国鉄フライヤーズ

目指せカネ、ヒマ、若さ

誰が勝者?尖閣騒動

2012-09-24 01:00:00 | 政治外交

(ネタバレ)

見たくなくても毎日流される尖閣ニュース。
中国を非難したり、中国の国内事情を分析したり。
中国首脳部は反日運動が反政府運動に発展することを恐れデモ収束に向かう。
中国でも良識派が暴力中止を訴えている。

一面の真理かも知れないが、外交問題での日本の「癖」ではないでしょうかね。
つまり「何とかなるんじゃない」という根拠なき楽観と「聞きたいニュースだけ聞く」という現実逃避。
前の戦争だけじゃなく原発事故と同じですね。
最悪の事態も想定する胆力に欠けている国民性と言えるような気がする。

中国を非難する論調が圧倒的ですが、日本の方はどうなんでしょう。
もともと騒ぎを引き起こしたのは日本ではないのでしょうか?
そう、あの困った都知事が発端です。

先日東京原発という映画を紹介しましたね。
天馬知事は原発に対する都民の無関心に警鐘を鳴らすために一芝居打つカリスマ都知事だった。
現実はそうはいかないですね、残念ながら三流役者。

最悪は日中間の武力行使。
国境紛争ですね。
緒戦では日本が有利だとの情報を流すメディアがある。
まるで真珠湾の山本五十六ですね、これでは。

領土土問題はそれぞれの国内政治に深く結びついているんですよね。
対立の種を残しておくことは政治のカード。
領土問題というのはお互いに絶対譲れない話。
知能の低い人たちが一気に盛り上がる、そして他の問題は一時棚上げできるという便利なカードということですね。
ただ、解決は武力行使しかないという危険なカード。

実効支配していればなんら行動を起こす必要ないわけです。
だから日本は尖閣では領土問題は存在しないと言ってればいい。
一方、竹島は韓国が実効支配しているから、日本は事あるごとに領土問題をリマインドしなければならない。

今回は逆でした。
実効支配している尖閣で挑発をしたのが石原都知事、そして国有化に踏み切った民主党政権。
竹島では韓国側。
変でしょ。
領土以外の政治的な目的があると考えるのが常識でしょうね。

李明博はレーム・ダック。
自分が退陣後に新政権に恩を売りたい。
実効支配しているのにわざわざ日本と問題起こしても何のメリットも国民にはない。
実際、日韓通貨スワップ協定という、危機時のウォンの延命装置を取り外そうという声が上がっているくらいです。
大統領の個人的な理由ですね。
退陣した後は逮捕されちゃったりする国ですから。

領土問題で騒ぐのは知的水準の低い人。
日本にもバカはたくさんいるが中国には10倍いる。
それより誰が得をするのか考えた方がいい。

尖閣騒ぎで損をするのは中国に進出した日本企業、在中邦人。
それだけではない。
日本製品不買運動が広がりつつある。
中国当局の検疫も遅滞し始めたとか。
胡錦濤さん怒ってるね。

需要不足のデフレの悩む日本経済にとっては大きな痛手ですね。
得をするのはアメリカやヨーロッパなどの競合企業。
日中紛争で困るのは中国経済の方だ、という現実逃避の希望的妄想が流行っているようですが、どうでしょう。
中国は今や日本にとって最大の貿易相手国です。
これに対して中国にとっての日本は3番目。
欧州、米国の方が大きい。

日中の貿易が縮小すれば武器だけでなく日本への農産物売り込みでもアメリカは有利になる。
TPPへの道もおのずと開けるわけです。

冷戦構造がとっくに終わっているのに西側陣営についていれば日本の安保と経済発展が保障されるとか。
経済の成長性から見て日本経済の重要性は相対的にどんどん下がっているのにその自覚がないとか。
思考停止状態ですね。

