途中から先鋭的なリーダーとして再登場し連合赤軍の独裁者になる。
前に紹介した「動物農場」の豚、ナポレオン(スターリン)ですね。
この人が洗脳、組織浄化に異様な情熱を発揮します。

密室での不思議な光景。
総括という自己反省を迫られた人が「私は実は心の奥であなたをの代わりに指導者になろうという、
野心がありました」みたいな「自白」をしてしまうんですね。
そして処刑される。

これとそっくりの話がすでにオーウェルの「動物農場」に出てくる。
こわいですね、全体主義という密室。
共同体そのものが検察の取り調べ室みたいな。

森さんの話です。
この人さっき書いたようにブランクがあってからバージョン・アップして帰ってくる。
そして連合赤軍を、さらに言えば日本の新左翼運動を自滅させる劇薬となるわけです。

それが映画では唐突に副指導者で愛人でもある永田洋子と公安に逮捕される。
あさま山荘事件の前です。

実際は逮捕に来た警官隊に斬りつけ警官を刺したいうことになっているらしいが。
そんな劇的な場面が全く描かれていないのが不思議な感じです。

そして「自殺」。

私には「この男が公安のスパイとして新左翼を内側から破壊したんだよ」という若松さんの
メッセージのようにも見れた。

思いすごし?
ネットで調べてみたが公安の工作説は見つからなかった。
知っている人がいたら教えてください。

重くて長い映画でした。
ブログも長い、すんません。



スギハラ・ダラー、ウルトラ・ダラー、杉原千畝

2010-03-19 01:00:00 | 本、映画、イベント
Japanese Holocaust Rescuer: Sugihara 'Sempo' Chiune


杉原千畝さんがユダヤ人を救ったという短編映画。
心を打ちます。

ナチとユダヤ人の事は「迫害されるユダヤ人」というイメージを世界中に持たせることでユダヤ人が自分の身を守り、
またイスラエルという国もあわよくば延命させたいということでしょうか。
繰り返し映画のテーマになります。

ハリウッドの映画会社はほとんどがユダヤ系だし映画人はユダヤ系の人がやたらに多い。
さもありなん。
そして環境や捕鯨みたいな原理主義というか「批判したり疑ったりするヤツは人間でない」みたいな絶対正義。

ヨーロッパの国によってはホロコーストに疑義を唱えるだけで犯罪者という国もあるとか。
当然、誇張もあるだろうと思います。
怪しいことには気になって仕方がない性分ですが、日本でも批判はご法度。

文芸春秋の社長と花田編集長の首が飛んだ「マルコポーロ廃刊事件」が思い出されます。
虐殺はあったんだろうと思いますが、ナチのユダヤ人絶滅計画はあったのか。
いずれにせよ疑問も差し挟めないというというのはどうも。
性分に合いません(アヤシイ)。

廃刊に追い込む手法も企業に圧力を加え広告収入減の兵糧攻めという極めてシステマティックな手法。
やり過ぎは目立つと思うけど。

トヨタの件でもそうだが公正な議論を封じ込めるやり方はいかがなものでしょうか。
言論統制へのフラストレーションによってユダヤ人迫害がかえって引き起こされる可能性もあるのでは、と思います。

先鋭的戦闘的ユダヤ主義者(SWC、サイモン・ウィゼンタール・センターのような)のやっていることが
結果的に一般のユダヤ系の人たちを苦しめることにならないといいが。

さて、NHKの元ワシントン支局長手嶋龍一さんが「スギハラ・ダラー」という書き下ろしのスパイ小説を
出版しました。

題名から察するに多分ユダヤ・マネー絡みの話なんでしょうが、
これ、2006年に出された「ウルトラ・ダラー」の続編。
こちらにはユダヤ問題は出てきません。

今日はその「ウルトラ・ダラー」について。

私はスパイ小説には全く造詣らしきものもなく語る資格はないかとも思いますが...

