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「日本の近代9-逆説の軍隊-」を読む

2012-05-18 21:00:57 | 今週の一冊

 「日本の近代9-逆説の軍隊-」を読んでいます。

  著者の戸部良一氏は、名著「失敗の本質(共著)」で著名な軍事史家です。この本は、日本陸軍の誕生から、自壊までを書いた本です。

 日本陸軍を理解する時、陸軍士官学校何期卒かがポイントになると書かれた本を読んだことがあります。軍隊が誕生した時は、明治維新時で、薩長藩閥出身の武士が支配する組織でした。

 藩閥支配からの脱皮は、軍人の育成体制が整い、その卒業生がエリート層になる明治20年代後半からです。日本陸軍を育成に力を注いだのが山縣有朋であり、その陸軍の成熟期のボスが宇垣一成で、陸軍士官学校一期生です。

 日本陸軍創設期は、武士が軍人になったわけで、武士が担った政治感覚もあり、戦闘の肝もすわっていました。それが、士官学校卒の軍人が上層部を占めると、戦の専門性に優れていても、政治感覚は疎い人たちが多くなりました。

 「統帥権」は、内閣が軍にその専門性から口を出させないもので、司馬遼太郎などに言わせると、この「統帥権」が魔法の杖となって、昭和陸軍が暴走したといことになっています。

 軍は専門性を持った官僚組織であり、その官僚制の欠陥である「組織拡大病」が戦争に進んだ一因になったのではないかと、この本を読んでいて思いました。「逆説の軍隊」とは象徴的なフレーズだと思っています。


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