TSUNODAの経営・経済つれづれ草

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「会社数字がわかる計数感覚ドリル」を読む

2009-07-04 17:30:08 | 今週の一冊
 千賀秀信氏の著書「会社数字がわかる計数感覚ドリル」を読みました。



 この本は会社数字について30問を解きながら計数感覚を磨くという内容の本です。

 計数感覚を身につけることによって、次の会社数字について4つの視点から経営がみることができると著者は記載しています。

1 計数の変化を見て、企業活動を推測できる
 これは、たとえば営業利益が伸びているのに、経常利益が減少している会社の状況をどのように判断、推測する力をつけるかということです。
2 活動・意思決定の結果が、決算書のどこに影響するか予想できる
 これは、たとえば競争の激化で、ポイントカードの還元率を10%アップしたな決算にどのように影響するか推測できる力をつけることです。
3 計数分析の手法を活用し、経営計画の策定に活用できる
 これは、たとえば売上が200億円から10%アップして、在庫回転率20回を維持する計画では、平均在庫投資はいくら必要か計算できることです。
4 予想される計画数値の妥当性、実現可能性を検証するのに活用できる
 これは、たとえば売上総利益率10%の業界で、25%の計画値の場合妥当性があるか判断できるかということです。

 さて、会社数字がわかるように30問のドリルがあるのですが、ドリルはドリルとしておもしろいのですが、私が改めて勉強になったのは、コラムに書かれていたことです。

 コラムに書かれていたのは、「固定費、変動費に分ける真の理由-変動損益計算書-」という内容です。一般に固変分解ということで固定費と変動費に分解するのは損益分岐点分析を行うためと言われます。
 しかし、著者は固変分解して「変動損益計算書」を作成することを勧めます。「変動損益計算書」の眼目は付加価値を生み出す源泉である固定費として何が使われ、その支出が付加価値に貢献しているかもわかることです。
 固定は労働集約型の会社では、人件費のウエイトが大きくなり、資本集約型の会社では、減価償却費やリース料などの設備のウエイトが大きくなります。

 人材派遣費は企業では外注費として区分かれていることが多いです。この場合、外注費は変動費ですから付加価値の計算から除かれ、付加価値(人件費)は正社員とパート・アルバイトが生み出すということになるわけです。要は人材派遣は人として扱われていないということです。

 著者は、今後利益やキャッシュフローと同じように重要な経営指標として考えなくてはならなのは付加価値であると述べています。付加価値は人件費、利益、税金の源泉です。会社の社会的な貢献の始まりは付加価値を生み出すことであり、付加価値(人件費、利益、税金)を創造できなければ、会社の存在理由がないというわけです。

 そして、固定費、変動費に分ける真の理由は付加価値分析を実現することなのです。この主張からは、人材派遣をどのように考えるか、労働分配率の問題、同一労働、同一賃金といった今日的な課題を考えさせてくれることに繋がると私は思いました。
 



 

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