といって中国経済もプラスなわけではない。
コスト高などで工場の中国からの移転が始まっている。
この騒動はそんな動きに拍車をかけるでしょうね。

経済重視の現政権としても右派の守旧派からの批判をかわすために強硬な立場を取らざるを得ない。
また権力闘争のやり直しだ。
だから胡錦濤は野田に対して本気で怒っている。
これから数年間にわたって習政権での政治局員人事が固まっていくが軍事派が巻き返すチャンスにもなる。
それっていい話でですか?日本にとって。

日中、日韓で緊張が高まって一番利益を得るのは誰?
アメリカの軍産複合体でしょう。
つまりは人殺し兵器を売って金儲けをしている最低の連中ですね。
日本で言えば防衛利権関係者。

尖閣で譲歩するな、と煽るメディアは対米従属を続けたい官僚や政治家のの利害を代弁しているわけです。
政治的に多少日本よりしたたかな中国は日本びいきの台湾を尖閣問題で中国に取り込んだ。
日本は何を得たの。

石原さんの露出が増える昨今。
自民党総裁選がらみで息子への関心が集まるということのようですが。
バカ息子を首相にしたいようだがやめた方がいい。
バカだから首相に成れないというわけでもないが(笑)。
後で苦労するだけだ。
本人も国民も。
どうしようもいない親ばか、ということでしょう。

アメリカの公共事業である戦争。
中東でのイラン濡れ衣がバレバレで手詰まりの戦争屋が東アジアの緊張を高め日韓などに武器を買わせる。
欠陥オスプレイも買わされることになるのかも。
緊張が続けば沖縄基地存続願望が高まり、血税が米軍につぎ込まれ続けますね。

大体、石原さんが尖閣買い取りを言い出したのは軍産複合体の拠点「ヘリテージ財団」での話。
ネタバレもいいところだ。
息子主役での北朝鮮拉致被害者奪還の小泉劇場再演でも仄めかされたんじゃないですかね。
石原が人殺しで儲ける連中の家来なのか、あるいは彼らに利用される愚か者なのか。
有りえない「核サイクル」に固執して、プルトニウム製造装置である「もんじゅ」温存で日本の核保有を目指す危険人物。
石原の毅然とした態度を礼賛する人たち。
そこまで考えていていますか?

そして国有化を言い出した民主現政権は仙石、前原、野田の米国軍産複合勢力ポチ政権ですね。
誰が糸を引いているかは明らかな気がしますが。

でもアメリカは日中や日中の領土問題で戦争になっても絶対に参戦しない。
キャンベル次官補が尖閣は日米安保の適用範囲内、と言ったのもただのリップサービス。
日米合同上陸演習は罠だ。
中国を封じ込めつつも、今や日本より重要な国。
そして日米安保では議会の承認がないと出兵できない(ここ大事)。
NATOとは違うんです。
竹島に関してはブッシュ時代の懸命なロビイングで委員会レベルだが、竹島は韓国領とアメリカが認めてしまいました。
痛いミスですね、町村さん。

それどころか、パネッタ国務長官が敵国であるはずの中国を2014のリムパックに招待した。
仮想敵国のいない軍事演習って。
今年はロシアを招待しました。
中国封じ込め策は続けながら本気で中国らと対峙する気はないアメリカなんですね。
なんだかクリントン時代の米中接近を彷彿とさせます。

日本は中国封じこめの駒。
TPPで経済的に米国側に引き寄せるのも、対中包囲網と同時に日本からむしり取る算段。
軍事的にも自分で中国と対峙させる。
そして危機を高めて武器を買わせる。
万が一にでも武力衝突が始まれば中国の実戦能力が測れる。
近代的軍備を持った国とは戦争したことがない中国ですからね。
しかし議会の反対を理由にアメリカは参戦しない。

中国にとっても台湾を武力で統合するシミレーションになるのでやってみたい軍人勢力はいるはず。

国際政治はキツネと狸のばかしあい。
スポーツで言うと刻々変わる戦況をスタッフが検討して僅かな敵の作戦変更の兆しを察知して自軍のフォーメーションを変える。
あのアメリカン・フットボールの世界ではないでしょうか。
しかもあの大袈裟な防具。
小さな円の中で一瞬の勝負をする礼のスポーツである相撲の対極。
しかも褌一丁(笑)。
潔さは外交では欠点なんですね。
そして戦争は短期決戦では決着しない。

