国鉄フライヤーズ

目指せカネ、ヒマ、若さ

大量生産、大量消費の経団連には発信能力無い

2011-11-28 01:00:00 | 備忘録
成功している会社の話(一番下の記事)。

宇都宮のカメラ販売店だ。
家電量販店の激戦地区らしいですな、宇都宮。
コジマ、ヤマダ電機、ケーズデンキ、ヨドバシカメラの大型店がしのぎを削る。
品揃えに大差ないとしたら薄利多売の価格戦争という消耗戦だろうか。

ここで最強のカメラ販売店が「サトーカメラ」だそうだ。
デジタル一眼レフカメラの販売シェアが県内で60%以上に達するというというから驚きだ。
牧歌的な「無駄と非効率のかたまり」がこのサトーカメラだと。
店員は子供連れのおばあさんに1時間半に亘ってデジカメの使い方を教える。

セルフプリント機の前にはソファーが置かれ、そこでは客がのんびり操作。
その傍らでは店員がプリントする写真を一緒に選んでいる。
セルフじゃないじゃん(笑)。

カメラのことをよく知っている人は人口の1割。
残りの9割に写真の楽しさを教える。
そしてその9割がリピーターになる。
ヒト(キュレーターと言ってもいい、専門知識を持った売り子)を使っての新規需要の開拓。
雇用を守り利潤を上げる。
最安値でなくポイントもつけないので利益率が高い。
ヒトを使って利益率を上げる、おお、いい話ではないか。

今、世の中の趨勢はネット通販。
用途によってはこれ程便利なものはない。
かくいう当ブログも書籍、電化製品からゴルフボールまで「尼損」とか「過客どっと混む」、「落点」のお世話になっている。
毎日のように黒猫とかサガワ君がピンポンだ。

しかしネット通販はただの自動販売機だ。
そこにはレガシー販売店のようなキュレーター(相談相手)はいない。
付属サービスは口コミという余り当てにならない素人の人気投票。
後はどうしてもテレビなどによる宣伝がヒット商品製造の鍵となってしまう。
イメージに操られているのかもしれない。
それに乗せられたのではネットで安く買っても賢い消費者とは言えない。

便利さと価格競争力を売り物にするネット通販の影響は甚大だ。
本屋のボーダーズの倒産にある通りレガシー販売店が苦境に陥っている。
イギリスのJTBと言われるトーマス・クックも倒産寸前だとか。
ネット旅行代理店に顧客を奪われていることが主因だ。


ネットは単純だ。
商品番号が決まれば後は価格の勝負。
最安業者は「価格ドットコム」等で簡単に比較できる。
価格比較のサイトでそこを入り口に購入されたモノ、サービスに対し販売店から口銭を貰うのがこの商売。
数少ないネット通販の勝者だろう。
取扱い品目はどんどん広がっている。
最近では引越し、太陽光発電、葬儀、新築マンション、賃貸住宅、旅行にFX取引まで。

価格.com

値段の叩き合いに勝つのは店も在庫も持たないネット専門販売業者。
比較しやすいものはパッケージ化されているので企画も簡単だ。
しかし彼らにしたところで利益はどれだけ残るのか。
利益率は当然低い。

中間業者が排除され雇用が失われる上に生産者も安値競争で消耗する。
それがネット・デフレだ。
証券、銀行、保険、旅行代理店などでレガシー業者が苦境に立っていると同時にネット業者も儲かっていない。

商品購入の最大のポイントが価格とは何とつまらない話か。
大量消費、大量生産をベースにした自由競争。
価格が主な購入基準という未成熟な顧客が相手。
大体、いくら買い物の値段が下がってもあなたの給料が下がったり、失業したのでは意味がない。

それでも成長が続く間は皆が潤う。
先富主義というやつだ。
しかし、ひと度成長が止まれば所詮は弱肉強食のゼロサム・ゲーム。
それが新自由主義だ。
今、世界中の先進国で起きていること。
格差問題の本質だ。

福島以降、世界でエネルギーが成長のボトルネックになる。
化石燃料は有限だし、自然再生エネルギーの効率は低い。
原発と自由競争による成長はセットだったのかもしれない。
成長が止まる世界についてきちんと考えたほうがいい。

「原発だ」「TPPの自由競争だ」とベクトル違いの妄言を喚く経団連のジイサンたちは退場の時だ。
効率追求で非正規社員を下位カーストの様に使い、雇用を痩せ細らせる。
経営者としては下の部類と言ったら言い過ぎか。

喧嘩上等のカメラ店が「ど素人」に教わった商売の極意

自助自立(草の根の声を聞こうか)

2011-11-24 01:00:00 | 経済投資


最近、新型鬱病の話をよく聞くようになった。
会社に行くと欝になり休みの日には元気になるというアレだ。
それなら大多数の勤め人は昔から欝だったのか(笑)。
経営者にとって頭の痛い話だ。

この新型欝、従来型と違うのは気分の浮き沈みが激しく、又苛立ちの矛先を自分よりも他人に向けるという。
真面目で責任感の強い人は欝になりやすいと言われるが、どうやら真反対だ。
症状は従来の食欲不振、不眠よりも過食、過睡眠だと。
昔で言えば我儘な怠け者だ。
病気だと言うので気の毒だが、何やら人間或いは社会の劣化を感じる。

市場原理主義という非人間的な概念が社会全体を覆い、物事を極度に単純化している。
カネに換算出来ないものの価値は経済的には無いに等しい。
大量生産、大量消費で商品がスペック化し、同品質の商品間の選択は価格の高低。
成熟した社会には馴染まないつまらない話だ。

そこには人間的繋がりや社会の共生感が感じられない。
競争もいいが「進化は協力や共進によってより多くもたらされてきた」と建築家の鈴木エドワードさんもフェースブックで語っている。
新自由主主義のなんと底の浅いことか。

