東京教組(東京都公立学校教職員組合)

教職員のセーフティーネット“東京教組”

再生か、破壊か!?

2013年06月07日 | インポート

2 政府の教育再生実行会議は自治体の首長が教育長を任命、罷免できるようにし、教育長に地方教育行政の権限と責任を集中して担わせることなどを柱にした教育委員会改革の提言をまとめた。かつての、東京の教科書採択、大量処分、品川で区長と教育長、マスコミの世論づくりによって教育委員会を無視した「学校選択制」の導入、大阪で教育条例を強行した事例を思い出す。
 教育委員会制度は、戦前の国家主義教育が、戦争への道を突き進む原動力の一つとなった反省から出発している。このため教育行政が政治に左右されないよう首長から独立させた。それでも、東京や大阪のようなことが起こる。
 今回の提言は、地方分権、民主化、安定性、中立性の確保とい現行の教育委員会制度を実質的に否定し、首長の思い着きで教育が左右される危険がある。
 むしろ、地域の教育施策に権限を持つ教育委員会が、非常勤が中心の委員が月1~2回会合を開くに程度で、実務を担っている事務局の追認機関にすぎないことの方が問題だ。
 文部科学省は教委制度の意義について「政治的中立性の確保」「継続性、安定性の確保」「地域住民の意向の反映」を掲げている。今回の提言は、文科省の意義ともかけ離れている。
 教育再生実行会議は今年1月、教育改革に強い意欲を示す安倍晋三首相の意向を受けて政府が設置した。参加する有識者は作家の曽野綾子さんや「新しい歴史教科書をつくる会」元会長の八木秀次高崎経済大教授ら保守色が強い、偏った編成になっている。
 提言ではこのほか、自治体に法令違反があった場合、国が是正を指示できるよう国の権限を強化することも盛り込まれた。明らかに、地方分権時代の教育の在り方に反するものである。
 提言を受けて具体的な制度づくりをするのは中央教育審議会である。偏らない、冷静な議論と、教育への政治介入の道を開く教育再生会議提言の教育破壊を避けることを求める。
   (東京駅のドーム)