音楽は語るなかれ

音楽に関する戯れ言です。

サンディニスタ! (ザ・クラッシュ/1980年)

2009-12-16 | ロック (イギリス)


ザ・クラッシュの存在は私にも大きな影響を与えてくれた。中でも、この「サンディニスタ!」は、バンドの存在以上に私に与えた影響は大きい。どうしても同時期にポリスを始め、ザ・ジャム、トーキング・ヘッズやU2などが存在しているために、影響されたアーティストという括りで考えるとこのアーティストを上げることは出来ないが、このアルパムが音楽以外にも色々なことを教えてくれた記念すべき作品だ。一般的には「ロンドン・コーリング」や、デビューアルバムの「白い暴動」の評価が高く、またファンも多いが、なんと、このアルバムは、私の記録している毎年の年間ランキングでは1980年(12月に発売)に、U2のデビューアルバム「ボーイ」を抑えて堂々の第1位になっている。

「ロンドン・コーリング」までは、このバンドは私からは遠い存在であった。大体、パンクロックはどちらかというと苦手であり、それは例えば、ミュージシャンの主張という意味は分かるのであるが、リリックが暴力的だったり、或いは演奏が下手でヴォーカルがオンチでも良かったりという考え方自体が、そもそも私の中にある音楽という芸術定義からは大きく外れているからだ。しかし、それは、例えば、ピストルズはそうであったかもしれないが、時間と共に色々と変化が出てきて、特にこのクラッシュに関しては、アルバムを出すごとにミュージシャンの主張も明確になってきたが、同時に音楽的にもテーマと音楽性が徐々に向上してきて、このアルバムは言わば彼等の活動に頂点に位置するものであるという見方も出来る。日本史には大変詳しい私だったが、現代史、取分け国際情勢が複雑になってきた第一次世界大戦後の各国の情勢には疎く、勿論、アメリカが抱える大きな問題のひとつにキューバ問題があるくらいは知っていたが、このアルバムを聴いて、サンディーノ主義を初め、発売当時の様々な問題と、それに対してクラッシュがどのようにこれらを総括しているのかを知ることとなった点では冒頭にも書いたように大変大きな影響を与えてくれたのだ。特にジョー・ストラマーのメッセージは力強く、これは単なるメッセージでなく政治声明であるところは、パンクの真髄にある骨太を大いに感じ、パンクという音楽を見直す(「ロンドン・コーリング」の発売で既にその兆候はあったが)きっかけとなった作品である。また、クラッシュの凄いところは、中南米にある独自の音楽をこのアルバムに色々な形で取り込んでいるところであり、それはアルバムジャケットからしてその拘りを感じる。また、同時にこれはワールドミュージックの流行がこの後にやって来るという予言でもあり、それは見事に当たったばかりで無く、ラップ・ミュージックも紹介している。よく、このアルバムがビートルズの「ホワイト・アルパム」と比較されことが多いが、確かに、ミュージシャンの作品経歴においての異質性に於いて共通点は多い。更にいえば完成度という面に於いても、一見して両方ともとても高い様に見えるものの、当のアーティスト本人から見ると、異質性は高いものの、完成度に関しては何れも満足をしていないという共通点もある。特に「サンディニスタ!」はテーマがテーマだけに、もっと何かやりたかったのではないかと思わせる節が沢山あるのも実は逆に興味深い。

アナログ版は3枚組に(片面に6曲ずつ、計36曲)、オマケ付という感動もあったが、CDだと2枚組で迫力が半減してしまうし、特にアルバムジャケットの感動が薄れてしまうのは、このアルバムのタイトルとコンセプトに関して言えば本当に残念だ。


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1 コメント

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覚えてます!! (Seko-M)
2009-12-18 20:05:04
発売当時、このアルバムをturtooneが絶賛していましたよね。

特に、いつも1曲目の「7人の偉人」を演奏しながら歌っていたのを今でも覚えています。
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