宗主国に媚び新自由主義のTPPを推し進め、国民の財産をかすめ取る官僚の尻馬に乗って増税を持ち出す政治家。
思想を失った官僚と無批判に権力に迎合するメディア。
現在進行中の金儲けを延命することしか考えず原発だ、TPPだと方向音痴で醜怪な経団連の年寄り達。
やはり我々は劣化してきているのかも知れない。

草の根の声を聞こうか。


仙台いちご再生支援プロジェクト



【経済が告げる】産經新聞朝刊

編集委員・田村秀男 「自助自立」を問うTPP

2011.11.22

 政府の環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉参加表明をめぐって世間が騒然としている中、小さいが、東日本大震災被災地から力強いニュースが伝わってきた。

 津波で農地の95%以上が被害を受けた宮城県亘理町と山元町の「仙台いちご」の産地が今季初のイチゴ出荷にこぎ着けたという。農家が結束し、遊休農地を借り上げてゼロから再出発して、需要期のクリスマスに間に合わせた。8月に会ったJAみやぎ亘理の岩佐國男組合長は「以前の補助金漬けに戻るつもりはない」と言い、自力再建を掲げてきた。

 思い起こすのは、関東大震災(1923年9月1日)直後、ただちに「帝都」(東京)の大復興を設計した後藤新平内相兼帝都復興院総裁が盛んに説いた「自助自立」である。その精神は日本人に脈々と受け継がれ、大震災の東北で発現しているようで、「仙台いちご」の復活にいささか感動を覚える。

 当時、後藤が大原則の一つとしたのは、増税なき復興である。巨額の復興債を発行するが、「(復興の)方法が機宜(きぎ)よろしきを得れば、かえって最小の経費をもって最大の効果を挙げることができる」と力説し、綿密で大胆な復興計画を立案した。当時は第一次世界大戦後の反動不況で復興債の国内消化は困難で、多くは高金利で米英に引き受けてもらうしかなかった。だが、後藤にとって計画を推進する原動力は民の「自治精神」であり、民の力を損なう増税の拒絶は当然の帰結だった。

 翻って、今の政府や政治家に自らの手で日本を再生してゆく気概と見識があるのか、暗然とさせられる。野田佳彦内閣は家計の可処分所得を減らす増税一本やりだ。「日本はギリシャ、イタリアみたいになる」と騒いで消費税増税を国際公約する。後藤の時代と違って世界一の対外債権国である日本は民が蓄えた預貯金を国内投資に振り向ける自助自立型のビジネスモデルは十分可能なのに、国民に負担ばかり押し付ける。

 野田首相は「アジアの成長力を取り込む」とTPPの効用を説く。意味するところは、成長めざましいアジア市場への輸出や投資を増やせば国内経済がよくなるというのだろうが、外需頼みで日本再生が進むというのは、安直すぎる。国内総生産(GDP)に占める輸出の比率は15%程度であり、しかもアジアのライバルたちは日本の家電や自動車技術に追いつきつつある。輸出競争力を高めるなら超円高を是正するしかないのに、欧州危機のせいにしてその場しのぎだ。経済活性化のためにはGDPの6割近い民間消費を増やすのが本筋で、そのためには脱デフレ策が先決だ。円高是正と脱デフレを両立させるなら、増税をやめると同時に日銀が大胆な量的緩和(お札を継続的に増刷すること)に踏み切るべきなのに、政府は小出し緩和に徹する日銀に注文しようともしない。

 自立する国民が持ち合わせている潜在力を引き出さなければ日本再生は不可能だ。前出の亘理町の専業農業者たちからは、「われわれは世界の潮流から外れてよいとは思っていない。この機を逃さず、農地を集約化して大規模経営を実現する、高品質のいちごで世界に打って出る」と聞いた。反対派に多い「TPP=日本農業壊滅」という負け犬論ではないのだ。TPP参加を推し進めるなら、政府は内需拡大策と併せて、民の自助自立精神をせめて邪魔しないでもらいたい。

削除され続ける韓国での反対デモ動画

2011-11-22 07:30:34 | 備忘録
韓国・ソウルでFTA反対の大規模集会。デモ隊が国会へ乱入!


韓国の反FTAデモは今も連日のように行われているようだ。
日本での報道は極端に少なく、YOUTUBEにアップされた動画は次々と削除されているそうだ。
メディアは政府らの意向に沿い情報を故意に選択して流している。
ジャーナリズムを放棄した何とも不気味な戦時体制、大本営発表だ。

TPPは既定路線。
推進派の論点はアダムスミスを源とする比較優位論、外圧を使っての改革という敗北主義。
そして反中国キャンペーンという誠に底の浅い物に思える。

日本の経済を覆う最大の問題は15年になろうとするデフレ。
より安い物品やサービス、ヒトが入ってきてデフレを助長するTPPには反対だ。

繰り返すがTPPは既定路線。
しかし救いは国民の声だ。
反対の声をあげ続ける人がいるというのは心強い。

全ての協定は交渉ごと。
国内での強い反対を無視することは交渉の当事者に許されることではない。
米国にしたところで日本や韓国(FTA)での反対の声が聞こえないはずがない。

その声を背負って日本の中の愛国的な官僚が交渉で名を捨てても実を取ってくれることを期待して、
反対の声をあげ続けましょうね。

先週は金沢に行っていてブログの更新が遅れてしまった。
いいとこですね、金沢。
圧倒的な先祖の遺産。
それを守っていれば(ご苦労があるのは承知の上)ヒトは訪れる。
言ってみれば今話題のギリシャみたいなものだ。

そんなことも有って人もいいですね、石川人。
余裕があるし郷土に誇りを持っている。
何といっても加賀野菜に新鮮な魚介類。
食材がハンパでない。





しかし外人観光客は少ないように見えた。
日銀の自己満足でドル買い介入は続き我々の資産は米国債やEU債に変わる。
介入効果は一瞬だ。
その上増税もあり、圧倒的な資金供給を続ける欧米のドルやユーロやその欧米への輸出に頼る韓国ウオンに対する円高は続く。
豪州ドルやカナダドルもここに来て大分弱くなっている。
近隣窮乏の通貨安戦争に不戦敗の日本。

観光業にとっては大打撃だ。



円高でもストロンチウムが検出されてもTPPでも爽やかな日本晴れの今朝の東京

おい、上島竜兵か?

