自閉症の青年
回廊をぐるぐる
いつも
同じことばかりを
繰り返している
スタッフは
安心して
彼を
放任している
彼は
ぐるぐる
回廊を
きょうも
ある日
回廊を
回っているはずの
彼の
すがたが
忽然と消えた
スタッフは
大慌て
ぐるぐるぐるぐる
スタッフは
回廊を回る
彼は
初めての
冒険を
ぐるぐるをやめて
ぶらぶらに
切り替えた
30分後
彼の
居場所を確認したと
報告があった
10年前の
自閉症の青年
I君の記録は
7時間
この記録は
不滅だろうか
問題は
彼ではなく
彼がどこに
行こうとしたか
それを
見極められなかったこと
ぶらぶらの
散歩すらできないなんて
あまりにも
つまんない
ぐるぐるを
ぶらぶらに
ぶらぶらを
すたすたに
すたすたを
たたたたに
変えていくのも
成長なんだろうな
いる人(いなくならないだろう)が突然いなくなるとかなり驚きます
でも・・ふと彼は思ったのでしょうね。さあ。行くか・・と。
ふとした気持ちに早く気づける空のようになりたいです
お預かりしているハンディキャップを持つ青年が、行方不明になるというのはこれまでも何度か経験してきました。安全を確保したいと言うスタッフ側と、楽しいことをしたいという利用者側では常に自由と管理がぶつかります。
私たちはいなくなったことを問題にするのではなく、(もちろん把握できていないと言う問題はありますが・・)彼らがどういう気持ち・かんしん・興味・思いを持っているのかという
行動の理由を知ることは大切なことだと思います。お母さんの話では「3,4年前に一度」、学校でも「近隣のブドウ畑に」とかの話を聞いています。彼らがいつも同じで気持ちではないということを知る良い機会だったと思います。
Iさんは山口県で暮らしているようですが、今はどうされているのか知りたいですね。