尖閣付近に眠る巨大油田というのはキッシンジャーの仕掛けたホラという説もある。
冷戦は終わり日本はアメリカにとっての育成すべき同盟国ではなくなっている。
政治家はバカな火遊びは止めた方がいいし、国民が自分たちの置かれている政治的・軍事的な位置を自覚する時です。
聞いた話ですがTBSのサンデイ・モーニングによると中国人の6割が尖閣騒動の裏にはアメリカがいると思っているそうです。
日本人も少し冷静に考えた方がいい。
領土問題で興奮して損をするのは我々日本国民ですから。


「東京原発」をやっと見た

2012-09-18 01:00:00 | 原発


2004年の作品。
ツタヤの宅配レンタルでずいぶん前にリクエストしたがなかなか順番が回ってこなかった。
原発がテーマのコメディー、というかブラック・ーモア映画ですね。
福島事故が起きるまで原発容認派だった国鉄フライヤーズはこの映画の存在さえ知らなかった。

事故後、ネットでは結構話題になったんですが。
見たいと思ったがメジャーな映画館で上映されたという話は聞かない。
マスメディアは一斉に無視したしね。

分かる気がしますね。
原発の安全性、経済性、環境負荷、使用済み核燃料処理問題等原発の根幹に係る事につき劇中人物がディベートするが、その内容がリアルで的を得ている。
原発推進勢力としてはちょっとマズい映画なのです。
再上映したら興行的にも成功したかもしれないのに。

物語は役所広司扮するカリスマ知事が突然に新宿中央公園に原発を誘致しようと言い出すところから始まる。
広瀬隆の「東京に原発を!」(1986年)という本があります。
本当に原発がクリーンで安全なら東京湾に作るのが最も効率的だろう、という挑戦的なノンフィクション。
これがネタ本であることは間違いなさそうだが広瀬さんがこの映画に関与したわけではないようです。

ネタをばらすと、無関心な都民、国民にエネルギー問題や原発の危険性について問題意識を持たせようという都知事の深謀遠慮。

腹心の副知事が呼んだ学者は実は原発反対派で変人として描かれている。
変人でなければ反原発の学者などいないということは我々は学習させられたよね。
この学者の議論に都庁の幹部たちが仰天するわけです。

そんなときに密かに都内を搬送されていたプルトニウム燃料棒がテロリストにジャックされる。
最後には都庁付近でチェレンコフの光が、というぎょっとする結末だ。

事故前にも原発の安全性に対する真剣な議論があったんですね。
そして映画のキャストがすごい。
役所公司、段田安則、平田満、岸辺一徳、吉田日出子、益岡徹などの名だたる有名な芸達者たち。
こんな映画がよくも制作されたものだ。

事故前なら許されたが事故後はやっぱりマズいんです。
だからこそ、筋書きは言ってしまったが、それでも見る価値あり!!

未来予測はアーティストの仕事だと思い知らされた。
ベクトルが過去に向いている現実主義者では無理ですね。
その現実主義者に迎合する事によって飯を食っている学者やメディアの意見を聞いていても将来のことはわからない。
フィクションという仮説が思考を刺激するのでしょう。

刻々消えていくテレビニュースやニュースバラエティ、さらにはツイッターのタイムライン。
そこに流される情報はストレートニュース以外は屑の宝庫(変か)。
日刊紙より週刊誌。週刊誌より月刊誌。そして月刊誌より単行本、更に文庫本。

前回紹介したインサイド・ジョブもそうだが、映画という作品には教えられるものが多いようです。
残念ながら日本では事故後にそれを検証する作品はない(コミックでパンドラの箱とかいうのがあるらしいが)。
責任追及をしない国民性なのだろうか。
それって平気で失敗を繰り返す国民性ということでもあるようで。

無知と傍観そして無反省がテロリストと同じくらい危険だということを再認識させられました。


「東京原発」ハイライトシーン


ね、面白そうじゃない?