2011-11-16 01:00:00 | 備忘録
11/11 佐藤ゆかり議員 VS 野田支離滅裂首相


ISD条項という治外法権を全く知らないで推進に走った泥鰌。
これが韓国で議論になっている問題の核心なのに。
対米、対官僚隷属ここに極まれり。
驚くべき政治の劣化だ。

早くも、TPPはポジティブ・リスト、つまり関税、規制撤廃がデフォルトで、あらゆる障壁が
例外であることが明らかになりつつある。
分かり切ったことだ。
みっともない「言った、言わない騒動」のあと、米議員団はカーク米通商代表部代表に書簡を送り、
農産品、保険、医療など多くの分野で深刻な障壁が日本にあると指摘したそうだ。
あちらは極めて明快。

あやふやにしてごまかす官僚とメディアの手法は鎖国日本内でしか通用しない。
何が問題か、何を守りたくて何を攻めたいのか政府は明らかにすべきだ。
まあ、空っぽなのは百も承知だが。


おい上島、今回のやり方には総統閣下も相当お怒りだぞ。



思考停止の日本人に天罰が下るか、石原慎太郎「新・堕落論」を読んでみた

2011-11-14 01:00:00 | 備忘録
TPPを巡る茶番に付き合わされた日本国民。
政官報は自分で考えることを放棄してアメリカの言うなりになった。

カナダやメキシコがNAFTA締結後問題視しているISD条項。
企業の権利が国に優先し、提訴されれば海外で判定される。
主権の放棄に繋がる重要事項。

今韓国でもこの危険性がフォーカスされ議会での承認が遅れている。
泥鰌もメディアもこれに触れない。
念のため聞いてみたら、触れないのでは無くて知らなかったと言うのだから驚かされる。
反対派は結構勉強してTPPの内容を問題にしているが推進派はスローガンのみだ。

賛成論者達はたいした予備知識もなく反射神経的にアメリカに従属する。
製造業も金融もダメになっているアメリカは全農産物の関税を撤廃し、
規制をアメリカ式にして日本や韓国の農産物市場を席巻する。
米日韓同盟を強化して中国に経済自由化圧力をかけようということか。

尤もな戦略だ。

これに対して「開国か鎖国か」とか「バスに乗り遅れるな」とか「アジアの成長を取り込む」とか。
幼稚な議論がテレビ・新聞でまかり通った。
18歳以上視聴禁止にしてもらいたいくらいだ。

参加しないと交渉内容が分らないというのは酷いペテンだ。
APECで早速「9カ国で大筋合意」って言ってますよ(笑)。

議員の過半数が反対しても民主党首脳はアメリカの呪縛から抜けられない。
民主党だけじゃあない。
メディアは余り報じないが、ペリー元国防長官、ハレム米戦略研究所所長、シーファー前駐日大使、アーミテージ元国務長官が説得工作のため来日。
ジョセフ・ナイやマイケル・グリーンも来ていた。
ジャパン・ハンドラーの総出演だ。
予想外に強い敵対官僚や国民の反対に危機感を感じた。

極めつけは総本山ロックフェラー・ジュニアにキッシンジャーも動員。
これで民主、自民だけでなく国民新党や共産党の反対議員まで腰砕け。
甘ったれ日本人では勝負にならない。
格の違いだ。

独立心を忘れて浮遊する日本。
石原慎太郎の言うように天罰が降るのだろうか。
肩を持つ訳ではないが、震災時の石原の「天罰発言」は文脈から言えば真っ当だ。
重箱の隅を突っつき言葉狩りに邁進するメディアには「ジャーナリスト」と呼ぶ価値はない。

これも友達の那須さんが貸してくれた本。
「新・堕落論」




「アメリカという間接的な支配者の元に甘んじ培われてきた安易な他力本願が培養した平和の毒ともいえる、
いたずらな繁栄に隠された民族の無気力化による衰退、価値観の堕落」
というのがテーマだ。

言っていることはわかる。
同感だ。
しかしこの文章はどうなの。
思わず、文学者としてこれでいいのかな、と呟いてしまう(笑)。

坂口安吾の「堕落論」の石原版続編らしい。
戦後の世相を語った坂口。

「大君のへにこそ死なめかえりみはせじ。若者は花と散ったが、同じ彼らが生き残って闇屋となる。
人間が変わったのではない。人間は元来そういうものであり、変わったのは世相の上皮だけのことだ。」

ということで、世相は変わっても人間の本質はあまり変わらないという話のようだ。
知ってか知らずか(笑)石原さんは日本人が劣化したと言いたい。
堕落論を名乗りながら坂口の文脈ではないです。
よくわからん御仁だ。

彼のあげる個々の話は説得力のあるものが多い。

自我が形成されておらず米国や官僚の言いなりになる国民性。
戦争責任を検証、追求せずに東京裁判で済ませたいいかげんさ。
多くの犠牲者を出したノモンハン事変の立案者関東軍参謀辻政信は衆議院・参議院議員にまでなった。
醜怪な話だ。