面白かった。
もしかして、スパイ小説に精通している人からしたらちょっと物足りないかもしれない。

筆力とか筋のちょっと単調なところとか。
お決まりのどんでん返しもないし。

英国の諜報員がアメリカのカウンターパートと共同で北朝鮮の偽札ウルトラ・ダラーを
追いかけ、核弾頭を搭載できる巡航ミサイルの買い付けを阻止しようという話です。
そこに日本の外務省の親英米派と親アジア派が絡んでくる。

今の世界、英米覇権主義と多極主義が鎬を削っているという見方があります。
私は英米追従はこれまでは良かったがそろそろ限界ではないかと思うのですが。

日本の官僚はアメリカをうまく利用したし80年代の経済摩擦闘争でも実を取った。
しかしアメリカは地検を使い日本の官僚機構を骨抜きにした(ノーパン・シャブシャブとか)。

協力した法務族が土井たか子や野中広務。
検察の手先がマスゴミ。
そして日本国憲法、日米地位協定の世界(ぶっちゃけた話が属国)に戻ってしまいました。

多分手嶋さんは日米安保を基本とする彼らとの同盟論者なのでしょうか。

私は反米ではないし、力を失いつつあると言っても英米が終わるわけではない。
「007」と「ガーシュイン」を選んだキム・ヨナ陣営は「仮面舞踏会」「鐘」の真央ロシア陣営に作戦勝ち。
さすがカナダ人コーチ、よくわかってる。

ただ権力者アメリカに日本の官僚やマスゴミが隷属する現状は国益を損なうだけと思います。

もしかして手嶋さん、英米のインテリジェンスの一環として書かされているのかな、
と感じてしまうインサイーダーっぽい裏事情がちりばめられています。

彼自身、そういうところを意識して読者をからかっているようにも思えました。
いいなあ、そういうの。

日米安保の重大地点、朝鮮半島と台湾海峡の分析と米中の駆け引き。
朝鮮半島にはもはや彼らにとってバイタルな利害はない..

興味深く読みました。

この辺は真実はあるが多分真実の全てではない。
日米安保は日米同盟に形を変え、西進し続けるアメリカの戦争に日本が付き合わされるという
意味合いが大きくなったと思われます。

してみると、やっぱり英米が書かせているのか、あるいは手嶋さんがそう思わせたいのか。
不純な読み方かもしれないがやっぱり面白い。

そして登場人物が実に魅力的なんだなあ。
主人公の英国諜報部員、浮世絵のコレクターでもあるイギリス名家の出身で
日本文化に造詣が深く、頭脳明晰でユーモアと人間味にあふれている根っからのイギリス人エリート。

愛車は72年のブリティッシュ・グリーンのMGBロードスター。
幼少時に世話になった日本の老夫人と湯島の一軒家に住んでいます。
シブい。

この女性、素晴らしい料理を用意し主人公も評価するのだが悲しいことにイギリス風の
味音痴。
ついついマヨネーズをかけたくなる「マヨラー」。

愛すべきキャラクターですね。
「スギハラ・ダラー」でも彼が再登場するようです。

そして「植民地」からは鈍重そうな田舎者だが超キレ者の米国財務省贋金ハンターと魅力的なイタリア系女性上司。

異彩を放つキレ者で豪快な日本外務省のキャリアウーマン。
これを一番嘘っぽく感じるのが悲しいですが。
外務省内での英米派とアジア派の争い。

私にとってはイケてるエンターテイメントでした。
まだ処分していないので読みたい人がいれば郵送しますよ。

政治、経済、外交を巡る近未来小説みたいのってすごいですよね。
示唆に富んでいるものが多い。

ジョン・ル・カレの「寒い国から帰ったきたスパイ」が有名です。
生身の人間が主人公なのがいい。
ハード・ボイルドではないんです。

スギハラ・ダラーも注文しようっと。