犬HKが吉田茂礼賛ドラマ「負けて、勝つ」だって(笑)

2012-09-11 01:00:00 | 社会、マスゴミ、教育


今、避暑地の野辺山から帰ってきてテレビをパチンとつけたら犬HKの対米従属キャンペーンドラマが始まったらしい。
勿論見ない。
見るといちいちチャチャを入れ家人の顰蹙を買うこと必至。

ほんと腹立つよね、犬HK。
犬越犬介とか(笑)。

吉田茂=愛国者、偉人キャンペーンを昔やったのが高坂 正堯の「宰相・吉田茂」。
保守本流の理論づけをした京大の先生だ。
若き日の国鉄フライヤーズは左翼嫌い。
高坂さんの本は一通り読んだのだ。

しかし何とあの鉄オタは京大で高坂さんの弟子。
嫌な予感がしてきた。
今日はその件でないのですっ飛ばしますが、要はヒダリもミギもある時点からアメリカによる日本スティルス支配のトゥールだったのね。
日本の保守本流というのはアメリカ一辺倒の外交態度、ということだ。

孫崎亨(うける)さんの「戦後史の正体」に詳しいが、吉田さん「負けて、勝つ」タイプの人ではない。
不遜な態度で葉巻をくわえ、ときにはベランメイの毒舌も吐くが、実態はアメリカのいいなり。
闘っているイメージ作りがうまいから、子分としても占領軍は重宝した。
役者だなあ。

敗戦直後の占領下だ。
私は吉田さんを責めるつもりはない。
美化するなと言いたいだけだ。

アメリカとの関係を最重要視するという外交政策を否定もしない。
戦後の長い間非常に合理的であったし今でも合理的な局面は多々ある。
しかし対米従属となると話は別。

自主外交があっての対米協調でしょ。
アメリカの言うことをなんでも聞いていれば世界の荒波を避けられると考えてるとしたら間抜け。

ペリーの砲艦外交という武力で開国、不平等条約で毟られた。
一方ロシア帝国拡大の防波堤としては重宝され経済的、軍事的援助も英米から受ける。
英国がヒトラーに叩きのめされると、英米ソにより真珠湾におびき寄せらた。

そしてアメリカにより日本中を火の海にされ多くの一般市民が虐殺された。
最後はウラン原爆とプルトニウム原爆の人体実験。

戦後、占領軍は日本を徹底的に三流国に陥れ、工業設備はアジアの親米国に移転、言語も英語(無理だとわかるとローマ字表記)にしようとした。
つまりは日本文化を破壊し戦前との連続性を断ち切ろうとしたのね。
天皇だけは利用価値があるので自分たちのツールとして残したけど。
すり寄っちゃうんですねこの人たちも。

しかし日本を乞食状態にしておくとカネがかかる。
そして冷戦・朝鮮戦争。
日本は再び共産勢力にたいする防波堤として経済発展を許された。

でも冷戦が終われば、ソ連に代わる仮想敵国が日本。
日米経済摩擦。

そしてベトナム、イラク等での大義なき人殺しビジネスで疲弊した後は金融バブル。
サブプライムで潰れても、もう一度膨らませドルの延命。
日本の役割は刷りまくったドルのスポンサー、つまりは米国債の買い手。

そして米国企業(遺伝子組み換え穀物、知財、薬品、オスプレイなどの軍需品)のマーケットとしての「グローバル」な日本。
そのためのACTA、PTT。
条約を締結しようがしまいが、アメリカの「年次改革要望書」路線で国内法はどんどんアメリカに有利なように変わっている。