アメリカの戦争責任(ジュネーブ条約違反)。
ハル・ノートの真実。
広島の「過ちは繰り返しませぬから」という倒錯。

石油利権のためにアメリカが仕掛けた湾岸戦争のこと。

横田基地のこと。
星条旗通りという屈辱。
教育。

そうだ、と膝を打ちたくなることが多い。
しかし結論はずいぶん違うな。

核の抑止力を絶対視する核武装主義者だ。
正力、中曽根のラインだな。
でもこの人たちアメリカのエージェントでもあるよね。

アメリカ情報通として評価するのが岡本行夫や日高義樹。
ジャパン・ハンドラーの子分じゃないの?
石原さん、頭脳の構造がどうもよくわからない。

先進国で唯一バランスシートが無い単式簿記の日本。
石原は東京都を複式に変えた。
ほう。
しかし原理主義的な財政健全化と消費税増税主義者。

思うところは似ていても結論のところは大分違う。
物事、理屈は後からついてくるんですな。
これは肝に銘じたほうが良さそうだ。

あとがきに書かれている福沢の言葉。
「立国は公にあらず私なり。独立の心無き者国を思うこと深切ならず」

その通りだと思う。




TPP茶番の行方

2011-11-11 05:41:49 | 備忘録
異様なことだらけだ。

菅政権で突然浮上したPTT問題。
昨年10月の所信表明で突然持ち出された。
ネットではその功罪を巡って早くから議論(異論の方だが)が噴出。
反対派の先鋒である中野剛志は時の人になっていた。

しかし大手メディアはこの議論を完全無視してきた。
そしていよいよ泥鰌がAPPECでの参加表明を、という段階になってテレビ各局等がが取り上げ始めた。
賛成派の論拠は「バスに乗り遅れるな」「日本は世界の孤児になる」「アジアの成長を取り込め」
「外圧を利用して改革をする」くらいか。

余りにも悲しい「バスに乗り遅れるな」については語る気もしない。
アメリカ以外はシンガポール、マレーシア、ニュージーランド等の小国しか参加していない。
カナダもメキシコも、ロシアも中国も韓国もフィリピンもインドネシアも参加していない。

東アジアの重要プレイヤーが参加していない協定に今日本が入らないということ。
この、どこを拡大解釈したら「世界の孤児」「アジアの成長を取り込む」という話になるのか。

要はトランス・パシフィック、即ち太平洋間の協定、日米FTAだ。
環太平洋ならパン・パシフィックでしょ。
アメリカにとって有利なFTAを締結するために利害の一致する小国を集め一気に日本に条件を飲ませる。
飛んで火に入る泥鰌や鉄オは誰のエージェントなんだ。

アメリカの軍産複合体勢力はベトナム、イラク、アフガニスタンなどでの無益な戦争で浪費を続けた。
スティグリッツによるとイラクだけで3兆ドルの無駄遣い。
機会損失を含むが直接戦費だけでも1兆ドル。
4400人のアメリカの若者と100万人以上のイラク人が犠牲になった。
サダム・フセインが大量破壊兵器を開発しているという濡れ衣。

軍産複合体のエージェント、小泉内閣は即時に協力を表明。
この大義なき暴力に我々の税金から30兆円の資金協力をした。
米軍のイラク撤退が表明された今、大手メディアは沈黙を続け、責任追及の声を封殺している。

長くなるので省略するが、その後、アメリカはデリバティブという金融破壊兵器で自滅して行ったわけだ。
1%に富が集中し中産階級が没落しつつあるアメリカ。
反ウオール・ストリート運動は全米に広がりつつある。
過剰なる自由競争で勝者は過大な収入を得、敗者が没落する先富論政策。
「外圧」を利用してこの失敗したシステムを輸入していいのか。

アメリカの雇用を増やすことがオバマの緊急課題。
ここで大きな成果を上げないとオバマの再選は無い。
まだ強みのある農業、武器、医療、知的財産などで他国の市場に進出する。
言ってみれば他国の雇用を奪うことがPTTや米韓FTAの目的。

日本と同じく政府が対米従属の韓国では李政権がFTAを締結したが、その内容が明らかになっていく中
野党の反発が高まり国会での批准が遅れている。
この件についても日本の大手メディアや推進派は触れない。

オバマは「アメリカにモノを売る時代は終わったよ」と自白している。

そんなPTT。
フジテレビが中野剛志を出演させたり、やっと議論が始まった様に見えた。
そして?

民主党内部で反対派が立ち上がり野田の独走を止められるかという瀬戸際だ。
ここに至って、NHKを始めとする大手メディアの意図が暴露された。
単なる「ガス抜き」だったんだ、PTT議論。

民主党PTが紛糾する中、メディアは全社横並びで「野田首相参加表明へ」とのっぺらぼうな報道。
今回だけではない。
原発輸出や消費税増税でもそうだ。
重要な政策問題を国内の論議をすっ飛ばして国際公約する民主党執行部。
この非民主的手法が松下政経塾のやり方だ。

それを無批判に垂れ流し既定事実化。
取り敢えず交渉に参加して後は押し切られるままに、という対米従属派の意向に乗っている。
それが日本のマスゴミだ。

岩上安身よる昨日の民主党PTの様子。
有料記事ではあるが拡散していいだろう。
ダメならすぐ撤回しますが(笑)。





速報
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岩上安身の IWJ 特報

11月10日、野田総理会見延期の真相~前夜の密室での激論をスクープ!~

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本日(11月10日)5時半から野田総理が記者会見でTPP交渉参加表明をする、という情報が、お昼頃から一人歩きしていた。ネタ元は、フジテレビ系列のFNNニュース。
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00211278.html

しかし、4時半になっても、5時半になっても、官邸の広報は、問い合わせに対し「記者会見の時間は未定。私たちはそもそも今日総理会見が行われると御案内していない」と答えるのみだった。

