厚生労働省は14日の労働政策審議会の部会で、企業に従業員が65歳になるまでの再雇用を義務付けている制度の運用を厳格化する方針を示しました。
現在の法律では定年を60歳以上としなければならず、65歳までは再雇用などで働ける制度を導入することも義務づけられています。ただ、労使で協定を結べば、企業は「働く意欲がある」「健康上の問題がない」などの再雇用の条件を例外的に付けられます。
厚生労働省は、この例外規定を撤廃、2013年度からは希望者全員の再雇用を求める方針を示しました。
厚生労働省の調査によると、現在の制度で退職者の雇用確保措置を導入している企業の割合は、31人以上の規模の企業で95.7%。例外的な条件で再雇用が認められなかったのは、定年者全体の1.8%に当たる7,600人にとどまります。この数値はピックアップ調査の数値なのでしょうが、数値の少なさから、厚生労働省が強気になるのももっともなことです。
一方、社会保障制度改革は、制度の先延ばしや従来の課題に対しての「ほうかむり」状態です。また、再雇用制度も、若年労働者の就職締め出しという問題と「うらはら」の関係にあります。
社会保険、若年労働者の就職、高齢者の再雇用はトータルで政策を実行していかなくてはならないのではないでしょうか。「部分最適」でなく「全体最適」を考えた政策を実施しもらいたいものです。