大変結構な話だ。
ただしアメリカの国益にとってだ。
日本の国益はどうした。
うん、どんどん話が逸れていく。

吉田の話だ、吉田茂。
吉田、池田、佐藤、小泉、菅、野田などの対米従属の陰で抹殺されていった政治家たち。
重光葵、芦田均、鳩山一郎、石橋湛山、田中角栄、細川護熙、鳩山由紀夫、小沢一郎。
孫崎によると竹下登、福田赳雄、更には岸信介までもアメリカに抵抗して退場させられた。

吉田の役割は占領軍の要求を遂行すること。
戦犯を裁き、公職追放。
占領軍の暴力装置だ。

誰だって自分が可愛い。
真っ先にすり寄る近衛元首相や東久邇のようなお公家政治家。
戦時中に戦争キャンペーンをやっていた朝日、読売、毎日のようなメディアも尻尾を振って占領軍に諂う。
外交官で奉天総領事だった吉田も保身のためすり寄った。

幣原内閣の外相吉田はいちいち占領軍の意向を汲む傀儡内閣の中心。
今も日本の政治家を操るといわれるジャパン・ハンドラーの走りがG2のウイロビー。
非合法の諜報スペシャリストで後にスペインの独裁者フランコの顧問になった札付きだ。

表面的には不遜な態度の吉田だが、夜毎に帝国ホテルからコソコソとGHQに通い、ウイロビーの指示を受けた。
占領されたからには「まな板の鯉のようにピクリともせず料理されろ」と言った吉田が英雄だって?
そして占領軍のために国家予算で慰安所まで作ったのが吉田と池田。
何かとっても卑しくない?この人たち。

自分の保身の上に鳩山一郎らの排斥も手助けしてできた吉田政権。
日本のその後を決めたのが、吉田ら「保守本流=対米従属派」が独立後も政権を担当し、占領時代と変わらない政策を続けたことだ。
奴隷国家の上級奴隷。

しかしそうでない政治家、外交官もいたんですね。
外務省は戦後一貫して自主外交派とアメリカ追随派がせめぎ合いだったと元外交官の孫崎さん。

自らの身を賭して英語化などの占領軍の初期政策を撤回させた重光葵。
アメリカの有事のみ駐留を言い出した芦田均。
敗戦後の外相は見事なほど自主派と追随派が順番に勤めた。
重光ー吉田ー芦田ー吉田・岡崎ー重光の10年。

しかし楯突く政治家の排除がシステマティックに始まる。
GHQの子分で軍の隠匿物資を摘発(GHQのために)する裏切りの組織である地検特捜部。
堀田や佐久間みたいな糞野郎ども(失礼)。
その強引な摘発を囃し立てアメリカに不都合な政治家を政治的に暗殺する朝日、読売、文春。

昭電疑獄の芦田、ロッキードの田中、リクルートの竹下、日歯連の橋本、西松・陸山会の小沢。
誰一人有罪になっていない私刑だ。


(検察を美化する民放)

今更吉田の美化キャンペーンを始めた犬HK。
増税、原発、TPP、ACTA支持の自公民亡国政治の広報機関。
許せん。

おまけ。
犬HKは大嫌いだがEテレファンの国鉄フライヤーズ。
ブラックマヨネーズ - 電車で化粧はやめなはれ



再度の金融バブル崩壊を前にして「インサイド・ジョブ、世界不況の知られざる真実」を見てみた

2012-09-03 01:00:00 | 本、映画、イベント

サブプライムローン、リーマンショック、株価暴落…。世界中を金融危機の渦に巻き込んだウォール街崩壊の内幕を暴きだした社会派ドキュメンタリー!第83回(2010年)アカデミー賞 長編ドキュメンタリー賞を受賞(オリコン、データベース)

2008年にリーマンショックとした崩壊した金融バブル。
徹底的な規制緩和で証券会社のみならず銀行までが博打に走った。
しかし所詮、博打は博打。
いつも勝てるわけではない?