大手メディアは、足並みを揃えて、今日、野田総理が参加表明することが既定路線であるかのように報じてきた。しかし、昨日(11月9日)の民主党経済連携PT総会で、TPP交渉参加に慎重であるべきとする慎重派議員達の激しい巻き返しにあったためか、野田総理が会見を開いて交渉参加を表明することは見送りとなった。

この件について、私は、「総理会見が延期になった」とツイートした、斉藤やすのり議員に、夕方、直接連絡をとって取材した。

「今日、予定されていた野田総理の記者会見は延期になりました。これは確実な情報です」と斉藤議員は語った。

「どういう過程かわからないが、我々のような、民主党から離党覚悟で反対している議員が少なくないことや、昨日のPTで採択された提言文に、総理もぐらついたと思われます」

昨日のPTでは、TPP慎重派が議論を圧倒。党のPTの役員会で決まっていた提言文を修正させたのだ。

斉藤議員は続けた──。

「APECでの発言の文章を、TPPへの交渉参加ではなく、『事前の情報収集』にするとか、本格的な交渉参加ではなく、濁らせるべきだと我々は主張しています。TPPは、復興税の話などとは違う。国のかたちが変わる。党人としてではなく、政治家として食い止めなくてはいけない。

 今日、国会の議院運営委員会で、私たちが集めてきた与野党の決議案を本会議でかけられるように、と求めました。しかし、民主党と共産党の反対で本会議にかけられなくなってしまった。実に残念です。

しかし、この決定により、今夕、記者会見を行うと、野党の意思が国会で示されないまま、交渉参加を発表することになってしまうことになった。それも総理会見が延期となる原因になったのではないか」

明日11日の午前中、予算委員会の集中審議が行われる。採決は行われないが、野田総理がハワイへ行く前に、国会において、野党の意思が示されることになる。

「これまでTPPについて、官僚の作った作文を読んでいただけの総理が、初めて自分の生の言葉で語ることになる。徹底的に突っ込まれることになるでしょう」

と、斉藤やすのり議員は結んだ。

野田総理の会見延期に影響を与えた9日夜のPTの模様を、以下、速報としてお届けする。

11月9日 17時半から民主党経済連携PT総会が開始された。これまで顔を出さなかった前原誠司政調会長が、冒頭から出席した。

冒頭の鉢呂座長の挨拶の後、マスコミは会場から退場をうながされた。

PT総会では、これまでも、鉢呂座長による冒頭挨拶以降の議員間議論は、報道陣は締め出されてきたが、この日はさらに「超」の字のつく厳戒態勢が敷かれた。

11月8日の役員会で作成された提言案のペーパーが配布されたが、それを手にすることができたのは議員のみ。会場内にいた議員秘書も、見ることすら禁止された。

さらに驚くべきことに、ペーパーは会場外へ持ち出すことが一切禁止され、休憩中も議員はペーパーを席において会場から外に出ることを余儀なくされた。 

また、散会時には、全議員がペーパーを椅子に置いて退出することを命じられた。持ち出そうとした議員もいたが、出口で民主党職員により回収された。

そこまでして中身の流出を防ごうとした提言文であるが、その内容をここで明らかにする。

PTの役員会で作成されたもともとの提言案には、次のような文言があった。

■FTAAP構築の必要性があらためて確認された。

■TPPに関しては、具体的に市場アクセス、医療分野、金融分野、食品表示、サービス分野、政府調達分野などにおいて、日本の地域社会に大きな影響がある、との論点が出されるなど、慎重な意見が多かった。

■APECへの提言としては、FTAAP構築へ向けて積極的に経済連携を進めることが確認された。APECでのTPP参加表明に関しては、時期尚早との見解が示されるとともに、より国民的議論を喚起すべきという意見が出された。

■以上の論点を踏まえ、PTとしては最終的な判断を政府に委ねることとする。

吉良事務局長による役員会作成の文案の読み上げの後、議員間議論が行われた。計65名の議員が発言した。

まず、冒頭に発言した川村秀三郎議員と山岡達丸議員から、役員会による報道陣へのリークを問題視する声が上がった。

リークによって風を吹かされ、世論が作られている、として、リーク元は誰だ、と両議員は問いただし、役員会のメンバーの一人がリークしたという事実が記事に書かれているが、その人物の名前を明かせと、事務局側に詰め寄った。

それに対し、吉良州司事務局長は、「自分は絶対にリークしていない。秘密を厳守してきた。他の役員の方がリークしていたら、大変残念だ」と、声を震わせながら弁明した。リークした人間は誰か、特定されなかったが、こうしたやりとりによって、役員会のメンバーの誰かがリークしたことは、ほぼ決定的となった。

議員間議論では、慎重派からの発言が8~9割を占めた。

ここでの慎重派の巻き返しは凄まじかった。前回、3日前の月曜日に行われたPTでは、慎重派の敗色が濃厚だった。しかし、今回は役員会が提言文のペーパーを配ったため、議論が具体的なものになり、慎重派が勢いを取り戻した。

慎重派の議員から出された主な意見は以下の通り。

■「APECでの交渉参加表明は時期尚早」とはっきり明記すべき。

■「慎重な意見が多かった」という文言を先にしてほしい。

■「委ねる」という文言では、総理はTPPを政治決断してしまうので、変えて欲しい。

■東日本大震災からの復旧・復興に関する文言が一行しかなく、もっと入れてほしい。

また、中盤では、首相補佐官の長島昭久議員が、一般議員の立場から発言しようとして、場内が騒然となる一幕もあった。

長島補佐官は政府側の人間であり、本来ならば党の会議での自由な発言は控えるべきである。ところが、TPP推進派の一人である彼は、一般議員の席に座りながら、強引に発言しようとし、これに対して、場内からはブーイングの嵐。「場を荒らしに来たのか!」との野次も飛んだ。

