憲法を閣議決定で解釈変更する暴挙を犯した自公政権だが、人をモノのように扱い、人間にとって大切な働くことの尊厳を奪う雇用政策も深刻だ。
安倍政権のアベノミクスは、不当な解雇を金銭で解決する「解雇の金銭解決」や規制強化されたばかりの労働者派遣法の再緩和、限定正社員の拡大など労働の規制緩和を進めている。首切りヤリ放題で転職させる政策を「失業なき労働移動」(雇用の流動化)と言い換えるなど、とんでもないサギである。しかも、雇用の流動化で儲けるのは転職の補助金をせしめるリクルート産業である。その筆頭のパソナの会長が竹中平蔵であり。彼はこの政策を強力に推し進める産業競争力会議の議員でもあるという出来レース。
安倍政権の規制改革会議や産業競争力会議では、労働者のことを「余剰在庫」「価格調整」などと呼んで議論している。首切り対象にする労働者を企業のリスクとして「過剰在庫」、低賃金で働かせることを「価格調整」と言ってはばからない人々に労働政策を任せるわけにはいかない。
社会保険もない派遣労働者や国の非常勤職員の賃金は、人件費ではなく物品費として処理する徹底した「モノ」扱いである。
したいのだ。派遣村が開かれた際、村を訪れた多くの政治家は、年末に雇い止めにされた労働者の群れを見て、人が働くことをモノ扱いするシステムを難じたはずだ。その反省は消え、再び働く尊厳を奪うような制度を目指している。私たちのまわりにも、両親がいつクビになるかわからない子どもたちがいる。高利貸し奨学金の問題も含めて、子どもたちが安心して学校に通えるようにするためにも安倍政権の労働政策を容認することはできない。
「15歳からの労働組合」(東海林智著、毎日新聞社)に、二つの仕事を掛け持ちするダブルワークに追い込まれた高校生の話が紹介されていた。彼女は、父親も母親も理不尽に仕事を奪われ、学校を続けるために掛け持ちで夜中までアルバイトをしながら、家計と学費を稼いでいるという。こんな理不尽を放置することはできない。
(シマダンチク)
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