いやいや、勝てる方法はある。
ゴールドマン・サックスらの金融大手が政治家、学者、格付け機関、マスコミを支配して荒稼ぎした様子がよくわかる。
言葉は悪いが詐欺だ。

アメリカンドリームの幻想のもと、頭金なしで低所得者層にカネを貸した。
銀行ローンは証券化され機関投資家や一般投資家に販売された。
もともと資金のない人たちの住宅購入であるサブプライム・ローン。

焦げ付くリスクは大きい。
しかしそれをパッケージ化して他の債券とごっちゃにして売り出す。
そんな債券にAAAのお墨付きを連発したのが格付け機関。

年金基金などの安全資産を求める投資家には有難い話だ。
日本の国債より格付けが上だもの、ついつい手が出る。
しかし格付け機関は安全だと思ってAAAとつけているわけではない。
儲かるからだ。
潰れれば「あれはただの意見です」との厚顔ぶり。

実態は屑の証券。
もともと金融会社の種々のコストが組み込まれた高金利ローン。
しかしこのローンの成功で住宅バブルが起きた。

住宅価格が頭打ちになれば問題が一挙に噴き出す。
そこでAIGなどが売り出したのがCDS。
債券がデフォルトになっても全額支払い保証してくれる。

そして債券が破綻したときの保険であるCDSも証券化された。
サブプライム証券破綻となれば一企業では支払いきれないほどのCDSが売られる。

サブプライム・ローンを売りまくって大儲けしたゴールドマンらは目の前に迫る破綻を前に今度はCDSを買いまくる。
そしてハルマゲドン。
AIGも当然共倒れだ。

しかし、これも想定済みだ。
ゴールドマンの幹部だったポールソンが時の財務長官。
ただちにAIGを国有化。

そしてNY連銀のガイトナーがゴールドマンらにCDSという保険金を全額支払わせた。
そしてそのガイトナーがオバマの財務長官になる。
全部グル。

レーガン政権下で財務長官になったメリル・リンチのリーガンから始まり、財務長官はルービン、ポールソンら金融マフィアの指定席。
彼らが有り余る金でロビイストを使い(なんと金融ロビイストの数が議員の5倍いるらしい)、金融の規制緩和を推進した。
そしておこぼれに預かったのがハーバートやコロンビア大学の御用学者たち。
金融工学というお笑いだ。
そしてグリーンスパン、バーナンキ率いるFRB。

なにやら原子力ムラに似ているなあ。
そして破綻。
負け組は国民の90%。
10兆ドルの資産が吹き飛び、300万人が失業、米国政府の債務は倍増した。

儲けたのが、今盛んに言われる1%の人たち。
ルービンもポールソンもガイトナーもグリンスパンもバーナンキも格付け機関のトップも御用学者たちも1%として大幅に資産を増やした。
誰一人として責任追及を受けないし、気持ちが悪くなるほどの額のボーナスを貰っていた破綻金融機関の経営者も返還を求められない。

ITバブルの時、買収されて怪しいネット株を推奨したアナリスト達もお咎めなしだった。

そして今、ドル延命のために再び金融バブルが仕掛けられ雇用なき繁栄が続いている。
コンピューターを回して儲け続ける1%。
やがて来る危機の再来でも大儲けするのだろう。

ロムニーは完全に金融側の人。
危機の際、次々と金融規制を打ち出したオバマに期待するのも非現実的だ。
改革は即座に腰砕けした。
当然だ。
オバマのスポンサーはゴールドマンの大ボスであるジェイ・ロックフェラー。

人殺しで金儲けする軍産複合体グループとデリバティブという金融大量破壊兵器で富を独り占めるする金融マフィア。
彼らがアメリカや周辺国の政治・経済を動かしていることは紛れもない事実だ。
この欲深さと用意周到さには驚かされるばかりだ。

日々のちまちましたカネを追いかけ、現状維持に汲々とする日本の既得権益層とはスケールが違う。
いやいや、アメリカが羨ましいとは言っていません(笑)。
アメリカの救いはジャーナリスト精神がまだ残っているらしいこと。
新聞、テレビは「そもそも論」的に金融マフィアや軍産複合体に直接支配されているが、それに立ち向かうジャーナリスト精神は健全だ。

そこだけは羨ましい。