 ちなみに、長島昭久議員といえば、米国のシンクタンクCSIS(米戦略国際問題研究所)と関係が深いことで知られている。このCSISと組んで原発維持、TPP推進のシンポジウムを共同開催しているのが、日本経済新聞社である。
 
 11月8日にも、日本経済新聞社とCSISは、「東日本大震災、トモダチ作戦と日米同盟の未来」と題したシンポジウムを開催した。http://s.nikkei.com/uqcOfi

このシンポジウムの席上、ジョン・ハレムCSIS所長は、「日本が原子力利用をやめるのは誤り」と主張した。「日本は原発を続けよ」。これが、日本の支配層に対して下された、ワシントンからの「メッセージ」なのである。

話を戻そう。

4時間におよぶ議員間議論を受け、鉢呂座長の判断により、急遽、臨時の役員会が設けられた。役員会には、役員会の要望により、前原政調会長も同席した。

約50分に及ぶ臨時役員会の後、役員より議員に対し、修文(修正文)が提示された。

修文の内容は以下のようなものである。

■東日本大震災からの復旧・復興および福島第一原発事故への対応に最優先で取り組むことを確認する。

■TPP交渉参加の是非に際しては、政府は懸念事項に対する事実確認と国民への情報公開を行い、同時に幅広い国民的議論を喚起する必要がある。

■APECでのTPP参加表明に関しては、時期尚早・表明すべきでないとする意見が多数を占めた。

■政府には以上のことを十分にふまえたうえで、慎重に判断することを提言する。

以上の修文に対し、場内は賛成派・慎重派ともに「異議無し!」で一致し、提言案は総会の了承を得るかたちとなった。

最後に、前原政調会長から、「本日まとめられたPTの最終判断は、民主党幹部会、役員会、および総理に、一言一句伝える」との言葉があり、総会は散会した。

役員会が当初出した曖昧な提言案を、慎重派が猛烈な勢いでまきかえし、修文作成へ持っていったかたち。PT内の雰囲気は、明らかに慎重派が優勢で、臨時役員会の出した修文および前原政調会長の言葉に対しても、「よし!」という声が聞かれた。

PT散会後、山田正彦議員はじめ、慎重派が揃って会見を行ったが、まだ予断は許さないものの、PTという場でできる限りのことは達成された、という雰囲気だった。

(速報号外、了)




TPPに突っ走る野田民主。対米従属官庁と利権死守官庁の争い?

2011-11-07 01:00:00 | 政治外交

(明治の開国は不平等条約の歴史。歴史に学ばない愚者が跋扈する)

国民的な議論もないまま野田さん、TPP交渉参加を表明してしまった。
これで交渉参加は国際公約。
何が何でも突っ走るつもりだ。
さすが暴走半島出身者(植草一秀)。

しかし松下政経塾というのは何を教えているのかな。
TPP,消費税増税の野田さん、原発輸出の前原鉄オ。
国内の議論を一切すっ飛ばして、国際公約で既成事実化する手法。
無能なだけでなく非民主的な危険な人達だ。

TPP。
推進派の論理はあやふや。
森本某とか中西某とか保守を標榜する対米従属派は「中国を囲いこむ対中国日米連携」とか言っている。
おいおい、何のことだ。
世界人口が70億、その半分が中国とパキスタン、バングラを含む大インドになろうとする時代に。
囲いこむのではなく成長エネルギーを取り込むべきだろう。

大体、TPPの謳い文句は「アジアの成長を取り込む」だったんじゃないの(笑)。
推進する政府の作文ではTPP参加メリットは2.7兆円。
待ってくれ、10年でだ。
つまり年間メリット2700億円、GDPの0.05%に過ぎない。

大体、TPPは経済協定。
もう、世界の商品のお客さんはやってられなくなったアメリカが農産物や知的所有権などの
米国製品を日本に買わせようとしているだけだ。
ターゲットは日本。
他の参加国はサクラだ。

ウィキリークスが暴露したニュージーランド米国大使館の秘密公電には、
「もし当初のTPP交渉8カ国でゴールド・スタンダード(絶対標準)に合意できれば日本、韓国その他の国を押しつぶすことができる。それが長期的な目標だ」
(ニュージーランド外交貿易省のマーク・シンクレアTPP首席交渉官)。

中国を囲いこむ、そうヒラリーに言われたのだろうな前原や長島。
彼らの危険なところは確信犯の売国奴(余り使いたくない言葉だが)だというところだ。
長島の場合はもしかすると真性のXホかもしれないが。

勿論、安全保障とはなんの関係もない。
アメリカは中国を敵視なんかしていない。
関係があるというならアメリカの尖閣諸島の立ち位置を聞いてみたらいい。
アメリカの本音が一発でわかるよ(笑)。
大事なことはボヤかすのがポチ保守のやり方だ。

外務省などの対米従属官庁が無理やり進めるTPP。
厚生省や農水省などが何故反対しないのかと不思議に思っていたがここに来て一気に反撃に出てきた。
自民、民主の族議員達が一斉に反対表明。
反対派が推進派を上回る勢いだ。
何せTPPで無力化される「非関税障壁」こそが官僚支配の栄養だ。

国内官庁の利権を奪いアメリカに進呈しようとする、何時もながらの亡国外務省。
自分たちの利権を死守しようとする鎖国官僚。
外圧を使って日本の硬直した官僚支配に風穴を開けようという意見もある。
しかしTPPはいかんね。
国民の利益は誰が代表するのだろう。

いつも思うが、何故日本では協議に入る協定や、提出される法案についての情報開示が軽視されるのか。
官僚は国民が気付かない事をいいことに協定や法案作りに精を出す。
新しい利権、自己増殖という省益の為だ。
メディアはこれをチェックする責任を放棄してきた。
国民不在だ。

