これが私の生きる道

こむずかしいことやきれいごとは
書いてありません。
読みやすさを心がけて書いています。
読んでみてください!!

桐野夏生「アンボス☆ムンドス」を読んで

2006年03月15日 19時47分55秒 | 読書
 7つのお話の載った短編集です。
どの話もギトギトしています。
「ページ数も少なくて読みやすそうだわ」と
軽い気持ちで本書をとるのは止めたほうがいいと思います。
桐野ファンになると、このギトギト感が堪らないのですが・・・。

 自分的には「植林」という話の宮本真希が一番可哀想に感じました。
デブでブスで勉強もできないフリーターで性格もひん曲がっています。
彼女が主人公の長編小説でなくて良かったです。

 「愛ランド」も面白かったですけど、やっぱり
表題作の「アンボス☆ムンドス」が一番好きな作品です。
この話みたいに、人をおとしめるのって案外容易いものだなって感じます。
直接的に傷つけるのではなく、間接的にその人の急所をつくというか
よく考えたなぁと思います。

 この話に出てくるほどひどい娘はいなかったけど
自分が小学生だった時も
女子はくっきりとグループ分けされていましたね。
 自分がAのグループの子と親しげにしていると
Bのグループの子から案外露骨に「なに、こいつ」みたいな
態度をとられたこともありました。
特にあの時代は女子のほうが精神的にも肉体的にも大人ですからね、
色んな思惑が渦巻いていたのでしょう。

 それと話の舞台になった学校の地域は、いわゆる地元の人と
自動車工場の幹部が集う「社宅」の人の溝みたいなものも描かいていますが、
自分の地域にもこれと同じような光景が見られます。
 うちのほうでは「団地」「持ち家(一軒家・マンション)」「公務員住宅」
という大まかに3つに分かれていて
中学の成績上位10位までのうち、
「公務員住宅」の子が半数を占めます。

 残りが「持ち家」の子で、「団地」組は自分の知る限りは
何人もいなかったと思います。
 たしか学区で一番偏差値の高い都立高校へも
「団地」の子は一人もいないのをみて
これが現実なんだなぁと妙に納得したこともありました。

 昨日の夕刊に「所得差が教育格差につながりかねない」
っていう記事が載っていましたけど、
そんなの当たり前だろうと、
こんなことをわざわざ費用を掛けて調べていることに腹が立ちました。

 かといって「公務員住宅」の子たちのことは嫌いじゃなかったです。
いじめっ子や授業中うるさい子もいなかったし
「団地」組より真面目な子たちばかりで、これが育ちの違いかと思っていました。
 そこで自分はどこに所属していたかというと
おんぼろアパートに住んでいたので、どこにも分類されない
無所属派でした、悲しいけれど・・・。

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