テレビのニュースで見る限りすぐにでも決まりそうな大飯の再稼働。
今度はすんなり行く?
バランスシートから見ると再稼働はどうしても必要。
いや、「いつかは再稼働するという幻想」こそが大事な延命装置だ。
原発が稼働しなければほとんどの電力会社が早晩債務超過になる。
加工中等核燃料や原発設備は資産計上されているが、原発が動かないことが明らかになると即刻負債に早変わりするからだ。
資産が燃料の廃棄、廃炉という莫大なコストに変わればひとたまりもない。
東電だけでなく原発を持つ電力各社はゾンビだったのか。
なるほどね。
しないかと思えば橋下が裏切ってしそうになる。
再稼働しそうになれば4号機の悪いうわさが流される。
民主党の120人の議員が慎重に、と署名を提出する。
八百長なのだろうか。
現行の大規模原発には将来はなさそうだ。
とはいっても、原発廃止となれば電力会社は潰れる。
「再稼働しそうでしない原発」というシナリオであれば、それはそれでは日本的なソフトランディングなのかもしれないな。
__________
佐々木の視点・考え方
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
★昨日は財務3表の中のキャッシュフロー表の話をしたが、今日はバランス
ートの話をする
昨今話題となっている関西電力のバランスシートを見て、この会社が何を
考えているのかのホンネを探ってみよう。
関西電力は前期に過去最大の赤字となったが、それは原子力利用率が78%
から38%に激減し、火力発電等での燃料費が3839億円増え、外部から
購入した電力代が1299億円増えたためだ。
http://www1.kepco.co.jp/ir/jobfair/pdf/h240507_1.pdf
震災や原発事故を踏まえての大幅な決算処理は一切していない。
そして、原発は早晩、元の稼働状況に戻すということを、バランスシートで
加工中等核燃料と繰延税金資産、前年から増やしている事が教えてくれる。
http://www1.kepco.co.jp/ir/brief/h24/kessan24/pdf24_00.pdf
加工中等核燃料を増やしているのは原発再稼働に必要だからだ。
繰延税金資産とは、要は税金の前払いだ。
前期は火力発電や買電という割高の電力調達をしたが、これはあくまで一時的
なもので、早期に原子力発電を旧来の発電量に戻す。そうすれば利益も多く出
て、税金も支払わねばならない。この税金分を積み立てておこうとした。
このように同社の強い原発推進への強い意志がバランスシートを見るだけで、
読み取れるのだ。
もし、原発再稼働が出来ないか、再稼働までに時間が係れば、2012年度の
同社の赤字額は経済産業省の試算では7020億円となる。
http://www.npu.go.jp/policy/policy09/pdf/20120507/shiryo3.pdf
これに資産計上した核燃料合計5277億円、繰延税金資産388億円、原子
力発電設備3666億円の価値が無くなるから減損処理しなければいけない。
つまり、早ければ2012年度中に債務超過に陥る可能性がある。
肝心の電力需給だが、関西電力の今夏のピーク時の最大需要は、政府試算だと
3138万kwh。しかし、昨年夏の実績は35度の猛暑で2784万kwh。
昨年並みの節電でピーク時需要は120万kwh減るので、2010年並みに37
度の猛暑でも3018万kwhがピークとなる。
http://www.meti.go.jp/committee/sougouenergy/sougou/denryoku_system_kaikaku/002_05_00.pdf
一方でピーク時の供給能力は以下の通り
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
2011実績 2012予想 差
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
水力発電 225万kwh 203万kwh ▲22万kwh
火力発電 1415万kwh 1472万kwh +57万kwh
他社融通 522万kwh 644万kwh +122万kwh
揚水発電 448万kwh 216万kwh ▲232万kwh
原子力発電 337万kwh ▲337万kwh
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
合計 2947万kwh 2535万kwh ▲412万kwh
除原子力 2610万kwh ▲75万kwh
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
関西電力の出した予想は水力と揚水で254万kwhも何故か減っている。
中部電力、中国電力、四国電力の供給力余力は800万Kw以上あると見込ま
れているのに他社融通はこれを大幅に下回る。
関電管内の自家発電の購入量は83万kwhとしている(他社融通に含まれる)が、
購入可能な自家発電容量は700万kwh以上ある。現在は大株主の大阪府の余剰
電力の買取すら拒否している。
他にも再開可能な火力発電所は多奈川、宮津等あり、200万kwhの能力がある。
つまり、過去最大の猛暑がきても、原子力以外で3763万kwhのピーク供給能
力があり、ピーク需要の3013万kwhより25%も供給余力があるのだ。
しかし、電力供給優先で行くと、大幅赤字になり債務超過となって倒産する恐れ
があるので、生き残るためには原子力発電を復活させなければいけないのだ。
何故なら、原子力発電コストのうち、事故発生後のコストや、廃炉コスト、
新設や維持のための政治コストは殆ど国が支払ってくれるから、電力会社に
とってだけは原子力発電が最も低コストだからで、他を使うと赤字になるから。
バランスシートから、これだけ読み取れる。
「裏切った民主議員には報いを」 東電労組執行委員長の「恫喝」が波紋
おいおい。