今回のTPP交渉に参加しなければ詳しい内容が分らない、などという一部の言い草には呆れ返って物が言えない。
一旦は参加を検討したカナダなどが不参加に舵を切り替えている。
もう既に大筋は決定している。
それを隠しているのが推進派だ。
やはり確信犯だ。
騙されたく無いですな。

以下田中宇のメルマガから抜粋

「日本がTPPに入る経済的な利得は少ない。農業産品については、米国や豪
州から日本への輸出が増え、日本の農業が打撃を受ける。日本経済全体に占め
る農業の割合はわずかだが、地方の社会は、農業で支えられている部分が大き
い。農業が成り立たなくなると、地方の社会がますます過疎になって荒廃する。
食料安保の問題を外して考えたとしても、社会的、政治的、国家安全保障的
に良くない事態が加速する。」

「金融については、ゆうちょ銀行つぶしが加速するだろう。全国津々浦々、コ
ンビニがない集落にも、郵便局があり、金融サービスを提供している。この点
も地方の荒廃を加速する。工業製品については、すでに日米間の関税がかなり
低く、日本企業の北米での現地生産の割合も高いので、いまさら自由貿易体制
を強化しても大してプラスにならない。」

「リーマンショック後、米国民は借金できなく
なり、米国は世界から大量に輸入できる体質でなくなった。オバマがTPPに
力を入れるのは、米国製品を日本市場で売りやすくして、米国の輸出産業を復
活させ、再選に向けた自らの政治的得点にしたいからだ。半面オバマは、日本
などアジア諸国に対し、対米輸出で経済発展しようと考えるのはもうやめろ、
と警告している。衰退しつつある米国は、日本を含む世界にとって、旺盛に消
費してくれる経済覇権国でなく、逆に、政治と軍事の力で世界から利益をむし
りとる存在になっている。」

「日本がTPPに入ると、利得より不利益の方が大きい。それなのに、政府や
外務省、マスコミなどがさかんにTPPに入った方が良いと言い続けるのは、
米国が日本に入れと強く言っているからだ。TPPは、実は経済の話でなく政
治の話、対米従属という日本の国是をめぐる話である。対米従属の話であるの
で、TPPの報道には、沖縄基地問題などと同様、マスコミ報道にプロパガン
ダ的な歪曲がかかっている。」

「たとえば、TPP反対論者である京都大学の中野剛志準教授が出たフジテレ
ビの番組では、テレビ局側が「TPPの日本経済へのメリットは2・7兆円」
と「10年間で」という条件をすっ飛ばした表記や「日本から米国へのテレビ
の輸出にたとえば100%の関税がかけられるとすると・・・」と、実際には
10%である関税率を「たとえば」という言葉をつけて「100%」と誇張し
てしまう報道を行った。中野氏がこれらの間違いを語気荒く指摘し、テレビ局
のプロパガンダ体質がその場で暴かれる番組の展開になっている(番組内で暴
露されてしまう点は、国粋主義の側からの、別の演出がある感じもするが)。」

「TPPの要点は、ほかにもある。TPPは加盟国に、関税だけでなく、政府
の監督政策、労働、環境、公共事業政策、安全基準など、規制や制度といった
「非関税障壁」の撤廃を義務づけている。参加国の中で、米国の政治力と経済
規模が圧倒的に大きいので、事実上、米国が、日本などの他の参加諸国に対し、
米国型の規制や制度を押し付けるかたちとなる。」

「米国の規制や制度が、日本よりすぐれているか、日本と同程度ならまだ良い
のだが、この10年あまり米国の政府と議会は、金融界や防衛産業、製薬業界、
医師会、農業団体など、各種の産業のロビイストに席巻され、各産業界が思い
思いに米政府を牛耳り、自分たちに都合の良い政策を政府にやらせる傾向が
年々強まっている。911以後、防衛産業(軍産複合体)が有事体制を作り、
民主主義の機能低下が起きたことに他の業界が便乗した結果、米国の行政はも
のすごく腐敗したものになっている。」

「その結果、金融界をはじめとする大金持ちに対する課税の比率が少なくなっ
て貧富格差が急拡大している。リーマンショックで金融界が潰れそうになると、
巨額の公金が注入され、金融界による連銀の私物化に拍車がかかってドルが
過剰発行された。製薬業界や医師会が、メディケアなど管制健康保険の診療報
酬や処方箋薬適用をお手盛りで拡大した結果、メディケアなどは支出過剰にな
り、米政府の財政赤字が急増している。これらの全体に対する米国民の怒りが
「ウォール街占拠運動」などにつながっている。」

「米議会の共和党は、米国の産業界が守るべき環境基準を緩和し、環境汚染を
今よりも容認することで、企業が環境保全に払ってきたコストを減らし、その
分、雇用を増やせるはずだから、汚染容認が雇用対策になるのだと主張してい
る。TPPに入ると、日本政府が企業に環境保護や消費者保護、厳しい安全基
準の遵守などをやらせるのは非関税障壁だという話になっていきかねない。」

「米国型の経済政策は、自由市場主義を表の看板として掲げているが、それは
実は、企業が米政府を牛耳った腐敗構造の産物だ。そうした構図が露呈し、米
国型の経済政策がうまくいかないことが明らかになった今ごろになって、日本
はTPP加盟によって、米国型の経済政策を強制的に導入させられる方に進ん
でいる。」






那須さんに借りた「官僚の責任」古賀茂明を読んでみた。

2011-11-03 01:00:00 | 官僚



現役の経産省官僚でありながら反骨の人と言われる、古賀茂明。
最近は東電の救済策をメディアでおおっぴらに批判。
大臣官房付という閑職で冷や飯を食わされ肩叩きの毎日。
先日、ついに退職した。

