今年度の日教組教育研究全国集会は、佐賀で、1月26日から28日まで開催されました。
九州とはいえ、1月の佐賀はとても寒く、雪がチラつく中での開催となりました。
「いじめ問題」や「体罰問題」など重い課題を背負った上での開催となりましたが、加藤委員長は「子どもの現実としっかりむきあい」「子どもに寄り添い続けていく」姿勢を打ち出し、いっこうに改善されない「子どもの貧困」問題の解決を訴えました。
その後、内田樹さんの記念講演『教育の危機―グローバル化に抗して―』がありました。
内田さんは今の学校教育はがんじがらめになって不自由になっていること。そのため自ら手作りの教育機関「凱風館」を立ち上げたこと。「グローバル資本主義」の真っ只中にあって、「グローバル企業」にふさわしい人材の養成が求められている。ここでは成果主義の数値化が蔓延し、子ども達の自尊感情が育たない。教育は長いスパンで動くものであり、すばやく成果を出させるグローバル資本主義はなじまない。グローバルの名の下に学校という組織は変えるべきではないというお話をされた。
また、内田さんは自身のブログで「体罰」について次のように述べています。
体罰と暴力によって身体能力は一時的に向上する。これは経験的にはたしかなことである。そうでなければ、暴力的な指導がここまではびこってくるはずはない。恫喝をかければ、人間は死ぬ気になる。けれども、それは一生かかってたいせつに使い延ばすべき身体資源を「先食い」することで得られたみかけの利得に過ぎない。
「待ったなしだ」という脅し文句で、手をつけてはいけない資源を「先食い」する。気鬱なことだが、この風儀は今やスポーツ界だけでなく日本全体を覆っている。
特に、「ユニクロの**さんが、辞令一枚で、明日からすぐに世界のどこにでも転勤して仕事ができる人材を求める、ということを言っているが、そんなことのできる人間は、今・ここからいなくなっても、だれも困らないということになる。家族からも、地域からも、そして職場からも、あなたがいなくなっては困るという言葉をかけてもらえない人ということになるではないか。教育は、そんな人を育てることを目標にはできない。」といったことには、まさに「目から鱗」である。テレビは、経営者の話をこれでもかと流している。「グローバル化時代にふさわしい人材」といった話を繰り返し聞かされているうちに、そういうものだと思いかけていた自分に気づいて、ぎょっとした。