夢発電所

21世紀の新型燃料では、夢や想像力、開発・企画力、抱腹絶倒力、人間関係力などは新たなエネルギー資源として無尽蔵です。

POEM/見果てぬ夢

2009-06-17 07:09:55 | 創作(etude)

 自閉症の青年
 回廊をぐるぐる
 いつも
 同じことばかりを
 繰り返している
 スタッフは
 安心して
 彼を
 放任している
 彼は
 ぐるぐる
 回廊を
 きょうも

 ある日
 回廊を
 回っているはずの
 彼の
 すがたが
 忽然と消えた
 スタッフは
 大慌て
 ぐるぐるぐるぐる
 スタッフは
 回廊を回る
 
 彼は
 初めての
 冒険を
 ぐるぐるをやめて
 ぶらぶらに
 切り替えた
 30分後
 彼の
 居場所を確認したと
 報告があった
 10年前の
 自閉症の青年
 I君の記録は
 7時間
 この記録は
 不滅だろうか

 問題は
 彼ではなく
 彼がどこに
 行こうとしたか
 それを
 見極められなかったこと
 ぶらぶらの
 散歩すらできないなんて
 あまりにも
 つまんない
 ぐるぐるを
 ぶらぶらに
 ぶらぶらを
 すたすたに
 すたすたを
 たたたたに
 変えていくのも
 成長なんだろうな

 

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2 コメント

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Unknown (補助輪)
2009-06-18 02:13:10
Iさん・・7時間でしたよね・・今も元気で活躍しているのですかね
いる人(いなくならないだろう)が突然いなくなるとかなり驚きます
でも・・ふと彼は思ったのでしょうね。さあ。行くか・・と。
ふとした気持ちに早く気づける空のようになりたいです
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補助輪さんへ (なりたはるみ)
2009-06-18 05:28:18
 コメントありがとうございます。
 お預かりしているハンディキャップを持つ青年が、行方不明になるというのはこれまでも何度か経験してきました。安全を確保したいと言うスタッフ側と、楽しいことをしたいという利用者側では常に自由と管理がぶつかります。
 私たちはいなくなったことを問題にするのではなく、(もちろん把握できていないと言う問題はありますが・・)彼らがどういう気持ち・かんしん・興味・思いを持っているのかという
行動の理由を知ることは大切なことだと思います。お母さんの話では「3,4年前に一度」、学校でも「近隣のブドウ畑に」とかの話を聞いています。彼らがいつも同じで気持ちではないということを知る良い機会だったと思います。
Iさんは山口県で暮らしているようですが、今はどうされているのか知りたいですね。
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