東電処理問題では国民の負担を最小限にし、守るべきは被害者と電力供給。
債権者、株主ではないと言い切る。
東電の賠償を支援し監視するために設立される原発賠償機構は銀行や役所の出向者が運営。
結果的には天下り先となって電力会社と癒着すると予言している。

他聞に漏れず東大法学部の出身の古賀。
しかし中高が自由な校風の麻布。
東大ではガリ勉の雰囲気に馴染めず6年かかって卒業。
留年しても試験さえ受かればいい上級官僚になった、という「枠無し」の自由人だ。

戦後レジームからの脱却を謳い文句にした安倍内閣の公務員改革に参画。
官僚では珍しい改革論者らしい。
渡辺喜美と気脈を通じている感じなので「官僚主導反対」だが「対米融和」なのだろうか。
TPPには賛成らしい。
まあ、いいか。

その古賀による官僚論。
官僚の実体が赤裸々に語られる。
優秀であるべき若者が無能な官僚に生まれ変わる。
「霞ヶ関は人材の墓場」(笑)。
「専門知識に乏しく、自分では絶対に責任をとろうとしない素人集団で世界水準より相当遅れている」。

大体、官僚になる動機は山を登るなら一番高いエベレストを、という発想。
試験の得意な連中は東大を目指し、財務省を目指す。
偏差値の頂点だ。

「財務省に入って何がやりたい」と聞かれると多くの新人が「次官になりたい」と。
「人の為より、人の上に」という、まあ意識としては特に高潔でもない普通の人が行くところ。
そこで努力のベクトルが間違うと国民にとっては悲惨なことになる。

戦後60年以上になるのに同じやり方、同じ人事制度で同質の人間が蠢いている。
同質というのがいかんね。
組織として機能不全になるのは当然と言える。
そして彼らのモチベーション(出世の種)が組織の自己増殖という倒錯では、方向転換は容易ではない。
彼らのやり口を学んで変えるべきところを変えようという政治家に一票をいれるしかないな。

官僚機構が無用だということではない。
空気や水と同じ。
がっちりした統治機構は国民が生活していく上で必要不可欠だ。
未曾有の飢饉に苦しむソマリアは無政府状態により援助物資も行き渡らず近隣諸国に大きく差を開けられている。
官僚機構の有難さはそれが崩壊したときに初めてわかるのかもしれない。

組織の存続、増殖が自己目的化した今の霞ヶ関はソマリアの対極にある。
政治家やメディアを支配下に置いているとも言える。
権力の頂点だ。
これは決して素晴らしいことではないな。

官僚の世界では法律を通す、新組織を作り天下り先を増やすことが正義らしい。
これをやり遂げることが実績。
「できる奴」と言われ出世した官僚はそんな奴、ということだ。
2年で人事異動する高級官僚。
散々な結果が出る頃には責任はウヤムヤになっている。

一例としてNTT民営化。
2700億円の泡銭を通産省と郵政省が山分けにした。
使わねば損だ、でベンチャー投資合戦を繰り広げた。
天下り先分捕りが合戦とも言える。
元々犬猿の中の両省。
お互いが張り合って似たような事業を立ち上げた。
結果は見事に全て失敗で2700億の国民の資産が10億に。
人事ローテーションで責任問題はウヤムヤだ。

セコい話だが官僚に必要なのは勤務時間らしい。
夜遅くまで役所にいるため定時になると一旦飲みに出かけて戻ってくるのだと。
なんとも薄気味の悪い社畜(所畜?)だな。

デフレと失業で国民が苦しむ今、震災・原発事故保障で増税が俎上に乗っている。
その前に電気料金の大幅値上げが実質増税として国民負担としてのしかかる。
東電延命で本来真っ先に損失を被るべき銀行や株主が優遇され一般電力消費者が割り勘負けをする。
再生エネルギー関連の買い取り法案も同じ構造だ。

先ず東電や関連会社から絞るだけ絞る、それが優先順位というものだ。
そして国の資産の売却。
増税論議の前にこっちでしょう。

JT株など政府が保有する意味があるのか。
持ち続ける理由は財務次官の超大型天下り先。
国有地も「今はまだ安い」と手放したがらない。
民間が活用すれば固定資産税が入るのに。

「政治主導」を勘違いして震災処理失敗した菅前首相にも手厳しい。
国難を自らの延命の好機と勘違い。
官僚を使わず、官僚と張り合ってしまった。

政治家はビジョンと方向性を出し、官僚に立案させ責任を取る。
延命で目が曇りそこのところの見極めができなかった。
結果は官僚による無作為と責任逃れを許した。
「責任は俺が取るから前例や現行の法律を超えたことでもどんどんやれ」と言うのが正解。
何でも俺が決めるからすべての情報と対応策を上げろ、と。
とんだスーパーヒーローだ。

政治家、特に民主党政治家の程度の低さが官僚主導強化の原因になっている、というのが古賀の見立て。
仙石さん、同僚議員のやり口を見て「これは駄目だ」とばかり政治主導の看板を下ろした。

事業仕訳の政治ショーで官僚を叩く格好をすることに血道を挙げた人たちが経産大臣など要職に居る。
能力もないのにやる気だけが空回りして八場ダム廃止、高速無料化、JAL救済等大恥をかいた人もいたな。
あれが政調会長で起案の頂点とは。
お飾りだね(笑)。

批判だけでなく官僚をどうしたらイノベーション集団にできるか、という提案もある。
東電問題では全面的に古賀に賛成の国鉄フライヤーズだが意見が違うところも多々ある。
多分、楽観的な新自由主義者、自由貿易・自由競争論者なのだろう。
それはそれとして、一読の価値あり。



官僚の傍若無人ぶりは自民党時代よりひどくなっているらしい。

河野太郎ブログ
天下りロンダリング